LGBTQ+結婚・結婚式完全ガイド【同性婚の現状から理想の式場選びまで】

ライター: JobRainbow編集部
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「愛するパートナーと結婚式を挙げたいけれど、どうすればいいの?」「同性婚って日本では認められてないよね?」そんな疑問を抱えているLGBTQ+のみなさんも多いのではないでしょうか。

法律上の同性婚はまだ認められていない日本ですが、自分たちらしい結婚式を挙げる選択肢は確実に広がっています。パートナーシップ制度の普及やLGBTQ+フレンドリーな式場の増加など、明るい変化も見えてきました。

今回は、日本と海外の同性婚の現状から、実際の式場選びのコツ、フォトウェディングの比較まで、LGBTQ+の結婚・結婚式について知っておきたい情報を一挙にご紹介します。一生に一度の特別な日を、自分たちらしく彩るヒントが見つかるはずです。

日本のLGBTQ+結婚(同性婚)の現状と法制度

同性婚の法的状況

残念ながら、2025年現在も日本では同性婚は法律上認められていません。その根拠としてよく挙げられるのが、日本国憲法第24条1項の「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」という文言です。しかし、この「両性」の解釈については法律家の間でも意見が分かれているところです。

一方で、同性婚を求める訴訟も進んでいます。2019年2月から全国5つの地裁で「結婚の自由をすべての人に」訴訟が提起され、これまでに札幌、東京、名古屋、福岡の地裁で、違憲または違憲状態との判決が下されています。司法の場でも変化の兆しが見えてきています。

パートナーシップ制度の現状

法的な結婚はできなくても、各自治体が導入している「パートナーシップ制度」があります。この制度は、2015年の渋谷区・世田谷区を皮切りに、2025年現在では200以上の自治体で導入されています。

パートナーシップ証明書を持つことで、以下のようなサービスを受けられる場合があります。

  • 区営住宅や市営住宅への入居
  • 病院での面会や医療同意
  • 一部企業の福利厚生(社宅利用、慶弔休暇など)
  • 生命保険の受取人指定

ただし、法的拘束力はないため、相続権や税制上の優遇などは受けられないのが現状です。それでも、社会的な認知の第一歩として大きな意味があります。

海外との比較

世界に目を向けると、状況は大きく異なります。2001年にオランダが世界初の同性婚を認めて以降、2025年現在で40を超える国と地域が同性婚を法制化しています。最新では、2024年にアジアでタイが同性婚を合法化する法律を可決しました。施行されれば、アジアでは台湾、ネパールに続く3番目の国となります。

特に注目したいのは、G7の中で同性婚が認められていないのは日本のみという事実です。これは、国際的に見て日本の法整備が遅れていることを示していると言えるでしょう。

海外のLGBTQ+結婚制度との比較

同性婚認可国一覧

2025年現在、同性婚が認められている主要国をご紹介します。

ヨーロッパ

  • オランダ(2001年・世界初)
  • ベルギー(2003年)
  • スペイン(2005年)
  • フランス(2013年)
  • イギリス(2014年)
  • ドイツ(2017年)

南北アメリカ

  • カナダ(2005年)
  • アメリカ(2015年・全州で合法化)
  • アルゼンチン(2010年)
  • ブラジル(2013年)

アジア・オセアニア

  • 台湾(2019年・アジア初)
  • オーストラリア(2017年)
  • ニュージーランド(2013年)
  • タイ(2024年法案可決)

アジア地域の動向

アジア地域では台湾が先駆けとなり、2017年の司法院大法官会議で同性婚を認めない現行民法が違憲と判断され、2019年5月に特別法が施行されました。台湾の成功は、同じアジア圏の他の国々にも大きな影響を与えています。

タイでも長年の運動が実を結び、2024年に同性婚が合法化される法律が可決されました。 インドでも2018年に同性間の性行為を処罰する法律が違憲とされるなど、着実に変化が起きています。

日本への影響

海外の動向は、日本の世論にも確実に影響を与えています。特に台湾での同性婚実現は「アジアでもできるんだ」という希望を多くの人に与えました。また、国際的な人権機関からも日本に対する同性婚法制化の要請が続いており、政治的な圧力も高まっているのが現状です。


パートナーシップ制度の活用方法

申請方法と必要書類

パートナーシップ制度の申請は、各自治体によって少しずつ異なりますが、一般的な流れをご説明します。

基本的な申請要件

  • 成人であること
  • 自治体内に住所があること(または予定があること)
  • 配偶者がいないこと
  • 申請者同士が近親者でないこと

必要書類(例:渋谷区の場合)

  • パートナーシップ証明書発行申請書
  • 住民票の写し
  • 戸籍抄本
  • 独身証明書
  • 任意後見契約に係る公正証書または合意契約公正証書

利用可能なサービス

パートナーシップ証明書を持つことで、どんなサービスが受けられるのでしょうか。実際のサービス例をご紹介します。

住居関連

  • 都営住宅・市営住宅への家族としての入居
  • 民間賃貸住宅での家族向け物件への入居
  • 住宅ローンの連帯保証

医療関連

  • 病院での面会(家族として)
  • 手術の同意書への署名
  • 医療情報の開示

企業サービス

  • 生命保険の死亡保険金受取人指定
  • 家族向け携帯電話料金プラン
  • 慶弔休暇の取得

制度の限界と今後

ただし、パートナーシップ制度には限界があることも理解しておく必要があります。法的拘束力がないため、相続権や税制上の優遇、子どもの親権などは認められません。また、自治体をまたぐ場合の継続性も課題となっています。

それでも、社会的認知度は確実に向上しています。今後は自治体間の相互認証や、国レベルでの制度整備が期待されています。


LGBTQ+フレンドリーな結婚式場の選び方

「結婚式を挙げたいけど、どこなら安心してお願いできるの?」これは多くのLGBTQ+カップルが抱く不安です。式場選びで失敗しないためのポイントをしっかりチェックしていきましょう。

式場選択のポイント

  1. LGBTQ+研修を受けたスタッフがいるかどうかまず確認したいのは、スタッフがLGBTQ+について適切な知識を持っているかということです。最近では、株式会社Letibeeなどが提供するLGBTウエディングコンシェルジュ研修を受講したスタッフがいる式場も増えています。
  2. 実際の挙式実績があるか「LGBTQ+対応可」と謳っていても、実際に挙式を手がけた経験がない場合もあります。過去の実績や写真を見せてもらえるかどうか、遠慮なく聞いてみてください。
  3. プライバシー配慮ができるかアウティング(望まない形での性的指向の暴露)を避けるための配慮は必須です。特に、以下の点を確認しましょう。
    • 貸切対応が可能か
    • 屋内のみでの撮影ができるか
    • 他のカップルとバッティングしない時間帯での対応

推奨結婚式場一覧

実際にLGBTQ+フレンドリーな対応をしている式場をご紹介します。

LGBTQ+フレンドリーな結婚式場まとめ 8選

東京都

  • 池尻稲荷神社:350年以上の歴史を持つ神社で、神前式も可能
  • IWAI OMOTESANDO:セクシュアルマイノリティ専門プロデューサーが在籍

神奈川県

  • 横浜迎賓館:創業70年の歴史ある会場、少人数対応も可能

愛知県

大阪府

全国展開

事前確認すべき項目

式場見学の際は、以下の項目を必ず確認してください。

基本対応

  • 同性カップルの挙式実績
  • LGBTQ+研修を受けたスタッフの有無
  • 呼び方の配慮(「新郎新婦」→「お二人」など)

衣装・設備

  • 同性同士での衣装レンタル対応
  • お手洗いの配置と使い方
  • 着替え室の利用方法

プライバシー

  • 完全貸切対応の可否
  • 写真撮影時の他客との接触回避
  • SNS投稿時の配慮

費用面

  • 同性カップル用の特別プランの有無
  • 追加料金の有無
  • キャンセルポリシー

LGBTQ+結婚式のスタイル・プラン例

では、実際にはどんなスタイルの結婚式が可能なのでしょうか?

みなさんの参考になりそうなプランをいくつかご紹介します。

人前式の活用

人前式は、宗教や既存の形式にとらわれずに行える自由度の高い挙式スタイルです。LGBTQ+カップルにとって、まさにぴったりの選択肢です。

人前式のメリット

  • 宗教的な制約がない
  • オリジナルの誓いの言葉が言える
  • 大切な人たちに立会人になってもらえる
  • 演出を自由にカスタマイズできる

実際の進行例

  1. 入場:お気に入りの音楽で
  2. 開式の言葉:司会者より
  3. 誓いの言葉:お二人がそれぞれ
  4. 指輪の交換
  5. 立会人による承認
  6. 結婚証明書への署名
  7. 退場:ライスシャワーやフラワーシャワー

宗教的な挙式スタイルも可能?

意外と知られていないのですが、実は宗教的な挙式も可能な場合があります。

  • 仏前式:日本の仏教では、同性愛に対する明確な禁止規定がないため、理解のあるお寺では仏前式を執り行ってくれることもあります。西本願寺などでは、実際に同性カップルの仏前式が行われた実績もあります。
  • 神前式:神社によっては柔軟な対応をしてくれるところもあります。池尻稲荷神社のように、LGBTQ+カップルの神前式を積極的に受け入れている神社もあります。
  • キリスト教式:残念ながら、伝統的なキリスト教式では難しい場合が多いのが現状です。しかし、一部のリベラルな教会や、キリスト教系でも人前式形式で行える会場もありますので、相談してみる価値はあります。

フォトウェディングサービス比較

「結婚式はハードルが高いけど、思い出は形に残したい」そんなカップルには、フォトウェディングがおすすめです。最近は、LGBTQ+専用プランを用意しているスタジオも増えています。

専門サービス一覧

ONESTYLE

  • 「一生 あなたらしく」をテーマに全国展開
  • LGBTQ+専用プランが豊富
  • ドレス×ドレス、タキシード×タキシードなど自由な組み合わせ可能
  • 料金:98,000円~(スタジオ撮影、衣装2着、ヘアメイク込み)

ラヴィファクトリー

  • 年間4万組の撮影実績
  • 400名以上のフォトグラファーが在籍
  • 国内外のロケーション撮影に対応
  • 無料オンライン相談サービスあり

ecoo(エクー)

  • 原宿にあるオーダーメイド専門スタジオ
  • 和装・洋装の豊富な選択肢
  • 完全予約制でプライバシーに配慮
  • 料金:150,000円~

aim

  • 代官山の隠れ家的スタジオ
  • 手ぶらで来店可能(小物まで全て用意)
  • ロケーション撮影プランも充実
  • 期間限定割引キャンペーンあり
  • 料金:128,000円~

料金とプラン比較

スタジオ名基本料金含まれるもの特徴
ONESTYLE98,000円~衣装2着、ヘアメイク、撮影、全データ全国展開、専用プランあり
ecoo150,000円~衣装、ヘアメイク、小物、撮影オーダーメイド重視
aim128,000円~衣装、ヘアメイク、撮影、アルバム手ぶら来店可能
CLAIRE88,000円~衣装1着、ヘアメイク、撮影衣装試着無料

追加オプション例

  • 衣装追加:20,000円~30,000円
  • ロケーション撮影:50,000円~100,000円
  • アルバム制作:30,000円~80,000円
  • 動画撮影:80,000円~150,000円

結婚式費用と予算の考え方

「結婚式って、一体どのくらいかかるの?」これは誰もが気になるポイントです。LGBTQ+の結婚式だからといって特別に高額になるわけではありませんが、知っておきたい費用の目安をご紹介します。

平均的な費用相場

フォトウェディング

  • スタジオ撮影のみ:50,000円~200,000円
  • ロケーション撮影込み:100,000円~300,000円
  • 海外ロケ:300,000円~800,000円

挙式のみ

  • 人前式(10名以下):100,000円~300,000円
  • 神前式・仏前式:150,000円~400,000円
  • チャペル挙式:200,000円~500,000円

挙式+披露宴

  • 少人数(20名以下):500,000円~1,200,000円
  • 中規模(20~40名):1,000,000円~2,000,000円
  • 大規模(40名以上):1,500,000円~3,000,000円

費用削減のコツ

賢く費用を抑える方法をお教えします。

時期を選ぶ

  • 平日や仏滅を選ぶと20~30%OFF
  • 真夏(7月~8月)や真冬(12月~2月)は料金が下がりやすい
  • 年明けや年度末は比較的安価

規模を絞る

  • ゲストの人数を本当に大切な人だけに限定
  • 1.5次会スタイルで会費制にする
  • 昼間の時間帯を選ぶ

DIYを活用

  • ペーパーアイテム(招待状、席次表など)を手作り
  • ウェルカムボードや装飾小物を自作
  • BGMプレイリストを自分で作成

持ち込みを活用

  • 衣装は購入やレンタル専門店を利用
  • カメラマンを外部に依頼
  • 引き出物をネットで調達

支援制度の活用

意外と知られていない支援制度もあります。

企業の福利厚生

  • 結婚お祝い金(同性パートナーも対象の企業増加中)
  • 慶弔休暇の取得
  • 社員向け結婚式割引サービス

自治体の支援

  • パートナーシップ制度利用者向けの割引
  • 地域振興券の活用
  • 公的施設での会場レンタル割引

専門サービス

  • LGBTQ+割引プランのあるスタジオ
  • NPO法人による支援プログラム
  • クラウドファンディングでの資金調達

実際のLGBTQ+結婚式体験談

最後に、実際に結婚式を挙げられたカップルの体験談をご紹介します。これから結婚式を考えているみなさんの参考になれば嬉しいです。

「最初は不安だらけでしたが、スタッフさんが本当に親身になってくれました。『お二人らしい式にしましょう』って最初から言ってくれたのが印象的で。当日は両方ドレスで、色違いにしたんです。家族も友人も『すごく素敵だった』って喜んでくれて、やって良かったなと思います。費用は挙式とフォトで合わせて25万円くらいでした」
「後輩のセクマイの子たちには、もっと自然に”結婚式”という選択肢を考えてもらえるようになってほしいです。私たちの経験が、少しでも誰かの役に立てばいいなと思います」
(Aさんカップル – フォトウェディング・女性同士・東京都)

「神前式に憧れていたのですが、受け入れてくれる神社を見つけるまで時間がかかりました。でも、最終的に京都の護王神社で素晴らしい式を挙げることができて。紋付袴姿でのお互いの写真は、今でも宝物です。準備期間は1年ほどかかりましたが、それも含めて良い思い出になりました」
「いつか法律が変わって、正式に結婚できる日が来ることを願っています。でも、たとえ法律が変わらなくても、自分たちの愛は変わらない。結婚式を挙げたことで、それを再確認できました」
(Bさんカップル – 男性同士・大阪府)

おわりに

いかがでしたでしょうか。日本ではまだ同性婚が法的に認められていない状況ですが、パートナーシップ制度の拡大やLGBTQ+フレンドリーな式場の増加など、確実に状況は改善されつつあります。

大切なのは、お二人がどんな形で愛を表現したいかということ。現状の法律がどうであれ、愛する人との絆を祝福することが「間違っている」ということはありません。

この記事が、あなたとパートナーの特別な日を演出するお手伝いができれば、こんなに嬉しいことはありません。お二人らしい、素敵な結婚式や記念撮影が実現しますように。

愛にはいろいろなカタチがあります。だからこそ、結婚式にもいろいろなカタチがあっていいのです。ぜひ、あなたらしい愛の形を見つけてみてください。

参考

    検索

    • セクシャリティ診断ツール
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