同性カップルが子どもを迎える選択肢? 里親制度と特別養子縁組の違いを知る

ライター: JobRainbow編集部
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パートナーと家庭を築く中で、子どもを迎えて育てたいと考える同性カップルは少なくありません。ただ、日本では同性婚が法制度として認められていないため、異性カップルであれば自然に選べる選択肢の多くが、同性カップルにとっては最初から閉ざされていたり、条件つきになっていたりします。子どもを持つ方法を考えるときに関わってくる主な制度が、里親制度と特別養子縁組です。このふたつは似ているようで、同性カップルにとっての開かれ方がまったく異なります。


里親制度は同性カップルにも開かれている

里親制度には、原則18歳未満の子どもを一定期間預かって育てる「養育里親」、虐待を受けた子どもなど専門的な支援が必要な子どもを受け入れる「専門里親」、将来の特別養子縁組を前提とした「養子縁組里親」、祖父母など親族が子どもを育てる「親族里親」の4種類があります。

このうち養育里親については、同性カップルであることを理由に申請ができないという法律上の制限はありません。厚生労働省のガイドラインでも、同性カップルを排除する規定は設けられていません(引用:有斐閣Online「日本における同性カップルの法的処遇」)。実際に、女性カップルが里親として子どもを迎え入れ、実父からの虐待を経験した子どもが、女性ふたりのもとでは安心して過ごせるようになったという事例が報道されています(引用:東京すくすく「同性カップルも里親になれる 実父の虐待で「女性2人だと安心できる」子も 貴重な担い手だと知ってほしい」)。里親を必要とする子どもの数に対して、里親になれる大人の数が全国的に不足している状況の中で、同性カップルも子どもを迎え入れる貴重な担い手のひとりだと捉える見方が広がりつつあります。


東京都は2022年の見直しでふたりそろって里親になれるようにした

以前は、同性カップルが里親になる場合、法律上は一方だけが正式な里親として認定され、もう一方は「補助者」という位置づけにとどまるという運用が一般的でした。東京都は2022年4月、この運用を見直し、同性パートナーをそれぞれ対等な立場として扱い、ふたりそろって里親になれるように改めています(引用:東京新聞「同性カップルが里親として子育て 受け入れ進まぬ中「貴重ななり手」 東京都は要件緩和「多様な家庭の認定に」」)。ふたりがそれぞれ対等な養育者として認められるということは、子どもにとっても、養育者としての責任や関わり方において、どちらか一方だけに偏らない安定した環境につながる意味を持ちます。


横浜市や千葉県のように受け入れ姿勢を明確にする自治体も増えている

里親の認定基準や運用は自治体ごとに定められているため、同性カップルへの対応にも差があるのが実情です。そうした中で、横浜市はホームページの説明で、養育里親について「単身者や同性カップルであるために里親になれないということはない」と明記し、子どもの養育と生計の維持が可能か、子どもの養育に関する知識や経験があるかといった基準を満たしているかどうかで判断する方針を示しています(引用:横浜市「単身や同性カップルでも里親になれますか?」)。千葉県も同様に、単身、共働き、性的少数者であっても、認定基準を満たしていれば里親になれるとしています(引用:千葉県「子どもたちは里親を求めています」)。

こうした自治体の姿勢が明文化されていることは、これから里親を検討する同性カップルにとって、大きな安心材料になります。一方で、すべての自治体がここまで明確な姿勢を示しているわけではないため、実際に里親を検討する場合は、まず住んでいる自治体の児童相談所に問い合わせて、具体的な運用を確認することが欠かせません。自治体によって説明の丁寧さや担当者の理解度に差があると感じる方もいるかもしれませんが、それは自治体の姿勢の問題であって、同性カップルであることそのものが問題なのではない、という点は押さえておきたいところです。


特別養子縁組は配偶者要件があるため利用できない

里親制度とは対照的に、法律上の実子と同じ親子関係を結ぶ特別養子縁組については、大きな壁があります。特別養子縁組で養親になるには、法律上、配偶者がいることが要件のひとつとされています。日本では同性婚そのものが法的に認められていないため、同性カップルは法律上の配偶者にはなれず、結果として特別養子縁組の要件を満たすことができません(引用:有斐閣Online「日本における同性カップルの法的処遇」)。

つまり、同性カップルの一方が単身で特別養子縁組を申請することは制度上可能な場合がありますが、パートナーとふたりで法律上の親子関係を結ぶという選択肢は、現状では閉ざされているということになります。子どもとの関係が里親のような「委託」にとどまり、実子と同じ法的な親子関係までは結べないという違いは、日々の生活の中では意識しない場面が多くても、進学や相続など、いざというときの法的な保障という点で大きな差になってきます。


同性婚をめぐる裁判の行方が今後を左右する

同性婚を法律で認めないことが憲法に違反するかどうかを争う裁判が、全国の裁判所で続いています。この裁判の最高裁判断がいつ、どのような内容で示されるかによって、特別養子縁組の配偶者要件のあり方も影響を受ける可能性があります。仮に将来、同性婚が法制化されれば、特別養子縁組の「配偶者があること」という要件も、同性カップルにとって満たせるものに変わっていくことになります。判決の時期については、2026年度中とする見方もあれば、2027年に入ってからになるという見通しもあり、現時点では確定していません。


里親として子どもと暮らす中で大切にされていること

里親として子どもを迎えるかどうかを考えるとき、同性カップルであることそのものよりも、子どもの成長にとって安定した環境を用意できるかどうかが、審査や日々の関わりの中でいちばん重視されます。パートナーがふたりで子育てに関わる姿を、周囲がどう受け止めるかについては、地域や学校によって温度差があるのが実情です。子どもが友達にどう説明するかで悩んだり、逆にまったく気にせず自然に受け入れられたりと、経験のされ方はひとつではありません。こうした周囲との関わり方について、事前にある程度心づもりをしておきたいと感じる方もいるでしょうし、実際に子どもと暮らし始めてから向き合っていくという方もいるでしょう。どちらが正しいということはなく、それぞれの家庭のペースで向き合っていくことが大切にされています。


どこに相談すればいいか

里親制度そのものについては、まず住んでいる自治体の児童相談所や、里親支援機関に問い合わせるのが基本の窓口になります。同性カップルとしての里親経験や当事者どうしのつながりを求める場合には、レインボーフォスターケアのように、性的少数者の里親や養育里親を支援する団体に相談するという方法もあります(引用:レインボーフォスターケア「里親制度とは」)。同じような立場で先に経験を重ねてきた人たちの話を聞けることは、これから検討する人にとって心強い材料になるはずです。

子どもを持つという選択は、同性カップルにとって簡単な道のりではありません。それでも、里親制度という形であれば道が開かれていること、そして自治体によっては受け入れの姿勢を明確に示しているところがあることは、知っておいて損はない事実です。JobRainbowでは、家族のあり方も含めて多様な生き方を尊重する企業の情報を紹介しています。パートナーとの暮らし方や将来設計を考えるうえで、働く場所選びもあわせて見直してみるのもひとつの方法かもしれません。


参考

  1. 東京新聞「同性カップルが里親として子育て 受け入れ進まぬ中「貴重ななり手」 東京都は要件緩和「多様な家庭の認定に」」
  2. 東京すくすく「同性カップルも里親になれる 実父の虐待で「女性2人だと安心できる」子も 貴重な担い手だと知ってほしい」
  3. 横浜市「単身や同性カップルでも里親になれますか?」
  4. 千葉県「子どもたちは里親を求めています」
  5. 有斐閣Online「日本における同性カップルの法的処遇」
  6. レインボーフォスターケア「里親制度とは」

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