バイセクシュアルとは?【当事者が監修・意味を解説】
「バイセクシュアル」とは、男女どちらにも性愛感情が向く性のあり方のことです。「LGBT」の「B」にあたります。なお、バイセクシュアルと似たセクシュアリティとして「ポリセクシュアル」や「パンセクシュアル」「バイロマンティック」「バイキュリアス」がありますが、それぞれ意味が微妙に異なります。
バイセクシュアルの意味
「バイセクシュアル」とは、「男女どちらにも性愛感情が向く性のあり方(セクシュアリティ)」のことです。日本語では「両性愛者」と表記します。
性的指向とは?変わることもあるって本当?【「性的嗜好」じゃない!】
「ゲイ」や「レズビアン」の場合は「男性に性愛感情が向く『男性』」「女性に性愛感情が向く『女性』」を意味しますが、バイセクシュアルの場合は「男性と女性に性愛感情が向く人/性のあり方」を意味するため、本人の性別は問いません。
そのため、本人の性別を特定して記述したいときは、「バイセクシュアル男性」「バイセクシュアル女性」などと表記します。
「バイセクシュアル」と間違えやすい用語
このバイセクシュアルとよく混同して認識されがちなのがパンセクシュアル(Pansexual、全性愛)です。
バイセクシュアルに似た単語として、次の4つがあります。
ポリセクシュアル | 複数の性を好きになるセクシュアリティ。多性愛・複数性愛。 |
パンセクシュアル | すべての性を好きになりうる。もしくは、誰かを好きになるにあたり、相手の性を条件としないセクシュアリティ。全性愛。 |
バイロマンティック | 男性と女性に恋愛感情を抱く(恋愛指向が向く)セクシュアリティ。 |
バイキュリアス | 性的関係を両性ともつことに好奇心や興味がある人や状態。 |
しかし、それぞれ微妙に意味が異なります。
バイセクシュアルと同じ点 | バイセクシュアルと違う点 | |
ポリセクシュアル | 2個以上の性に性愛感情を抱きうる。 | 性愛感情を抱く相手は、男性と女性に限られない(例:男性・無性・中性など)。また、性愛感情の対象が3個以上の性である。 |
パンセクシュアル | 2個以上の性に性愛感情を抱きうる。 | すべての性を好きになりうる(男性と女性に限られない)。 |
バイロマンティック | 男性と女性に恋愛感情を抱きうる。 | 男性と女性の両方に対して、性的に魅力を感じるとは限らない。 |
バイキュリアス | 男性と女性の両方に性愛感情を抱きうる。 | 「興味がある」だけであり、バイセクシュアルと自認する・自認しているわけではない。 |
1. バイセクシュアルとポリセクシュアル・パンセクシュアルの違い
ポリセクシュアルは「複数の性」を好きになり、パンセクシュアルは「すべての性」を好きになりうると聞くと、バイセクシュアルと同じように思うかもしれません。
しかし、この世にある性別は、「男性」「女性」の2つのみではありません。そのほかにも、たとえば「無性」や「中性」といった性もあります(ちなみに、アメリカ版のFacebookでは性別欄の項目が今のところ58種類まで用意されています!)。
そのような理由から、バイセクシュアルのほか、「パンセクシュアル」や「ポリセクシュアル」といった用語が使い分けられています。
ポリセクシュアルとは?【バイセクシュアル・パンセクシュアルと何が違う?】
パンセクシュアルとは?【バイセクシュアル・ポリセクシュアルとどう違う?】
2. バイセクシュアルとバイロマンティックの違い
多くの場合、性的感情と恋愛感情の対象は一致することが前提となっていますが、実際は違います。
そこで、性的感情と恋愛感情の対象が一致していないことを強調するために「バイロマンティック」を用いる場合があります。
たとえば、バイロマンティック・ホモセクシュアルの男性は、男性と女性の両方に恋愛感情を抱きますが、性的に惹かれるのは男性のみです。
3. バイセクシュアルと間違えやすい用語まとめ
バイセクシュアルと同じ点 | バイセクシュアルと違う点 | |
ポリセクシュアル | 2個以上の性に性愛感情を抱きうる。 | 性愛感情を抱く相手は、男性と女性に限られない(例:男性・無性・中性など)。また、性愛感情の対象が3個以上の性である。 |
パンセクシュアル | 2個以上の性に性愛感情を抱きうる。 | すべての性を好きになりうる(男性と女性に限られない)。 |
バイロマンティック | 男性と女性に恋愛感情を抱きうる。 | 男性と女性の両方に対して、性的に魅力を感じるとは限らない。 |
バイキュリアス | 男性と女性の両方に性愛感情を抱きうる。 | 「興味がある」だけであり、バイセクシュアルと自認する・自認しているわけではない。 |
自分がバイセクシュアルか判断するには?
定義がわかっても、いざ自分がそれに当てはまるかと考えると、そう単純にはいかないのが現実ですよね。
「バイセクシュアルとパンセクシュアルの違いは分かった。でも自分がどっちかわからない!」
「男も女も好きになったことがあるけど、そうじゃない人を好きになる可能性だってあるかもしれない!」
「昔異性に恋をしたことがあるけど、今は同性しか好きになれない。私ってバイセクシュアル?それともレズビアン?!」
このように、自分の性のあり方がわからない、と悩む人は少なくないでしょう。
1. バイセクシュアルと自認する理由
実際に自身をバイセクシュアルだと認識している人たちの声を見てみましょう。
これから紹介するのは、(主にパンセクシュアルに比べて)自身をバイセクシュアルと認識している人達400人に、なぜそのように考えているのかを調査した内容です(第111回 400人に聞いて見えてきた! バイセクシュアルとパンセクシュアルの境界線 | 2CHOPOより。現在はリンク切れのため、こちらから確認可能)。
- 「恋愛に性別は関係ない」というより、「男性的な魅力と女性的な魅力、両方良い」という考え方に近いから(最も多かった意見)
- (なんとなく)「バイセクシュアル」と呼ぶほうがしっくりくるから
- 「パンセクシュアル」より「バイセクシュアル」と言った方が通じやすいから
- 性別は2つに限らないと思うが、過去好きになった人は皆男性もしくは女性であったから
- 女性と男性(だと認識している人)にしか今まで惹かれたことがないから
- 中性的な人にはあまり惹かれないから
バイセクシュアルだと判断する鍵としては、「恋愛に性別は関係ない」ではなく、「恋愛において男性/女性という相手の性別は意識しており、そしてそのどちらにも惹かれる」ことのようです。
2. パンセクシュアルと自認する理由
パンセクシュアルを自認している人の意見は、以下のとおりです。
- 男性的な魅力と女性的な魅力両方惹かれるというより、恋愛に性別は関係ないと思っているから
- 接しているときにお互いの性別を意識しないで済む人に惹かれる傾向があるから
このように、「相手の性別を意識するか、しないか」がバイセクシュアルとパンセクシュアルを分ける大きな要素になりそうです。
3. セクシュアリティは自分で決めるもの
これらはあくまで一例であり、自分の性的指向を決めるのは最終的に自分自身となります。
無理にカテゴリーを名乗る必要はありません。自分が納得できるタイミングでカテゴリーを名乗りましょう。自分を表すことばを無理矢理に探す必要もありません。
また、性的指向が人生において変化する可能性もあるため、無理に枠にはめるより、どうか「あなたらしくいられる」性のかたちを見つけてください。
クエスチョニングとは【男性、女性、ゲイ、レズビアン……と決めなくていい】
性的指向とは?変わることもあるって本当?【「性的嗜好」じゃない!】
バイセクシュアルの有名人
バイセクシュアルを公表している有名人は数多くいます。
- 壇蜜さん
- 江頭2:50さん
- カズレーザー(メイプル超合金)さん
- アンジョリーナ・ジョリー
- マドンナ
- レディ・ガガ
詳しくは、「バイセクシュアルの有名人まとめ」をご覧ください。
バイセクシュアルをめぐる誤解と偏見
バイセクシュアルの人をめぐっては、さまざまな誤解や偏見があります。
- 「バイセクシュアル=誰でもいい」
- バイセクシュアルは同性愛者になる過程
- バイセクシュアルの人に「異性のパートナーができた(or 結婚した)」=「セクシュアルマイノリティではなくなった」
- バイセクシュアル=男性と女性の両方と経験がある
- バイセクシュアルの人は、世の中には男女の二つのジェンダーしかないと思っている
- バイセクシュアル=トランスジェンダーを嫌悪している
こういった、バイセクシュアルに対する様々な誤解や偏見がまだまだあります。
バイセクシュアルに限らず、特定の性的指向または性自認によってその人の性格や生き方を決めつけることは、決してあってはなりません。
誰もが「自分らしく」生きられるためにも、このような日常的な誤解や偏見を減らしていきましょう。
バイセクシュアルの悩み
バイセクシュアルが登場する作品まとめ【映画・ドラマ】
おわりに
バイセクシュアルはシンプルなようで実は誤解なども多く、複雑な部分もあります。
この記事がきっかけで、少しでもバイセクシュアルへの理解が深まったのであれば幸いです。