HSPって診断できる?【病院ではなくセルフでテスト】

ライター: Rickey
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刺激に生まれつき敏感で、他者の感情の影響を強く受けるHSP(Highly Sensitive Person)。テレビなどで少しずつ名前が出るようになり、その認知度は上がってきました。

提唱したアメリカの心理学者アーロン氏によると、その特徴は

  • D:情報を深く考えて処理する(Depth of processing)
  • O:過剰に刺激を受けやすい(being easily Overstimulated)
  • E:感情の反応が全体的に強く、共感力が特に高い(being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular)
  • S:わずかな刺激にも気づく(being aware of Subtle Stimuli)

の4つ。これらを見た時に、

「あ、確かに音とか匂いの刺激で気分が悪くなること多いな」

「相手に感情移入しすぎてよく苦しくなるかも……」

と思い当たりませんでしたか?

たしかにHSPは人口のおよそ15〜20%とも言われており、その数は決して少なくありません。

しかし、これを聞いて、「じゃあ自分もHSPかも?」と診断するテストを探そうとしたあなた。

また、周囲の雑音や、相手の気持ちの変化によってストレスが溜まることが多く、「いっそ、病院で診断書とか出してもらえないかな?」と悩まれているあなた。

ご注意ください。

HSPは「診断」できるものではないんです。

今回の記事では、HSPが診断できない理由や、自分がHSPか気になる方へ向けたセルフチェックリストをご紹介します。

【病気ではなく気質】HSPとは?【特徴・あるあるを解説】

「HSPは診断できない」ってどういうこと?

聴診器を持った人

「診断」とは、そもそも「医師が患者を診察して病状を判断すること」を指します。つまり、病気・疾病に対してのみ使える表現です。

しかし、HSP自体は「病気」ではなく「気質」であり、個人の特徴・個性の一種です。

たしかに、HSPではないマジョリティが中心の社会でHSPの方が「生きづらさ」を感じるシーン(例:仕事で競わせられると緊張していつもの力を発揮できない、大きな音のするライブ会場などが苦手、共感性羞恥 etc…)は多く、「病気として診断してもらって治療してもらいたい」と思うこともあるでしょう。

しかし、HSPの特性は誰かの「生きやすさ」にもつながります。

例えば、細かいことにも気づけるからこそ相手の異変をいち早く察知できたり、相手に深く共感できるからこそ悩みを相談した相手が救われたり。

診断できるもの・病気ではないからこそ、「HSPかも?」と思ったときはその「繊細さ」を消すのではなく、他者・仕事に活かすことで自身を愛することができます。

「でもやっぱり自分がHSPか気になる!」〜セルフテスト まとめ〜

パソコンとノート

「とはいえ、やっぱり自分がHSPなのかチェックしておきたい!」という方もいらっしゃるでしょう。

そんな方のために、セルフテストに使えるチェックリストの中から、インターネット上で無料公開中かつ作成者が明確なものを厳選してご紹介します!

「診断」ではなく「セルフテスト/チェック」としてご参考にしていただけますと幸いです。

①あなたはHSPですか?(”Are You Highly Sensitive?”)

Are You Highly Sensitive?

こちらのサイトには、HSPを提唱したアーロン氏の作成したチェックリストが掲載されています。なお当サイトはアーロン氏のHPの日本語版ですが、下部に、

このウェブサイトの内容及びセルフテストは、診断を意図して作られたものではありません。また、いかなる病気の診断もここでは排除しています

「Are You Highly Sensitive?」

と明記されていることからも、HSPが本来は「診断」するものではないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。

なお、お子さんにHSPの傾向があるかをチェックしたい時は、同じサイト内にある”Is Your Child Highly Sensitive?”のリストをご活用ください。

②HSP尺度(Highly Sensitive Person Scale)日本版

Highly Sensitive Person Scale日本版(HSPS-J19)は、中京大学・名古屋女子大学の非常勤講師 髙橋亜希氏が作成したもので、アーロン氏が作成したものを再検討し、日本版として作り直したものです。

「〜項目以上にあてはまるとHSP」と明確な基準こそ示されていませんが、HSPと関わりがあると実証的に示された項目が厳選されています。ぜひお試しください。

③HSS型HSP診断テスト25

HSS型HSP診断テスト25は、医学博士の二之宮知氏が作成したもので、HSPの中でも「外向タイプ」と呼ばれるHSS(High Sensation Seeking)型HSPの傾向があるか分かります

HSSとは心理学者のマービン・ズッカーマン氏が提唱した概念で、変化を好む・新しく激しい刺激や経験を求める・リスクを恐れないなど、HSPとは逆とも言えるような気質です。

しかし、人口のおよそ6%はHSPでありつつHSSの気質もあるHSP&HSS(HSS型HSP)タイプとも言われており、「危険を冒したくはないけれど変化を求める」という葛藤によく苦しむ方は、もしかしたらHSS型HSPかもしれません。

④12個以上当てはまったら“超過敏”。HSP自己診断テスト

このHSP自己診断テストは、脳科学医の高田明和氏が執筆した『脳科学医が教える 他人に敏感すぎる人がラクに生きる方法』から作成されたもので、23項目のリストで簡単にセルフチェックすることができます。

他にも、高田氏の書籍を参考に作られたHSPに関わるコラムには、

などもありますので、気になる方はぜひご一読ください!

HSP「気質」ではなく、精神疾患・神経発達障害の場合も

スーツを着たふくよかな人

HSPという概念が広まりつつある中、前の章でも紹介したように、インターネット上では簡単にセルフチェックができます。

しかし気をつけたいのは、「セルフチェック項目にある程度あてはまるから、自分の苦しさ・辛さはHSPだからだ」と決めつけ、実際はHSPではなく精神疾患や神経発達障害なのに見過ごしてしまうケースです。

精神疾患や神経発達障害の中には一部HSPと似た特徴のものがあります。しかし、それらは薬の服用などによって「生きづらさ」を多少和らげられるかもしれません。

評論家の荻上氏は、テレビ番組でこのような注意喚起をしています。

このHSPという言葉が“あだ名”的に使われているところがありますね。私はこういった人です、ということを他人に自己紹介する。自分の特性を理解してもらうためにHSPという言葉が使われる。これはよい使われ方かもしれません。他方で、あだ名なので間違った判断をしてしまうこともある。誰にでも当てはまるように感じて、自分はHSPだと納得をする。でも、もしかしたらその人は他の疾病や、生きづらさがあるかもしれない。だから、HSPの概念の使い方には、とても慎重さが必要な段階かなと思います。

NHK福祉情報サイト ハートネット「これだけは知ってほしい!”HSP”のこと」

では、実際セルフテストによってHSPと勘違いされてしまう精神疾患や神経発達障害には、どのようなものがあるのでしょうか。

例えば、以下のものはHSPの特徴と一部が重なります。

①ASD(自閉症スペクトラム障害・アスペルガー症候群)
「過剰に刺激を受けやすい」「情報を深く考えて処理する」などの特徴はHSPと似ていますが、対人面のやりにくさ・無関心(社会性の障害)が顕著な場合はASDの可能性もあります。

②ADHD(注意欠陥多動性障害)
こちらも「過剰に刺激を受けやすい」「わずかな刺激にも気づく」といった点が目立ちますが、「積極的に活動する傾向」「忘れ物などの不注意」などが目立つ場合は、ADHDの可能性があります。

③身体的な原因
甲状腺の不調をはじめ、身体的な理由で「過剰に刺激を受けやすい」状態になっているケースがあります。

④うつ病、うつ状態
「過剰に刺激を受けやすい」「感情の反応が全体的に強い(特に不安感)」が目立つうつ状態の方は、「HSPではないか」と思われる場合があります。ただ、「今は当てはまるが子供の頃はあてはまらなかった」「うつ症状が目立つ」といった場合はうつ病かもしれません。

⑤不安神経症(不安障害)

HSPの「過剰に刺激を受けやすい」と重なる部分がありますが、慢性的なストレス・疲れによって感情のバランスが崩れ、過度な不安と恐怖を感じている場合は、HSPではなく不安神経症の場合もあります。

もちろん、「HSPではなく精神疾患・神経発達障害」とは別に「HSPかつ精神疾患・神経発達障害」というケースもあります。

例えば、府中こころ診療所の院長 春日氏はこのようなことを述べています。

「神経症」とは、従来型診断基準で用いられてきた精神医学用語です。定義は細かくはさまざまありますが、まとめると、「元来神経質で不安を感じやすい人にストレスがかかり、不安等の強さが生活に強く影響した状態」になります。(有名な「森田療法」は、自身が神経症の状態になった森田正馬医師が、その特性をやわらげ「生きやすく」なるために開発した治療論です)

そのため、「HSPではないか」と思い、生活で困難を感じている人は、ほぼ「神経症」の定義にも当てはまります。(詳しくは違いがあるとの専門的意見もありますが、私たちとしては、共通点の多さを重視、実際の治療につなげる「臨床家」の視点を取ります。なお、この「神経症」とDSM-5の「不安障害」は似ているのですが、「不安障害」では、半年以上不安が続けば基準を満たし、HSP的な「幼少期からの敏感さ」の視点が抜けるため、ここでは「神経症」もしくは「不安神経症」の用語を主に使います)そのため、HSPでは?と思い悩まれる方の多くは、精神医学的には「(不安)神経症」もしくは「不安障害」に言い換えることができると思われます

府中こころ診療所「HSPと心療内科」

また、HSP気質には不安・恐怖の神経回路が過剰活動しやすいという特徴があります。そのため、ストレス状態が続いて思考・感情・感覚・身体の活動が減退し、抑うつ状態、うつ病となることもあります(俗称:HSPうつ)。

ちなみに、うつ状態が神経伝達・ホルモン分泌・免疫反応などに影響を及ぼすこともあります。そこから緊張性頭痛、過敏性腸症候群、花粉症、生理前の不調(PMS)などが起きた場合は、まずは内科の受診を検討してはいかがでしょうか。

おわりに

窓辺で瞑想する人

HSPを診断する、というテストは世の中に数多くありますが、HSPは病気ではなく気質であり、いわば心の個性です。ゆえに「治す」ものではありません。

ただ、セルフチェックで「自分はHSPだ」と思い込んでしまうと、本来もっと和らげることのできたはずの、HSPとは原因の異なる「生きづらさ」がそのままにされてしまうこともあります。

まずはあなた自身の「繊細さ」を活かせる環境に身を置き、それでもどうしようもなく苦しいときは、当コラム下部の「参考」に載せたクリニックなどを訪れてみてください。

あなたがあなたらしい人生を歩めるよう、そして心が健やかでいられるよう、これからもJobRainbowはコラム仕事探しなど多面的なサービスを展開していきます!

参考

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