米大統領選挙討論会でLGBT当事者が司会~アンダーソン・クーパー氏~

ライター: JobRainbow編集部
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(写真:NBC NewsのYouTube動画から転載・編集)

第1回目の米大統領選に向けたテレビ討論会が9月26日に行われ、民主党のヒラリー・クリントン氏と共和党のドナルド・トランプ氏が討論した。その翌日、サンディエゴのLGBTニュースサイトでは、「大統領討論会においてLGBT問題の議論は?」といった記事が掲載されている。記事では、LGBT問題について触れられなかったことを残念だとしつつ、「次回は、クーパー氏が司会なので、期待できる!」と結んでいる(Timothy Rawles、「Where were the LGBT issues in the presidential debate?」、San Diego Gay & Lesbian News)。

そして、第2回テレビ討論会が10月9日、ミズーリ州セントルイスで開かれ、司会を担当したのが、CNNニュースのパーソナリティーを務めるアンダーソン・クーパー氏である。

氏はゲイの男性だ。

クーパー氏の画像

クーパー氏は、大統領選挙の討論会で初めて司会者となるLGBT当事者であり、これまで司会者にラインナップされた中で最も多様性のあるグループの中の一人といえる。

過去のダイバーシティーグループとしては、ポーリーン・フレデリック氏が1976年に最初に女性として司会を務め、最初のアフリカ系アメリカ人として1992年にキャロル・シンプソン氏が務めている。他の女性では、ジュディ・ウッドラフ氏とグレン・アイフィル氏が副大統領選挙の討論会の司会をしている。しかし、これまで大統領・副大統領の普通選挙において討論会の司会を務めたLGBT当事者はいない(Lucas Grindley、「Anderson Cooper Is First Out Gay Man to Moderate Presidential Debate」、Adovocate)。

そして、クーパー氏が9日の討論会の司会を務めることとなった。司会者は国民を代表して質問をする責務を負っており、また、9日の討論会はタウンホール形式で行われることとなっていたため、質問の半分は観衆の中から提出され、そのトピックは公衆の多岐にわたる関心事に及ぶと予想された。したがって、LGBT関連の質問についても提出されることが期待できないわけではなかった。

そのような期待も混じる中、10月9日、第2回目の大統領選挙討論会が行われた。

しかし、残念ながらLGBTに関する議論はなかった。

そうはいっても、大統領選挙討論会で国民を代表して質問をする司会にゲイの当事者が抜擢されたという事実自体が、社会におけるLGBTグループの政治的発言力がそれだけ向上しているということを意味しているのかもしれない。米国大統領選挙の成り行き、そして、大統領となった候補者がどのようなLGBT関連政策を施行するのか、今後も目が離せない。

JobRainbow編集部
東京大学法科大学院生

出利葉 大輔

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