【差別ではない?】同性婚反対派の議論【解説してみた】

ライター: JobRainbow編集部
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LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーといわれる性的マイノリティの総称のひとつ)に関わる問題として、最近は同性婚がよく取り上げられます。

たとえば2015年6月、アメリカでは同性婚が憲法上の権利として認められました

台湾でも、2017年5月に「同性婚を認めないのは憲法違反」という判決が出ました。

日本においては、法的効力をほぼもたないものの、複数の自治体が「同性パートナーシップ制度」を作っています。

しかし他方で、

「同性婚には反対なんだけど、差別だと思われそうで言えない……」

「じぶんはLGBT(セクシュアル・マイノリティ)だけれど、同性婚に反対」

「LGBTに差別的ではないけれど、同性婚に反対」

と思っている方もいるかもしれません。

そこで今回は、同性婚に反対する議論をいくつか紹介します!

議論1:「伝統を破壊するから反対」

この立場は、「結婚はひとりの男性とひとりの女性でやるものと決まっている」という考えをもっています。

その理由はさまざまあるようですが、基本的に「それが自然だから」「今までそうだったから」といったものになります。

一般的に「それが自然だから」「今までそうだったから」という理由づけは「自然に訴える論証」「伝統に訴える論証」と呼ばれるように、論理的誤謬(誤り)だと言われています

そのため、この理由は同性婚に反対する論理的な理由になっていません。

ただし、この反対立場を「中立的ではない」と非難することは難しいかもしれません。

Justice: What’s the Right Thing to do?(『これからの「正義」の話をしよう』)でサンデル教授がこのように指摘しています。

同性婚賛成派は「平等」と「選択の自由」から同性婚を正しいと考えている。また、その正当化を「中立的」だとも考えている。しかし、「(同性婚が良いと捉える以上)結婚にどのような価値や目的を見出すか」「異性愛の関係と同性愛の関係を同価値に捉えるか」は、「中立」ではありえない、

つまり、「結婚は男女のものだ」という立場を批判するときに「中立性に欠ける」と述べるのは自己矛盾だというわけですね。

なお、この立場の場合でも、婚姻と同等の法的権利を認める「シビルユニオン」を作ることには賛成である(「同等だが差異ある制度」)という考え方を取ることもできます。

議論2:「少子化するから反対」

この立場は、「結婚制度の目的は子どもを作り、育てることにある」という考えをもちます。

もしこの考え方を一貫させる場合、「子どもを作り、育てない/できないカップル」(例:子どもを産まないと決めている・不妊症・高齢者・同性カップル)には結婚を認めない、という立場になります。

逆に言えば、もし「子どもを作り、育てない/できないカップル」が「子どもを作り、育てることができるようになった」場合(例:不妊治療、生物学的男性が妊娠できるようになる技術発展、代理母出産)、結婚を認める必要がある、と言えます。

その他、「同性愛者に異性愛を強制することで子どもを作らせることができる」という考えもあります。しかし、(1) 同性愛者に異性愛を強制する点、 (2)有効な少子化対策がほかにある点、などの問題点を指摘できます。

議論3:「結婚制度」自体に反対

この立場は、「人の合理的選択について、国は中立的であるべきだ」という考えをもちます。

結婚制度についていえば、今のところ、国が結婚制度を優遇・支えています。

たとえば日本では、結婚すると戸籍上に登録され、極めて信用性の高い身分証明書が手に入ります。その他、「配偶者の税金軽減(相続税の配偶者控除)」があります。

これを指して、「人が誰と愛し合うかについて、国が中立的ではない」と考えるわけです。

たとえ国が同性婚を認めても、依然としてほかの関係に価値を認めないことになります(たとえば、3人以上での結婚をすること=ポリガミー)。

したがって、ほんとうに自由・平等にもとづいて結婚を考えるならば、解決策は同性婚を認めることではなくなります。真の解決策は「結婚をすべて民間の団体に任せて、国は手を引く(制度をなくす)」、という形になるわけです。

(もしくは、合理的選択にもとづいた関係すべてに対して結婚を認める、という立場もあるかもしれません)

議論4:「異性愛文化への同化」に反対

この立場は、「”異性愛文化”に同化することに反対」と考えます。

どういうことでしょうか?

この立場の人は、LGBTが異性愛カップルとはちがう家族や愛の文化を作ってきたと考えます。そしてその「ちがう文化」も、「異性愛カップルの文化」と同じくらいに良いものだと考えています。

しかし同性婚を認めてもらうために、その「ちがう文化」を「異性愛カップルの文化」に合わせて行くことになります。そして同性婚が認められると、結局は「結婚している/していない」による分断が残ったままになる、と予想します。

この立場の人は、そのような「合わせて行く」ことに違和感や危機感を覚えるわけです(同時に、「異性婚のみがもつ特権は、結婚してないすべての人にも与えられるべきだ」という考えも持ち得ます)。

おわりに

荒野の間を通る道路の上に虹がかかる様子

以上のように、同性婚への反対が必ずしも差別ではないことがわかります。しかし、差別感情から同性婚に反対する立場があることも事実です。

他方で「むしろ結婚制度が差別だ」という考え方さえもあるように、同性婚反対派の意見もさまざまありますし、同性婚反対派の意見に賛成しつつも同性婚の象徴性を重んじて賛成するという考え方もあるでしょう。

これから同性婚の議論が盛り上がっていくかもしれませんが、同性婚に賛成する人も、同性婚に反対する人も、お互いが人間である、ということを忘れなければ、より良い議論ができるのではないでしょうか。

参考文献

「『同性婚と国民の権利』憲法学者・木村草太さんは指摘する。「本当に困っていることを、きちんと言えばいい」」

“Justice and the Common Good.” Justice: What’s the Right Thing to Do?, by Michael J. Sandel, Farrar, Straus and Giroux, 2010, pp. 244–269.

“Since when is marriage a path to liberation?” Paula Ettelbrick

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