何が違う? LGBTの結婚事情~日本と海外の比較~

ライター: JobRainbow編集部
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日本でLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーをの頭文字をとった、これらをはじめとするセクシュアルマイノリティの総称)の存在が広く認知されるようになり、LGBTについての理解が進み始めはしましたが、未だにLGBTへの偏見は根強く残っており、社会制度の整備も十分とは言えないでしょう。

なかでも、日本で暮らすLGBTの方々が最も不十分に感じている社会制度といえば、結婚ではないでしょうか。

では、ところ変わって海外ではどうなのでしょうか。LGBT・同性カップルの法律での扱いはどう違うのか、同性婚を認めているのかいないのか…

今回は、そんなLGBTの結婚について、国際比較してみました。海外のLGBT事情について知りたい方だけでなく、海外旅行や移住を考えている方も気楽にご覧ください。

日本の場合

レインボーフラッグ

日本において同性婚は法律上認められていません。その根拠として頻繁に挙げられるのが、日本国憲法第24条1項にある「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」という文言です。ここにおいて、「両性」=「男女」、「夫婦」=「男女」と規定されているため、同性婚が認められない……という論説が多いようです(もちろん解釈は分かれているのですが)。

ですが、現在日本の一部の地域では、同性パートナーシップ制度が導入されています。この同性パートナーシップ制度を導入している地方自治体は、北は北海道 札幌市から、南は沖縄県 那覇市まで2019年4月1日の時点で合わせて12都道府県20団体です。また、2019年度内での導入を目指す自治体や、具体的な日付は決定していないものの導入を検討しているという自治体も少なくありません。それぞれの発行する証明書には、発行における必要書類に伴う経費の有無などの差が多少見られます。

しかし重要なのは、そのどれもが法的な効力を持たないということです。婚姻関係であれば可能な、死後の財産分与などが出来ず、一般企業の提供する保険や住居などの婚姻関係であれば受けることのできるサービスなどのなかにも、同性パートナーシップ制度では受けられないものが数多く存在しています(一方住宅手続きなどにおいて、同性パートナーシップを婚姻関係と同等のものとして扱う企業も現れ始めました。詳しくはこちらをご覧ください)。

そのような動きが加速する中、法的な効力を持つ結婚を同性間に認めない民法や戸籍法の規定は「結婚の自由を保障した憲法に反する」として、2019年2月14日、日本で生活する同性カップル13組が東京、大阪、札幌、名古屋で「結婚の自由をすべての人に」訴訟と銘打って、立法不作為により原告が受けた精神的損害に対する賠償を求め、国を一斉に提訴しました(参考:『日本で同性婚を求める訴訟を応援してください!』READY FOR)。国側は請求棄却を求め争う姿勢を見せ、札幌地裁と東京地裁では同年4月15日に、名古屋地裁では19日に、大阪地裁では26日に第一回口頭弁論が行われました(参考:『同性婚求める訴訟で初弁論 国側は請求棄却求める』朝日新聞DIGITAL)。日本における同性婚の未来が決まるといっても過言ではないこの訴訟。前向きに進展していくことを期待するばかりです。

同性婚反対派の議論について知りたい方は
【差別ではない?】同性婚反対派の議論【解説してみた】

海外の場合

海外には、日本のような同性婚を認めていない国のほかに、

  • 同性婚が認められている国
  • 登録パートナーシップが認められている国
  • 同性愛が違法の国

の3種類があります。初めの2種類はまだイメージできますが、最後の1つは一体どういうことなのでしょうか。

1. 同性婚が認められている国

手をつなぐ人

同性婚が認められている国は2019年5月現在、26か国あります。2001年4月から同性婚を法的に認めたオランダをはじめ、ベルギー・スペイン・カナダ・南アフリカ・ノルウェー・スウェーデン・ポルトガル・アイスランド・アルゼンチン・デンマーク・ブラジル・フランス・ウルグアイ・ニュージーランド・イギリス(北アイルランドを除く)・ルクセンブルク・アメリカ・アイルランド・コロンビア・フィンランド・マルタ・ドイツ・オーストラリア・オーストリア・台湾がこれに該当します(出典:NPO法人EMA日本)。また、ベトナムなどでも同性婚を認めようという動きが進んでいます。

台湾では、2017年に同性カップルにも結婚する権利が法的に認められるべきだとする判断が下されたものの、反対派の野党によって2018年11月に住民投票が行われ、3分の2以上の有権者が婚姻の定義を男性と女性の間だけのものにすることを望むという結論に至りました。そこで、現行の婚姻に関する法を改変することなく、新たに特別法を規定することで、同性間の結婚を認めました。特別法とは、養子縁組をめぐる制限などをのぞき男女の婚姻とほぼ同様の権利を認めるものです。野党からは、同性間の結婚は認めず「同性家族関係」とすべきとする法案も出ましたが、与党が押し切った形です。アジアで初めてということもあり、台湾で同性婚が認められたことは、日本を含め、同性婚を求める動きが活発な周辺の国々に大きな希望を与えました(参考:『同性婚、アジアで台湾なぜ先行 「憲法判断」が追い風』朝日新聞DIGITAL)。

なお同性婚が認められるということは、異性同士の婚姻と同等の相続や社会保障に関する権利が同性カップルにも認められている、ということを指します。

2. 登録パートナーシップが認められている国

手を繋いで歩く人たち

結婚ではないにしても、登録パートナーシップを認めている国は数多く存在し、アンドラ、イスラエル、イタリア、エクアドル、キプロス、ギリシャ、クロアチア、コロンビア、スイス、スロベニア、チェコ、チリ、ハンガリー、ベネズエラ、ベルギー、メキシコ(一部の州)、リヒテンシュタインの17か国がこれにあたります。

とはいえ、国ごとに微妙な差異があり、すべてを事細かに列挙してしまうと、それだけでページが埋まってしまいます。ただ、ほとんどの登録パートナーシップでは、認められる権利が婚姻と同等ではないという点に留意する必要があります(例えば、異性同士の結婚において存在する税制上の優遇がない、といったことがこれにあたります)。

また、フランスなど一部の国では同性婚も登録パートナーシップも認めています。これは本人たちの望む形での自己実現のため(ゆえに異性同士のカップルにも同等の登録パートナーシップを認めている)であったり、同性婚制度確立の過程として用意した登録パートナーシップの名残であったりします。

3. 同性愛が違法の国

虹色を身にまとった人

最後に、同性愛自体がそもそも法律で禁じられている国です。同性愛が禁じられているというよりも、同性間の性行為が禁止されており、そこに付随するものとして見られる同性愛自体も、発覚すれば法律で罰せられる対象となるといった方がよいかもしれません。

さて、同性婚が認められている国が26か国、登録パートナーシップが認められている国が18か国、と見てきて、「多い」と感じたでしょうか。それとも、「案外少ない」と感じたでしょうか。

ただ、同性愛を法律で禁じている国は、それをはるかにしのぐ、76か国となっています。しかも、違法なだけでなく、モーリタニア・スーダン・イエメン・サウジアラビア・アラブ首長国連邦では死刑になりえます。日本では考えられないような刑ですね。

このように同性愛を法律で禁じる理由は、大きく分けて2つあります。

まず1つ目は、植民地時代の名残があるからです。かつてイギリス(以外にも多くの国)ではソドミー(異性間の生殖行為以外の性行為を指す。同性間の性行為だけでなく、獣姦や異性間の肛門性交もこれに含む)法という法律が適用されており、その法律が植民地にも適用されていました。そして支配から脱したのちも、かつての影響が根強く残っているために、今でも厳罰の対象とする国があるのです。

2つ目は宗教上禁じられているからです。イスラム教徒に適用されるイスラム法においてソドミーが禁じられているために、厳罰の対象となってしまっている国も数多く存在しています(イスラム法において、同性愛自体は否定されていないのですが)。

おわりに

多様な人たち

いかがだったでしょうか。海外を知ることで、日本の現状をよりはっきりと知ることができます。世界中の全ての人々が、愛する人と暮らし、それに伴う権利を等しく享受できる世界が実現するのは、まだ少し先のことかもしれません。ですが、これからの時代、同性婚をめぐる状況は今まで以上に目まぐるしく変化していくはずです。これは、決して日本も例外ではありません。

だからこそ、「今」を生きる私たちは、これからの変化に機敏に対応していくためにも、今よりも「同性婚」という言葉としっかり向き合い、考えていかなければならないでしょう。

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