慎重に見極めたい転職のメリット・デメリット【LGBT就活・転職ガイド 8-7】
転職するか、踏みとどまるか。一度立ち止まって考えよう
入社後3年以内に離職する新入社員は3割、LGBTに限定すると6割といわれています。理由はさまざま、「思い描いていた仕事と違った」「キャリアアップしたい」といった仕事内容にまつわる理由以外にも、「配属先がLGBTフレンドリーではなく馴染めない」「パートナーとの将来を考えて、同性パートナーシップがある企業へ転職したい」など、LGBTへの配慮がないことが転職理由になることも少なくありません。漠然と「今の職場にずっといることはできないだろうな」と感じている人もいるでしょう。
転職するか踏みとどまるか悩んだときは、現状の職場での悩み・課題は何か、転職によってどんな条件を実現したいかを整理してみましょう。
LGBTへの理解不足だけが問題であるならば、前項までを参考に、今の会社でできることも考えてみましょう。できることをやりきらないと、後悔に繋がることもあるからです。
ただ、転職を検討するほど悩んでいる場合には、カミングアウトを伴う行動をして傷ついたときのダメージも大きい可能性があります。転職活動を並行して、選択肢をいくつか持っておくのも手でしょう。
たとえばこんな事例がありました。仕事内容は合っているが、同性パートナーとの生活を隠して嘘をつき続けることに限界を感じ、転職しようと思っていたAさん。ようやく転職先の目処がたったところで上司に正直に理由を話しました。すると思いがけず理解をしてくれ、味方を得られたことで心が楽に。担当していたプロジェクトをやりきることを決め、少しずつカミングアウトをしながら現職を続けることにしました。
現状から逃げることだけを目的に転職すると、同じようなことになりかねない
よくいわれることですが、現状の不満だけを理由に転職した場合、転職先が今よりよい状況になるとも限りません。LGBTフレンドリーでないことを不満にLGBTフレンドリー企業に転職したとしても、人により理解の幅が違うのはもちろん、一緒に働く人とどのように人間関係を築いていくかは、あなた自身がどう自己開示していくかにもよリます。また、LGBTフレンドリーな職場で仕事としっかり向き合える環境になってみたら、実はあなた自身の仕事への姿勢が周りの人との関係悪化の原因だったと気づくこともあるでしょう。
また、日本では転職するほど年収が下がる傾向にあり、新卒の方が有利な立場になりやすいという側面もあります。一貫したキャリアではなく、現状から逃げることだけを目的に転職してしまうと、同じようなことの繰り返しになりかねません。
現状の課題だけでなく、今の会社で得られるメリットも冷静に考え、キャリアプラン・ライフプランとも照らし合わせ、転職する場合はその先のキャリアも長期的に見据えたうえで、決断することをおすすめします。
フリーランスという選択肢
独立してフリーランスとして働きたいと考えている人は、まずフリーランスとして生計を立てられる技量が備わっているかを見極めましょう。会社という肩書きがなくても仕事を受注できるスキルや人脈があるでしょうか。現状ではスキルが足りないと判断したら、安易にフリーランスを決断せず、今後の独立を視野にいれたうえで現在の会社でどれだけスキルを磨くか、転職する場合はどんな企業が最適か、市場における自分の価値はなにかといったことをもとにキャリアプランを見直すことをおすすめします。
人間関係のストレスを理由にフリーランスを選ぶLGBT当事者もいますが、フリーランスになっても顧客との人間関係は発生します。同僚や上司はいなくなったとしても、同業他社や営業先との人脈づくりにむしろ積極的にならなければならない可能性もあります。完全に人間関係を断ち切り働くことは不可能だということも、心に留めておきましょう。
Q. 仕事は合っているのですが、部署の雰囲気に馴染めず、人間関係ばかりが気になって仕事に集中できません。入社2年目ですが、LGBTフレンドリーな企業への転職を考えています。
あなたが新卒学生で、どうしても今の会社に未来が考えられないならば、第二新卒というカードが使えるうちに転職するのも一つの選択です。ただ、仕事内容が合っているのならば、安易な転職にならないよう、慎重に検討することをおすすめします。
たとえば数年後にLGBTフレンドリー、かつ自分のスキルを活かせる企業に転職するという新たな目標をたて、そのためには現状どんなスキルを磨いておけばキャリアアップにつながるのかを考えながら今の職場で仕事をしよう、とマインド面で「自分を変える」こともおすすめです。スキルや実績があれば、のちのち仕事も選びやすくなるからです。もちろん我慢はしすぎないでくださいね。
完璧な職場は、一生をかけてもそうそう出会えるものではないと思うので、理想を追い求めすぎず、バランスを考えて仕事選びをしてみてください。
POINT
- 転職する場合は、ゴールを長期的に見据えたうえで決断する
- 自分のスキルはなんなのか、市場で何が求められているか、キャリアプラン・ライフプランとも照らし合わせて考える
- 「LGBTのための就活・転職ガイド」をイラスト入りでわかりやすくまとめた書籍版『自分らしく働くLGBTの就活・転職の不安が解消する本』も発売中!
- LGBTフレンドリーな企業や求人を探したい方は、JobRainbowに会員登録!