アンコンシャス・バイアスとは?【無意識の偏見に気づく】

ライター: Rickey
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アンコンシャス・バイアス(unconscious bias)とは、自分自身も気づけていない偏見や、ものの捉え方の歪みを指します。

近年、組織において多様性が大事だ、と話題になる中、「アンコンシャス・バイアス」という単語が聞かれるようになってきました。

しかし、この言葉がどういう意味なのか、なぜ聞かれるようになったのか、と聞かれると返答に困る方も多いのではないでしょうか。

実はこちら、職場のD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進する上で欠かせない概念なのです。

ダイバーシティ(diversity)とは多様性、インクルージョン(inclusion)は受容を指す単語で、これら2つを合わせたD&Iは「人の多様なあり方を受け入れる」ことを指します。

そこで今回は、アンコンシャス・バイアスの意味や重要性だけでなく、職場での事例や「D&Iとどう関係があるのか」というところまで解説します。

「D&Iって大事らしいけど、よくわからないんだよな」

「アンコンシャス・バイアスの意味、いまさら聞けない!」

そんな方こそ、ぜひお読みください!

アンコンシャス・バイアスとは

スマートフォンに映る顔文字

アンコンシャス・バイアス(unconscious bias)とは、自分自身も気づけていない偏見や、ものの捉え方の歪みを指す英語(unconscious=無意識、bias=偏見)です。

「私はアンコンシャス・バイアスなんて持ってない!」と思われる方もいらっしゃると思います。しかし、アンコンシャス・バイアスは誰もが持っているものです。

なぜなら、五感で受け取った膨大な情報をもとに素早く状況を判断するために、脳は似たような情報やパターンを結び付けて処理しているからです。医学博士の丸山氏や理学博士の竹内氏によると、脳はなんと99.996%の情報を”無意識のうちに”処理していると言います。

「情報を受け取った」と思った時、その情報は既に自分の価値観や考え方を経由しているのです。こう考えてみると、「自分にはアンコンシャス・バイアスがまったくない」と断言できてしまう方が、かえって危険かもしれません。

気づけない原因

「偏見を持ちたい!」と思っている人はあまりいないでしょう。ではどうして、私たちはアンコンシャス・バイアスに気づけないのでしょうか?

主な要因と考えられているのが、以下の2つです。

1. エゴ

自分の意見・考えの正当化や自己防衛のために、人は客観的な視点を見失ってしまうことがあります。また、コンプレックスやこだわりを刺激された時も、同様のことが起こります。

2. カルチャー

慣れ親しんだ環境や無意識に繰り返す思考・言動、周囲の同調圧力のようなものが、私たちをアンコンシャス・バイアスに対して鈍感にさせます。

職場でとくに見られるアンコンシャス・バイアス

オフィスで働く3人

アンコンシャス・バイアスにも様々な種類があります。その中でも、とくに下記の5種類は職場で多く見られます。

  1. 慈悲的差別:(主に少数派への)好意的だが勝手な思い込みをして相手に接する
    例)「この仕事はハードだから育児中の女性に任せるのは可哀想だし、他の人に頼むね」
  2. ステレオタイプ:今までの経験や知識、価値観から生まれた思い込みを相手に当てはめる
    例)「男なんだから、こういう仕事得意だろ?」
  3. ハロー効果:目立つ他の特徴に引きずられて評価が歪められる
    例)自分を慕ってくれる部下に対して甘い評価をする
  4. 確証バイアス:自分の仮説や考えを裏付ける情報ばかり集め、思い込みを強化する
    例)子供がいる母親は家のことを仕事より優先する
  5. インポスター症候群:自分を過小評価し、自らの可能性を狭めてしまう
    例)功績が認められ昇進の話がきても、「そもそも今の環境自体周囲のおかげで、自分は何も凄くない」と話を断ってしまう

とくにステレオタイプやインポスター症候群とLGBTの関わりは深く、LGBTへの正しい知識がない周囲の人々から「同性が好きだから〇〇」「トランスジェンダーだから〇〇」と何度も言われ続けるうちに自信をなくし、自分を過小評価してしまうように……なんてケースも見られます。

なぜ認識することが大事?

会議室で話し合う3人

では、このアンコンシャス・バイアスを認識することがなぜ必要なのでしょうか?

D&Iを推進するため

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とは、一人ひとりの多様な個性が組織において活かされることです。

少子化が進む中で生産年齢人口が減少している現代において、これから残っていくのは「多様な人を受け入れられる」「入社した人材がきちんと力を発揮できる」企業です。

また、いろいろな観点からの意見があることで、複雑になった世の中のニーズに対応することができます。

個性やスキル、得意なことなど、全てが一致している人は1人もいません。だからこそ、一人ひとりの強みが発揮されることが組織の成長に繋がります。

こうした背景から、多くの企業がD&Iの推進に力を入れています。

職場への悪影響を防ぐ

アンコンシャス・バイアスを持ち続けることで弊害も生まれます。

個人で言えば、正当な評価がされないことでモチベーションが下がり、挑戦心の欠落や疎外感、職場への諦めにもつながったりします。こうなると、「別の職場がいいな」と考えた優秀な人材が流出してしまうことは想像に難くありません。

アンコンシャス・バイアスの弊害

また、職場全体にも悪影響があります。「自分を悪く思っているんじゃないか」とお互いに不信感を抱きあいチーム全体のパフォーマンスが低下したり、最悪の場合ハラスメントが見られても指摘されずに残り続ける、なんてこともありえます。

アンコンシャス・バイアスに対処する方法

誰もが持っているアンコンシャス・バイアスに、私たちはどう向き合っていけばよいのでしょうか?

今回は、「個人での対処法」と「チームでの対処法」をそれぞれご紹介します。

個人編

  • 思考の一時停止:すぐに反応せずあえて数秒待ち、落ち着いてから決断する
  • アンテナを立てる:自分の物の見方や考え方に気づこうと意識しておく
  • 検証:自分の言動や決断が、固定観念や先入観に左右されていないかを客観的に見てみる
  • 選択肢を増やす:判断や評価をする際、いったん保留し他の選択肢がないか、考える
  • 成果に向けた対話:目指す成果を共有したうえで、相手の話をよく聞きながら対話する

チーム編

  • 自己理解を深める:第一印象を疑う、自らの言動や決断の根拠が説明できるか確かめる
  • 自分の考えをオープンに:違和感やバイアスがあることをオープンにすることで、周囲からのフィードバックを求める
  • メンバーとの密なコミュニケーション:声かけの頻度を高め、意識的にコミュニケーションの質・量を向上させる
  • 好意的な行動を意識する:相手のいい面に目を向けて接する
  • バイアスを排除する仕組みづくり:属性によるバイアスがかからないよう制度を整える
  • 評価や面接の構造化:基準や質問項目は事前に策定+共有し、マニュアルに沿って行なうことで主観を排除する

対処できるか不安な方へ

上記の対処法は、これらすべて簡単に実行できるとは限りません。これを職場にすぐ浸透させられるか不安に思った方は、一度研修を受けてみてはいかがでしょうか。

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JobRainbowの研修には、LGBTに対するものだけでなく、自分の中のアンコンシャス・バイアスに気づくためのワークショップを組み込んでいます。気になった方は、こちらのフォームからぜひお問い合わせください!

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参考文献

竹内薫,丸山篤史『99.996%はスルー 進化と脳の情報学』(2015)ブルーバックス

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