自分もLGBT? 悩んだときの対処法!
ここ数年、「LGBT」という言葉が、テレビや新聞、インターネットなどのメディアで、よく見かけるようになりました。レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったこの言葉は、それらのカテゴリーに属する人々の、差別されやすいマイノリティとしての切実な想いを乗せて、加速度的に認知されるようになりました。
また、LGBTという概念とともに、「これまで当たり前とされてきたセクシュアリティは、本当にそう?」という問いが、社会に投げかけられたことも大きな点です。
この問いは、ふだん自身のセクシュアリティを当然に思っていた人々もまた、改めて考えなおすようになる契機になったのではないでしょうか。そして、「もしかしたら、自分はLGBTかもしれない」との思いを抱きはじめた方もいるでしょう。
今回は、「自分はLGBTかもしれない」と考えはじめた方が、今後悩みを抱えたときにどのような解決方法があるか、どのような相談窓口があるか、どのようなサポートが得られるか、ご紹介します。
「LGBTかもしれない」の船出にあたって
自分がLGBTかも、と感じはじめた、とはいっても、L(レズビアン)・G(ゲイ)・B(バイセクシュアル)・T(トランスジェンダー)によって気付き方にも違いがあるでしょう。また、もしかしたら、それぞれの分類にも馴染まない、しっくりこない人もいるかもしれません。
ここではじめに留意すべきことは、セクシュアル・マイノリティには、この4分類に留まらず、多様なセクシュアリティがあることです。そのため、もしLGBTの4分類のなかに自分の合うものが見つからないとしても、セクシュアリティに違和感があること、自身を不安定にさせる「なにか」があることを、抑えつける必要はありません。
セクシュアル・マイノリティが求めているのは、多様なセクシュアリティがある社会であり、あらかじめ決められたカテゴリーに自身を当てはめることではないのです。自身のもつセクシュアリティの「なにか」を、尊重し続けてください。
「かもしれない」、たとえば?
以下、L/G/B/Tそれぞれに分類した違和感の例を、箇条書きにして載せています。
1. レズビアン/ゲイ
レズビアン/ゲイは、自分自身の心の性別と同じ性別の人に恋愛感情を抱く、同性愛者を指します。女性の同性愛者をレズビアン、男性の同性愛者をゲイと分けます。
(例)
- ・同性に向けて恋心や性的欲求を抱く経験がある
- ・ある同性に、友情よりも強い想いを抱いている
- ・異性のアイドルよりも、同性のアイドルに強く惹かれる
- ・異性を好きになろうと「矯正」したが、どうしても好きになれなかった
- ・自身の将来像に寄り添う人の性別は、同性のほうがイメージしやすい
- ・同性に恋を抱いてしまう自分自身を責めてしまう
- ・異性に恋を抱かない自分を卑下してしまう
2. バイセクシュアル
バイセクシュアルは、自分自身の心の性別と同じ性別と異なる性別、両方に恋愛感情を抱く、両性愛者を指します。
(例)
- ・同性にも異性にも恋心や性的欲求を抱く経験がある
- ・同性も異性も好意を抱く自分自身を「誰でも好きになるいい加減な人間」などと責めてしまう
- ・同性か異性か、どちらの性別が好きなのか決めなければならない、と感じている
- ・同性か異性か、どちらが本当に好きになる性別なのか、わからない状態だ
- ・異性だけでなく同性も好きになる自分を「異性だけが好きでなければならないのに」と責めてしまう
3. トランスジェンダー
トランスジェンダーは、生まれたときの性別とは異なる性に自分の性を見い出す性自認を指します。レズビアン/ゲイ/バイセクシュアルは、好きになる性(性的指向)に関わる概念ですが、トランスジェンダーは、自身の性(性自認)に関わる概念であり、その性質が異なります。性的指向は、心の性に基づいているため、トランスジェンダーであることで、即ちレズビアン/ゲイ/バイセクシュアルに結びつくわけではありません。
(例)
- ・生まれたときの性別に、違和感がある
- ・私の心身になじむ性別は、現在の性別ではない、と感じる
- ・自分自身、男性(女性)を名乗っているが、本当は女性(男性)がより近い性別だと思う
- ・幼少期から、異性が好きそうなおもちゃや遊び、衣服に強く惹かれていた
- ・できることなら、現在の性別ではない性を名乗り、振る舞ってみたい
上記の例から、自身の違和感に近似するものを見つけた方もいるかもしれません。ただ、以上に記されていない違和感を抱く方も、同様にいるでしょう。しかし、前項で明記したように、セクシュアリティの違和感に「例外」はありません。
例えば、その他のセクシュアリティとして、Xジェンダー(自分の性を男性/女性のほかに見出す者)やパンセクシュアル(すべての性が恋愛対象の者、全性愛者)、アセクシュアル(性別に関係なく、他者に恋愛感情を抱かない者、無性愛者)などがあります。
この悩みは、どうやって解決すればいい?
自分もまた、LGBTのいずれにあてはまるかもしれない、と気付いたときに、その悩みを打ち明ける場所は、多く用意されています。以下、セクシュアリティを相談する電話窓口や、支援団体・当事者団体をご紹介します。
1. よりそいホットライン
セクシュアリティの専門回線がある、24時間体制の無料ホットラインです。セクシュアリティの他にも、自殺対策や性暴力・DV専用の回線なども用意されています。
TEL:0120-279-338
2. AGPこころの相談
医療・カウンセリング・福祉・教育などの立場から、レズビアン/ゲイへの支援を行っている団体です。無料電話相談は、同性愛者の悩みや相談に、臨床心理士や医師が担当しています。
TEL:050-5539-0246(毎週火曜日午後8時~午後10時)
3. NPO法人 レインボーコミュニティcoLLabo
レズビアンと多様な女性(性的少数者)のための活動をする団体です。レズビアンの相談員による、レズビアンや多様なセクシュアルをもつ女性や、その友達、家族、周りの人に向けた無料電話相談や、勉強会などが行われています。
TEL(電話相談):03-6322-5145(毎月第1土曜日 午後1時~午後3時)
4. community center akta
新宿2丁目にある、HIV/エイズをはじめとした、セクシュアルヘルスの情報などが手に入るオープンスペースです。誰もが利用でき、情報収集のみならず、休憩にも開かれ、イベントも開催されています。
TEL:03-3226-8998
開館時間:午後4時~午後10時
定休日:火曜・水曜・年末年始
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿2-15-13第二中江ビル301
おわりに
いかがだったでしょうか。セクシュアリティに関わる悩みは、独りで抱え込んでしまう傾向が強く、自分自身のセクシュアリティを認められないあまり、自己否定に向かうことも少なくありません。ただし、多様なセクシュアリティが認知されている現在、悩みの中にある貴方は、孤独ではありません。ぜひ、様々な支援先を利用し、自身の視点を広げてみてください。