プライド月間(Pride Month)とは?【日本・海外の動き、企業の取り組み】
6月は「プライド月間(Pride Month)」と呼ばれ、日本やアメリカなど世界各地でLGBTQ+の権利を啓発する活動・イベントが実施されます。今までは当事者団体による活動が多かったのですが、近年では企業や自治体も独自の活動・キャンペーンを行っています。
今回の記事では、
「どうして6月がプライド月間なの?」
「プライド月間って誰がどんなことしてるの?」
といった、「なんとなく今さら聞けない」プライド月間についての疑問にお答えします!
どうして6月がプライド月間なの?
なぜプライド月間は6月なのでしょうか。その起源は1969年まで遡ります。
1969年6月27日、LGBTがよく集まっていたニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」にて、不当な踏み込み捜査を行なった警察が客と衝突しました。これが「ストーンウォール事件」です。
実はストーンウォール事件以前にも、1966年にサンフランシスコで起きたコンプトンズ・カフェテリアの暴動(Compton’s Cafeteria Riot)などLGBTコミュニティによる抵抗はありましたが、このストーンウォール事件はアメリカで初めて全国的に報道された抵抗運動となりました。
また、事件を記念して1年後に行われたニューヨークのプライドパレードには2000人以上が参加し、こちらも『ニューヨークタイムズ』など多くのメディアが取り上げました。同様のイベントがニューヨークだけでなくシカゴやロサンゼルスでも行われ、ストーンウォール事件にちなんだプライドパレードはアメリカ各地、さらには世界の様々な都市に広がりました。
こうしてストーンウォール事件は「セクシュアルマイノリティの抵抗の象徴」となり、事件があった6月を「プライド月間」と呼ぶようになりました。
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プライド月間ってどんなことをするの?
前の章で触れたように、プライド月間はストーンウォール事件を記念したプライドパレードが各都市で行われます。
しかし、現在は当事者によるプライドパレードだけにとどまらず、企業・自治体がそれぞれ様々なキャンペーンを実施しています。
では、実際に行われている取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。2021年に行われている取り組みの一部をご紹介します。
日本
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社は、LGBTQ+に関する理解促進や啓発を目的とした活動「Walk Together with Pride」を実施しています。無料DLできる「お買いものパンダ」の塗り絵をレインボーフラッグに見立て、SNS上でシェアすることでパレード感を演出するオンラインプライドパレードに参加できます。
他にも、楽天「ラクマ」の商品梱包時に「楽天レインボーテープ」を使用するなど、可視化された取り組みの数々はまさに「パレード」さながら。
特設サイトはこちらからアクセス可能です!
渋谷109
多様性の象徴とも言える渋谷のランドマーク、「渋谷109」「マグネット バイ 渋谷109」は、「シブヤ・プライド・マンス(SHIBUYA PRIDE MONTH)」として6月18日からディズニーキャラクターに関連するアイテムを販売します。
ただアイテムを販売するだけでなく、性別にとらわれないスタイリングによるキャンペーンビジュアルの掲出、オンラインイベントの配信も予定されています。
TRUNK
渋谷神宮前の「TRUNK(HOTEL)」は等身大の社会貢献「ソーシャライジング」を掲げてており、プライド月間の6月には「PRIDE with TRUNK(HOTEL)」を開催します。期間中、TRUNK(LOUNGE)ではチャリティーモクテル・カクテルをそれぞれ2種類ずつ提供。ハイビスカス、ミント、バジルなどを使用した爽やかなテイストです。
この収益の一部は、NPO法人aktaを通じてHIV/AIDSの支援に充てられます。
大阪観光局
「多様性あふれる街」を目指す大阪観光局は、大阪の宿泊施設・レストラン・体験事業者等とともに、大関株式会社の「ワンカップレインボー」付きプランを販売します。
日本の観光局・DMO がプライド月間に LGBTQ キャンペーンやイベントを実施するのは初めてのことです。売り上げの一部は、毎年 10月に開催されている「レインボーフェスタ!」に寄付されます。
海外
LEGO
デンマークに本社を構えるLEGOは、セクシュアルマイノリティを象徴するミニフィギュア11体を含む「Everyone is Awesome(みんなサイコー!!)」を6月から発売しています。
自身もゲイをカミングアウトしているマシュー・アシュトンさんがデザインしたもので、LEGOの公式サイトではマシューさんがこのセットに懸ける思いを語っています。
もしあの時の私が、このセットをプレゼントされていたなら、誰かが私を支えてくれているとわかって、とても安心したことでしょう。「あなたを愛している、あなたを信じている、いつもあなたのそばにいる」、そう言ってくれる人がいると知って、心強く感じたと思います。
「私が「みんなサイコー!!」をデザインした理由 by マシュー・アシュトン」
だから、このセットはLGBTQIA+の当事者のためだけのものではありません。親、兄弟姉妹、友人、学校の友達、同僚など、思いを共有するすべての仲間たちのためのものでもあります。
カミングアウトできて、応援してくれる人もいた私は幸運でした。でも、現実には、多くの差別や憎しみ、暴力に直面している人たちがたくさんいます。このセットによって、必要としているすべての人に、少しでも愛と支援を示せればと思っています。
FOSSIL
遊び心あるデザインで知られるアメリカの時計ブランドFOSSILは、プライド月間を記念して「プライドコレクション」を発売します。
昨年もプライド月間に合わせて限定ウォッチを発売したFOSSIL。2021年のプライドコレクションは、ベストセラーの「ミニマリスト」デザインに、レインボーフラッグを彷彿とさせるインデックスを備えた40mmウォッチケース、10色の鮮やかなストラップ。カラフルなストラップは、トランスジェンダーフラッグ、レインボーフラッグの色合いを特徴とするリバーシブルカラーです。
コレクションの収益の一部は、LGBTQ+の若者の自殺対策と危機介入に取り組むアメリカの団体「THE TREVOR PROJECT」に寄付されます。
アメリカのPinterestは、画像・アイデア共有サービス「Pinterest」を運営しています。プライド月間には「Show Your True Colors(ありのままの自分を表現して)」というテーマで、LGBTQ+コミュニティやアライのクリエイターによるコンテンツを「Pinterest」のピックアップタブで紹介しています。
Spotify
スウェーデンのスポティファイ・テクノロジーが運営する音楽サービス「Spotify」は、「Claim Your Space(自分らしさを追求しよう)」をテーマに、プライド月間に合わせて10のオリジナルプレイリストを公開。音楽イベントを開催できない今だからこそ、いつでもどこでも楽しめるプレイリストで「自分らしくいられる安全な場所」を再現しています。
日本では、LGBTQQIA+のクリエイター陣としてkemioさんなどがキュレーションに参加しています。
おわりに
プライド月間は、起源こそLGBTQコミュニティの抵抗運動でした。しかし、今では当事者だけでなく個人や企業が主体となり、あの手この手で社会の意識を変えようと試みています。多様性を尊重し合える社会は、少しずつですが近づきつつあります。
私たちJobRainbowは、あなたが自分らしくいられる場所をよりスムーズに見つけられるよう、プライド月間だけでなく1年中、全力で企業活動を続けます。
コラムだけでなく、LGBTフレンドリーな企業の取り組みや求人情報も定期的に発信しますので、ぜひ今後ともチェックしてください!