dely堀江が考える、LGBT社員との向き合い方。人間には「個性」がある。そう考えれば、人間なんてみんな一人一人マイノリティじゃないか。
はじめに
2014年に設立されたdely株式会社は、日本最大のレシピ動画サービス(※1)のkurashiru(以下、クラシル)を提供しています。
クラシルはサービス開始から約2年で、21,000本のレシピ動画・290万人のSNSフォロワー・1,400万のアプリDL(※2)を有しております。
さらに2018年7月にヤフー株式会社との事業提携をし、現在もっとも注目されているベンチャー企業のなかの1つです。
今やFacebookやInstagramでシェアされたクラシルの動画を目にしない日はありません。
あなたが夢中で見ていたレシピ動画も、クラシルのものだったかも。
(※1)2018年6月29日時点 Appliv調べ(ナイル株式会社による「料理レシピ動画掲載アプリ」に関する独自調査の結果)
(※2)レシピ動画数・アプリDL数は2018年9月、SNSフォロワー数は2018年7月時点の数字
今や日本のレシピ業界の最先端を駆け抜けるdelyの代表・堀江さんは言います。
「世の中にハッピーな感情を増やし、孤独とか辛いと感じる人たちを一人でも多く減らしたい。自分の行動が、自分の会社が、それに本当につながっているかは常に考えている」と。
そんな堀江さんの想いはdelyの仲間たちの共通認識となり、日々「ハッピー」をもっともっと世界に広めるために何ができるか、一人一人が考えて働いていると言います。
delyには、2018年3月より、ゲイの社員も入りました。彼もまた、「ハッピー」を生み出すために日々楽しく仕事をしているそうです。
今回は、そんなdelyの代表堀江さんと、ゲイ社員のタケマルさんに「LGBT社員との向き合い方」について、インタビューを行いました。
- はじめに
- 堀江さん:自分は皆とちがう? そんなの当たり前でしょ。
- 堀江さん:delyは、仲間との価値観が違うのが当たり前の会社
- 堀江さん:自分に正直に働けないことは、人間だったら誰でも苦しいこと
- 堀江さん:全員がプロ。プロとして対等に仲間たちと仕事するために、必要なのは「楽しさ」。
- 堀江さん:つらい経験をしてきた人こそ、仲間を大切にできる
- 堀江さん:人とは違う自分を見せて働ける人を、delyでは歓迎します
- 堀江さん:でも正直、1人目のオープンなゲイ社員がタケマルさんで本当によかった。
- 堀江さん:個性を出せ=何でも話せ、という意味ではありません。
- タケマルさん:Twitterから入社面接の申し込みをして、入社しました。
- タケマルさん:「サークル」のようにフラットな関係性、それが心地いい
- タケマルさん:ゲイだとはカミングアウトしていないけど、聞かれたら普通に答えます。
- タケマルさん:当事者として「どうみられるか怖い」という時期が自分にもあった
- タケマルさん:自分を隠さないってことを評価してくれる会社だから、頑張れる。
- 堀江さん:仕事を探す、LGBT当事者たちへのメッセージ。
- delyの仲間に、なってみませんか?
堀江さん:自分は皆とちがう? そんなの当たり前でしょ。
私自身、これまでLGBTに対して「こうしなきゃいけない!」とか「かわいそう!」とか思ったことないんです。
そもそも生産性・多様性なんて「世の中をハッピーにしたい」と思ってる人間からすると当たり前の価値観ですから。
人間なんてみんな一人一人マイノリティだろう、って思うんです。自分と同じ性格や考えの人間がいると思う方が不自然じゃないですか。だって、育つうえで同じような環境は一つとしてないんだから、違う環境で育てられた人間はそもそもバラバラの考えを持っていて当然でしょ。
なので、面接のときタケマルさんに「ゲイなんです」と言われた時も、べつに「へぇ」くらいにしか思いませんでした。
堀江さん:delyは、仲間との価値観が違うのが当たり前の会社
会社って、だいたい同じような人が集まる環境って言われるけど、うちの会社は全然違くて、むしろどんどん違うひとたちが集まってくるんです。
多分、採用している自分が、自分と同じような人に面白みを感じないからもあるし、それと同時に器の広い人じゃないと嫌だ! と思って人を見ているから。
だからそんな自分が仕切ってるdelyに興味を持ってくれる人たちは、おのずと人との違いを受け入れられる人ばかりですね。
堀江さん:自分に正直に働けないことは、人間だったら誰でも苦しいこと
隠してる自分のまま活躍しても、これは自分じゃないって思いながら仕事していたら、絶対に続きません。
でもその人が優秀な人材だったら? それって会社にとっては大きな損失じゃないですか。
同じ感性で、同じ年代で固まるよりも、いつも周りから刺激を受けて楽しんで仕事もプライベートも過ごした方が面白い! それがdely社員の基本スタンスです。
まあそんなふうに言っている会社だから、社員たちは皆自他ともに認める変人ばかり(笑)。
マイノリティがみんな集まってできてる会社だから、別にセクシュアリティが人とちがっても、それって別に一つの個性でしかないよね、くらいのリアクションが返ってきます。
堀江さん:全員がプロ。プロとして対等に仲間たちと仕事するために、必要なのは「楽しさ」。
仕事で結果を出すのはプロとしては当たり前。でも自分一人じゃ、仕事はできません。
この仕事は○○さんにしか頼めない、という関係性がいくつも積み重なって、delyの扱うプロジェクトは成り立っています。
誰にでもできる仕事をそれぞれが分担してるより、その方がハッピーですから。
代表である私の意思決定をメンバーたちが待つ進め方は、面白くない。
理想は、一人一人が意思決定をして、代表が意思決定しなくてもいいコンテンツがどんどん発信されることです。
それぞれが各部門のプロだけど、自分の部門でやったことが、他の部門にどんな影響を与えるかは完全には分からない。だからこそ、互いの意見を交換しあわないと、本当に良いコンテンツはつくれません。
そしてそれを実行するには、それを言い合えるだけの関係性がいる。
そのために、自分とはちがう意見の人たちを受け入れる気持ちが重要だと思っています。
堀江さん:つらい経験をしてきた人こそ、仲間を大切にできる
人の気持ちが分かることは、仕事をするうえで最も大切なこと。
共感度が高い人は、人に対する気遣いや優しさがあります。人の痛みが分かる人は、人にやさしくできます。そういう人は絶対、いじめなんてしません。
だから逆に言えば、つらい経験をした人たちに仲間になってもらうほうがずっといいのかもしれません。
そういう人たちだったら、一つ秀でているところがあれば、完璧な人じゃなくたってかまいません。
きっとそういう人は、強い原動力を持って、人をハッピーにするために働いてくれるはずですから。
堀江さん:人とは違う自分を見せて働ける人を、delyでは歓迎します
エッジはどんどん前に押し出していく方が絶対面白いものが生み出せると思うんです。個性が強みになって、それが集まって世界に一つだけのものが生み出せる。それってすっごく、ハッピーですよね。
だから私は、社員みんなにどんどん自分のことを話して正直でいるように伝えています。
社内の評価制度の中に、『カルチャーフィット』と『実務評価』という大きく2つの項目があって。
『カルチャーフィット』には、「いかに自分の想いを仲間たちに開示しているか」という評価軸があります。
delyが発進するコンテンツが、それだけ仲間たちとタッグを組まないとできないものなんです。
極端な話、それを一所懸命やろうとしていれば、実務がなかなかできなくても、delyはその人を評価するってこと。
堀江さん:でも正直、1人目のオープンなゲイ社員がタケマルさんで本当によかった。
自分やメンバーがLGBTの人に偏見を持っていなくても、それはあくまでも自分たちの話で、当事者がどう感じるかはまた別だと思うんです。
だからこそ、1人目の当事者メンバーがタケマルさんで本当によかったと思ってます。
タケマルさんと話していて、LGBTに対するネガティブなイメージを感じたことが一回もないんです。
自分がゲイだと言って回ったりもしないけど、別に聞かれたらさらっと応えてくれる。
自分の苦しみを分かってくれるはずがない、みたいな話を一切しない。
多分、特別視してほしい、気を使ってほしいって人が1人目だったら、社内でのLGBTへのイメージが「とっつきづらい人」になっていたかもしれません。
それがタケマルさんが最初にそのイメージを固めてくれたおかげで、多分今後どういうLGBTの人が来ても、ファーストコンタクトで弊社が相手にネガティブなイメージを持つことはないんじゃないかな。
もしかしたら、もともとうちのメンバーの中にもLGBT当事者がいたかもしれません。言えなかったとか、言いたくなかったとか、状況は人それぞれかもしれませんが、タケマルさんが来てくれたおかげで、多分それまでより少しは過ごしやすくなったんじゃないかなと思います。
堀江さん:個性を出せ=何でも話せ、という意味ではありません。
無理にオープンにしろとは言いません。むしろ聞かれたら言うくらいでいいとも思います。
私だって「私、堀江は男です」って、宣言したことないですから。聞かれて嫌じゃなかったら答える。それくらいでいいんじゃないでしょうか。
隠すことがストレスになっていて、それでパフォーマンスが落ちてしまうのはもったいないというだけ。
自分が代表としてそのためにできるのは、「自分を隠さなきゃいけない空気」をなくすことですね。
この辺ができているかどうかは、本人から直接話してもらおうと思います。
タケマルさん:Twitterから入社面接の申し込みをして、入社しました。
僕の最初のキャリアは美容師。その後が栄養士で、一度フランスに行ってインターンを体験した後、帰国してdelyに入りました。
2018年1月に、delyは「twitter採用」というものを行っていたんです。
1人1人と10分くらい話した後、その日中に採用か不採用かを連絡するというもの。
代表曰く、100人くらい応募があったと聞いています。
その面接を経て、2018年3月から会社にジョインしました。
タケマルさん:「サークル」のようにフラットな関係性、それが心地いい
現在はセールス部門の、ディレクション担当という仕事をしています。
営業担当が持ってきたタイアップ案件をクラシルの動画という形にするお仕事です。
イベントを主催したり、動画を作ったり、記事広告を作ったり。
映画制作でいえば監督みたいなポジションですね。
メンバーとは、あだ名でお互いを呼びあっています。
そのあだ名は自分が呼ばれたいあだ名でもいいし、なければ代表がつけてくれる。
僕だったらタケマルだし、他にはトニーさん・ドラゴンさん・ライスさんとか、いろいろなあだ名の人がいますね。
敬語も必須ではなく、お互いが肩ひじ張らないように、あえて「サークル」のような関係性を持っているのは特徴だなあと感じます。
タケマルさん:ゲイだとはカミングアウトしていないけど、聞かれたら普通に答えます。
社内でのカミングアウトしてないけど、なんとなくみんな察してるのかな? って思ってます。
別に私自身も隠しているわけではないので、「彼女いるの?」って聞かれたら、「彼氏いない、ゲイだし~」と答えたりしてます。
それに対して皆、驚くわけでもなく、「へー」ってリアクションが返ってきます。
多分社内の人たちにとって、自分がゲイであることは「結婚してない」みたいな情報と変わらないんでしょうね。
タケマルさん:当事者として「どうみられるか怖い」という時期が自分にもあった
多分、差別された、偏見で見られたっていうのは、おそらく「思い込み」もある気がしてます。
当事者のことを全く知らない人が、ついやってしまった言動を「差別だ」と当事者が思ってしまう。それってなんだか悲しいサイクルだなあって。
私自身も、ずっと自分がゲイであることを隠していたんです。
それどころか、20代前半の時は、どうして自分は人とちがうんだろうってことに悩むばっかりでした。
でも、苦しいってことも人に相談できない、怖い。そんな感じのネガティブループが続いてたんですよね。
それが変わったのは、フランスでインターンをしたとき。
フランスは日本よりずっとLGBTに対する認識が一般に広まってるからこそ、偏見があまりない。
家族の集まりにでも、男性同士のカップルがいる。それが普通。
そういうのを見ていたら、自分がゲイであることは、別におかしいことじゃないんだと思えました。
それからは日本の皆がゲイに対してどんな気持ちを持っているか意識するようになって。
うん、意外と冷たい反応ばかりじゃないんだなってことに気付けたんです。
タケマルさん:自分を隠さないってことを評価してくれる会社だから、頑張れる。
delyに入って働き始めてから、毎日が楽しいんです。
平均年齢が近いから、皆が友だちみたいな雰囲気なのに、取引先はものすごく大きい会社だったり。その分やりがいも大きかったりして。
お互いに詮索しあったり、相手の目を気にするような人がいないから、ストレスをまったく感じていません。
やっぱり、会社がどんなにLGBTフレンドリーと言っていても、所属しているメンバーのことを信用できないと、オープンに暮らしたくてもオープンにできない。
働いていて思うのは、この会社は思っていることや、自分のことを言った方が楽に働けるし、自分を隠さないって人間性そのものを評価してくれる。
それが多分、私がストレスフリーで働けている理由なのかなと思います。
堀江さん:仕事を探す、LGBT当事者たちへのメッセージ。
ほら、タケマルさんって本当に最高の人じゃないですか?
こういう人がいれば、もっともっと悩んでる人たちが社会で活躍できる基盤ができていくと思うんですよ。
日本にいるLGBT当事者である950万人の人が、一生自分のことを隠し続けて70~80年暮らすことになるっていう現状があるって言うじゃないですか。それってあまりにも悲しいし、苦しいなあって思うんです。
確かに、LGBTの扱いについての意識は、日々高まっているとは思います。
でも、地方だったり、年齢層が高いと受け入れられるかっていうと、まだそういう社会にはなれていないわけで。
そうでなくても、世の中の人は、本当はエッジが立っているのに、エッジを出すことを恐れてるから。社会にどうみられるかが怖いとか、人にどう言われるかが怖いとか。
そういう中で「自分はマイノリティだ」と孤独を感じて過ごしているのは、本当につらいと思います。
もし、自分を受け入れてくれる職場を探しているなら、若いベンチャーを見てみるのも手なんじゃないかなと思います。
特に受け入れ態勢はできていなくても、年齢層も低いから、まだマイノリティに対するイメージも固定化されていなくて、多様性に対する許容度は高いはず。
もちろん、ベンチャーじゃなくても、腹を割って話せる人がいる会社に出会えればそれでいいと思います。
delyの仲間に、なってみませんか?
そんなベンチャーのうちの一つ、弊社delyが求めているのは、自分から自分のことを発信できて、元気にみんなと関われる人。完璧じゃない、人生を模索して、迷ってきた人。あまり普通や完璧にこだわらない人。
マイノリティなのは人間として当たり前、という文化なので、LGBT当事者だからといって特別扱いはしません。
そういう社風をいいな、と思ってもらえたら、職場を選ぶときの選択肢の一つに、弊社を入れてくれたら嬉しいです。
10月18日、会社説明会があります。そこでも弊社についてのもっと詳しい説明をしますので、ぜひ遊びに来てください!