PwCのLGBTへの取り組みインタビュー ~ダイバーシティ&インクルージョンを目指して~

ライター: JobRainbow編集部
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はじめに

PwCは世界四大会計事務所「Big4」の一つにも数えられるプロフェッショナルファーム。PwC Japanグループは、日本におけるPwCグローバルネットワークのメンバーファームの総称で、そのファームの一つがPwCコンサルティング合同会社です。現在日本でも急成長を遂げているこの会社では、ダイバーシティを促進するだけに留まらず、性別や年齢、国籍、経験、障害の有無などの垣根を超えた多彩な人材を長期的に維持し、互いに融合しあいながら活躍できる「インクルージョン」を促進する取り組みをしています。

そんなPwC JapanグループでLGBTに関する取り組みがスタートしたのは、最近のことだそう。今回は、ダイバーシティ&インクルージョン担当の武田さん、社内のLGBT当事者グループ代表の東田さん、その上司にあたる佐々木さん、採用を担当する阪根さんの4名にお話を伺いました!

※「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」とは…ダイバーシティは「多様性」、インクルージョンは「包含、含有」などを意味し、一人ひとり異なる存在として受け入れられ全体を構成する大切な一人としてその違いが生かされることを表します。

ダイバーシティ、そしてその先のインクルージョンへ

<さまざまな人たちが何も気にせず普通に働ける職場が自然とできている状態、それこそが当たり前>

D&I担当の武田さんが話している画像
D&I担当の武田さん

―「ダイバーシティ&インクルージョン」に力を入れているということですが、その中でLGBTの位置づけはどういったものでしょうか?

武田さん(以下敬称略):PwCは、グローバルネットワーク全体で「ダイバーシティ&インクルージョン」に取り組んでいます。その中でどの現地法人でも取り組んでいるのが、ジェンダーとナショナリティですね。それにプラスして、各国のダイバーシティの事情に応じて取り組む領域を設定しています。PwC Japanグループは今まで「障がい者」に対しての取り組みと、「ワークスタイル」の面で職員にとってさまざまな働き方ができるような取り組みをしてきました。「LGBT」はまさにこれから力を入れていこうという段階になっていますね。

―PwCでは世界的にもLGBTへの取り組みは進んでいるんでしょうか?

東田さん(以下敬称略):取り組む領域は各現地法人によって裁量が与えられていて、UK法人やオーストラリア法人は早い段階からLGBTに取り組んでいましたし、アメリカ法人では人種に注力していました。

―LGBTへの取り組みを始めるきっかけはありましたか?

武田:現在は「インクルージョン」に力を入れていきたいという方針があり、「インクルージョンカフェ」という社内セミナーを始めています。そこではダイバーシティにかかわる色々なトピックを扱っていこうということで、昨年、LGBTのセッションをしました。外部よりLGBTの当事者とその上司をゲストとして招き、LGBTについて学びました。

東田:私は入社して二日目に、PwC Japanグループの当時のD&I担当者に「LGBTの当事者ネットワークを創ってください」と直訴しに行ったんですね。でも当時はPwC Japanグループとしては障がい者雇用に注力している時期でしたので、一旦話が途切れたんですけれども、一年もしないうちにPwC JapanグループのD&Iチームがインクルージョンカフェの準備をしてくれました。

社会的にLGBTに対する意識が高まっていることもあり、このタイミングにLGBTへの取り組みを始められないかと思いました。ちょうど私たちが呼ぼうと思っていた外部ゲストを武田さんがたまたま呼んでいて、そこからPwC JapanグループのD&Iチームと職員が力を合わせて、一気に取り組みを進めて行った、というわけです。

―実際に働いている中で、ダイバーシティやインクルージョンを感じている点はありますか?

東田:ダイバーシティにしてもインクルージョンにしても、人事や経営者が職員に声をかけるのは当然ですが、実際にそれらが根付くかどうかは現場のリーダー次第だと思うんですね。例えば今までだと、ワーキングマザーの同僚が「○時以降は働けない」となった時にどうやって補っていくのか考え、チームとしてのサポートをしていく中で必然的に「インクルージョンとはこういうことじゃないか」と学びました。

私のチームでは、ワーキングマザーであろうがどんなジェンダーであろうが、そのように実際取り組んでいますし、取り組むからには否が応でも理解しなければならないという状況ですね。

佐々木さん(以下敬称略):私は元々海外のキャリアが長いこともあって、私からすると「ダイバーシティ&インクルージョン」って当たり前のことで、逆にそれがなぜ日本だと当たり前ではないのだろう?と思いますね。私のチームでは、女性比率も40%だし、外国人も何人もいるし、さまざまな世代の人がいる。そうしてみると、わざわざダイバーシティを意識する方がおかしくて、さまざまな人たちが何も気にせず普通に働ける職場が自然とできている状態、それこそが当たり前なんじゃないかと思っています。

武田:私からも付け加えるとすると、会社として大切にしている「Values(価値)」というのが五つあります。その「Values」の中にインクルーシブな観点が刻み込まれているのがPwCの良さとも言えますね。
PwC「行動規範‐PurposeとValuesの実践‐」

―LGBT以外のダイバーシティ推進では例えばどんな取り組みをされていますか?

阪根:PwC Japanグループでは、さまざまな障がいのあるメンバーがその特性を生かして活躍できる場を構築しています。その大きな軸となっているのが、障がい者アスリートの採用・支援プログラム「Challenged Athlete Program」による「デュアルキャリア(競技活動+職業活動)」の実現と、法人内のアウトソース可能な業務を請け負い、業務提供する、障がいのあるスタッフで構成された「Office Support Team」の強化です。

―ダイバーシティ&インクルージョンという点で、今後はどのような展望があるのでしょうか?

佐々木:LGBTに限りませんが人っていろいろな属性がありますよね。それを一部の人が自分のもつアイデンティティを出せずにストレスを感じたり、隠すために労力を使っているのだとしたら、とても勿体ないと思うんですよね。だからこそ職場では「ダイバーシティ&インクルージョン」は当たり前になって欲しくて。今はまだ過渡期だから、「女性比率が~」「外国人比率が~」という話をわざわざするのかもしれませんが、そういうことを語らなくてもいいようになっていきたいです。

東田:「女性だから」「外国人だから」「LGBTだから」というのは何の価値にもならないですよね。やっぱり私たちコンサルタントはクライアントあってのお仕事ですから、クライアントに価値を提供できるかが大事。そうなってくると、女性だろうが外国人だろうがLGBTだろうが、価値を出せる人は良いコンサルタントだと思います。

社内のLGBT当事者グループとアライネットワークについて

<当事者が声をあげるだけでなく上司や周りの非当事者がサポートすることで効果がある>

東田さんの上司 佐々木さんが話している画像
東田さんの上司 佐々木さん
身に付けているレインボーのストラップはアライ(LGBT当事者の支援者)を表す

―LGBTに関する取り組みが始まってから今まで、どのような活動をされてきましたか?

武田:まず最初に人事向けの研修。その基礎の部分はeラーニングで全職員が勉強できるようにしています。また、当事者グループとアライ(LGBT当事者の支援者)ネットワークができました。当事者ネットワークの方は現在10名を超え、アライネットワークも60名を超える規模になっています。このあとの予定としては、東京レインボープライドへの参加を予定しているという段階です。

―LGBT当事者のグループだけでなく、アライのネットワークを創る意義というのはどういうところだと感じていますか?

東田:これは女性の活躍推進についても言えることですが、当事者が声をあげるだけじゃだめなんですよね。周りの非当事者がサポートをすることで効果がある。まさにPwCがグローバルに取り組んでいる「HeForShe」の活動もそれに近いと思います。

※「HeForShe」…UN Womenによる、ジェンダー平等のための連帯運動。(PwCのHeForSheの特設サイトでは、「Gender IQ」のeラーニングが公開されており、性自認についても取り上げている。

佐々木:女性の問題を女性だけで解決しようとしても、難しい部分がどうしてもあって、周りも一緒にやっていかないといけない。今まで男性は当たり前に昇進してきましたが、当たり前になっている人がそうでない人たちやマイノリティをしっかり理解していくようにすること、それが大事な活動だと思っています。

元々「HeForShe」の活動も最終形は「MeForYou」だという風に考えています。属性とか関係なく色々な価値観があるので、違いを認め合って、そのうえで意見を合わせていくことを当たり前にしていく方がいい。それを成し遂げていくためには、当事者たちが声を挙げなくても周りからサポートするのが大事だと思っています。今は「LGBTとアライ」「男性と女性」というような対立軸がありますが、最終的には「私とあなた」の話になるし、それが普通になっていけばいいなと思いながら活動しています。

東田:アライネットワークもまさにこの「HeForShe」と同じ流れからきていますね。やはり当事者たちだけでやっても途中で力尽きてしまうし、周りの人がサポートしてあげることで最終的にそれがLGBT当事者のキャリア形成を助けていくことができればと思っています。

武田:大事にしたいポイントとして「アライが見えている」「可視化されている」という点もあります。そこからアライのシールも作りました。インクルージョンと言っても、目には見えなかったりするので、そこを示す手段として、シールを作ることにしたんです。シールには「Be yourself. Be different.」と書かれているんですが、「自分らしくあっていいし、それが人と違っていい」というところがいいなと思っています。

東田:人種などと違って、LGBTって目に見えないことですからね。周りが気付かないうちに悩んでいたりストレスを溜めていたりしていて、知らないうちに退職していた、ということがないように周りのサポーターを可視化していって、なにかあったときに相談できる環境があるのは大事かと思っています。

LGBT当事者グループの代表をしていると、社内でもセクシュアリティを一部の人にカミングアウトしている若い職員たちがいるんですね。カミングアウトする相手をどうやって選んだのか訊くと、やはりアライのシールを付けていたりとか、あるいは「私、友達にゲイの子がいるんだよね」という話をごく普通の会話の中でしてくれた時に、「あ、この人だったら言って大丈夫なんだ」という精神的な安心感を覚えるらしいんです。

普段からダイバーシティが当たり前という行動が根付いているのが理想だけど、その行動に現れる前にシールなどで視覚化していくというのが大事じゃないかなと思いますね。

―グループやネットワークを創設するうえで苦労したことはありませんでしたか?

東田:立ち上げ自体は、佐々木やD&Iチームのサポートもあって拍子抜けするほど良い調子で進みましたね。でも当事者グループとしては、アウティングの心配がある人もいると思います。当事者グループは現在10人以上集まりましたが、中には「様子を見させてください」という方もいますし、「加わりますが、メールなどの人の目に触れるコミュニケーションは全てBCCにしてください」という方もいて、それぞれ異なる関わり方です。

LGBTの中でもいろいろな価値観をもつ人がいるので、私のようにガンガン表立ってやっていく人もいれば、傍観者として加わりたい人もいる。それぞれが一番心地よく参加できるようなオプションを用意するというのが、代表として意識しているところですね。

武田:私は、「アライネットワーク立ち上げます!」って言った時にすんなりと人が集まるのかっていうのが少し心配でしたが、実際はすぐに50名以上集まってくれて。

やはり社内にはインクルーシブな人が多いなと感じますし、個人個人が自分たちがやりたいという想いで集まってくれています。人事やD&Iチームから職員に向けて「これやってください」と言わなくても、自発的にやってくれようとする姿勢はすごくよいなと思いますね。

―LGBTに関する取り組みは職員からも自発的に行われているという点で、ボトムアップ的側面があるのですね。

東田:こんなこと言ってしまうと人事に申し訳ないんですけども、ダイバーシティへの取り組みを人事だけが主導しているということ自体も変えていかなければいかないと思うんですよ(笑)。

人事が「あれをやりなさい、これをやりなさい」と言って、チームのリーダーが「こう言われているから研修受けなさい」と言うような状況じゃ、ダイバーシティもインクルーシブも根付かないと思うんです。

PwC Japanグループでユニークなのは、人事以外からも突発的に動きが生まれることが起こるところですね。

武田:そのうち私のいるD&Iチームはいらなくなる、ということですね(笑)。でも本当にそういう形を目指し、今は私たちが水をやって、皆さん自身が芽を出していって活動していってくれるのを目指しています。

―LGBT以外も関係なく、みんなが自発的に活動を拡げていくという雰囲気なのでしょうか?

武田:まだ「インクルージョンカフェ」などの取り組み自体は、始めたばかりではあります。元々インクルーシブな気持ちを持っている人たちが社内に多くいると感じていて、少しのきっかけでLGBTで芽が出る人もいれば、ジェンダーやナショナリティの取り組みで芽が出る人もいると思います。

佐々木:トップダウンだけでやってもあまり意味がないと感じるんですね。結局社内全体に届かなくて。トップダウンだけじゃだめだし、勿論ボトムアップだけでもだめだし。両方が上手く動いて接点を見つけた時に効果が最大化されると思っています。

ただ、職員からのボトムアップはどうしてもボランティアになってしまう面があるんですよね。本業のコンサルティングと両立して、どう時間を捻出できるかは大きなチャレンジです。その意味でも自発性だけでなく職場の上司や同僚の理解が重要です。

武田:今ボランティアという話が出ましたが、人事の阪根さんもアライネットワークに所属しているんですよね。本業は人事なんですが、一方でアライネットワークにも入っていて採用の面でもLGBTへの取り組みをしていたりするんです。クライアントへのサービスも同じように、本業のコンサルティングに繋がって価値を提供してくれたりするのだと思います。

LGBT当事者グループ代表の東田さんが話している画像
LGBT当事者グループ代表の東田さん

―LGBTグループやアライネットワークが発足した前と後で、なにか変化を感じる点はありますか?

東田:そうですね、ほとんどないです。
少なくとも私自身とその周りの人間は元々ダイバーシティを尊重していたし、「クライアントに価値を提供する」というのが社内での正義だという文化が根付いていたので、自分がゲイだからということで働きにくさを感じたことはありませんでした。

でも少し変わったなと思うのは、周りを見回した時にアライステッカーなどをパソコンに貼っている人が増えたりだとか、たまたま向かいに座っていた社員がごく自然にLGBTの話をしていたりだとか。グループやネットワークの立ち上げのことは全職員にアナウンスされていますから、ひとつのきっかけにはなったんじゃないかと思っています。

佐々木:取り組みを進めるうえで、LGBTに対して感度が高い人たちは自然と集まってくるんですよ。でも問題なのは感度が低い人なんですよね。でもグループやアライネットワークが可視化されて出てきているというのは、彼らにとってインパクトがあるのではないかと思います。少なくとも、LGBTに関するメッセージは今まで出てきていなかったので、「ああ始まったんだな」という認知が広まっているのは間違いないかと思いますね。

―今後はTRPなどの参加を検討されているとのことですが、グループとアライネットワークとの繋がりなども生かしてなにかをしていく展望などはありますか?

東田:私は当事者グループでメンバーに対し「このグループは仲良しグループでもないし、愚痴を言う場でもない。このグループはお互いのキャリア形成や自分のPwC Japanグループにおける目標を達成するためのネットワークなんだよ」というようなことを伝えています。そしてアライネットワークに対しても、「これはLGBTに対してフレンドリーになることが目的なのではない。周りのサポートの役割が課せられていると自覚して、具体的なアクションを起こすことが求められている」という風に言っています。

自分は当事者グループにもアライネットワークにも関わっているのですが、最初の目標は「活動を形骸化させない」ということだと思います。なんとなく月一で会いましたとか、課題を話し合いました、というだけで終わるのではなくて、これを契機に当事者がPwC Japanグループでどんどんキャリアを築いていって、周りの人もLGBTをきっかけにインクルーシブな意識を醸成し、会社全体として社員がお互いにお互いのキャリアを支え合う、というような文化が作れたらなと思っています。

武田:アライネットワークのメンバーが「私はこれをやりたい」と自主的に言ってくれることをサポートしていくような形になっていってくれることを目指しています。そしてその動きが広まり、ネットワークの人も増えていったら良いなと思っています。

LGBT当事者目線でのPwC

<セクシュアリティは誕生月や血液型と同じような属性!?>

―東田さんは実際に社内でLGBTであることをオープンにしているということですが、カミングアウトしようと思ったきっかけはありますか?

東田:単純に、私が仕事をしやすくするためにオープンにしたかったから。
どうしてもコンサルティングの仕事ってチームでやることが多いので、仲間のバックグラウンドや価値観を分かっていないと、チームのパフォーマンスが最大化できないんですよね。自分がどんな人であるのか正直に言うことが、相手にとっても働きやすさに繋がるんじゃないかと思っています。

―なるほど。実際にカミングアウトを一番最初にしたのはどういう時でしたか?

東田:私は実はカミングアウトをしたことがなくて。セクシュアリティって、私にとっては「七月生まれです」「A型です」と同じレベルの属性でしかないので、特別に「LGBTの東田です」なんていうことはないわけです。だって、訊かれるまで自分が何月生まれだとか何型かって別に言わないですよね。それと同じ感覚なので。例えばチームのメンバーに「東田さんってゲイなんですか?」と訊かれたことがあるんですが、その時は普通に「そうだよ」と言いました。ぼくに言わせれば、「だからなに?何か不都合なことでもあるの?」という感じなんですよ。

―実際に周りの方と誕生日や血液型と同じように、恋人の話をしたりする時、周りからどんな反応を受けたりしますか?

東田:よく飲み会の場なんかで「彼氏いるの」「彼女いるの」と聞いてくる人いると思うんですけど、結局「だからなに?」ということに繋がるんですよね。彼氏いるから何なの、彼氏がいることによって何か仕事に影響があるんですか?ということの方が私は気になっちゃいます。だから私が普段チームメンバーと話しているときは「彼女いるの」「彼氏いるの」という話にそもそもならないですね。

―ある意味、理想的ですね。「彼氏/彼女いないの」という話題は当事者の悩みの声として上がることが多いです。面接の場でも「結婚する気があるのか」などということを訊く企業もあると聞きます。

阪根さん(以下敬称略):採用の時にも、そういった失礼になる質問とか意味のない質問は絶対にしませんね。
もし求職者の方たちがご自身から採用の場で言われた場合には、「LGBTアライネットワークがあります」とか「当事者グループがあります」などといった、多様性としての受け入れ環境があるという話はします。でもこちらからそういった話を持ち掛けることはないですね。
性別の記入欄も、当社としては応募システムの性別欄を必須項目にしていません。

PwC Japanグループで働くということ

<大事なのは価値観。価値観が共鳴する人にはどんどん来て欲しい>

人事担当の阪根さんが話している画像
人事担当の阪根さん

―採用の面で、実際にセクシュアリティに繋がるような質問はないとのことですが、その他に採用の際に気をつけていること、配慮などはありますか?

阪根:多様性を尊重する会社であることを、あえて人事面談などで伝えるようにはしています。私たちからすると当たり前のことですが、求職者の方からすると、どんな環境なのか分からなかったりするのでこちらから制度や環境、カルチャーについてご紹介するようにしていますね。

例えば出張をすることがあるときに、「ご家庭の事情などで出張に制限はありますか」と聞くことがあるんですが、特に男性にはすごく驚かれるんです。でも最近はワーキングペアレンツも増えてきていますよね。そういった質問を面接の場ですることで、自然と当社が様々な働き方を受け入れる環境があるという事を知ってもらうことにも繋がるかと思います。

東田:男性もみんながみんなバリバリ働きたいって人じゃないですし、女性のなかでもバリバリ働きたい人もいれば、ゆるく働きたい人もいる。既に男性で育休を取っているメンバーもいますし、これから育休に入りますっていう人もいます。

制度として人事が用意していることも大事ですが、それを使いやすいような環境にするということも大事だと思います。一番重要なのはリーダーの行動が伴っているかだと思っているんですよね。

―PwC Japanグループが求める人材像はどのような人なのでしょうか。

阪根:コンサルティングのご経験者も募集していますし、未経験の方でも研修制度がしっかり整ってますのでウェルカムです。いろんなバックグラウンドや業界経験のある方がご入社されますし、みなさんの経験に応じてご提案できるポジションがあると思います。

佐々木:PwC Japanグループにはいろいろな専門性が必要なので、共通化して「こういう人」というのはなかなか言えないですね。ただ私が大事だと思うのは、価値観です。

PwCって圧倒的に自由闊達だし、部署を超えた連携とかもあったりして、いろいろなことができちゃう風土でやっているので、「私はガチガチに縛られながら仕事したいです」っていう人には長続きしないと思っています。会社のPurpose(目的)や、Values&Behavior(価値と行動)などを聞いた時に、価値観が共鳴する人にはどんどん来て欲しいなって思います。

東田:私は学生から「LGBTフレンドリーな企業ってどうですか?」って訊かれたりすることがあるんですね。もちろん「LGBTフレンドリーな企業で働きたい」という気持ちも分かるんですけど、「会社がなにをしてくれるか」という姿勢だったらいつまで経ってもキャリアとして成功しないと思うんです。

「自分が会社に対してなにをできるか」「自分が会社の先にいるクライアントに対してなにができるか」ということが大事で、LGBTの当事者グループはなかったら作ればいいっていう話だと思うんです。「自分が会社を変えていくんだ、クライアントを変えていくんだ、社会を変えていくんだ」っていうマインドの人じゃないと、結局会社を辞めてしまうという結果になるんじゃないかなと思います。

―最後に、求職者の方にメッセージをお願いします。

武田:東田さんみたいな人々を私たちは全面的にサポートしていこうと、よりインクルーシブな風土を作っていけるように動いています。決して全部できていますというつもりはありませんし、まだ始めたところなのですが、LGBTに関しては職員の皆さんの意識変革やインフラ面で必要なことはどんどん進めて行こうと思っています。オポチュニティ(機会)はたくさんある会社なので、どんどんチャレンジしてほしいなと思います。

東田:自分がなにをやりたいか、どうなりたいかを明確にしてください。やっぱり、自分がなにをしたいのか、どうなりたいのかが分からないままだと、どういう組織に身を置けばいいのかも分からないまま転職を繰り返したりしてしまうと思うんです。だからまずは、「会社がなにをしてくれるか」じゃなくて「自分がなにをしたいか」「自分がどうなりたいか」にきちんと向き合って、転職や就活に臨んでいただきたいなと思います。

佐々木:私は「インクルーシブ」っていうのがキーワードだと思っていて、そういうところで働きたい人には来てほしいです。色々な人がいるから、色々な価値観を持った人が集まっている中で新しいことをできます。そんな会社の価値観に共鳴する人はどんどん応募してほしいなって思います。

阪根:当社は色々な価値観を受け入れ尊重する会社ですので、そういったところでのびのびと働きたい、クライアントに対して課題を解決し、社会に価値を与えたいという気持ちがあれば、LGBTの方もそうでない方も、どんな属性の方もウェルカムです。「人種のるつぼ」とか「モザイク」といったように、PwCは「人材のるつぼ」と言えるようなさまざまなプロフェッショナルが集まった会社です。性別もさまざまですが、いろいろなバックグラウンドをもつ方やさまざまなライフイベントを迎えている方など、色々な方たちが会社にいます。コンサルティングというお仕事に興味のある方はぜひ話を聞きにきていただきたいと思います。

―ありがとうございました!

おわりに

今回は4名もの社員の方から、そしてそれぞれ異なる立場からのお話を伺える大変贅沢なインタビューとなりました。
さまざまな人が集まって一人ひとりの個性が生かされている職場であるからこそ、世界的にも数少ない大企業として存在しているのではないでしょうか。
PwC Japanグループのようにダイバーシティ&インクルージョンに力を入れている企業が増え、LGBTもそうでない人も関係なく活躍できる社会になってほしいですね!

*本記事は、実際のインタビューの内容を基にして再構成しています。

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