【学生ライター発掘プロジェクト③】アメリカに留学したら性自認がブレまくった【園原伊織】

ライター: りっきー
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本コラムは、LGBTQ+のライフとキャリアを支えるJobRainbow MAGAZINE主催JobRainbow学生ライター発掘プロジェクト!でご応募いただいたコラムとなっております。
園原伊織さん、ありがとうございました。

2018年8月。私は学部の卒業要件を満たすため、ひとりアメリカに渡った。

前の年の3月、私は大学受験に失敗し、当時第3志望だった国際教養学部に進むことになった。進学先について特に不満はなかったが、卒業要件に1年間の海外留学が含まれているのがどうしようもなく不安だった。

この不安感をかき消すために、2年生の8月までは留学先で直面するかもしれないあらゆる問題に対策を打っていた。

しかし、いざ現地で暮らし始めてみたら想定外の問題が出てきた。性自認の問題だ。

アメリカに留学したら性自認がブレまくった。

自己紹介がてら私の性自認について話したい。私は俗にいうXジェンダーだ。

このことに気付いたのは17才の時だったと思う。当時好きだったバンドのフロントマンがXジェンダーなるものについて話していたからカテゴリーの存在を知った、というよくある経緯だったが、自分について理解を改めた後の私は変わった。

それまで「女子なのに女子っぽいものを好まない奴」として努めて目立たないようにしていたのから一変、自分の趣味に正直になった。好きな服に好きな髪型で出歩いていると男子に見間違われることが増えたが、それでもよかった。それがよかった。「どっちでもない自分」に納得していたし、相当愛着を持っていた記憶がある。

留学してまず気付いたのが、「どっちでもない自分」が滞在先のニューヘイブンの地では通用しないということだった。

私は身長162cmで体重56kg、顔は丸っこくて子供っぽい。体型と折り合いをつけるために冬場は厚手のパーカーを愛用し、夏はTシャツ・ジーンズ・スポブラの3点セットを使いまわしている。

いつも通りの短髪ならこざっぱりしたスポーツ女子か男子中学生に見えるはずなのだが、それも日本国内でしか通じないらしかった。成人アメリカ人男性の平均身長は178cmで、女性は163cm。人種を無視した計算にはなるが、無理もない話だ。ボランティア先で世話を焼いている小学生が「ミス・イオリ」と呼んでくる。道行く大人が「レディーズファースト」と笑って本屋のドアを開けてくれる。まあ、そうだよな。どうも。

私が女子トイレに入っても見向きすらされない環境の中、私はXジェンダーを名乗ることに引け目を感じるようになった。そもそも、日本でいうところの「男性らしさ」と「女性らしさ」をベースに「どっちでもない何か」を作っていたのだ。基準が変われば結果も変わるのは当たり前。

じゃあアメリカの当たり前ってなんだ?

留学生という異物の自分は当たり前を理解して、アンチ・当たり前を作れるのか?

堂々巡りの袋小路をさまよっていた私を引っ張り上げてくれたのはスイートメイトのエミリーだった。寮で住み始めて3ヶ月、部屋に行く途中のエミリーと立ち話をしていたら質問された。

「そういえばイオリのジェンダーアイデンティティーってなに?」

私はしばらく迷ってから、まだ迷ってるんだよね、と伝えた。

エミリーはその答えに笑ってくれた。私も、との言葉に救われた。自分で自分がわからなくても大丈夫だと思えた瞬間だった。


JobRainbow編集部より

アメリカに渡った園原さんだからこそ書ける、素敵なコラムでした。長さもちょうどよく、表記ぶれも特にない、読みやすい文であっただけでなく、周りにアライがいることで生きやすくなるという、読み手に勇気を与える体験談でした。

園原伊織さん、ありがとうございました。

「JobRainbow学生ライター発掘プロジェクト!」のコラム④はこちら→【学生ライター発掘プロジェクト④】世界のLGBT事情-スペイン編【永田 滉】

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