企業のCSRとLGBTに関する取り組み
ここ数年で、CSRという概念が日本企業にも広がってきました。CSRとLGBTの関連をここで紹介してみましょう。
CSRとは?
CSRとは、「Corporate Social Responsibility」の略であり「企業の社会的責任」とも呼ばれます。企業がサービスの提供や商品開発などの自社の利益だけではなく、環境への配慮や社会への貢献などを考えたことを行う責任・活動としての意味合いがあります。
CSRを実行することで、商品やそれによる利益だけではなく、企業への評価・共感などの社会的価値を高めることにつながるため、CSR活動に力が入れられています。
どのようなCSR活動があるの?
- 企業としてイベントへの協賛や参加
- 製品を購入すること自体が、社会に対してよい結果をもたらす仕組みづくり(例:ミネラルウオーターを購入することで、アフリカの子どもたちに清潔な水を提供することにつながる「1L for 10L」など。
- 企業内でのマイノリティが働きやすい環境づくりや勉強会の開催
- 企業が普段有償で販売しているサービス・商品を、特定のイベントや活動への支援のために無償化する(例:ANAが行う社会起業家の渡航費用を支援する「BLUE WING」)
など、ここに記載した以外にもさまざまなやり方が存在します。
CSR活動のジャンル
CSR活動で取り組む問題やジャンルの種類として、
- 環境への配慮
- 世界に工場を持つグローバル企業などが、現地の子供たちを工場で働かせるなどの児童労働をさせないこと
- フェアトレード(公正貿易・公平貿易)
- 男女平等、障害者雇用など、ダイバーシティな働き方の推進
などがあります。社会の問題や課題、企業が展開するサービスに応じて内容が変わるものがCSR活動です。その中で、LGBTに関するCSRに取り組んでいる企業を紹介します。
LGBTに対するCSR、実際の取り組み
アクセンチュア
コンサルティング会社であり、企業内で様々なLGBTに関する取り組みを実施しています。
LGBT以外にも、ダイバーシティの推進という枠組みで、女性・クロスカルチャー(外国人)・障がい者・LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の働く環境の推進を社内で行っています。交流の場や研修の提供、異性パートナーに適用している人事福利厚生制度を同性パートナーにも適用する、LGBTイベントへの協賛・参加等を行っています。
また、小学校への教育プログラムの提供や環境への取り組みが紹介されています。
AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)
生命保険会社であり、社内ではLGBTに関する取り組みとして社内研修の開催・福利厚生の対象にLGBTを入れる、社外ではLGBTイベントへの協賛などを実施しています。
また、自閉症啓発への取り組みとして、社内セミナーや世界自閉症啓発デーに合わせた取り組みを行っています。
モディ・マルイ
「マルイ・ミライ」として、LGBTフレンドリーなサービス提供を行っています。詳細は、モディ・マルイバナーから。
また、東北復興支援や、環境への取り組みとして服の下取りなどの活動を行っています。
GAP
JobRainbowでも紹介している通り、東京レインボープライド期間中に従業員の協力や「OUT in JAPAN」への協力を行っています。
CSR活動としても、「服を売る以上のことをしよう」という考えのもと、コミュニティ・人権・環境・従業員 に関する活動に取り組んでいます。
日本での取り組みとしても、若者のキャリア支援・環境への取り組み・NPO団体運営支援・ボランティア活動などを行っています。
資生堂
資生堂では、環境・芸術・女性や、化粧品・身だしなみというものを、学校・企業や障がい者施設やがん治療中の方への化粧セミナーというものを行っています。また、自社だけではなく得意先や購買先などの取引先への方針を打ち出している点が特徴的です。
「Our Mission, Values and Way」のOur Way「取引先とともに」に則り、得意先や購買先などすべてのお取引先さまと、CSR活動においても良きパートナーシップの実現をめざしています。
資生堂では、化粧品を製造するための原料や香料、パッケージ、販売促進物などの購入にあたり、世界中の取引先の情報を共有し、グローバルな視点で最適な調達を推進しています。これらすべてのお取引先さまを「ともに新しい価値を創造していくパートナー」と考え、CSR活動の推進においても、相互理解を第一義に連携しています。
資生堂「公正な取引のための方針」
まとめ
上記でまとめたように、LGBTに関しても、企業ごとに様々なCSR活動が展開されています。
企業がLGBTに関して取り組みを行うことは、LGBT当事者にとって喜ばしいだけでなく、社会に問題提起をする効果をもっていたり、その企業が関わるあらゆる企業や個人にも影響をもたらします。
また、LGBTに直接的に言及するCSR活動ではなくとも、女性や障害者・外国人等のダイバーシティに積極的に取り組む企業は、今後LGBTに関する取り組みも始める可能性が高いともいえるでしょう。
今回紹介した企業以外にも、CSR活動として取り組んでいる企業やLGBT以外のマイノリティに関するCSR活動を行っている企業があります。企業のLGBTに関する取り組みやサービスも、CSR活動として実践が広まっていくことで段々と社内制度や採用制度にも反映されていくのではないでしょうか。