ノンセクシュアルとは?【性的関係のない恋愛?】
近年、LGBTという単語を耳にすることが増えてきました。最近ではそれに加えて「LGBTQIA」や「LGBTQ+」など頭文字の増えた略語が使われているのはご存知ですか?
実はこの、「QIA」や「Q+」というのはレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー以外のセクシュアリティを表しており、セクシュアリティーというのは何も異性愛・レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの5種類に限ったものではないということがわかります。
そんな中でも今回は、ノンセクシュアルについて解説していきたいと思います。
付き合っている人のことは好きだけれど、手を繋ぐのは苦手。お泊りデートはなるべくしたくない。そんな悩みを抱えていませんか?自分を「ノンセクシュアル」だと呼ぶと、もっとあなたらしい恋愛ができるようになるかもしれません。
ノンセクシュアルの定義
ノンセクシュアル(Nonsexual)とは、他者に対して性的欲求を抱かないセクシュアリティ。
アセクシュアルと勘違いされやすいノンセクシュアルですが、この2つは恋愛感情を抱くのか抱かないのかという点で異なります。
なお、日本においては「恋愛感情の有無」を中心に捉えられる傾向があると言われており、
- 恋愛感情も性的な欲求もない=アセクシュアル
- 恋愛感情があり、性的な欲求がない=ノンセクシュアル
という英語圏をはじめとする諸外国と異なる、独自の用法がありました。
ただ、近年では日本においても英語圏に近い用法も見られており、当事者間でも少々異なったニュアンスで使用されることがあります。
ノンセクシュアルの多様な恋愛
ノンセクシュアルの人は性的欲求がありません。手を繋いだり、キスをしたり、セックスをしたり、人によって交際相手とできること・できないことの線引きは異なり、結婚後に子供が欲しいかなどについても考え方は異なります。
恋愛感情が存在しても、性的欲求が無ければパートナーが描くような理想の関係に応えられないという壁にぶつかることがノンセクシュアルの場合多くある悩みです。現在ではそういった様々な人の恋愛観に対応した結婚を提案するべく、「友情結婚(恋愛結婚やセックス・性的関係がある結婚を考えるのが困難な人同士が性愛関係なく婚姻関係を結ぶこと。)」を紹介する相談所なども登場しています。(参考:友情結婚相談所カラーズ)
ノンセクシュアルにとっての性的欲求
既述の通り、ノンセクシュアルの方々の中でも、性に対する考え方は様々です。
- 性的な行為が生まれた時から苦手な人
- 過去にトラウマ等がある人
- 自慰行為は行う人
- セックスは行うこともできるが、相手の望む形ではできない人
- 下ネタNGな人
などなど……どのセクシュアリティも同様ですが、一概にノンセクシュアルの特徴などをまとめることは不可能です。
おわりに
ノンセクシュアル内での多様性ゆえ、その言葉の定義自体も曖昧です。ただ、性的欲求ってそもそも多様なものなのではないでしょうか。どこまでならできるとか、何をしたい・したくないという感情は本当に人それぞれで、その中で惹かれ合うもの同士が惹かれあうのだと思います。
恋愛は2人の事。全てが天秤です。何が大切で、尊重するべきなのか。そこが共有でき、愛し合える人と出会うには、他人についても自分についても同じくらい理解を深める努力が必要なのではないでしょうか。
筆者個人の考えにはなりますが、ノンセクシュアルも含め、ゲイやレズビアンなど、セクシュアリティに関する語句は基本的に自分自身のためにあると考えています。
自身にラベル付けをして新たなコミュニティーとの出会いにつなげたり、安心感を得たり、そのためにセクシュアリティの名称があるのです。
そのためここで紹介したノンセクシュアルの定義も絶対的にこれだというわけではありません。しっくりこないなという方は自分なりに定義を変えて考えてみるのも良いかもしれません。セクシュアリティとは本来それほど自由で多様なものなのです。
参考
- 三宅大二郎・平森大規『日本におけるアロマンティック/アセクシュアル・スペクトラムの人口学的多様性-「Aro/Ace調査委2020」の分析結果から-』(2021)