個性にあふれた世界のために、多様性は「あたりまえ」?アダストリアのカルチャーにせまる!

ライター: りっきー
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LOWRYS FARMGLOBAL WORKなど、有名なブランドショップを多数展開しまさに性別に関係ない人気を誇る株式会社アダストリア。2年連続でTOKYO RAINBOW PRIDE(以下TRP)に出展するなど社外イベントに参加するだけでなく、参加できなかった従業員を巻き込むための社内イベントも積極的に行なっています。

そんなアダストリアが取り組みを本格化させたのは昨年から。この短い期間で、ダイバーシティを意識する社風がここまで急速に醸成されているのは、並々ならぬ思いがあったから。

今回はそんなアダストリアの思いについて、人事部長の市岡千明さんとCSR担当の深川智子さんにお話を伺いました。

LGBTフレンドリーな企業の雰囲気を知りたい求職者の方は、ぜひこのコラムを読んで、多様性を「あたりまえ」とするアダストリアの雰囲気を感じてみてください!

アダストリアがダイバーシティを推進する背景

インタビューに答える市岡さん

取り組みを始めたのは昨年とのことですが、それまで「ダイバーシティ」は意識されていなかったのですか?

市岡さん(以下敬称略):アダストリアでは今まで、ダイバーシティという言葉が多用されていたことはありませんでしたが、時代が変わる中で会社も変わっていく必要がある、との考えがありました。
例えば、当社では現在300人近くの方が、産休から戻り時短勤務をしています。私が子供の頃、働いている母親はほとんどいませんでしたが、この数を見てみると、会社のあり方と共に社会の風潮は変わってきたな、と感じます。

社会が変化するからこそ会社も変わり続けていかなければいけません。LGBTに関してはあえて意識したことはありませんでしたが、組織の多様性が求められる社会に変化したことで、当社も改めて取り組みを振り返る必要があると感じました。その中で整備すべきことに対して取り組んできたというのが経緯です。LGBTや障がいの有無にかかわらず、多様な人材が活躍できる組織でなければ会社も成長しません。

会話する市岡さんと深川さん

-まさに時代を先取りしていたんですね。
ダイバーシティ推進に関して、社内で反対意見はありましたか?

市岡:全くありませんでした。
取り組みを進める前に、LGBTに対してどのような対応が求められているのか、社内でヒアリングをしてみたんです。すると、今から10年前には、現場レベルでトランスジェンダーの方の通称名利用が自然と認められていることがわかったんです。昔はお客様に渡すレシートに従業員の名前が出る仕様だったのですが、戸籍上は女性の方から女性としての名前は載せたくない、という相談があったそうなんです。それを共有した時、「こういうところにも配慮しないと、個人がのびのびと働けないな」と皆が初めてわかったんです。また、結婚後に旧姓を継続して使いたい人もいるので、社内では自分の望む名前を使えるようにしました。これが10年前の話です。

-トランスジェンダーの方が働きやすいように制度を変えることで、それがトランスジェンダーでない方の「働きやすさ」も実現されたんですね。

深川さん(以下敬称略):そもそも、私たちのミッションは「ファッションと人生を楽しみ、個性にあふれた世界をつくる。」であり、Play fashion!をスローガンとして掲げています。
従業員やお客様にはそれぞれ異なる背景や価値観があります。私たちの場合、女性・障がい者・LGBTの方が近くではたらいているのが当然のことすぎて、逆に知ろうとする思いが薄れてしまいがちだったんです。でもこうして世の中が変わるなかで、改めて社内外にアダストリアでは様々な人が「あたりまえ」に活躍していると伝えるべく、本腰を入れて取り組みを始めました。

-無視されていたから取り組みを開始したわけではなく、多様性が「あたりまえ」すぎて意識されていなかったからこそ取り組みを始めたというのは、非常に珍しいケースですね。

具体的にどんな取り組みをしている?

社内でのMEET UP風景
ゲストも招いて行われたMEET UPの様子

-制度面でも大きな変化があったと伺ったのですが。

深川:昨年の夏から社内規定において配偶者に同性パートナーを追加し、結婚・育児・介護休暇の手当も厚くなりました。
また、社内研修に「あたりまえ」のこととしてLGBTに関する内容を盛り込んでいます。啓蒙・啓発活動としては、TRPやOUT IN JAPAN(セクシュアルマイノリティのカミングアウト・フォトプロジェクト)への参加や、人事部研修です。イベント前後に行う社内でのMEET UPでは、何を感じたか社内で共有したうえで、イベント参加に活かしたり、得たものをイベントに参加できなかった人にどう伝えていくか考えています。

市岡:人事部としては、「当たり前」のことしかしていません。一人一人にとって働きやすい環境を整えるのはLGBT云々関係なく、全社員に対して同様のことです。
LGBTに関する内容を規定に追加したのは去年の8月からで、就業規則においてセクハラの対象にセクシュアルマイノリティ・同性を追記し、女性表記も廃止しました。

-女性表記の廃止、とは?

深川:「女性に限る」など性別を二つに分けた表現を使わないようにしています。レディースのブランドスタッフを募集するときにも性別を限定しませんし、休暇規定にある「生理中の女性社員」「妊娠中の女性社員」などの文言も「女性」は削除しました。生理や妊娠は、性自認が女性の方だけが経験するものとは限らないためです。

-例えばFtM(女性として生まれ男性の性自認を持つトランスジェンダー)の方などにとって、生理などの話題は無視できませんからね。
でも、そういった言葉の使い方一つで当事者だけが居心地の悪さを感じるといったケースも多い中で、アダストリアの配慮は非常にきめ細やかに感じます。

市岡:もちろん今までも問い合わせがあれば「いいですよ」と言っていましたが、規定が変更されると全社配信されるので、社内に向けたメッセージにもなるんです。
制度がいつの間にか変わっていても、利用されなくては意味がないですし、変更そのものが、全社員に対する気付きになってほしいと思っています。

TRPとアダストリア

アダストリアがTRPで販売したグッズ
TRPで販売したniko and…、GLOBAL WORK、bijorieのグッズ

-TRPに出展したきっかけや理由をお聞かせください。

深川:最大の理由は、「ファッションと人生を楽しみ、個性にあふれた世界をつくる。」という思いがTRPのコンセプト「らしく、たのしく、ほこらしく」と重なったからです。自分らしいファッションを楽しむことで、誇らしい人生が送れるんじゃないかなと。

深川:昨年はniko and…(アダストリアの展開するブランド)としてパレードに参加していたんです。ブースでは下着やniko and…のバッグを販売したのですが、物販にこだわっているわけではありません。ただ、目に見えるものを販売することで、アライを表現するきっかけにもしてもらえるかなと。

アダストリアのTRPブース
実際にTRPで出展したブースの様子

-好きなものを身につけてアライが可視化され、LGBTが生きやすい社会にもつながるというのは素晴らしい発想ですね。求職者やお客様が、こうした活動について話すことはありますか?

深川:取り組みの多くがお客様や求職者にはまだ見えない部分だからか、そこまではありません。だからこそ、取り組みを継続してわかりやすく私たちの姿勢を可視化しないといけないとも感じます。そうすることで、だんだんと求職者の方やお客様に私たちの取り組みが伝わっていくのだと思います。
今はまだ道半ばですが、続けることで大きな波になると信じています。

市岡:その一方、体感ですが社内ではカミングアウトが増えてきたように思えます。もちろんカミングアウトしたからどうこうということはないですが、そういう文化が醸成されてきたこと自体はいいことだと思います。

-そもそものカルチャー面も変わってきたことで、安心できる人が増えてきているんですね。
そういえば、アダストリアには
ゲイをオープンにして活躍する社員の方がいらっしゃると思うのですが、その方はどうしてカミングアウトしたのでしょうか?

深川:そのスタッフは四国に配属されていたのですが、昨年OUT IN JAPANが松山で開催されたとき、「自分が出ることで他の人が働きやすくなればいいな」との思いがあったようです。今は販売員・店長・本部社員など様々な立場の人がオープンにしています。

-いろんな立場の人が自分を出しているからこそ、「自分も」と思える人が多いんですかね。

LGBT以外のダイバーシティ

インタビューに答える深川さん

-アダストリアではLGBTだけでなく障がいを持つ方や女性の活躍推進にも力を入れているそうですが、具体的にどのような取り組みを実施しているのですか?

深川:特例子会社で障がい者雇用を促進していますが、そもそも障がいを持っている方でもあたりまえに働けるのが「普通」だと思っているので、今まさに活躍の方法と機会を特例子会社と言う枠に囚われず現場で探っています。
女性に関しては元々7割強が女性ということもあり、活躍しやすい環境です。今も管理職の3割以上は女性です。ただ、ある程度上の役職になると急に女性の比率が落ち込んでおり、何が障壁になっていて、変えるべきところはどこか模索している最中です。

深川:もちろん、短期的に解決できることではありません。でも、複数の企業が合併を繰り返して成長してきた当社にとって、長い時間をかけて色んな考え方や視点をぶつけ合うことが「アダストリアらしさ」だと思っています。

市岡:あとは、社外取締役に女性が増えていることも大きいです。経営層が話し合う場においてもきちんと女性の視点を入れてくれます。女性がいるのが「あたりまえ」でないと、健全に成長できないでしょう。

おわりに

本棚の前で談笑する市岡さんと深川さん

-最後に、求職者の背中を押すようなメッセージをお願いします!

市岡:「○○をやりたい」と明確に持っている人は案外少ないと思います。でも、うちはそういう人たちがやりがいを見つけやすい会社です。お客様から「ありがとう」と言われることは生きがいになりますし、年代ごとに接客のしかたを変えながら様々な人に囲まれて働き続けることで、自分を見つけることができます。興味のある方は、ぜひリラックスして来てください。

深川:アダストリアにとって何よりも大事なのは、人の魅力・パワーです。私自身、10年以上こうして働いているのは、周りの人が素敵で居心地が良く、自分の居場所があると感じるからです。
仕事には人生の大きな部分を費やすわけですが、自分の存在意義を見つける場、表現の場としてぜひ会社を使ってください。アダストリアでは、やりたいことや自分の人生プランを考えながら働けますよ。


「取り組み」の一言からは溢れてしまうほどの想いが、アダストリアの取り組みには詰まっていました。

インタビュー時、市岡さんも深川さんも、アダストリアの取り組みは「あたりまえ」であると強調していました。「個性にあふれた世界」を目指し、長い期間かけて培ってきたカルチャーが「あたりまえ」だからこそ、うわべだけではない取り組みは今後さらに進んでいくでしょう。

LGBTフレンドリーな企業風土が、他の企業にとっても「あたりまえ」になるよう、私たちJobRainbowも活動を継続していきます!


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