LGBTの割合は13人に1人? 100人に1人? バラつく理由

ライター: みんな すばる
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日本人口におけるLGBTの割合は、「1.6%から8.9%」(100人に1人から13人に1人)といわれています。(LGBTとは、レズビアンゲイバイセクシュアルトランスジェンダーの頭文字をとった、性的マイノリティの総称のひとつです)

また、欧米圏では「4%から7」という結果も出ています。

では、

  • 日本・海外のLGBT割合の調査では、どんな結果が出ているのか?
  • 調査にばらつきが生じるのは、なぜか?
  • 世代によって差はないのか?

この記事では、以上の疑問に答えます。

LGBTの割合まとめ(日本編)

浅草寺の前の、日本国旗が掲げられた道

日本国内のLGBTの割合については、いくつかの調査がされてきました。

日本の民間団体による調査では、「LGBTは人口の約8.0%」、つまり「13人に1」が通説となっています。

13人に1人というのは、全人口における「佐藤」さん・「鈴木」さん・「高橋」さん・「田中」さんの割合(約5%20人に1人)よりも多い割合です。

調査した団体LGBTの割合(およそのパーセンテージ)LGBTの割合(何人に1人)データの年
電通ダイバーシティ・ラボ5.2%→7.6%→8.9%11人に1人2012年→2015年→2018年
株式会社 LGBT 総合研究所(博報堂DYグループ)8.0%13人に1人2016年
日本労働組合総連合会8.0%13人に1人2016年
名古屋市総務局総合調整部男女平等参画推進室
1.6%100人に1人2018年
「働き方と暮らしの多様性と共生」研究チーム(協力:大阪市)new3.3%/8.2% ※33人に1人/13人に1人2019年

※ 3.3%は、「ゲイ・レズビアン」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」「アセクシュアル」の合計割合。8.2%は、「ゲイ・レズビアン」「バイセクシュアル」「アセクシュアル」「決めたくない・決めていない」「トランスジェンダー」の合計割合。

LGBTの割合まとめ(欧米編)

地球時上の欧米

欧米の調査結果では、LGBTの割合は次のようになっています。

欧米圏でも地域によってばらつきがあることがわかります。

国・地域名LGBTの割合(およそのパーセンテージ)LGBTの割合(何人に1人)データの年
アメリカ(Gallup社調査4.5%22人に1人2017年
ヨーロッパDalia社調査5.9%/10% ※16人に1人2016年
スペイン6.9%15人に1人(同上)
イギリス6.5%15人に1人(同上)
ドイツ7.4%13人に1人(同上)

※ 5.9%は、「レズビアン/ゲイ/バイセクシュアル/トランスジェンダーだと自認するか」に、「はい」と答えた人の割合。10%は、[完全に異性愛 / ほとんど異性愛、ときどき同性愛 / おなじくらいに異性愛と同性愛 / ほとんど同性愛、ときどき異性愛 / 完全に同性愛 / 無性愛(アセクシュアル) / 言いたくない]のうち、「完全に異性愛」以外の答えを書いた人の割合。

スペインでは14%! 世代差の話

欧米圏の調査では、若い世代ほどLGBTと名乗ることが多いと判明しています。

とくにスペインに至っては17-32才の人(2019年現在)の7人に1人がLGBTとのことです。

国・地域名(世代)LGBTの割合(およそのパーセンテージ)LGBTの割合(何人に1人)データの年
アメリカ(2019年現在、20-39才)8.2%22人に1人2017年
スペイン(2019年現在、17-32才)14%7人に1人(同上)
イギリス(同上)12%8人に1人(同上)
ドイツ(同上)11%9人に1人(同上)

LGBTの割合に関する疑問

クエスチョンマーク

日本におけるLGBTの割合に関してはさまざまな賛否両論がある。

1. LGBTと名乗る人が「増えている」のはなぜ?

LGBTと名乗る人が「増えている」のは、

  • LGBTへの理解が進みつつあり、じぶんもLGBTと名乗ることに抵抗を覚えなくなった人が増えたから
  • LGBTという言葉が知られるようになり、じぶんもLGBTだったのだと気づく人が増えたから

といった理由が考えられます。

2. 調査によってLGBTの割合がちがうのはなぜ?

2.1 調査方法によるズレ

電通ダイバーシティ・ラボ、LGBT 総合研究所、日本労働組合総連合会の3団体がおこなった調査は、いずれも「モニタ型ウェブ調査」によります。

この調査方法は安価に大量の回答をもらえるというメリットがある一方、正確性に欠けるという指摘があります。

(・・・)この方式の調査は、調査する側が知りたいと考える社会集団全体から、誰もが等しい確率で選ばれる確率標本抽出を経て得た数値ではありません。「7.6%」の「LGBTなど」が「出現」したからといって、日本のLGBT等の比率が「7.6%」であるとは言えないのです。

石田仁『はじめて学ぶLGBT』P. 229

他方で、「働き方と暮らしの多様性と共生」研究チームによる調査(2019)ではLGBTの割合が3.3%(もしくは8.2%)と出ていましたが、そちらは「確率標本抽出」を経ていたため、より正確なのではないかと話題になりました。

2.2 調査対象者の年齢による偏りの可能性

名古屋市の調査では、LGBTの割合が全体で1.6%という結果だったにもかかわらず、

  • 18-29歳の男性では約4%がLGBT当事者
  • 18-29歳の女性では8%がLGBT当事者

と回答しています。

このことから、若年層におけるLGBTの割合が高い可能性があります。

そのため、調査対象者が「20~59歳」となっていた電通ダイバーシティ・ラボやLGBT 総合研究所による調査結果には若年層の割合が大きく反映されていた可能性もあります。

2.3 「答えたくない」「怖い」という当事者

「答えたくない」「怖い」というLGBT当事者もいます。これは地域や調査手法によって増減します。

そのため、正確とされる調査手法でもLGBTの割合が少なく出てしまうのではないか、という指摘もあります。

たとえば、名古屋市の調査では「LGBTは1.6%」という結果となりましたが、東海地方のLGBT団体「レインボーなごや」はこの調査の問題点を次のように指摘しました

  • 調査票を見られたり個人が特定されたりする可能性への不安から、調査票でカミングアウトできない
  • アンケートが自分に送付されてきたことに不信感をもった
  • 性別の選択が「男性」「女性」しかなかった
  • 上のことから、「無回答」などを選んでしまう当事者がいたかもしれない

また、「働き方と暮らしの多様性と共生」研究チームの代表者・釜野さおりさんも、次のように述べています

どの調査もそうですが、回答しなかった方の状況は知りようがありません。自分には関係ないとして答えなかった人もいるでしょう。また当然ですが、性に関する問いに正直に書くことを躊躇する人は、回答しなかったか、実際とは異なる回答をした可能性は多いにあります。

LGBTQの割合「13人に1人」ではなかった 「3%」という”下方修正”をどう見るべきか、研究者に聞いた | ハフポスト

このように、LGBTの割合についての調査を考えるとき、「答えたくない」「怖い」というLGBT当事者も考慮に入れる必要があります。

まとめ

以上のように、LGBTの割合は調査によってバラツキがあるだけでなく、国や世代によって異なることがわかります。

しかしいずれにせよ、LGBTの人はたしかに存在しているのです。あなたの周りにも、きっと。

国・地域名LGBTの割合(およそのパーセンテージ)LGBTの割合(何人に1人)データの年
日本1.6%-8.9%13人に1人2018年
アメリカ4.5%22人に1人2017年
アメリカ(1980-1999年生まれ)8.2%13人に1人2017年
ヨーロッパ5.9%16人に1人2016年
スペイン(1987年-2002年生まれ)14%7人に1人(同上)
イギリス(同上)12%8人に1人(同上)
ドイツ(同上)11%9人に1人(同上)

参考文献

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