先輩の体験談 ゆいさんの場合【LGBT就活・転職ガイド 8-9】

ライター: JobRainbow編集部
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クローズドで働くストレス、勢いのカミングアウト

私はウェブサービスを開発・運用している大手IT企業で、エンジニアとして勤めています。現在の企業に入るまでは、10年ほど男性エンジニアとして、銀行や証券、保険など、基幹系システムの開発を中心に携わっていました。

この領域の仕事は安定性を重視するため、はやりの技術を使ったチャレンジができませんでした。また、出向が多くクライアント先で仕事をするため、セクシュアリティについては絶対に打ち明けることのできない環境でした。

激務が多く過度なストレスにさらされるなか、女性になりたいという思いが抑えきれなくなり、誰にもいわず女性ホルモンの接種をはじめました。しかし、接種開始直後は慣れていないためか精神的にも少し不安定になり、カミングアウトをしないといけないような状況を自分自身でつくってしまいました。

カミングアウトをした結果、受け入れてもらうことができず、前の企業にいることが難しくなり退職することになりました。

女性として働ける環境と、エンジニアとしてのキャリアアップを求めて

私は男性として結婚をしており、2人の子供がいます。ただ、セクシュアリティのことや日々のすれ違いなどから家庭はうまくいっておらず、離婚はしていませんが、別居して生活費と養育費を渡しているという状況でした。また自分の生活費や手術のことを考えると、収入はそれなりに必要でした。

そこで、女性として働けること、収入面でも安定した企業であることを条件として転職活動を開始しました。前職とは違って社内勤務ができる職場であれば、女性として働かせてくれる可能性が高まると考え、自社でウェブサービスなどをもっているIT企業を希望することにしました。

女性としての新たなスタートにあたって、基幹系システムからウェブサービスへと、いままでとは違う技術領域にチャレンジしてみたいという思いもありました。

転職エージェントを通じて、正直に「女性として働きたい」と伝えていくつかの企業に応募しましたが、セクシュアリティのためか書類選考も半分くらいしか通りませんでした。面接に進んだ企業でも、単純に技術力で通過できない企業が何社もありました。

最後に面接を受けたのがいまの企業ですが、自分の技術力についてアピールしたことはもちろん、女性として働きたいという思いについても話したところ、真摯に耳を傾けてくれました。自分らしく対話することができたため、企業のカルチャーにマッチしていると判断され気に入ってもらい、女性として働くことを叶えることができました。

カミングアウト後、女性として生活をはじめて

女性ものの服を着て、化粧をして通勤し、仕事のあとはエステに通ったりと、いままでできなかったことを女性として経験できるようになったことは、もちろん嬉しいです。

現在は自分からいわない限り、トランスジェンダーであることはわからないくらいになっていますが、親しくなった人にはあえて伝えています。それは、身近に私たちのような人が普通に働いていることを知ってほしいのと、打ち明けると興味をもって聞いてくれ、仲良くなるきっかけにもなるためです。

伝えた前後でも男性、女性関係なく、一人の「人」として普通に接してくれることが何より一番嬉しいですし、それを含めて自分の「心」を隠さなくていいので、とても充実しています。

一言メッセージ

就活や転職でも、大切なのは目の前の人との「対話」です。しっかり対話をすれば、理解してくれる企業は増えています。一度きりの人生。自分がいつか死んでしまうそのときに悔いの残らないように、やりたいこと、できることをやってその瞬間まで全力で生きましょう。きっと楽しい人生になると信じています。

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