なぜEYはダイバーシティ&インクルージョンに取り組むのか 【EYインタビュー前編】
はじめに
EYは企業が抱えるさまざまな課題を最先端かつグローバルな視点から解決してきたプロフェッショナルファーム。構成員一人ひとりが能力を最大限に発揮し高い成果を上げてきた実績があります。その秘訣はダイバーシティ&インクルーシブネス(D&I)。EY Japanで人事としてD&Iを担当する安藤さんにお話しを伺いました。
(後編はこちら)
EY JapanのD&Iへの取組み
--なぜEY JapanはLGBTを含むD&Iに取組んでいるのか?
安藤:EYはグローバルなプロフェッショナルファームとして、世界各地で事業を展開していることが大きな背景としてあります。国境を超えて事業を展開する多種多様なグローバル企業に対してプロフェッショナルサービスを提供するためには、当たり前ですが我々の社内にも幅広い人材が必要とされます。性別・国籍・文化・性的指向などを異にする多様な人材を受け入れ、一人一人の能力を最大限に発揮できる環境を整備することが、とても大切だと考えています。
またビジネス面だけでなく、EYは「Building a Better Working World」という理念のもと、より良い社会の構築を目指しており、LGBTをはじめ特に若者には、夢を持って仕事ができるよう応援したいと考えています。EYには社内LGBTAネットワークのUnityがあり、このUnityのメンバーが主体となって様々な形でLGBTの若者に対してメッセージを発信しています。そして、EY全体でUnityの活動を全力でサポートをしています。
LGBTへの取組みについて
--会社としてLGBTに対してどういった配慮や取組みがありますか?
安藤:EY Japanは、EYの日本におけるメンバーファームの総称で、新日本有限責任監査法人、EY税理士法人、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社、EYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社などから構成されており、同性パートナーとパートナー関係にある構成員(※)のパートナーを配偶者と同等と認め、結婚祝金や看護休暇など、LGBTのパートナーにも同待遇(法規制などによる一部例外あり)を適用しています。また、D&Iの理解を深める研修なども実施しています。
採用においては、LGBT支援を行うNPO団体と協力して、面接官向けの資料を作成し、面接官へのトレーニングを行なっています。また、エントリーシートにおいては、性別欄を設けない、または「男・女」以外に「その他」を加えた性別欄を設けるなどの対応を行っています。
--社内LGBTAネットワーク代表の川村さん、貴田さんはじめ社外でも活躍している構成員が非常に多いのはなぜ?
安藤:前述の通り、EYではD&Iを戦略的にとても重要なものだと捉え、積極的に推進していますが、特にLGBTに関しては、2007年頃にEY グローバル・ヴァイス・チェアのベス・ブルックがレズビアンであることをカミングアウトしたことから、活動がより活発化しました。
ベス・ブルックは、カミングアウトする以前からLGBTAネットワークUnityのエグゼクティブスポンサーとして社外においても活躍していました。EYでは1990年代から、LGBTの構成員のひとりひとりが、カミングアウトしているかどうかに関わらず、社内外においてリーダーシップを発揮するという前向きな姿勢がありました。
自分らしく働ける社会は間違いなくやってくる
--就活生へのメッセージ
安藤:普段はD&I推進活動の他に採用活動も担当しています。採用担当者としては、学生の皆さんにセクシュアリティに関係なく、将来社会に出てから何をしたいか、という目的を明確にもって学生生活を送っていただきたいです。我々が見ているのはその目的であって、性別、性自認や性的指向を見ているわけではありません。もしLGBT関連の活動をされているのであれば、それは勿論ひとつの評価ポイントになりますが、その他の評価ポイントと何ら変わりありません。その経験を通じて社会や企業に今後どのような貢献ができるのかが重要だと思います。
そして統計的に見ていても40代半ばを境に下の世代と上の世代とでLGBTに関する理解や受け入れ度合いは大きく異なっています。これからは自分らしく働ける社会が間違いなくやってきます。セクシュアリティに関わらず「社会に出てから何がしたいのか」を考えながら学び、将来に希望を持ちながら就職活動に胸をはって臨んで欲しいです。
これからのD&I
--今後D&Iについてさらに取り組んでいきたいことはありますか?
これまでD&Iに関して様々な取り組みをしてきましたが、女性やLGBTについて頭では理解はしていても、それが行動には結びついているかというと、まだそうとは言い切れないというのが現状です。我々の次のステップは、D&Iを正しく理解し、行動にまで移せるリーダーを育てていくことにあります。
そこでEYではダボス会議やEY全拠点において、多様な人材をまとめて力を引き出す「インクルーシブネスリーダーシップ」を標語として掲げています。このインクルーシブネスリーダーシップを一人一人が発揮できるような組織を作り、実行にまで落とし込んでいくことが必要だと考えています。
※「構成員」とは、EY Japanを構成する社員および職員を指します