LGBT研修とは?【企業・団体の取り組みまとめ】

ライター: JobRainbow編集部
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近ごろ、「ダイバーシティの実現」をキーワードに、多くの企業がLGBT研修に加え、LGBTフレンドリーな職場環境を作り上げるべく様々な取り組みをしています。

今回はその中でもLGBT研修に焦点をあわせ、まずLGBT研修とは何?ということやLGBT研修の内容・費用・意義は?などの疑問点についてもふれていきたいと思います!

LGBTとは?

カミングアウトし活躍する芸能人のLGBT当事者の方も増え、LGBTという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、ここでもういちどおさらいしてみましょう。

LGBTとは、Lesbian(レズビアン)Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)Transgender(トランスジェンダー)の頭文字をとったものであり、性的少数者と呼ばれる層に位置します。

LGBTの図解

LGBTの割合 は全人口の約5~8%であるといわれ、総数は約600万人といわれています。

これらはあくまで多様な性の形の一つであり、なんら特別なものではなく、カミングアウトしていない層を含めれば、その総数はさらに伸びることが予想されます。

☆あわせて読んでおきたい!

「LGBTの割合」についてもっと詳しく知りたい方は、

【7人に1人?】実はLGBTの割合には賛否両論あるって知ってた?

LGBT研修とは?その価値と必要性を考える。

もちろん、職場とて例外ではありません。

私たちが日々多くの時間を過ごす職場においても、あなたのすぐ隣にLGBTの方がいるかもしれません。

この記事を読まれている方の中には、LGBTに関して色々と調べたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、情報サイトは玉石混交。実際に正しい知識を得ることは非常に難しいです。

そこで、企業が率先し正しい情報を得る場を設けるのが、LGBT研修です。日本経団連が2017年に行った調査[1]では、回答企業の約90%が必要性を感じ、約42%がすでにハラスメントや差別の禁止の社内規定を明記、セミナーを開催するなどの取り組みを行っています。また、約34%の企業も何らかの取り組みを行うことを検討しています。

LGBTの持つ市場価値

マーケティングを考える人

LGBT 市場(LGBT当事者をターゲットとした市場の規模[2]5.94兆円にものぼり、特に家電・AV機器、家具・インテリア、化粧品、カルチャーなどの消費の多さが顕著です。ここからも、LGBTフレンドリーな環境が大きな経済効果を生むことはお分かりいただけるとおもいます。

LGBT当事者やそういった方を支えるアライの方に向けたサービスや製品を提供することで、彼らの消費活動はより拡大します(こういった消費活動は「レインボー消費」とも呼ばれます。)。

また、これまでターゲットとされていなかった層に注目することで、職場環境だけではなく、企業の利益拡大やお客様との取引の円滑化にもつながります。その裏づけとして、2016年の日高の調査[3]では、約62%の当事者が性的少数派にフレンドリーな企業の商品を優先して購入したいと回答した例を挙げることができます。

LGBT研修を実施している企業

ここでは実際に企業内ですでに行われている取り組みを紹介したいと思います。

それでは、日本の企業は現在どのような取り組みをしているのでしょうか。実際に3つの企業を例に見ていきましょう。

ケース①:日本航空

まず1社目は日本航空。当事者の方を招く形で行われるLGBT研修の修了者にアライステッカーを渡すなど、職場環境づくりからLGBTフレンドリーな姿勢をとっています。その取り組みを具体的にみてみましょう!

JALのロゴ

1. 社内セミナー等の開催 

人事担当者、経営層、グループ全社員に対するeラーニングを実施しています(2016年3月~9月末 )。

2. 社内相談窓口の設置

LGBT相談窓口を人事部に設置し、平日9時半~18時半の間、電話で相談を受け付けています。また、Eメールでも相談可能となっています(2016年5月~)。

3. 採用活動におけるLGBTへの配慮 

採用面接官に対し、LGBTの基礎知識や就活生が困ることやカミングアウトされた場合の対応等について徹底しています(2017年度の採用活動~)。

ケース②:富士通

2社目は、全社員向けの人権啓発研修など、社員ひとり一人の働きやすさに着目している富士通です。

FUJITSUのロゴ

1. 社内セミナー等の開催 

全社員を対象とした人権啓発研修や新入社員研修、マネージャー研修等の対象別必修研修の中で、LGBTをテーマとして扱っています。また、外部団体と協力したワークショップや、人事部門・健康推進部門向けセミナーにも力をいれています。

2. 社内相談窓口の設置

人権に関する相談窓口を設置し、社員がアイデンティティを侵害されることなく働ける環境づくりの推進しています。

相談窓口は本社に加え各地区事業所にも設置されているようです。

3. 職場環境の整備

トランスジェンダーの社員から要望があった場合は、本人の性自認に基づいた、健康診断、職場での氏名の表記、服装、治療や手術の際の就業継続サポートなどを実施しています。

4. 採用活動におけるLGBTへの配慮 

エントリーシートに性別記載欄は設けず、採用部門にはLGBT研修をおこなっています。

ケース③:野村ホールディングス(野村證券)

最後になります3社目は、パートナーシップ制度を設けるなど、社員だけではなくその家族にまで行き届いた配慮がみられる野村ホールディングス(野村証券)です。

野村證券のロゴ

1. 人事制度の改定 

性別にかかわらず使用できる「パートナーシップ制度」があり、パ ートナーの情報を申請し承認を得れば、一部の福利厚生制度が利用可能となっています。 慶弔休暇、育児・介護関連の休暇制度や、海外異動の際に同性パートナーの移転に関わる費用の補助等がこの制度の対象となります。

2. 社内セミナー等の開催

多文化、LGBTなどのセクシュアルマイノリティ、障がい者という3つのテーマにおいて、正しい理解の促進と職場環境の創生を目指した情報発信やイベントを企画・運営しています。

例えば、LGBTの当事者を招いたスピーカー・イベント、「アライになろう!」パンフレットやLGBT関連資料を展示する「LGBTウィーク」などを毎年開催しています。

また、ダイバーシティ研修の中でLGBTについての説明を2013年より開始しています。役員会議、および営業部門のエリアマネージャー向けに、LGBTの理解と協力者を増やす取り組みについて説明する研修を2015年に実施しました。2016年には、本社勤務社員向けの自由選択制研修に「LGBTアライになろう」研修を導入しています。人事部向けにLGBTの勉強会も実施しています。

3. 社内相談窓口の設置 ・社内相談窓口の設置

社員ネットワークのE-mailアドレスを社内公開し、社内外から本人を特定できない形での相談を可能にし、社内外に相談窓口「セクハラ・パワハラほっとライン」を設けています。

4. 採用活動におけるLGBTへの配慮

新卒採用担当者向けの面接ガイダンスにおいてLGBTの差別禁止を説明しています(2015年~)。

トランスジェンダーの社員に対しての性別適合手術を受ける際の対応、休暇制度、上司や同僚への理解促進、支援体制などに関する会社の対応方針と制度を明確に説明したガイドブックを作成しています(2017年1月~)。

もっと知りたい!という方

現在具体的な措置を行っている企業の一覧とその実例は、一般社団法人日本経済団体連合会が2017年に公開した資料「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」のなかで詳しく扱われています。

こちらを参考にすれば、どういった内容で企業がどのような取り組みを行っているのか、また他の企業は何をしているのかが確認できます。

このように、多様性ある社会の実現にむけて、多くの企業が様々な取り組みや意識改革をおこなっています。しかし、このような取り組みをいざ始めようと思っても、ゼロから始めるのはなかなか難しいものです。

そこで登場するのが今回のキーワードであるLGBT研修になります!

JobRainbow~私たちのLGBT研修~

JobRainbowのロゴ画像

ここで、私たちJobRainbowの取り組みをご紹介させていただきます。

JobRainbowは現在、LGBT就活・転職活動サイト「JobRainbow MAGAZINEの運営、LGBT求人サイト「JobRainbowの運営、および研修コンサルティングの3事業を展開しています。

  1. 役員・管理職の方を対象とした研修
  2. 人事・採用者の方を対象とした研修
  3. 全社員向け研修
  4. 店長・マネージャーの方を対象としたホスピタリティ研修(サービス内容をより向上させたい皆様へ)

と各ニーズに合わせた形での研修プランを用意しています。

また、私たちが提供するLGBT研修は三部構成になっており、

一部…LGBTの基礎知識

二部…職場の課題~ケーススタディを用いて考える~

三部…グループワーク

となっています。

ここでは、LGBTに関する基礎的な知識を知っていただいた後に、実際のケーススタディの紹介、それを用いてのグループワークを行います。

情報を得るだけならばインターネットでも可能ですが、実際に頭を使って考えアウトプットする体験は、今後の参加者の皆さんの意識面において変化をもたらすきっかけになります。

企業に対して研修を行う組織

LGBT の就職情報、セミナーの場を提供し、企業や社会に対してアプローチを行っている団体、企業はほかにも存在します。ここではそれらをいくつかご紹介したいと思います。

1. 認定NPO団体 ReBit(りびっと)

ReBitのホームページの様子

ReBit公式サイト

こちらは2009年に発足した団体であり、現在は小中高校への出張授業やLGBT就活イベントの企画等々、若年層の教育的分野から就職に至るまで幅広い分野で網羅的に活動を行っています。

活動の一つであるRAINBOW CROSSINGと名付けられたイベントでは、LGBT当事者とLGBTフレンドリーな企業が実際に大きなイベントブースで話をすることができます。

それに加えてスーツの採寸、メークアドバイスなどのサービスも行われており、予約をすれば参加費は無料です!

毎年20社以上の企業が参加しており、企業紹介以外のブースでも講師による今のLGBTを取り巻く社会問題等についての講演を聞ける盛りだくさんの内容となっています。

2. 特定非営利活動法人 虹色ダイバーシティ

虹色ダイバーシティのホームページの様子

虹色ダイバーシティ公式サイト

大阪を中心として活動している団体です。主な活動内容としては企業等への研修、LGBTに関する正しい知識の発信・調査で、現在は認定NPO法人への登録を目指して邁進しています。

調査に関してはLGBTに関する大規模アンケート調査をほぼ毎年実施し、その調査内容の報告会を催すなどしています。また、企業へ講師を派遣する形での企業研修や社内制度の監修もおこなっており、大阪市淀川区の行政が力を入れているLGBT支援事業にも携わっています。

近年メディアではLGBTに関する話題が取り上げられることが多くなり、それに伴い声を上げる当事者も増えてきました。

この活動は、そのような当事者のスピーカー育成と、当事者同士の交流を目的に行われています。当事者や周りの人が正しい知識を得ることができ、また同じスピーカーとの交流を通して最新の情報、経験を共有できる場が あるのは非常に貴重な機会ですよね。

LGBTスピーカー・スキルアップ講座」の詳細はこちらへ。

3. Letibee(レティビー)

Letibeeのホームページの様子

Letibee公式サイト

株式会社Letibeeが行っているLGBT研修で特徴的なのは、通常型のダイバーシティを目指したLGBT研修に加え、ウエディング業界に特化したLGBT研修があることです。結婚式という一大イベントにおいてどういった対応が企業側に求められるのかをケーススタディを用いてわかりやすく知ることができます。

  • 平均所要時間は2時間30分程度を想定。
  • 定員は30人程度(※少人数研修等にも柔軟に対応。)
  • 費用は30万円~

→詳しい内容はこちらから。

さらに「LGBTメディア「Letibee LIFE」を運営しており、そこではLGBTに関するニュースのみならず、コラムでは生活レベルで役に立つ情報 や用語解説がおこなわれています。

また、同社はLGBT調査メディア LGBTマーケティングラボも運営しています。ここでは日本国内にとどまらず、海外でのLGBTに関する様々な分野での調査結果が掲載されており、少し目を通すだけでもなるほどと思うような興味深い調査結果に出会うことができます。

おわりに

クレヨンの絵

ここまでLGBTが何たるかや、その市場価値、取り組みの実例等々について書きましたが、皆さんに忘れないでいただきたいことは、ここまで取扱った人々は決して特別ではないことです。

私たち1人ひとりがもつ個性の1つがLGBTと呼ばれていますが、それらはあくまで不可視化されてきたものを可視化する名前にすぎません。すこし立ち止まって周りを見渡せば、人はもっと奥深く、多彩に輝いていることに気付けるはずです。LGBT研修もその足掛かりになり、すこしでも実施企業が増えることを祈ります。

そういった企業を、そういった企業に就職したい方々を、私たちJobRainbowはサポートします。

参考文献

[1] 日本経団連の2017の調査についてはhttp://www.keidanren.or.jp/policy/2017/039_gaiyo.pdf を参照。

[2] LGBT市場価値の数字に関しては、https://www.huffingtonpost.jp/2015/04/22/japan-lgbt-increased_n_7114592.html を参照。

[3] 2016年実施の日高による調査とその結果はhttp://www.health-issue.jp/reach_online2016_report.pdf を参照。

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