SBモバイルサービスのLGBT採用〜当事者社員にもインタビュー!ほんとうにLGBTが笑顔で働ける職場がここにある

ライター: JobRainbow編集部
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はじめに

2014年1月に設立されたSBモバイルサービス株式会社は、2018年5月よりichoose(現JobRainbow)を利用して、LGBTの方へ向けた採用広報に取り組んでいます。

LGBTが就職で不利になっている、というニュースを聞いてから、SBモバイルサービスの採用担当者たちは、半ば信じられない気持ちで、LGBTの人たちがどんな風に苦しんでいるのかを調べるようになりました。
すると、ある大手企業に勤めている当事者が、仕事の時に自分で正直でいられないことを苦に辞職し、給与の安い他の仕事に就いたことを知ったそうです。
仕事のできる優秀な人材が、自分の思うような姿で過ごせないことで苦しんでいる……。そんなことが当たり前に起こっているのはおかしい。そう思い、LGBTの方が安心して勤務できる環境づくりと採用広報に力を入れるようになりました。

今回は、そんなSBモバイルサービスの東京ケアセンターの大塚さん、実際に採用され、8月より働いている下村さん、Sさんにお話を伺ってきました。

※こちらの記事は、2018年10月に行われたインタビューをもとにしております。
※本記事でいう「LGBT採用」とは「LGBTを含む性的マイノリティの方が安心して勤務できる環境づくりと採用広報」を意味します。LGBTの方とそうでない方を区別したり採用において取り扱いを変えるものではありません。

採用担当者「準備は足りているのか…不安を抱きながらのスタートでした」

大塚さんが話している画像

そもそものきっかけは、弊社のサポートセンターがある東京センター拡大に向けての採用戦略検討でした。親会社のソフトバンクもダイバーシティを強化し始めていたこともあり、弊社でも色々な人がはたらきやすい場所を作るにはどうしたらいいだろうという話し合いが積極的に行われるようになりました。
そんな時、担当の一人から「LGBTの方の採用に力を入れたい」と相談があったんです。

何人ものLGBTの人たちが、自分のセクシュアリティを隠すことでストレスを感じ、仕事を辞めている。その状況を解決できれば、弊社センターの拡大と当事者の方への職場提供の両方を実現できる。と考え、勉強と受け入れ態勢の確認を始めました。
検討を始めてみましたが、やはり社内からはまだ時期尚早なのでは、と不安視する声も多くあがりました。

それでもまずは当事者の人たちと会ってみないと、本当に必要なことはわからない。もちろんすでに社内に当事者の人たちはいるだろうし。
なにより現場としてのLGBTの人たちにメッセージを発信したい、という強い思いで社内を説得することに、なんとか成功しました。

とはいえ、そんな手探りの状況で始めたLGBT採用は、私たちとしても少々の不安を抱きながらのスタートでした。
でも、そんな心配はいらなかったことが、当事者の人たちを採用して分かったんです。

休憩室で社員たちと当事者の人たちが楽しそうに話している。
お互いが困ったときには助け合って、支え合っている。
当事者の人たちが、「社内に友だちができた!」と笑顔で話してくれる。 

特別視するようなことではないんだと、採用を実施して改めて気づきました。

大塚さんが窓際のデスクのそばに佇んでいる画像

実際、当事者の方たちと一緒に仕事するようになると、実に真面目で実直な人が多いということが分かりました。弊社としても、そういう人たちが入ってくれることは業務の向上にもつながっています。

LGBT採用について、大々的に社内広報はしていませんが、社内各部の責任者たちには、LGBT当事者の方たちがどのようなことに悩んでお仕事をされているか、どういった対応が望ましいのかということを説明しています。
今回の拡大をきっかけにLGBTの方に向けた採用広報に踏み切ったことは正しかった! という評価を得たことで、その後のLGBT研修や、そのほかのハラスメント研修に対しても社内が協力的になりました。

少しずつ変わってきたからこそ、あえて言います。
当事者である、ないに関わらず、センターのメンバーに求めることは同じです。

責任感を持って、困っているお客様に丁寧な対応を心がけること。お客様をお待たせせず、一人でも多くの人の「困った」を解決し、よりよいサービスを提供するため、自分に何ができるのかを常に考えて自発的に行動すること。
そういう想像力を持って、仲間たちと一緒に働く姿勢のある方と一緒に仕事したいと思っています。

MtF当事者体験談〜「入社式で、カミングアウトすることは決めていました」

ソファーに座っている下村さんの画像

こんにちは、下村と申します。

大学時代、周りが就活を始めても、私自身は就活をしていませんでした。
社会人になると、「仕事に最適な服」として、男女で服装がはっきり分かれるようになってしまう。男性として働きたくない私にとっては、それは苦痛でしかないことは分かっていました。
それに、こういう自分を一般企業が入れてくれるとも思えなかった。だから、大学を卒業してすぐは新宿のバーで働いていました。

ずっとバーで働こうと決めていたわけではなくて、お昼の仕事を将来的にはしたいとは前々から考えていました。
そのために、社会人として経験を積むことが必要だと思ったし、自分のように、セクシュアルマイノリティの人間を受け入れてくれる場所を見つける必要がありました。

ある日、ネットでそういう企業がないか調べていた 時、LGBT向けの就活支援があることを知りました。それが、ichooseだったんです。

その時はとにかく、LGBTに理解がある会社なんだったら、まず手当たり次第に会ってみようと思ってサイトを見ていました。

面接で採用担当者の人たちに会ったら、とても真剣に私たちの働き方について考えてくれているのが分かりました。それと同時に、他の人とおなじように見てくれていることも。

1. セクシュアリティを気にせずに話ができる喜び。 

下村さんが笑っている画像

入社式で、カミングアウトすることは決めていました。
少しずつ違和感を感じられてバレたら、きっとまた居づらくなる。なら、最初から言ってみようって。

正直ものすごく緊張しました。せっかく見つけた居場所がなくなったらどうしようって。でもそれは杞憂で、言ったからって会社の人たちの扱いが変わったりはしませんでした。
仕事で困ったらみんなが助けてくれるし、セクシュアリティが人と違うからって、変な言葉をかけられたりしない。

それに、カミングアウトした後でichoose経由で入社した他の仲間たちの中でもカミングアウトしていない人もこっそり私にカミングアウトしてくれました。
同じように不安に思っているからこそ、苦しくなりそうだったら相談しあえる。そういう人がそばにいるんだと思うだけで、本当に心強くて。

2. 仕事はすごく覚える事がいっぱい。でも、皆が助けてくれる。

下村さんが話を聞いている画像

私、覚えるのは得意なんですけど、覚えたことをちゃんと行動に移すのが苦手 で。
だから、研修を抜け出すのはすごく大変でした。

店舗のプロのスタッフが困っていることを解決しなくちゃいけない仕事なので、プロよりも確実で安心できる知識を身に着けて答えてあげなきゃいけない。それってものすごくハードルの高い仕事だと思うんです。
新しいサービスができたら、勉強会でやったことを全部覚えていなきゃいけない。昔のサービスをまだ使っているお客さんがいたら、それについても対応できなきゃいけない。

そう思うと、覚えていたはずのことでも分からなくなってしまうことがあります。
そんな時、助けてくれるのが「フォロワー」という立場のメンバー。

常にコールセンターで対応しているスタッフたちに目を配って、困ったとき手を挙げたら駆け付けて、悩んでいることを聞いてくれる。
どんなに初歩的なことを聞いても怒られることはありません。(笑)

困ったことは皆で解決すればいいという気持ちをスタッフ全員が持っているのが、働いていると分かるんです。
だから店舗のスタッフやお客さんに「ありがとう」と言われたときも、クルーの人がいたおかげで感じられた「嬉しい」だって、感じます。 

この前フォロワーさんに言われたんです。
「下村さんは失敗も多いけど、行き詰った経験を人よりしてる分、同じように困った人たちを助けることができるんだ」って。
それを聞いたら、私も人を教えることができるんだって視界が開けたような気がしました。

2~3年くらいかかってしまうかもしれないけど、今私、フォロワーになりたいって気持ちでいっぱいです。
私と同じようにichoose経由で入って不安に思っている人を支えたり、そうじゃなくても、分からないことで悩んでいる人たちを応援したい。
これまでやってもらったことを、仲間たちに恩返ししたいんです。

夜の仕事をしていた時は、1週間先のことをかんがえるので手いっぱいでした。
でも、この仕事なら2~3年先自分がどんな風になっていたいかを真剣に考えられる。
本当に、この会社と出会えてよかったと思います。

ゲイ当事者体験談〜「皆と自然に打ち解けられたのも、すごく嬉しかったです」

窓際のデスクのそばにSさんが立っている画像

初めまして。Sと申します。

私がSBモバイルサービス(株)(以下SBMS)に出会ったのは、ちょうど前の職を辞めて、次の仕事を探している時でした。
LGBT向けのアプリに広告があって、たまたまタイミングがあったから、登録したのがきっかけです。
以前コールセンターで働いていたことがあるので、それもあってSBMSの求人に目が留まりました。

これまでいくつか仕事をしてきましたが、ゲイをオープンにするかしないかは、職場の雰囲気に合わせて決めていたんです。
あ、ここなら言えるかもと思ったら、ちょっと匂わせるようなことをわざと言ってみたりとか。手探り状態でしたけど、それで過ごしやすくなった職場もいくつかありました。

でもやっぱり男性中心の職場だとなかなか言いづらくて。
偏見で見られて、もし自分に対する態度が変わったりしたらどうしようって、いつも緊張して働かなくちゃいけない のがすごくストレスでした。

実際、ゲイだとカミングアウトしていなかった職場には、仲のいい仲間はつくれなかったんです。飲み会でボロを出すのも嫌だからいかなかったし……。
自分にとって、オープンにできないことは、孤独感に直結すると経験上分かっていました。

1. あまりにもフレンドリーだから、全員LGBTなのかと思ってた。

Sさんが、机で人と話している画像

入社式の自己紹介で、同僚の下村さんがトランスジェンダーであることをカミングアウトしてくれました。

その頃から「もしかしたら ここにいる全員ichooseで入った当事者なのかも」って思っていて。
だからランチの時になんとなく探りを入れてみたんですけど、そしたらびっくり、全然勘違いで(笑)。
そのくらい、セクシュアリティに対して偏見のない職場なんだなあと感じました。

これまでの職場にも、 LGBTの人はいたけど、それをカミングアウトされたのは退職した後でした。やっぱりみんな、自分のセクシュアリティをオープンにして偏見の目で見られるのが怖いんだと思います。
ここはそんなことがない。当事者の仲間もいて、お互いに「心強い仲間だ」と言いあえる。
自分が当事者でも、他のセクシュアリティの人と接する機会はなかなかないから、自分とは違うセクシュアリティの人はこういう風に悩んでるんだって話を聞けるのも、世界がどんどん広がっていく感じがして、勉強になるんです。
本当に、いいところを見つけられたなと感じています。

私、仕事を始めてすぐ、家族の都合で2週間お休みをいただいたんですよ。
その時は誰とも連絡先を交換していなかったから、すっかり私が仕事を辞めてしまったんだろうと思われていたらしくて。

だから、2週間ぶりに職場に行ったときに、「よかった、来たー!」って皆が私のことを囲んで喜んでくれて、ここはなんて温かい職場なんだろうって感動しました。
それをきっかけに、「お互い何があっても分かるように連絡先を交換しよう」って、皆と自然に打ち解けられたのも、すごく嬉しかったです。

2. 早くひとり立ちして、仕事のできる人になりたい。

会社の雰囲気はとってもいいんですが、私の仕事ぶりは正直、まだまだ未成熟だなあと日々実感しています。今も正直、壁にぶち当たっているところ。

昔から勉強でも趣味でも、一つのことに時間がかかりすぎてしまうことがしょっちゅうで。
覚えることが多い職場だから、なおさらそれが顕著に出てしまうんです。

入って最初に感じたのが、研修のスピードがかなり速いってこと。
今までの職場は、4か月くらい研修があって、先輩社員がつきそってできるようになるまで練習をさせてもらえました。
でも、ここの場合はマニュアルにとらわれない仕事ができる分、実戦で経験を積む亊が一番必要なので1か月の集中講座と、あとは実戦でどんどん身に着けるOJT型研修。
それでインターネットとケータイのサービスどちらも網羅的に理解していなくてはいけないので、初めはとにかく頭がこんがらがってしまいました。(笑)

そんな不器用な私だから、自分なりに早く仕事ができるようになるために、エクセルで自作マニュアルを作っています。
まだ未完成だし、むしろ書きすぎて探すのが大変になっちゃっているので、改良の余地はまだまだありますが、これがうまく使えるようになったら、同期に少しでも追いつけるかなって。

3. 困っている仲間を助けられる、フォロワーを目指したい。

自分が今研修明けで困っている分、今後入ってくるメンバーが同じように悩んでいたら助けになりたいと思っています。
今自分で作っている自作マニュアルも、もしかしたら役立つかもしれないですよね。

そういう人になれるように今は一生懸命目の前の仕事に取り組んでいきたいです。

フォロワーでなくても、助けてくれる仲間もたくさんいます。
私が仕事を終えられなくて困っていたら「終わるまで一緒にいてあげる」と寄り添ってくれる人。
疲れただろうから、気晴らしに飲みに行こうよ!と誘ってくれる人。
プレッシャーはあるけど、期待してるよって言ってくれる人。

長い目で見て、 この人たちに恩返しができるように、少しずつ、頑張ります。

採用担当者からメッセージ

大塚さんの画像

ichoose(現JobRainbow)経由で応募してくれる人たちは、すごく真面目で物事を真剣に考えている人が多いように感じます。

正直、うちの会社も最初にLGBT採用に足を踏み入れる時には、「本当にそんなことをしてトラブルが起こらないのか?」と不安の声が上がっていました。
でも、そんなことは一切なかった。それどころか、素敵な人たちにたくさん出会えて、その人たちと仲間になれた。

最初はLGBT採用について右も左も分からず、JobRainbowの星さんに色々お話を聞いて参考にさせていただきました。
悩むことも多かったのですが、皆が「この会社に来てよかった」と言ってくれる。もうそれだけで、やってよかったと思っています。

当事者の方々に、会社の仲間たちも大いに期待して「よりたくさんの人たちと出会いたい」と言っています。
ぜひ、ご応募お待ちしております!

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