

LGBTの取り組みインタビュー!PRIDE指標最高評価のストライプインターナショナルを直撃取材!

はじめに
ストライプインターナショナルといえば、「earth music&ecology」でも有名な岡山生まれのファッションブランド。「ライフスタイル&テクノロジー」を事業領域とし、より多様性に富んだグローバルな企業を目指し挑戦し続けています。
そんなストライプインターナショナルは、2016年に策定された、企業のLGBTに関する取り組み評価指標である「work with Pride」にて最高評価の「ゴールド」も受賞しています。今回は、ダイバーシティ推進室の二宮さん、人事部採用担当の上野さんにお話を伺いました!
LGBTに関するユニークな取り組みの数々
<PRIDE指標「ゴールド」を獲得したユニークな取り組みとは…!?>
ーLGBTに関する取り組みが始まった経緯について教えてください。
二宮さん(以下敬称略):LGBTに関する取り組みは、2016年からプロジェクトベースでスタートしました。そしてそのプロジェクトを、部署としてさらに推進していくため、昨年2017年の2月1日にはダイバーシティ推進室ができました。現在は東京レインボープライドの出展に加えて、弊社の本社がある岡山でのLGBTの理解促進に努めたりしています。そして2016年にプロジェクトが発足した時からメンバーだったのが、上野でした。
上野さん(以下敬称略):2014年の採用担当になりたての頃、トランスジェンダーの方からの応募がありました。その時、企業として何の取り組みもできておらず、当事者の方に対してどのような配慮が必要かなど、わからない状況でした。
私自身もLGBTという言葉すらあまりわかっていなかったという中で、「人事がこのままでいいのかな」と課題感を感じました。そうするうちに、弊社でLGBTに関するプロジェクトが始まるということで応募をして、メンバーになったんです。
二宮:プロジェクトが始まった背景には、弊社が創業以来「女性活躍推進」の活動を進めている、というのもあります。実際に女性管理職が50%以上と、世の中の動きよりも一歩早めにそうした部分に取り組んでおりました。そこで、次は何に取り組もうかと考え、LGBTに関して取り組みをしようという話が持ち上がったという次第です。
ー実際にどのような取り組みをしているのか教えてください。
二宮:最初はまず東京レインボープライドの出展と社内のLGBT研修を行いました。
また、弊社の社内コミュニケーションアプリに「amily」というものがありまして、そこに自分が「アライ」であることを表明できる機能を付けました。この「amily」では、全国のアルバイトスタッフも含めて、社員のプロフィールが見られる社員名簿があるんです。ここで、自分のプロフィールにレインボーのクローバーマークを付けることでアライを表明する役割を果たすという、日本でアライを「見える化」した珍しい取り組みとなっています。
スタッフは全国へ異動することもあるので、「異動先の先輩たちはどんな人なのかな?」と思った時に、プロフィールで「好きな食べ物」「嫌いな食べ物」「高校時代の部活」などが見られるようになっているのですが、その延長で「アライであるかどうか」がわかるんです。当事者の方にとって、新しい土地で働き始める上で「アライの従業員がいるかどうか」は気になることではないかと思い、プロジェクトから発案し、2016年からこの取り組みを始めました。

二宮:それ以外にもこの「amily」では、LGBTの基礎知識について学べる動画も配信していて、入社時には従業員には必ずそれを見るようにしています。管理職研修も行っており、そこでは具体的な対応例についてロールプレイングを交えて解説しています。また、入社時に「LGBT」について学べる機会もあります。
ー入社時からLGBTについて知ることができるんですね。
二宮:そうなんです。弊社は入社すると「接客に関する6工程」というのを教わります。弊社で働く上で身に付けるべき基本を書いたものです。そこには社内システムの使い方からお客様対応まで、いろいろなことが記載されているのですが、その6工程に先立って行う「0工程」という位置づけとして、「LGBTについて理解を深める」ということを定めています。
ー福利厚生面での取り組みを教えてください。
二宮:「LGBTの方だけに」ではなく「LGBTの方も」当たり前に使える休暇として、弊社には「大切な人休暇」というのがあります。家族でもいいし、同性のパートナーでもいいし、二次元のキャラクターでもいい。大切な人のために休暇を取ることが可能です。
ーLGBTへの取り組みをする前と後で、会社としての変化はありますか。
二宮:元々は管理職含めて「LGBT」という言葉すら知らない人ばかりだったんです。もともと「もしかしてこっち系?」などと言うような人はいなかったのですが、自発的に行動を起こしてくれる人が出てきてくれるようになりましたね。

PRIDE指標ゴールド企業の実情!
<ユニークで先進的な取り組みをするストライプインターナショナルの実情とは…!?>
ー現在、社内ではLGBTに対してどのような雰囲気をもっていますか。
二宮:「LGBT研修を行います!」となると少し堅苦しい雰囲気になるので、「トークナイト」という形でざっくばらんに話せるような雰囲気にしています。そうすることで、LGBTを自分のこととして置き換えられるようにしているんです。「LGBTの人たちはこういう人たちで…」と腫れ物を扱うように考えるのではなく、身近に感じてもらったり、日常生活を一緒に過ごすうえでどうしていくかを考えるきっかけになればと思っています。
またLGBTに関する映画を観たりするなど、エンタメを通じてみることで、従業員が一人ひとり違った感想をもつことができるようにしているのも大きな特徴です。
上野:映画を観た後にTRPに参加したいとの声も増えていますね。今年は80名ほどが参加表明をしてくれています。
二宮:宿泊でアレルギーなどをチェックするアンケートをしたときにも、社員側から「性別の欄を男女だけでなく、自由記述にしようよ」などの声が上がったりします。また地方にいる社員は地元の人を集めて自発的にLGBTの勉強会を開いたりしています。従業員がLGBTに関して普段から気付くだけでなく、行動まで起こしてくれるのは嬉しいですね。
ーファッション業界だからこそできるLGBTへの取り組みなどはありますか。
二宮:ファッション業界ということもあって、ダイバーシティに対してはもともと堅苦しく考えるよりは、フラットな雰囲気があると思います。
また、ファッションそのものに関しても取り組めることが大きいです。例えば、浴衣をはじめとする和装は男性用女性用で、体のラインや大きさが異なるため、そこの幅を広げて誰でも着られるものを製作したりする、とかですね。ファッションに関してはよく、「性別が関係ない」という観点からジェンダーレスなもの、男女関係なく使えるものという発想の商品が出てきたりしますが、弊社ではラブリーなものでもクールなものでも男女両方着られるように!という風にしたいと考えています。
ー今後取り組みたいことを教えてください。
二宮:現在会社が拡大していて、提携先などが増えていく中で、男女だけでない性別欄などの改定をグループ全体で、そして取引先全体含めて、どこまで手を伸ばせるかに挑戦しています。お客様が「ストライプインターナショナルだ」と思う瞬間ではすべて統一して、取り組みをできるようにしたいです。
そしてなによりも、弊社の理念が「セカンドファミリー」なので、LGBTのための制度じゃなくて、関わる人全員が使えるようなものにしたいという想いで取り組みを続けていきたいです。

実際にはたらく社員の声
<人生がどんどん生き生きに!?私生活に活かせることもいっぱい!>
ー取り組みを進める中で、ご自身が個人的に学んだことはありますか。
二宮:私の子供は女の子として生まれたんですけど、本人からいつ「男の子になりたい」って言われても大丈夫なように、あまり性別が偏った名前にしたくないなっていう風に妊娠中から考えていました。あと、写真を撮る時にピンクなどの女の子っぽい色以外の服装でも撮影するようにしていたり。あとで写真を見返したときに、「ああ私のことを女の子としてしか見ていなかったんだな」と思われてしまうとアイデンティティに関わってくると思うので、「どっちでもいいんだよ」という雰囲気を出しておくようにしています。
上野:私は元々、LGBTは周りにいないように感じていました。でも今ではゲイの友達の話とかを聞いていると本当に嬉しくなりますね。前は「プロジェクトとして学んだこと」としてしか思っていなかったのに、今では自分事として家族や友人にも話すようになりました。
二宮:仕事関係の知り合いから「やっと親にカミングアウトできたんだよ」という話を聞いた時も上野は本当に泣いて、一緒に喜んでいましたね。(笑)
ーご自身にとってストライプインターナショナルとは?
二宮:ストライプインターナショナルは3社目なのですが、最初に就職した地方では「男性が正社員で女性が契約社員」という文化だったんです。でもストライプインターナショナルは女性活躍をどんどん進めて行っている会社だったので、「人生をどんどん生き生きさせてくれる会社だな」と思っています。
上野:わたしは新卒で入って10年くらいになるんですけども、ストライプインターナショナルでは「新しい自分を常に発見できる」と思いますね。学生時代の自分、入社したあとの自分、そこからまた何年も経った自分とでは価値観も人との関わりも仕事の捉え方も全然違っていて、それは、いろんなことにチャレンジでき、頑張っていれば認めてもらえる環境があるからだなと思っています。

採用に関して
<社内SNSでも見られる、「関係の質」の重要性とは!?>
ーストライプインターナショナルではどのような基準で採用をしていますか。
上野:一点目は、「セカンドファミリー」という経営理念に共感していただいているかどうか、ですね。
私たちは「関係の質が結果に繋がる」という考えのもと運営をしているので、関係性を大切にするような集団なんです。それはただの「仲良しこよし」というものではなくて、最終的な結果に繋がる組織づくりができる人を求めています。なので、ちょっとしたコミュニケーションの取り方などをすごくよく見ていますね。
二点目は「チャレンジ精神」。変化が大きくスピード感のある会社なので、与えられた環境でチャレンジをし続けていけるか、変化を恐れずにチャレンジしていけるかの素養は見ています。
二宮:まさに「関係の質が結果に繋がる」というのはとても大事にしていますね。これ私、実際に研究してみたことがあるんです。大学院の修士論文のテーマが「関係の質がいいところは結果が出ているか」だったんですけど、大体そうでした。
先ほど「amily」という社内アプリをお見せしましたが、直接のコミュニケーションとは異なるSNSを通じたコミュニケーションも、離職率の低下やモチベーションアップなどの点で効果が出ていますね。
上野:やはり関係性ができていない中で指導しても「どうしてこの人に…」と不満を覚えたりしてしまいますよね。関係をきちんと構築してから適切な指導をしていくことが、モチベーションとして「成長したい」に繋がると思っています。社内アプリを使用することで、ひとつの店舗だけで完結する関係性でなく、「いろいろな人が見ているからね」というメッセージも伝えることができます。
ー採用において配慮等はありますか。
上野:特別な言い回しなどをマニュアル化しているわけではありませんが、話が出た場合はLGBTに関するイベントやプロジェクトを案内するようにしています。LGBT当事者ではなくても、興味がありますという風に言ってくれる学生がいたり、内定者がLGBTのイベントに遊びに来てくれたりもしました。会社説明会などでもLGBTの取り組みを話していたので、そのことについて話してくれる就活生が増えたのかと思います。
ー実際に、社内にLGBT当事者の方はいますか?
上野:いますね。完全にオープンにしている人もいれば、上長にだけカミングアウトしている人や、イベントをきっかけにカミングアウトした人など様々です。もちろん、カミングアウトすることを求めているわけではないので、把握している人はごく一部だと思っています。
面接のときにカミングアウトされることも増えてきて、LGBTに関するプロジェクトのチームに入りたいなどの声も上がりますね。また店舗視察にいくと、「当事者なんです!」と言われたりすることもあるんですよ。そういう時は会社の取り組みを知らせたり、なにを求めているのかを聞いたりするようにしていますね。
ー最後に、求職者・就活生の方にメッセージをお願いします。
上野:就職活動ってその人のすべてを決めてしまうことなのではなくて、あくまでも自分と企業がどうマッチングしているかということを宝探し的に見つける作業だと思っています。一つの側面を見てストライプインターナショナルが良いなと思っても、自分にマッチングした企業を見つけるためには、多方面での企業研究が大変重要になってきます。なので自分を知ることと、企業研究をたくさんしていただいてから、納得感をもって、企業面接に臨んで欲しいなっておもいます。
二宮:転職するうえでは、「どの部分を大事にしたいか」がポイントかなと思っています。自分にとってそれは「女性でキャリアアップ」というのがすごく大きかったんですけど、人によってはそれが「企業イメージ」「福利厚生」「会社としての取り組み」などいろいろあると思うので、その中のひとつでもストライプインターナショナルの何かを好きになってくれて、目指してくれたら嬉しいですね。
ーありがとうございました!
※本記事は、実際のインタビューの内容を基にして再構成しています。

