働きやすい職場をつくるのは、自分自身【LGBT就活・転職ガイド 8-1】
LGBT新入社員、転職者の入社後の不安
入社を控えた学生や転職者は、新しい環境で新しい仕事をスタートすることに期待を寄せつつも、誰しも少なからず不安に思う気持ちを抱えていることと思います。
特に「職場に馴染めるか」という人間関係や職場の雰囲気に関する不安は、「仕事で成果を出せるか」といった仕事内容に関すること以上に、LGBT当事者にとって大きな悩みの種となることがあります。
新卒学生にとっては、同期との出会いは今後の社会人人生にとって大きな宝になるかもしれないという期待もあることと思います。それゆえ、どんな人がいるのかは大きな問題ですし、プライベートや将来の話題になりやすく、自分をどう開示していくか悩む部分でしょう。
一方、転職者はアウェーな状況へ飛び込むうえで、自分をどう見せていくかやプライベートをどこまで共有するか、これまでの職場での経験を踏まえての不安もあるでしょう。
カミングアウトをするかどうかは、せっかくの新天地だからこそ、重要な問題です。また、LGBTに対する偏見や無配慮な言葉が飛び交う職場であれば、その言葉にストレスを感じるだけでなく、転職の文字が頭によぎるでしょう。そんなときどうやってモチベーションを保てばいいか悩ましいところです。
他にも、トランスジェンダーの方であれば、「性別適合手術をするためにいつか退職しなくてはいけないから、それまでは自分を偽ってお金を貯めよう」とすでに転職を見据えている人もいます。同性パートナーとの生活をずっと守れるような安心がある職場であるかどうかも、長く働くためには重要な問題です。
職場に対して受け身になりすぎず、会社をつくる側の視点を持って
虹色ダイバーシティの調査によると、入社後3年以内に離職するLGBTは6割にものぼるという結果が出ています。セクシュアルマジョリティも含む入社3年以内の新入社員の離職率は3割程度であることと比べると、2倍の離職率です。
この事実を受け止めたうえで入社するみなさんに伝えたいことは、だから「受け入れてもらいやすいLGBTフレンドリーな企業に勤めることをおすすめしたい」ではなく、入社後、自分らしく働ける職場環境・働き方を主体的につくりあげていってほしいということです。
困難にぶつかったときの対処方法は3つ。「環境を変えるか」「環境に適合するか」「自分を変えるか」。この3つの角度から今とりうる行動を考え、優先順位をつけて実行することが大切です。
もしあなたが今の状況を誰かが変えてくれることをただ願っているだけであれば、まずは「自分にできることはないか」というマインドを持つように「自分を変える」ことができます。そうすれば、あなたの理想を実現できるよう「環境を変える」ことは不可能ではありません。本章では「環境を変える」ためのヒントを紹介しますが、一番大切なのは、あなたには現状の困難を乗り越える力があるのだと信じられるようになることです。
Q.「私一人の取り組みで世の中がかわるのでしょうか?」
ある大手コーヒーチェーン店では、一人のアルバイト従業員の声をきっかけに、同性パートナーシップ制度が全社で導入されました。また、ある就活支援サイトを運営する企業では、LGBTとして入社した新入社員の取り組みによって、求職者がサイト登録時に記入する性別欄に、「その他」の項目が加えられました。
これらはほんの一例に過ぎません。入社後すぐに会社を変える取り組みを行うことは難しいと思いますが、こうしたひとつのアクションが自分の働き方にとどまらず、後輩たちや他の企業、やがて社会を変える一助となる可能性があるということを心に留めておいてもらえたらと思います。
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