LGBTQ+フレンドリーな病院や婦人科を探すために知っておきたいこと

ライター: JobRainbow編集部
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体調を崩したときや、婦人科系の検診を受けたいとき、多くの人にとって病院を選ぶことはそれほど難しいことではありません。しかし、性的マイノリティの当事者にとっては、事情が少し違うことがあります。問診票の性別欄にどう答えればよいのか分からない、パートナーのことを聞かれたときにどう説明すればよいのか、これまで受けてきた治療やホルモン剤について理解してもらえるのか、そうした不安から受診そのものをためらってしまう方もいます。


安心して医療機関にかかるのが難しい背景

体調に異変を感じていても「面倒な説明をするくらいなら我慢しよう」と考えてしまう方もいれば、実際に過去の受診で嫌な思いをした経験から、病院そのものを避けるようになってしまった方もいます。こうした受診控えは、本来であれば早期に見つけられたはずの病気の発見を遅らせてしまう可能性もあり、決して小さな問題ではありません。


数字で見る受診をめぐる厳しい現実

こうした不安は、決して一部の人だけが感じている大げさな話ではありません。認定NPO法人ReBitが実施した「LGBTQ医療福祉調査2023」では、LGBTQ当事者の約7割、トランスジェンダーの男性・女性については約8割が、セクシュアリティに関連した困難を医療サービスの利用時に経験したと回答しています。さらに深刻なのは、トランスジェンダーの42%が「体調が悪くても病院に行けなくなった」と答え、そのうちの25%が自殺念慮や自殺未遂を経験したと報告している点です(引用:ReBit「LGBTQ医療福祉調査2023」)。

体調不良を我慢することが、単なる不便では済まず、心身の深刻なリスクにまでつながっているという事実は、この問題が個人の心がけだけで解決できるものではなく、医療機関側の体制づくりが必要な社会的な課題であることを物語っています。

医療現場で実際に起きている困りごと

医師の側でも、LGBTQ当事者の診療に戸惑った経験を持つ人は少なくありません。医療情報サイトのケアネットが2023年12月に医師1,029人を対象に行った調査では、LGBTQ患者の診療で「困ったことがある」と回答した医師が16.3%にのぼりました。具体的な経験として、男性として申告していた患者の腹部CTで、放射線科が子宮を腫瘍と誤って読影し、精査を追加してしまったケースや、使用しているホルモン剤が体にどう影響するかを判断する材料がなかったケース、適切な紹介先が分からなかったケースなどが挙げられています。医師が最も懸念していたのはプライバシーの保護で、次いでトイレや病棟の割り当て、ホルモン療法にまつわる対応が課題として挙がりました(引用:ケアネット「LGBTQ患者の診療、困った経験は?/医師1,000人アンケート」)。

こうした調査結果からも分かるように、困りごとは患者側だけでなく、医療を提供する側にも存在しています。当事者にとって配慮が行き届いた病院を選ぶことは、単なる好みの問題ではなく、安心して必要な医療を受けられるかどうかに直結する、切実なテーマなのです。


医療機関に求められている具体的な配慮

では、当事者にとって受診しやすい医療機関とは、具体的にどのような配慮をしているところなのでしょうか。がん患者向けの情報を発信するサイトでは、LGBTQ+やSOGIEの患者への対応として、いくつかの具体的なポイントが紹介されています。

まず問診票については、性別欄を「女・男・自由記載、あるいはその他」のように複数の選択肢を用意し、患者を番号で呼び出すなどしてプライバシーに配慮することが望ましいとされています。パートナーの有無を確認する際も「結婚していますか」ではなく「一緒に住んでいる人はいますか」と尋ねる方が、婚姻関係にないパートナーも含めて把握しやすくなります。性交渉歴の確認においても、異性間の関係だけを前提にしないことが求められます。

面会や同意書への署名についても、患者本人の希望に沿うことを基本とし、パートナーシップ証明書や緊急連絡先カードを判断材料にする医療機関も増えてきています。院内着についても、色分けをやめて単色にする、あるいは自分で選べるようにするといった工夫や、トイレや更衣室を性別で分けず個室化するといった環境面の配慮も挙げられています(引用:がんと生活のこと「LGBTQ+/SOGIE:医療機関に求められる対応」)。こうした配慮がなされているかどうかは、実際に受診してみないと分からないことも多いのが実情です。

実際に工夫を重ねている医療機関の例

こうした課題に対して、独自の取り組みを行っている医療機関も出てきています。例えばある産婦人科では、トランスジェンダー当事者向けの外来を設け、カウンセリングを中心に、必要と判断された場合にはホルモン注射などの治療を行っています。特別な専門外来という形にせず、通常の診療時間帯に予約なしで受診できるようにすることで、通いやすさに配慮している点も特徴です。ホルモン注射についても、比較的手頃な費用で受けられるよう料金設定を工夫しているところもあります(引用:桜井産婦人科「トランスジェンダー外来」)。

このように、通院のハードルを下げる工夫は、専門的な設備を増やすことだけでなく、予約方法や診療時間、費用といった身近な部分から始められることが分かります。すべての医療機関がすぐに同じ対応を取れるわけではありませんが、こうした先行事例が増えていくことで、当事者が病院を選ぶ際の選択肢も少しずつ広がっていくはずです。


自分に合った医療機関を探す情報源

事前に情報を集める方法の一つとして、医療者向けにLGBTQに関する学びの機会を提供している団体を知っておくことが役立ちます。プライマリケアや家庭医療を専門とする医師たちが立ち上げた一般社団法人にじいろドクターズは、「LGBTQについて適切な知識と態度を学び、共に考える機会を提供する」ことを通じて、すべての人がその人らしく健康に暮らせる社会を目指して活動している団体です。コンサルティング事業や学習コースなどを通じて、医療従事者向けにLGBTQへの理解を広める取り組みを行っています(引用:にじいろドクターズ「私たちについて」)。こうした団体の発信をチェックしておくと、地域でLGBTQへの理解がある医療機関の情報にたどり着きやすくなることがあります。

そのほかにも、当事者コミュニティのSNSや口コミ、性的マイノリティ支援を行っているNPOの相談窓口などで、実際に受診した人の体験談を聞けることもあります。一人で探そうとせず、複数の情報源を組み合わせて探してみるとよいでしょう。


オンライン診療という選択肢

対面での受診に抵抗を感じる場合や、近くに理解のある医療機関が見つからない場合には、オンライン診療という選択肢も広がりつつあります。トランスジェンダー向けの診療を行う医療機関の中には、オンライン診療と対面診療を組み合わせたハイブリッドな形で対応しているところもあり、地方に住んでいて近くに専門的な医療機関がない方や、通院そのものに抵抗がある方でも、自宅からスマートフォンで相談できる仕組みが整ってきています(引用:東京GCクリニック)。ホルモン治療を継続している方が、これまでの治療内容を踏まえた診断書の作成をオンラインで依頼できるクリニックの例もあります(引用:女性医療クリニックLUNA「トランスジェンダー外来オンライン診療」)。

もちろん、症状によっては対面での診察や検査が必要になる場合もあるため、オンライン診療だけですべてが完結するわけではありません。ですが、最初の相談のハードルを下げる手段として、選択肢の一つに加えておく価値はあるでしょう。


受診時に自分でできる準備と伝え方

病院を選ぶ段階だけでなく、実際に受診するときの伝え方を工夫することでも、負担を減らせることがあります。初診の電話予約の際に、あらかじめ簡潔に事情を伝えておくと、当日の問診票の記入や説明がスムーズになる場合があります。すべてを詳しく説明する必要はなく、今の受診に関係のある範囲だけを伝えるということも、もちろん選んでよい選択肢です。

ホルモン療法を受けている場合は、使用している薬剤の名称や量をメモにして持参すると、初めて訪れる医療機関でも正確に伝わりやすくなります。パートナーに同席してほしい場合や、逆に一人で対応したい場合など、自分が安心できる形を事前に決めておくことも助けになります。不安なことがあれば、受診前に電話で確認しておくことも、決して失礼な行為ではありません。


誰もが安心して医療にアクセスできる社会へ

医療機関側の対応は、この数年で少しずつ変わってきていますが、地域や病院ごとの差はまだ大きいのが現状です。だからこそ、当事者自身が情報を集め、自分に合った医療機関を見つけていくための知識を持っておくことには意味があります。

体調の変化を我慢せず、必要なときに必要な医療を受けられることは、誰にとっても当たり前であるべきことです。JobRainbowでは、性的マイノリティであることを理由に働きづらさや暮らしにくさを感じることのない社会を目指し、就職や転職の支援を行っています。福利厚生としてLGBTQ+当事者向けの医療サポート制度を整えている企業を探す際にも、JobRainbowの求人サービスをぜひご利用ください。


参考

  1. ReBit「LGBTQ医療福祉調査2023」
  2. ケアネット「LGBTQ患者の診療、困った経験は?/医師1,000人アンケート」
  3. 桜井産婦人科「トランスジェンダー外来」
  4. 東京GCクリニック
  5. 女性医療クリニックLUNA「トランスジェンダー外来オンライン診療」
  6. がんと生活のこと「LGBTQ+/SOGIE:医療機関に求められる対応」
  7. にじいろドクターズ「私たちについて」

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