多様化する働き方と採用ルート【LGBT就活・転職ガイド 1-3】

ライター: JobRainbow編集部
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  1. 学生優位の「売り手市場」と企業の「働き方改革」
  2. これからは自らキャリアプラン、ライフプランを考える時代
  3. 新卒の採用方法は、2021年春入社から大きく変わる予想
  4. 新卒・既卒・第二新卒はポテンシャル採用、中途はポジション採用
  5. POINT

学生優位の「売り手市場」と企業の「働き方改革」

LGBTであることは単なるセクシュアリティに留まる話ではなく、本人の人生に関わるアイデンティティそのものです。就活・転職にも大きな影響を及ぼすことですが、それが認識され、企業や社会が動き始めてきたのはここ数年の話です。

ここではまず、個人のセクシュアリティやアイデンティティの尊重を企業が重視するようになった背景と、最新の就活・転職のトレンドを知ることからはじめます。

厚生労働省によると、ここ数年の就職内定率の推移は、2017年97.6%、2018年98.0%、2019年97.6%と高い水準を維持し、学生優位の「売り手市場」が続いています。背景には、少子高齢化による社会全体の労働人口減少に伴う、企業の人手不足が大きな理由のひとつとなっています。

また、大企業といえどもこの先安定して成長し続けられるのか、不透明な時代に突入してきました。ひと昔前までは定年までひとつの企業で勤めあげたいと考える人も多くいましたが、いまはいくつもの企業を渡り歩いてキャリアを高めたいと転職を考える人が増え、人材の流動化は加速しています。

こうした状況のなか、企業は積極的に「働き方改革」に取り組み、人材の確保に乗り出しています。フレックスタイム制度やリモートワークの導入など、個人のライフスタイルに合わせた働き方を選びやすくなってきました。また、障がい者雇用、外国人雇用、女性活躍、LGBTへの取り組みといったダイバーシティ戦略を重視し、離職率の低下、採用の拡大、生産性の向上を目指す企業も増えています。

これからは自らキャリアプラン、ライフプランを考える時代

これまでのように年功序列による賃金アップ、生涯一企業といった前提がなくなると考えたとき、会社ありきの働き方ではなく、自ら主体的にキャリアプラン、ライフプランを組み立てることが必要です。

キャリアプランとは、どんな仕事をしてどんなスキルを身につけ、どんな企業で働き、中長期的にどんな目標をもって働くかといった、キャリアの計画をたてることです。ライフプランとは、仕事以外の人生をどう歩んでいきたいか、趣味や家族とのかかわり方といった人生の計画をたてることです。

新卒の採用方法は、2021年春入社から大きく変わる予想

2018年、経団連は「就活ルール」の廃止を発表。「企業が一斉に採用活動を開始する」という従来のルールは、2021 年春入社の新卒採用以降、適用されなくなります。主流だった新卒一括採用のほか、インターンシップからの内定や通年採用といった採用ルートの多様化がますます進むことが予想されます。

現実的に考えて、早くから就活をはじめることが早期内定のカギとなることは、間違いないでしょう。

新卒・既卒・第二新卒はポテンシャル採用、中途はポジション採用

既卒・第二新卒、中途といった転職者の採用は、年々増加傾向にあります。

一般的に、既卒とは「卒業後3年以内で正社員経験がない若者」、第二新卒とは「新卒入社後、3年以内に退職した若者」を指しています。

新卒を含めた若手の採用では、スキルマッチ(業務スキルや経験が合うか)よりもカルチャーマッチ(性格や価値観が合うか)が重視され、就活生・転職者が将来その企業で成果を上げる人材になれるかを推し量るポテンシャルが評価される傾向にあります。近年、既卒や第二新卒を採用する企業は増えてきたものの、新卒の採用枠に比べるとまだまだ狭き門だということも覚えておきましょう。

一方、中途採用では職務経験や実務面での具体的なスキルマッチが重視される傾向にあります。ニーズに合った人材をピンポイントで採用し、即戦力となることが期待されているからです。

そのため選考においては、前職で何を達成し、転職先の企業で何をしたいのかを明確に伝えることが重要です。企業が求める経験・能力・条件と自分の意思が合致するかを、入念に確かめる必要があります。最近では未経験での中途採用も増え、カルチャーマッチも重視されるようになってきています。選考前には企業の文化や価値観も確かめましょう。

Q. LGBTフレンドリーとか関係なく、つぶれない大企業や公務員に就職すれば、一生安泰なのでは?

公務員や業績が安定している企業を選んだとしても、職場内のコミュニケーションや人間関係がうまくいかなければ、ずっと居続けることにかなりのしんどさが伴います。

ひとつの職場で長く働くほど、プライベートな情報の共有も多くなります。カミングアウトをせずに数十年にわたって嘘をつき続けることに苦しむLGBTも見てきました。一方で安定を選んだ結果、専門性が身につかず転職もがうまくいかない場合もあります。

ここで大事なのは、LGBTフレンドリーな企業を選ぶのも、安定を選ぶのも、あなたの歩みたいキャリアプランとライフプランによって大きく変わってくるということです。プランのつくり方は自己分析のやり方にて解説します。

Q. 企業で働くことに不安があります。卒業後、すぐに起業したり、フリーランスになるのは難しいですか?

「就活が不安だから」「職場でイヤな思いをするから」という理由で、フリーランスなどを選択しようとするLGBTの就活生・転職者はよくいます。結論からいうと、最初からそうした後ろ向きな理由で決断するのはおすすめできません

現実問題として、未経験から独立して生計を立てるのはハードルが高すぎます。

JobRainbow代表の星の場合、在学中に起業して最初の1年間は売上がほぼゼロだったため、「これはまずい」と思い就活をはじめました。

内定をもらった後、企業が軌道に乗りはじめたことから、そのまま独立の道を選びましたが、就活をすることで自分自身と徹底的に向き合い、さまざまな社会人との出会いやインターンシップを通じた就労経験を得る中で、より自分のキャリアプランとライフプランを明確にすることができました。

将来の独立を見据えて、一旦企業で働いてスキルを身につけてもよいですし、就職する・しないにせよ、就活は自分の人生を見つめ直し選択肢を広げる機会になるため、前向きにトライしましょう。

Q. これまでアルバイトなど非正規の仕事しかしてきませんでした。まったくの未経験からでも中途での転職は可能なのでしょうか?

もちろん可能です。LGBTの転職者の中には、最初の企業で人間関係につまずいてしまったり、就職自体を最初からあきらめてしまったりと、非正規や未経験からの転職にトライする人は実際多くいます。そのうち転職を成功させている人もたくさんいます。

中途は基本的にポジション採用と述べましたが、近年の人手不足の背景から、積極的に未経験のポテンシャル採用を行う企業が増えています。この場合、一般的には新卒採用と同じく、カルチャーマッチの部分が重視される傾向にあります。卒業後、非正規で働いていた経験は一見ネガティブにとらえてしまいがちですが、自己PRに応用できる部分がたくさんあるので、希望をもっての自己分析から始めましょう。

POINT

  • これからは会社ありきの働き方ではなく、自ら主体的にキャリアプラン、ライフプランを組み立てる時代
  • 新卒はポテンシャル 、中途はスキルが重視されるが、未経験採用も増えてきている

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