レインボープライドでのVRを使った啓発活動が話題に!ヴィーブヘルスケアが捉える「LGBTとHIV」とは?

ライター: JobRainbow編集部
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LGBTにとっても無関心ではいられない問題であるHIV/AIDSの治療薬の研究・開発に取り組むヴィーブヘルスケア。HIV/AIDSを医療だけではなく社会の問題として捉え、コミュニティベースの社会貢献活動も積極的に行なっています。LGBTに関しては、2017年の東京レインボープライドで、VR(Virtual Reality)を使用した画期的な啓発活動が話題となりました。

本日お話を伺ったのは、ヴィーブヘルスケアの代表取締役社長の入山博久さん、ブランドマネージャーの栗村尚子さんです。

栗村さんと入山さんが座っている画像
左が栗村さん、右が入山さん

社外での取り組みに関して

LGBT含む全ての人にフェアな治療機会を!

ーHIV治療薬を製造・販売する一方で、HIVの啓発活動に取り組む理由は何ですか?

入山)HIVという疾患自体を世の中から無くす、というのが本来の目的であり、会社のあるべき姿だと考えています。HIVは、これまで継続的に広範な形で目を向けられていなかったので、治療だけでなく啓発活動を積極的に行うことは大事だと思っています。

ーLGBTコミュニティの位置付けと、HIV陽性者のLGBTが抱える問題について教えてください。

入山)全てのHIV陽性者が、できるだけ心的ハードルをなくし、フェアに検査・治療を受けられるべきだと考えており、LGBTで治療中の方々も、その一部だと捉えています。問題点としては、LGBTであることを公表することによる差別・偏見が起こることが心配で、主治医にさえ感染原因を正しく伝えることができず、それが治療の妨げとなっているだけでなく、患者の精神的負担となっていることです。

ーLGBTのHIV陽性者に対して、取り組みはしていますか?

入山)全てのHIV陽性者が検査を受ける機会がひらかれており、疾患に対する正しい知識を持つことが大切です。会社としては検査の啓発活動をしたり、患者団体や支援団体と協力し、LGBT陽性者への理解が深まるような工夫をしています。

ーHIV感染者に若者が増えていますが、どのようにお考えですか?

入山)年配の方と比べて、新規HIV感染者数は20-30歳代が多いことは問題だと思っています。HIV感染症は、早期に治療をすればエイズを発症し、致死的な状態になることはほとんどないのですが、治療をしなければとてもシリアスな状態となり死に至ることもあり、大切な人にうつしてしまう可能性が高くなります。さらに、一度HIVに感染してしまうと、一生薬を飲み続けなければならず、患者の大きな心的負担となります。そのことは若者にもきちんと理解してもらいたいです。

「HIV≠AIDS 今は、治療があります。」と書かれている、ヴィーブヘルスケア株式会社の広告
LGBTシーンでの啓発活動にも積極的(新宿二丁目ビル壁面広告)

ーLGBTコミュニティとの信頼関係はどのように築いたのですか?

入山・栗村)地域での活動をサポートしたり、定期的に行われている啓発イベントで協力する等、陽性者や支援団体のコミュニティから要請があれば、HIV/AIDSに関する小冊子を提供させていただいています。

大盛況だった東京レインボープライドでのHIV啓発活動

ーレインボープライドでVRを使用したことが話題となりましたが、この啓発活動の意図とは何ですか?

栗村)HIVの感染経路は男性間同士の性接触が最も多い、という状況を踏まえて、LGBTが多く集まる東京レインボープライドでの啓発活動は効果的だと考えました。その手段として、会場内のブースでポスター等に「HIVとともに生きる人々を応援しています」というメッセージを打ち出すだけでは、自分事に思ってもらえないと思いました。そこで、VRという革新的な技術を使い、若い方々の注目を集め、さらに「体験型」として提供することで、HIVが特別なことではなく、早期発見のために検査を受けることが大切であることを伝えようと企画しました。

実際、1300人ほどがVRを体験し、「HIV/AIDSについてもっと知りたいと思ったか」「実際に検査を受けようと思ったか」という質問に対し、97%の人にYesの回答をしていただきました。

ーVRの内容について教えていただけますか?

栗村)想定したのは付き合い始めのカップルです。デートをし、家でくつろぐというシチュエーションを作りました。そこで「セーファーセックスをしてきたか」という問いかけの後、お互いに大切なパートナーになるのだからHIVの検査を受けに行く、というストーリーです。内容に関しては、LGBT当事者の企画会社とできるだけ現実に近いストーリーを長時間かけて作成しました。

栗村さんが笑っている画像
笑顔が素敵な栗村さん

社内での取り組みに関して

会社全体でD&Iを推進させる環境づくり

ー御社にとってLGBTコミュニティが身近に感じることはありますか?また、どんな取り組みをしていますか?

入山)社員は基本的に、差別意識を持ってはいませんが、患者様の中にLGBTの方が多いということで、身近には感じています。私の中では、LGBTの方、そうでない方の区別さえしていません。それくらい自然な存在です。

毎年12月1日の世界エイズデーには患者団体の方をお招きし、社内イベントを開催するなど、社員のHIV/AIDSに対する理解促進および検査の重要性を啓発しています。また、全社員はe-ラーニングでLGBTについて学ぶ機会もあります。

栗村)全国数箇所(横浜、佐賀、陸前高田、京都)でAIDS文化フォーラムという学生の参加者が多いイベントがあるのですが、その中で、トークショーを開催し、検査促進につながるような活動もしております。昨年同志社大学で行なった京都のフォーラムでは、ミッツマングローブさんをお招きして参加者の理解を深める活動を行いました。

多様性で成り立つ世界を尊重

ー多様性、ダイバーシティをどのように考えていますか?
入山)人的資源として非常に大切だと思っています。様々な意見、資質が集まりイノベーションが生まれます。世界は多様性で出来上がっているので、様々な多様性を受け入れ尊重して、組織として成長することが大事だと思っています。

ヴィーブヘルスケア株式会社のロゴの横に立つ入山さん
力強いメッセージに胸を打たれました

LGBTの就活生に対して一言

入山)就職活動をする中で、LGBTであることを引け目に感じる必要はない。LGBTであるということは、バックグラウンドの一つとして捉えています。自分の仕事に関して、生き方に関してしっかりとした意志があり、それを磨いていけば、必ず誰かが見ていてくれます。自分の能力を磨いて頑張ってほしいと思います。

さいごに

HIVやAIDSは、怖い疾患だという漠然としたイメージはありますが、意識して検査に行ったりパートナーと話し合ったりする機会はほとんどないですよね。ヴィーブヘルスケアは、東京レインボープライド2017での出展や、新宿二丁目などのLGBTを起用した、看板による啓発など、LGBTに向けての活動も行なっており、LGBTがいることが自然なこととして認識されているという印象を受けました。

インタビューの終わりに、入山社長が私たちの目を見て「就職活動がうまくいかないことをバックグラウンドのせいにせず、自分の能力を高める訓練をし続けなければいけない」と力強く言ってくださったのが心に響きました。LGBTだけでなく、全ての就活生が心に留めておきたい教訓ですね!

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