企業で働くLGBTQ+の職場課題とは?【働く当事者監修】
「企業はLGBTフレンドリーな方がいい」とはわかっているものの、自分の職場はLGBTフレンドリーなのか/実際のところ誰がどのように困っているのかイマイチわからない……なんてこと、ありませんか?
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実は、求職者のうちレズビアン・ゲイ・バイセクシュアルの方は44%、トランスジェンダーの方は70%が、自らの性のあり方に関して困難を感じています。
非当事者のうち、性のあり方に関して困難を感じる方は6%ですから、この差はかなりのもの。では、具体的にどのような点で困難を感じるのでしょうか。
求職者の悩み・不安
好きになる性について
好きになる性(性的指向)に関する求職者の悩み・不安として、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルの方を中心に以下のようなものがあります。
- 面接で結婚や出産の予定について聞かれる
- 「面接でカミングアウトすると選考で不利になるかもしれないから、自己アピールしにくい」
- 「入社後に差別や嘲笑の対象になるかもしれない」
こころの性について
こころの性(性自認)に関する求職者の悩み・不安として、トランスジェンダーやXジェンダーの方を中心にこういったものがあります。
- 履歴書で性別を選択しなくてはならない
- 面接でのスーツやスカートの着用
- 面接での差別的言動や誤解
- 「カミングアウトすれば、内定を取り消されるかもしれない」
- 「入社しても、給与や待遇で差別されるかもしれない」
実際の声
上記を見た時に「え?本当にこんなことあるの?」と思われたかもしれません。
しかし、JobRainbowが2018年に実施した調査では以下のような声がありました。
「『そういう、精神に問題がある方はちょっと』と言われた」
(20代/レズビアン)
「新卒の面接でカミングアウトした際に、『来なくていい』と言われた」
(20代/ゲイ)
「身体の状態がどうなっているか等、細かく聞かれた」
(20代/MtF バイセクシュアル)
「レディーススーツを着用しただけで不採用という扱いを受けた」
(20代/MtF)
「インターン中にホモネタで笑っていた社員さんがいた。その後、その人から『ここの会社の人たちは理解ある人ばかりだよ』と言われた」
(20代/FtM バイセクシュアル)
求職活動の段階で、こういったLGBTの方が排除されているようなケースがあります。
職場の課題
今まで、求職活動における課題と実際の声を紹介してきましたが、職場の課題にはどういったものがあるのでしょうか。代表的な例を3つご紹介します。
いじめ・からかい・相談窓口がない
「『そういう普通じゃない人はなかなか正社員にできない』と上司から言われた」
LGBTの方の約4割は、相談窓口の設置を希望しています。しかし実際にLGBTに配慮した相談窓口を設置している会社は、1割もありません。
自分のセクシュアリティに関していじめやからかいを受けたLGBTの方は、相談するにもカミングアウトする必要があります。しかし、安全にカミングアウトして相談できる窓口がなければ、一人で抱え込むほかありません。
差別的言動
「会社の途中で『あいつゲイっぽいよな』と笑いのネタにしている人がいた。私がレズビアンだとカミングアウトして相談した人も、一緒になって笑っていたので、裏切られた気持ちで泣きそうになった」
このように、たとえ当事者本人に向けられた差別的言動でなくとも、周囲の見えない当事者がそれに深く傷ついている可能性があります。
そのほかにも、
「男は結婚して一人前だからな!」
「○○さんは、本当は男なの?」
「○○さんって美人だからモテるんじゃない? 彼氏はいないの?」
といった、日常の些細な言動も、当事者のこころを少しずつ傷つけることがあります(これを、マイクロアグレッションといいます)。
このように、何を差別的な言動と捉えるかについては、LGBTの方とそうでない方との間でズレがあるために、知らぬ間に当事者を傷つけてしまうことがあります。
福利厚生の欠如
「パートナーがいても家族手当をもらえない。会社が保有する社宅や保健所もパートナーは利用できないなど、会社の福利厚生のあらゆるところで、同性パートナーが排除されていることに、不満が高まる」
(30代バイセクシュアル女性)
多くの会社には、家族手当や忌引などの福利厚生制度が設けられています。しかし、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルなどの場合、同性パートナーという理由だけで、それらの制度を使えない場合があります。
以上の「いじめ・からかい・相談窓口がない」「差別的言動」「福利厚生の欠如」といった例以外にも、LGBTの方は数々の困難を職場で感じています。
LGBTフレンドリーでない職場に起こる3つの問題
上記のような困難から、LGBTフレンドリーでない職場には次のような悪影響があります。
①生産性の低下
同僚や上司の差別的言動や会社の福利厚生不足などによって働きづらさが生まれている職場では、LGBTの方は安心して仕事に取り組めません。この生産性の低下は約30%と言われています。
②高い転職率
LGBT差別のない環境が整っていなければ、LGBTの方は苦痛に耐えかねて辞職したり、会社への帰属意識を持てず、よりよい環境を求めて転職してしまいます。その転職率はおよそ60%と言われています。
③勤続意欲の低下
LGBTの方の勤続意欲を最も低下させるのは、職場の差別的言動だと指摘されています。
差別的言動を見聞きした当事者は、その職場が自分に合っていない・長く勤めたくないと思ってしまうのです。
JobRainbowの「現在の職場で今後も働き続けたいと思うか?」という調査では、LGBTでない方は67%が肯定的な回答をしています。それに対して、トランスジェンダーの方は49%、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルなどの方は55%にまで低下しています。
おわりに
ここまで、LGBTフレンドリーでない企業にどんな課題があるのか、それによって求職者がどんな困難を抱えているかご紹介しました。
もし「うちの会社、当てはまっているかも……」と思われた人事担当者の方がいらっしゃいましたら、ぜひJobRainbowが提供する無料の「LGBTフレンドリー企業マニュアル」をご利用ください。
また、JobRainbowでは研修・コンサルティングも行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください!
参考
- 虹色ダイバーシティ『LGBTと職場環境に関するアンケート調査2016』
- JobRainbow「みんなの声を企業に届けよう!~LGBTと就職に関するアンケート~」
- 柳沢正和、村木真紀、後藤純一『職場のLGBT読本「ありのままの自分」で働ける環境を目指して』実務教育出版
- Vodafone,Out Now. LGBT+ First Job surve