【知っておくべき歴史的事件】LGBTの歴史を変えた事件 まとめ6選【日本・アメリカ】

ライター: JobRainbow編集部
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「オネエタレント」がテレビやSNSで活躍している今でもなお、いわれのない偏見や差別にさらされることの多いLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとった、セクシュアルマイノリティの総称)。過去には(それも昔といえるほど昔ではなく)偏見や差別によって、LGBTの人々が命を奪われた事件があります。それも、1度だけではなく、複数の事件が、複数の国で。

尊い命が、その人の尊厳が、偏見によって、差別によって、奪われた。そんな歴史を、私たちは忘れてはいけません。また、同時に、そういった事件をきっかけに、LGBTの権利が見直されていくことにも繋がってきました。

だからこそ、今回の記事では、日本・海外のLGBTの歴史を変えた事件をそれぞれまとめました。偏見や差別が生み出してきた歴史を知るために、当事者/非当事者にかかわらず、全ての方に一度目を通していただきたいです。

渋谷の人たち

LGBTの歴史を変えた事件・日本編

1. 府中青年の家事件(1990)

動くゲイとレズビアンの会(通称アカー、OCCUR)が、府中青年の家の利用を申し込んだ後、青年の家の職員臨席でアカーが同性愛者の人権を考える団体であると紹介すると、同宿の他団体から同性愛者を差別する嫌がらせが相次ぎました。その後も差別的言動が続いたため、アカーは善処を求めたのですが、青年の家職員が団体側の発言を許さない態度に出たため、アカー側は職員に抗議しました。

その後、アカーが再度の利用を青年の家に申し込んだところ、「青少年の健全な育成にとって、正しいとはいえない影響を与える」として利用を拒否され、東京都教育委員会も青年の家利用条例の「秩序を乱す恐れがあると認められる者」などとして今後の使用を認めない処分を決定しました。そのためアカーは、正当な理由によらない差別的な取り扱いであり人権侵害にあたるとして、青年の家が利用できなかったことによる損害賠償を求め提訴したのです。

結果はアカー側の勝訴。これにより、LGBTに対する東京都の不当な扱いが明らかになったと同時に、初めてLGBTの権利がきちんと認められたうえで行政に勝利したのです。

2. 新木場殺人事件(2000)

同性愛者の出会いの場として、まことしやかに噂されていた、新木場夢の島公園。ここで25歳の中野大輔容疑者と少年6人のグループに男性1人が襲われたこの事件。

この事件の何が卑劣か。警察の調べに対し、犯人グループは「ホモは警察に届けない」、「小遣い欲しさにホモ狩りをした」と供述しています。取り調べなどで不用意にカミングアウトを迫られたくないLGBTの心理を利用し、都合のいい「カモ」として見なしていることがよく分かります。

ただ、この事件があったおかげで、被害にあったLGBTがどうして被害を届け出ないのか、といった、LGBTを取り巻く事情がフォーカスされたという側面もあるでしょう。

3. 一橋アウティング事件(2015)

こちらの事件は記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。2015年4月、一橋大学法科大学院の男子学生Aさんが同級の男子学生Bさんに対し、LINEを介して「好きだ。付き合いたい」などとメッセージを送って恋愛感情を告白。その後Bさんは友人たちが見ているLINEグループに「お前がゲイであることを隠しておくのムリだ。ごめん(Aの実名)」と投稿し、許可を得ることなくAさんが同性愛者であることを第三者に暴露したのです。

相手の許可なくセクシュアリティを第三者に伝えることはアウティングと呼ばれる行為で、決して行ってはいけません。

その後Aさんは授業でBさんと同席するとパニック障害の発作を起こすなど、心身に変調をきたし心療内科を受診したところ不安神経症と診断。この間Aは法科大学院の教授や、大学のハラスメント相談室に相談をしたものの、大学はAの状態を把握していたうえで、特に対策を講じなかったのです。そして授業中にAさんはパニック発作を起こし、大学の保健センターで投薬などの処置を受けた後に保健センターを出て、大学構内のマーキュリータワー6階ベランダから転落。のちに死亡が確認され、投身自殺を図ったものとされました。

セクシュアリティがどれほど人のアイデンティティと密接にかかわっているか、そしてアウティングがどれほど当事者の心を傷つけるかが、人々に知れ渡った事件ともいえるかもしれません。

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どうでしょうか、日本国内だけでも痛ましい事件の数々に、思わず目を覆いたくなってしまいましたが、世界でももちろんこのような事件はあります。では、世界……とくに、LGBTフレンドリーなイメージのあるアメリカに目を向けていきましょう。

アメリカ国旗

LGBTの歴史を変えた事件・アメリカ編

1. ストーンウォール事件(1969)

当時、アメリカのほぼ全域で、同性間性交渉を禁止する法律(通称:ソドミー法)が適用されていました。成人間の同意に基づいていようとも、性交渉を持ったことが明らかになった同性愛者らは、罰金刑や自由刑を科せられ、性的指向を理由とした解雇も違法ではない、という時代でした。

そんな、LGBTに対する風当たりの強い社会情勢のなか、ゲイバー「ストーンウォール・イン」で事件は起きたのです。令状を手にストーンウォール・インを訪れた警察官が店員たちを逮捕したことに対し、同性愛者らが警察官に初めて抵抗したのです。どうして抵抗に踏み切ったかについての明確な理由は不明とされていますが、この抵抗運動は、歴史上初めてとなるLGBTによる公権力への明確な抵抗だと言えます。

2. ハーヴェイ・ミルク暗殺事件(1978)

ハーヴェイ・ミルク氏は、1977年、カリフォルニア州サンフランシスコ市の市会議員に当選し、アメリカで初の、ゲイであることを明らかにして立候補し選挙で選ばれた公職者となった人物。しかし、議員就任から1年も経たない1978年11月27日、議員のダン・ホワイト氏により、当時の市長であるジョージ・マスコーニ氏とともに、同市庁舎内で射殺されました。

着目すべきはこの事件の裁判です。ホモフォビア(同性愛嫌悪)による計画的犯行だという世論と裏腹に、ホワイト氏は計画的な殺意を否定し続け、結果その言い分が通り、宣告されたのはわずか7年の禁固刑。この評決に怒った同性愛者らが、サンフランシスコで広範囲にわたる暴動を起こしたのです。

ミルク氏の生きざまは二度にわたり映画化されているので、もっと詳しく知りたい方は、そちらを見てもよいかもしれません。

3. フロリダ銃乱射事件(2016)

フロリダ州オーランドのゲイナイトクラブで、男性が自動小銃を乱射した後、店内に立てこもったこの事件。約3時間後に特殊部隊が突入し、男性は射殺されましたが、これにより容疑者を含む50人が死亡し、53人が負傷しました。これは、銃乱射事件の被害としては当時アメリカの犯罪史上最悪のものでした。

こちらのナイトクラブには同性愛者が多数集うことを男性は知っており、日頃より男に同性愛者を嫌悪する発言が目立っていたため、ヘイトクライムである可能性を、男性の親族らが指摘しています。

LGBT先進国、なんて言われ方もするアメリカですが、その背景にはこのような権利をめぐる争いや、不当な扱いをされていた過去があったのですね。

おわりに

痛ましい事件の数々を見て、皆さんはどう感じたでしょうか。「しょうがない」「当然だ」と思いましたか? それとも、「こんなのおかしい」「理不尽だ」と思いましたか?

もちろん、受け取り方、感じ方は人それぞれだと思います。しかし、自分と同じ一つの命が、偏見によって、悪意によって、奪われてしまったという事実が、私は悔しいです。

こういった歴史が積み重なったうえで今があるのだということを忘れずに、先人たちが苦しみながら勝ち取ってきたものを消してしまわないよう、私たちはより自分らしい生き方を生きていく必要があるのではないでしょうか。

もっとこれらの事件について詳しく知りたい方は、参考リンクもチェックしてみてください。

引用・参考文献

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