ホモノーマティビティとは?【「LGBT内の差別」?フェムフォビアやバイフォビアと併せて紹介】

ライター: Takeshi
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近年、LGBTの社会的地位や差別などのトピックをニュースなどで耳にすることも多くなったと思います。ネットニュースなどでは、「LGBTコミュニティ」と「マジョリティ」という2つのグループに分けられることが多いと思いますが、実際はLGBTコミュニティ自体一枚岩ではなく多様です。この記事ではそんなLGBTコミュニティ内の格差やLGBT同士の差別に関する問題についてお話しします。

ホモノーマティビティ(Homonormativity)

天秤の画像

ホモノーマティビティ(Homonormativity)はLGBTコミュニティーで見られる社会特権、差別、格差を表す言葉として学者たちを中心に使われています。Homoはホモセクシュアル(同性愛)、Normativityは規範(〜であるべき)という意味があり、LGBTという”普通ではない”と差別されたマイノリティグループの中でまた”その中での普通”が作られ差別が起きるということを表します。

例えば、多くの場合「中流階級、シスジェンダー、白人のゲイ男性」と「労働階級、黒人のトランスジェンダーレズビアン女性」では同じ「LGBT」でも社会の中で格差があります。それはLGBTのアイディンティティが人種、性別、経済格差などの要素と相交わることから起きています。ゲイであることを抜いて考えた時、中流階級のシスジェンダー男性が最も社会特権を持っている為、LGBTコミュニティの規範となるのです。

2018年のデータではアメリカの当選したLGBT政治家の80%は白人で、トランスジェンダーは1.8%しか占めませんでした。白人の社会的特権はヘテロセクシュアル社会と比例しているということ、トランスジェンダーはホモセクシュアルなどよりも社会的困難が多いという格差があることがわかります。

人種、性別、経済格差などのカテゴリー以外にも、トランスジェンダーの女性の中でもシスジェンダーの女性に近い容姿であればあるほど(「パス度が高い」と表現されることもあります)、社会的に認められやすいなどの問題もあります。

このようなホモノーマティビティからさらに掘り下げた差別・格差をさらにご紹介していきます。

トランスフォビア・シスノーマティビティ(Transphobia・Cisnormativity)

トランスは主にトランスジェンダーを意味し、広義ではトランスヴェスタイトのように伝統的な性の定義を「越える(トランス)」人々を指します。そして、フォビアはホモフォビアと同様に嫌悪や忌避という意味があります。つまり、トランスフォビアはシスジェンダーでないものへの差別と嫌悪です。

LGBTの中でもトランスジェンダーはどんな性を好きになるかではなく自分の性の認識で、性表現(どの性として振る舞うか)などにも比較的影響しやすく、格差ができています。

トランスフォビアは社会全体的に深刻な問題ですが、これはLGBTコミュニティでも同様です。シスジェンダーのセクシュアルマイノリティから差別を受けた経験のあるトランスジェンダーの方も多いです。

トランスフォビアと共によく使われる単語の一つがシスノーマティビティです。シスノーマティビティはシスジェンダーが「普通」であるという規範で、これがトランスフォビアにつながっているとると言われています。

例えば、LGBTのコミュニティの中にはゲイでトランスジェンダーの方がいるにも関わらず、ゲイの男性はいつもシスジェンダーである、と推測をする人々は多いです。また、女性の権利の話をする際、トランスジェンダー女性を含めないことなどもシスノーマティビティによって起こってしまっています。

バイフォビア(Biphobia)

カップルがベットに潜り、お互いを見つめている様子

バイフォビアバイセクシュアルへの差別や偏見を表す言葉です。一般的にヘテロセクシュアルの視点から見た場合、バイフォビアには2つの要素があります。1つ目はホモフォビアと同様に同性愛への偏見、2つ目は男女両方と関係を持つことの可能性から不倫や浮気が多いという偏見です。

しかし、それ以外にもLGBTコミュニティ内でも差別を受けることが頻繁にあります。バイセクシュアルの人々が異性と付き合った場合、ゲイやレズビアンの人々よりマイノリティであることが明らかでないということから、反感を買ってしまうことがあります。バイセクシュアルの人々に対する差別はLGBTコミュニティ内でも軽視されてしまい、これ自体も問題です。

フェムフォビア(Femmephobia)

「フェム」とは女性もしくは女性らしさを意味しますが、この言葉いわゆる「フェミニンな男性」への差別・嫌悪を指します。「男性らしい女性」や「女性らしい男性」など、型にはまらないアイデンティティは差別されやすいですが、特に男性のフェミニニティ(Femininity/女性らしさ)は批判されがちな傾向にあります。

これはトキシック・マスキュリニティ(Toxic Masculinity/有害、過剰な男らしさ)が原因と言われています。この用語は「女性より有力であるべき」「男性は強い、かっこいい」といった「男性らしさ」が全ての男性に押し付けられていることを指します。男性優位の社会であるからこそ、男性へのプレッシャーがあると言えます。

フェムフォビアは主に男性が他の男性が「男らしくない」時に抱く嫌悪感で、ゲイコミュニティで近年問題になっています。欧米ではゲイ向けのデートアプリなどで「masc4masc(男らしい男を探す男らしい男)」や「No Fem (女々しいのは来るな)」と書いたプロフィールが多くなっていると話題になりました。

このゲイコミュニティのフェムフォビアの裏には「ゲイは男らしくない」というステレオタイプに対する集団的な自己否定があると言われています。差別の結果、「男性らしくない」ことを内在的に恥じるようになり、トキシック・マスキュリニティが顕著に見られるようになりました

ボトムシェイミング(Bottom-Shaming)

悩み頭をかかえる人の画像

ゲイコミュニティでは性行為の際に受け身をすることをボトム、アクティブな役割をトップと呼ぶ風習があります。全員ではないものの、トップ役とボトム役で人自体をカテゴライズすることも多いです。これがヘテロセクシュアルの人々がゲイには「男役」と「女役」があると勘違いする原因にもなっています。

シェイミングは「はずかしめる」という意味があり、ボトムシェイミングはゲイコミュニティ内で性行為の際に受け身となる人々への差別を指します。ゲイコミュニティでは「あいつ、ボトムっぽい」というのが揶揄の表現として使われることもあります。

これにも前述のトキシック・マスキュリニティが関連していて、トップの方がボトムより「男らしい」とされています。また、データがある訳ではないですが、インターネット上ではボトムの方が割合として多いと噂され、「ボトムばっかでトップ不足」というジョークもよく見られます。

しかし、最近ではボトムシェイミング以前にまず「ボトムとトップ」の考え自体に反対する人も多いです。この2つのカテゴリーに当てはまらない多数の人々や、性行為における好みでアイデンティティを確立されたくないというリベラルな考えもあるので、ボトムシェイミングも改善に向かっています。

おわりに

レインボーフラッグを笑顔でふる人の画像

長い間、差別に立ち向かってきたLGBTコミュニティですが、その中で差別や格差があるのはとても残念なことです。この記事では様々なLGBT同士での格差や差別をいくつか紹介しましたが、まだまだ問題はあります。LGBTの社会的地位の向上のみならず、誰もが自分らしくいられるコミュニティが求められています。

参考文献

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