LGBTPZNとは?【ペドフィリア・ズーフィリア・ネクロフィリア】
※2023年6月11日追記 本件記事につきまして、JobRainbow Magazineが「Q」に「PZN」が含まれると主張している、という悪質なデマが拡散されております。当該記事内で解説がされているように、「LGBTPZN」はポーランドで生まれ、PZNに対するネガティブなイメージを利用することで、LGBTの分断、差別を助長するために作られたワードです。本件記事がまさに、LGBTを批判、差別するために利用され、デマが拡散がされていることは誠に遺憾であり、悪質なものにつきましては、法的措置を行わせて頂きます。また内容について一部誤解をうむ表現がございましたので修正を行いました。
「LGBTPZN」ときいて、どれくらいの方がピンとくるでしょうか。
「LGBT」は聞いたことあるけど、「P」「Z」「N」って何を表すの……?」と思った方も多いと思います。
そこで今回のコラムではTwitterや2ちゃんねるなどインターネットでも話題となった「LGBTPZN」について解説します。
なお、この記事は性犯罪の加害者を擁護する意図で作成したものではありません。
LGBTという言葉に触れる中で、オンライン上で出会いうる「LGBTPZN」という言葉にはその誕生やそれを取り巻く議論に複雑な背景があるため、あえて解説記事を記載することにしました。
とくに、「LGBTPZN」という言葉をあえて利用することで分断や差別の助長を狙う方もいる中、フラットな立場から「LGBTPZN」について解説することを試みています。
※この記事には題材の性質上、不快に感じられうるような詳細描写が含まれています。
登場の経緯とポーランド
そもそもLGBTPZNとはどういった経緯で登場したのでしょうか。この起源はポーランドにあると言われています。
保守的なカトリックが多く、いまだにLGBTを批判する声も多く挙がるポーランド。しかしポーランドにもLGBTの方は存在します。そこでLGBTの子どもたちを守るために、保護者達がLGBTの権利を守るための署名活動を行いました。
するとその動きに対し、「LGBTPZNの親たちが教皇に手紙を送った」という発言がインターネット上でありました。これは後ほど述べるようなペドフィリア・ズーフィリア・ネクロフィリアへのイメージを利用し、セクシュアルマイノリティ内でのいわゆる「内輪もめ」と差別の助長を狙ったものだと思われます(参考:LGBTにペドフィリア、ズーフィリア、ネクロフィリアも加えるべき? 「やらせろ連帯」ではなく「やってしまわないための連帯」を)。
さらに、そういった意味での用法が日本の2ちゃんねるやTwitterなどでも広まり、「LGBTの取り組みが進むとPZNが認められる!」=「だからLGBTは認めてはならない」との論調が生まれ、現在に至ります。
LGBT「P」「Z」「N」とは
PZNとはそれぞれ、
- P:ペドフィリア(小児性愛)
- Z:ズーフィリア(動物性愛)
- N:ネクロフィリア(死体性愛)
の頭文字をとった略語で、そのネガティブなイメージを活用してLGBTの差別と分断を促すために作られました。
フィリア(philia)という言葉自体に「病的な傾向」というニュアンスがあるため、ニュートラルな表現と言えるかについても議論がありますが、今回は便宜上こちらを使用します。
では、ペドフィリア・ズーフィリア・ネクロフィリアとはそれぞれどういった意味なのでしょうか。それぞれ解説していきます。
1. ペドフィリア(小児性愛)
ペドフィリアとは、児童にのみ性愛感情を抱くセクシュアリティを指します。
米国精神医学会の診断マニュアルであるDSM-5においては「小児性愛障害」として扱われていますが、こちらを「障害」と表現していいのかについては今もなお議論が白熱しています。
2. ズーフィリア(動物性愛)
ズーフィリアとは、動物に性愛感情を抱くセクシュアリティを指します。
性愛感情であれば法律によって規定されることはありませんが、獣姦行為となると、国によっては罪になることもあったり、また衛生上の観点からも問題視されています(参考:ロバを獣姦した少年たち、次々と狂犬病に)。
3. ネクロフィリア(死体性愛)
ネクロフィリアとは、死体に性愛感情を抱くセクシュアリティを指します。
ネクロフィリアを題材とした文学作品は非常に多く、『雪国』などの作品で知られる川端康成の『眠れる美女』にもネクロフィリアの考え方が登場します。
ペドフィリア・ズーフィリア・ネクロフィリア=確実に犯罪者?
性行為とは一人だけで成り立つわけではなく、自分と相手が存在します。そして、互いが自律的な存在であり、性的関係を結ぶことに関して合意していなければ、どちらか一方の性的な感情の押し付けになってしまい、それは犯罪行為となります。
合意を得ていない相手に性的な行為をすることは、相手の精神を深く傷つけることになり、到底許されることではありませんし、そこには性的嗜好・性的指向がどうであれ関係ありません。
そして、多くの場合「相手が自律的でありかつ合意を得ることができる」状態を実現することが、ペドフィリア・ズーフィリア・ネクロフィリアの場合難しいです。
「性的感情」と「性行為」が結び付けられ、何もしていなかろうがペドフィリア・ズーフィリア・ネクロフィリアだから犯罪者だ、と思われ苦しむ人がいるのも事実です。
一方で、その考え方の発露によって加害されたり、脅威を感じたりする人がいることにも留意する必要があります。
「LGBTとPZNは違う!一緒にするな!」「いや、広い意味でのマイノリティとして連帯していくべきだ!」といった対立や、「LGBTを認めたらPZNも認められてしまう!」といったデマなど、LGBTPZNを利用した差別の扇動が日本のインターネット上でも数多く見られますが、それこそが「LGBTPZN」を利用して内部分裂を図ろうとした人の思うツボでしょう。
おわりに
「LGBTPZN」についてさまざまな情報が溢れる中、フラットな立場から整理してきました。
当事者でなくとも正しい知識を得て、世の中の議論がどのような目的で生まれたのかを知り、性にまつわる様々なことがらにきちんと向き合うことが、いま私たちに求められていることでしょう。
もちろんそのためには、LGBTに関する最新情報も逐一チェックしていきたいです。