リスロマンティックとは?【両思いを望まない?】
リスロマンティック(Lithromantic)とは、相手に恋愛感情を持つが、その相手から恋愛感情を持ってもらうことを望まないセクシュアリティです。
皆さんは「リスロマンティック」を聞いたことはありますか?
リスロマンティックとは、どんな人に恋愛感情を持つか/持たないかを示す「恋愛指向(romantic orientation)」が関わってくるセクシュアリティ。
今回はリスロマンティックについて、様々なトピックで紹介していきたいと思います。
「好きな人はいるけど、いざ好かれちゃうと冷めちゃう……」という思いに心当たりのある方こそ、ぜひこのコラムをお読みください!
リスロマンティックの意味
リスロマンティックの定義とは何なのでしょうか。
リスロマンティック(Lithromantic)とは、アコイロマンティック(akoiromantic)やアプロマンティック(apromantic)とも呼ばれており、「相手に恋愛感情を持つが、その相手から恋愛感情を持ってもらうことを望まないセクシュアリティ」を意味します。これを少し言い換えると、リスロマンティックとは、「恋愛指向(どんな人に恋愛感情を持つ/持たないか)があるものの、相手から恋愛指向を向けてほしくないセクシュアリティ」とも言えます。
しかし、ここで注意しなくてはいけないのが、「恋愛指向」と「性的指向」の違いです。
性的指向とは、どんな性を好きになるかを指します。
JobRainbowにおいては、性的指向という言葉を、狭義では性愛の対象が誰か、広義では恋愛・性愛の対象が誰か(この場合は恋愛指向も性的指向に含まれます)という意味で用いています。
「なるほど、じゃあリスロマンティックは両想いを求めない片想いってことだな……」と思った方も多いのではないでしょうか。
でも実は、このリスロマンティック、必ずしも交際や結婚を望まないわけではないんです。
いったいどういうことでしょうか?
リスロマンティックの特徴と合わせて紹介していきます。
リスロマンティックの特徴
それでは、リスロマンティックの特徴についてご紹介します。
なお、リスロマンティックの方が、この特徴すべてに当てはまるとは限りませんし、当てはまるから絶対にリスロマンティックだ、というわけでもありません。
自分のセクシュアリティにもやもやを抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 恋愛感情があっても、両思いになったり、付き合いたいと思わない
リスロマンティックの方は、相手に恋愛感情を持っても、それを通じ合わせることや交際関係になることを望まない場合が多いです。
2. 恋愛関係に嫌悪感がある
恋愛関係になることを考えるだけで、不快な気分になることがあります。
交際を匂わされると、途端に好きでなくなってしまったり、相手に恋愛感情が存在していることを認めたくない場合もあります。
3. 恋愛に恐れがあったり、恋愛で相手に心を開くことが怖い
過去に恋愛でトラウマや嫌な経験があったり、恋愛関係固有のコミュニケーションを望まない場合、そこに対して恐れを抱く方もいます。
4. プラトニックな関係性を求めている
性的欲求のない恋愛関係を求めている場合、パートナーがそれを求めても、応える意思がありません。
5. 恋愛感情を一時的に持つにも関わらず、ある段階に達すると消えてしまう
多くのカップルは、恋愛感情の高まりを伴って恋人になり、時間が経つとそれが失われていきます。
極端な場合、恋人ができた途端に恋愛感情を失うこともあります。
6. 身体的接触(性的でないものも含む)が嫌
ハグやキス、手を繋ぐなどを含む身体的な関わりを求めておらず、それによって恋愛自体を避ける場合があります。
7. 二次元のキャラクターやぬいぐるみなど、実在する人以外が好き
ぬいぐるみを愛でる時のように、そもそも恋愛感情が返ってくることを期待していないので、恋愛感情を持たれた場合の不快感を抱くことがあります。
8. 自分の恋愛感情を誰にも教えず、完全に秘密にしておきたい
相手に恋愛関係を期待されたり、想いを寄せられたりしたくないため、意思の共有や告白を避けたりします。
9. 恋愛感情を向けられるのは嫌だが、性的な関係を持つことはある
今までは、性的なものを忌避する傾向がある、といった特徴を数多く挙げてきました。
しかし、「恋愛に関して好意を向けられることは嫌であるものの、性的なつながりを持つことには抵抗がない」という方もいらっしゃいます。
ひとくちにリスロマンティックと言っても、そのあり方は十人十色ですね!
リスロマンティックの人の交際や結婚
恋愛関係を望まないことが多いリスロマンティックですが、様々な関係性を築くことがあります。
例えば、両思いを望んでいなくても、居心地の良い関係になるために交際を望むケースがあるとされています。
他にも、ライフスタイルの一致や経済面、制度面でお互いに利益があるから、交際関係や婚姻関係を結ぶことも。
「リスロマンティックだから、こうしなければならない」というものがある訳ではないので、必要に応じて、色んな関係性を築くことが大事だと思います。
リスロマンティックと蛙化現象
リスロマンティックの方は、好意を抱いている人から自分に好意を向けられると、かえって気持ち悪く感じてしまう「蛙化現象」が生じることもあります。
この「蛙化現象」、由来はなんとグリム童話の『かえるの王さま』から来ています。
『かえるの王さま』は、王女が蛙になった王子の魔法を解き、2人で幸せに暮らす話です。
しかし、「蛙化現象」はこの逆で「素敵だと思っていた人を気持ち悪く思うようになること」を意味します。
誰かを好きになって交際に発展するものの、「生理的に無理」と感じるなど、相手に嫌悪感を持ってしまい、関係性を継続できない人もいます。
蛙化現象を抱える人は、相手の恋愛感情に対して、冷めた気持ちや嫌悪感を覚える自分を責めたり、恋愛に向いていないと感じることがあるかもしれません。
蛙化現象が生じる主な原因としては、自信がないことや、性的な関係を受け入れられないことが挙げられます。
おわりに
今回ご紹介したリスロマンティックは、まだあまり知られていないセクシュアリティです。しかし、自分や身の回りの方に当てはまる部分が、意外とあるかもしれません。
また、セクシュアリティは一言では言い表せません。なぜなら、身体的な性だけでなく、性的指向や性自認(こころの性)はそれぞれ、人によって異なるからです。
リスロマンティックの中でもこれだけ色んな特徴や違いがあるので、様々な性のあり方を知り、それらに関する知識を深めていく中で、自分自身のコミュニティや生き方を広げていただけたらと思います。
とはいえ、「今このようなセクシュアリティがある」と知ったからといって、それに従う必要はありません。まずは「いろんな性のあり方があるんだな」と知ることが、セクシュアリティについて考える第一歩です。
このコラムが、あなた自身の思いや考えを大切にするきっかけになれば幸いです!