カミングアウトは必須じゃない!【LGBT就活・転職ガイド 1-2】
カミングアウトをするか・しないかは 、自分自身が決めること
LGBTの就活・転職時の大きな悩みのひとつに「カミングアウト」が挙げられます。「カミングアウトをしたら落とされないか」「パートナーと一緒に暮らすことを考えると、今のうちにカミングアウトをしておいた方がよいか」「クローズドにしたまま職場の人間関係がうまく築けるか」など、この先の働き方、生き方に大きく関わる問題なので、とまどいや不安を感じている人は少なくありません。
また、職場でカミングアウトをする必要性を感じていない人もいるでしょう。セクシュアリティは、仕事の能力には関係がありません。また、自認する性別と戸籍の性別が一致しているレズビアンやゲイ、バイセクシュアルなどにとっては、設備や保険の手続きで明らかな不自由さがない限り、わざわざ伝える必要がないなど、さまざまな理由があります。
就活・転職をこれからはじめるうえで心に留めておいてほしいことは、大前提としてカミングアウトは必須ではないということです。カミングアウトをするか・しないかは誰にも強制されることではなく、いつ、どこで、誰に対して、どのようにカミングアウトをするかの判断は、自分自身で決めることです。
本ガイドの中でも、どちらがよいということをお話しするつもりはなく、それぞれのスタンスにおけるメリット・デメリット、対応方法を紹介し、自身で決断するときの判断材料にしてもらいたいと思います。
カミングアウトは本人の決断が尊重されるもの
たとえばトランスジェンダーの場合、選考時にはカミングアウトしていなくても、内定後の手続きの中で明らかになる場合があります。内定後に伝えると虚偽記載として内定取消になるのではと不安に思う人も多くいますが、結論からいうと、法的に虚偽記載にはなりません。これはゲイであることや、レズビアンであることを伝えた際も同じです。
いまではほとんど問題にはならなくなってきたものの、LGBTであることを理由に、内定取消を受けたという事例も未だ耳にすることがあるのも事実です。その場合、法的にも無効であると抗議することが可能です(→Chapter7-4)。
カミングアウトをするか・しないかは 、あらかじめ 決 めておいた方がよい?
ある程度自分の中の方針を決めておくことをおすすめします。方針があいまいになっていると迷いが生まれ、エントリー時やインターンシップ、面接でもそのことが頭の片隅にあって集中できなかったり、思いがけずカミングアウトをしてしまい自ら混乱してしまうといったことがあるからです。企業ごとにカミングアウトするか否かを変えることもできます。また、インターンシップの機会を活用して、カミングアウトをしたとき・しないときの両方を試してみることもできます。
現在はカミングアウトの必要性を感じなかったとしても、将来同性パートナーと婚姻関係を結びたいと思ったり、異性パートナーと同等の福利厚生を受けたいと思うようになる可能性もあります。将来的に「必要なときにカミングアウトをする」というのもひとつの選択肢です。
カミングアウトをしない選択をした場合、セクシュアルマジョリティであることが前提となっている多くのいまの職場では、ちょっとしたプライベートな会話がストレスにつながる可能性があることは、頭に留めておくとよいでしょう。
POINT
・いつ、どこで、誰に対して、どのようにカミングアウトをするかの判断は、自分自身で決める
・事前に、カミングアウトをするか・しないかの方針を決めておく
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