【学生ライター発掘プロジェクト②】私のセクシュアリティは何と呼ぶ?~名前を探す旅~ 【光希】
本コラムは、LGBTQ+のライフとキャリアを支えるJobRainbow MAGAZINE主催「JobRainbow学生ライター発掘プロジェクト!」でご応募いただいたコラムとなっております。
光希さん、ありがとうございました。
「特別」なんて必要だろうか?
母曰く、私は何事にも関心の薄い子供であった。
アニメ、漫画の趣味は全て姉の影響を受け、自分から興味を持つことが少なかった。
友達がいた。みんなを同じくらい好きだった。ところがある日、そのうちの一人が私のことを「親友」と呼んだ。その時感じた違和感が、周囲と自分の違いを少しずつ明らかにしたのかもしれない。
「『特別』なんて必要だろうか?家族も友達も、同じくらい大切でいいじゃないか…」
恋バナに共感できない焦りと寂しさ
中学生になり、高校生になってもその考えは変わらなかった。努力家で優しい友人たちに憧れを抱きつつ、恋人になることは望まなかった。
同性・異性にかかわらず、誰もが憧憬の対象だった。部活に、趣味に打ち込む姿はきらきらしていた。特に彼氏・彼女が欲しいと楽しそうに語るときは、まぶしいほどに。
ただ、共感できていないことに焦りや寂しさを感じた。
「自分は女性としてみられる存在なんだ」
大学生になった。一人暮らしを始めた。服装も食べるものも自分ひとりで決めなくてはならない。周囲の人々の視線を意識するようになった。そうなって初めて重大なことに気づく。
それは、自分は社会的に女性としてみられる存在である、ということだ。
学校でも、バイトでも、サークルでも。身体に合わせた扱いをされることへの抵抗を強く感じるようになった。
自分を表す言葉との出会い
女性として扱われる感覚に悩まされる日々のなかで、「Xジェンダー」「無性」「アセクシュアル」という言葉に出会う。
自分を縛っていた鎖が、ばらばらに砕けていくのを感じた。
特別を知らない、性別のない自分を表す言葉が存在する。
名前があるということが、私のような人間がいてもいいということの証明をしてくれているように感じた。同じ境遇にいる人もどこかにいて胸を張って生きているということに、背中を押された。
私は身体がたまたま女性として生まれただけの、どこにでもいる人間なのだ。
そう自分を誇れるようになりたいと強く願った。
自分に送る言葉
今、大学内でセクシュアリティ研究サークルを立ち上げたばかりだ。自分たちも性の多様性への学びを深め、交換した意見を発信していくために。
小学生のころから周囲との違いによる寂しさと戦い、当てのない旅を続けてきた私へ。
「大丈夫。あなたの人生、そんなに悪くないよ。」
JobRainbow編集部より
自分のセクシュアリティの名前を知ることで自己承認をし、セクシュアリティ研究サークルも立ち上げるに至るという、読み手にとって勇気や気づきを与える、素晴らしいコラムでした。
光希さん、素敵な体験談を、ありがとうございました。
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