リンクトイン・ジャパン株式会社に直撃!~後編~【LGBTフレンドリー企業インタビュー】

ライター: JobRainbow編集部
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LGBTフレンドリーな企業として知られる、リンクトイン・ジャパン株式会社の代表である村上さんと、LGBTの活躍を推進する石谷さんへのインタビュー、後編です。

そもそも村上さんと石谷さんってどんな人?
「キャリア」と「ダイバーシティ」が深くかかわっているって本当?
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どうしてLinkedInに?~キーワードは「カルチャー」~

―ご自身の個人的な経験が、こちらで働くうえで活きている、といったことは感じますか?

石谷:先ほども少し言ったのですが、海外で自身がマイノリティだな、と思った経験があって。でもそういう時、「違い」に迎合する必要はなくて、大事なのは互いの「リスペクト」だと思うんです。では、大企業はそれが出来ているかと言うと、場合によっては、既存の考え方を変えるのが難しい、なんてこともあり得ます。LinkedInは、カルチャーも組織自体もダイバーシティに富んでいて、やり方や考え方は一人ひとり違うんですけど、「カルチャー」という「共通言語」がありますね。

―では、ズバリ、LinkedInの「ここが一番の魅力だ」と思うところを教えてください。

村上:一言で表すなら、「素晴らしいカルチャーがあるから働きやすい」ってところ……ですかね。

石谷:企業や組織には、ミッション・バリュー・カルチャーがあると思うんですけど、それらをそのまま体現することは、実は難しいと思っていたんですね。でも、LinkedInに出会ったとき、それらがそのまま体現されている組織を初めて見て、感動したんです。私は入社する際、シドニー・シンガポール・東京各オフィスに行ったんですけど、驚いたのは「どの人と話しても同じLinkedInカルチャーを感じた」ってところなんです。純粋に同じものを共有できているのは素晴らしいなって。

村上:多くの会社は、既存のカルチャーを変革すると、最初は勢いがあっても、数年で緩んできてしまう。昔の引力に引き戻されたり、そもそも最初から響いてない人もいたり。だからこそうちでは、採用の時からカルチャーフィットを最優先していて、複数の社員が、うちのカルチャーにフィットするかを見ています。採用された今だからこそわかるんですけどね、「ああ、これ見られてたんだな」って。でもそのおかげで、本当に今働きやすくて。働いていて楽しいからこそ、モチベーション、パフォーマンスも上がります。
ジェフ(LinkedIn CEO)が共感・シンパシーを大事にしていたり、「お前がダメだったら、雇った側の責任だ。だから過度に心配する必要はない」って僕に言ってくれたり、「ニューリーダーシップ」を体現していて。トップダウンではなくチームで盛り上げていく感じも、いわゆる「外資系」とは少し違うかもしれません。

石谷:さっきのout@inやWomen at LinkedInみたいなグループは実は全部「やりたい」っていう興味・情熱がある人たちのボランティアなんですよ。そういう場合自然消滅してしまうことも多いと思いますが、うちでは成功しているんです。大企業では、ダイバーシティ実現のために「ダイバーシティ推進室」を設置するなどしています。ですが、そういったところには、ローテーションで人が来る、といったこともあり、仕事・組織としては機能しているけれど、従業員の心には響かない、みたいなことも多くて。興味のある人が自発的にやっていて、相乗効果を生み出している、ってところにやっぱりカルチャーを感じますね。

―石谷さんがこちらに入られた決め手は何だったんですか?

石谷:結局、カルチャーなんです。でも、転職の理由によくあるのが、いい会社だと思って入って後でがっかりしたから、っていうパターンだと思うんですけど、LinkedInはむしろ期待以上で。あと、面接では、正直その会社の深いところまではわからないじゃないですか。でもLinkedInは、面接のプロセスで深いところを教えようとしてくれてるなぁ、っていうのをすごく感じて。この会社が合うかどうか、っていうのを候補者にもフィットするか考えてほしいっていうのが表れているな、と。

村上:どういう反応か、っていうところを結構見ていますね。前のめりに来てくれる人はやっぱりフィットする人が多いし、同じ船に乗れるかどうかっていうところは大事です。

話す村上さんと、それを見守る石谷さん

「色のない」SNS、LinkedIn

―LinkedInにおいて、LGBTの方にとって使いやすいよう、工夫している点はありますか?

村上:そういう意味だと、そもそも私たちは登録時にジェンダーの設定などをしていません。いわば、色を出していないんです、どういう人でも使いやすいプラットフォームであるために。

―制限するのではなく、自由な場にする、ということですね。

村上:はい、私たちはプラットフォーマーなので、なるべく多くの人が使いこなせるサービスにして、それぞれの思いで利用すればいい。面白い話があって、LinkedInにはフェイクニュースが少ないんですよ。LinkedInはビジネスをよりよくするためのプラットフォームで、ビジネスネットワーキングの場面では、個人の興味を煽るようなフェイクニュースに引っかかる人がいないわけです。ビジネスを前向きに発展させていくための議論の場として利用されていることの表れですね。

―何もせずとも、引っかかる人がいない、と。

村上:あと、LinkedInにはエディターのチームがありまして、その一人一人が各カテゴリーの「業界リーダー」をピックアップして、インフルエンサーになってもらうようお願いするというプログラムがあるんですね。こうして出来上がった記事は、うちでしか読めません。

村上:あと、LinkedInにはエディターのチームがありまして、その一人一人が各カテゴリーの「業界リーダー」をピックアップして、インフルエンサーになってもらうようお願いするというプログラムがあるんですね。こうして出来上がった記事は、うちでしか読めません。

話す石谷さん

LGBTの求職者に、これだけは言っておきたい!

村上:結局、LGBTの求職者が一番不安なことって何ですかね?

―当社が実施したアンケートの結果を見てみると、「自分らしく働きたいのに働けない」といった理由がLGBTの方の転職理由第1位ですね。昔は「我慢するのが当たり前」みたいな風潮もありましたし……。

村上:確かに。僕のゲイの友人には、架空彼女のペルソナを持っている奴がいましたね、何年何月生まれ何座で……って。しかも、年を経るごとに経歴もアップデートされて、作家かよ、みたいな(笑)。でも、そうでもしないと馴染めない環境があった、というのもまた事実でした。
だけど今の学生に言いたいのは、受け入れてくれる会社は、昔より確実に増えています。だから、その中から気に入った会社を選んでほしい。オープンに働けるなら、それに越したことはない、と僕は思います。カミングアウトしても変わらない……と思いきや、自由に意見を言えるようになって、働きやすくなった、というケースは多いので。あなたが「そのまま」で働ける会社を見つけてほしいです。

石谷:自分も、LGBTとは少し違いますが、マイノリティとして働くということを考えたときに、「これだけは誰にも負けない」というものを持ちたいと思っていました。その後さらに留学したのも、勉強してその「武器」を見つけたかったからです。だからこそ、前の会社で金髪にしていた時も、極端な例ですが、もし「金髪をやめろ」と言われたら、「最悪この会社を辞めても世界のどこかでは生きていけるしなぁ」という思いでいました(笑)。

村上:僕も、「ドラム叩いとけば、食ってはいけるだろう」って思ってましたね(笑)。

石谷:組織にしがみつくべきではなくて、我慢のリミットに達したとき、あなたの個性が殺されそうになった時、「これがあるから他のところで生きていける」と言えるような武器を、何か一つ持っておくべきだと思います。自分が自分でいられる根拠になるものを、学生のうちから何か持てているといいのかな、と。

村上:「ここは許せない」のラインを自分の中で決めることも重要。「ベスト」っていうのは本当に難しくて、「ベター」がどれくらい積み重なっているかが、居心地の良さのレベルを決める。だから、「ここだけは譲れない」っていうラインがわかっていれば、離れるかどうかの判断もできる。これからは労働人口も減って売り手市場になっていくからこそ、皆さんが企業を選べますよ。

―売り手市場になりつつある現状は、私たちにとっても後押しになっているように感じます。

村上:あと、現場に近い社員との交流を増やすべきです。人事の担当は、良くも悪くもプロだから、隙を見せないんですよ。なので、その人と話して「いい会社だな」と感じても、他の人の理解が浅かったりする。最近は、オフィスで食事会をする企業もありますし、そこで現場の人に訊いてみたいことをぶつけて反応見てみる、とかもいいと思います。ミスマッチを防ぐためには、割と重要じゃないですかね。

話す石谷さん

LinkedInが抱える課題~「トランスフォーメーション」~

―厳しい質問になるかもしれませんが、LinkedInとして、「ここを変えていかなくてはいけない」という部分はありますか?

村上:もちろんあります。例えば、out@inも僕から見て全員が全員一定のレベルに達しているとは言い難いです。一般の会社に比べたら理解は深いんでしょうけど、うちにいてそれか、みたいな人もいます。なので、全体のLGBTについての理解のレベルはもう一段階引き上げたいですね。あと、個人としては熱がない、という人もやはりある程度はいます。その中でも、進んだ企業として、それぞれの分野で世の中に対するインパクトを残していく。それがリンクトイン・ジャパンの、そしてこのオフィスにおける僕の役割だとも思っています。

―なるほど。会社だけでなく、村上さん自身の挑戦でもあるわけですね。

村上:LinkedInカルチャーのトップにあるのは、「トランスフォーメーション」なんですよ。時代は変化していく中で、自分たちも変化していかないと良いサービスなんて提供できない。常に今がベスト、なんて一回も思ったことないです。よりよく、よりよく、と自分たちの「変革」を真剣に考え続けています。だから変な話、ウチからの転職も応援するんですよ。もちろんマネージャーとしては辛いんですけど、本人の「トランスフォーメーション」の中にキャリアチェンジは含まれているので、「いいチャレンジだ、いってこい」と応援することにしています。あと、そういう人は一皮むけて戻ってきたりもしますしね。

―石谷さんは、LinkedInのこれからについてどうお考えですか?

石谷:今リンクトイン・ジャパンはかなり面白い時期で、成長している真っ最中なんです。組織って一度大きくなると、ビジネスがダメにならない限り小さくはならない。なので、この時期は二度とないんです。幼少期だからこそあるわくわく感、みたいなものですかね。ビジネスが成長していく過程を目の当たりにできているのは楽しいです。でも、組織が大きくなっていくと、当然色んな人が増えていくわけで。その中でトランスフォーメーションを続けながらカルチャーを保っていけるのか、というのは面白いチャレンジだと思ってます。

アライステッカーの貼られた村上さんのPC
村上さんのPCにはLinkdinを含む様々な企業のアライステッカーが

LinkedInの求める人材~求職者必見!~

―では最後に、LinkedInとして「こんな人に来てほしい」というのを教えてください。

村上:今は即戦力の経験者採用に力を入れています。営業・ライターなど全方位的に募集しています。今に限れば、バイリンガルの人しか募集はしていないんですけど、うん、やっぱり英語はやっといて損ないよ、っていうのは求職者に言っておきたいですね。その分チャンスが増えるので。英語話者の市場における価値はまだあるんで、もうひと頑張りした方がいいですね……あ、これは自分に言い聞かせてます。シンガポール英語、インド英語みたいに、英語自体も多様なので……留学しておけばよかったなあ(笑)。

―ありがとうございました!

*本記事は、実際のインタビューの内容を基にして再構成しています。

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