LGBTフレンドリーな企業の取り組みを知ろう【LGBT就活・転職ガイド 3-1】
LGBTフレンドリーな企業とは?
企業の従業員がLGBTをカミングアウトしている・していないにかかわらず、LGBTが働きやすい職場づくりに取り組んでいる企業のことを「LGBTフレンドリーな企業」とよんでいます。こうした企業活動の背景には、LGBTだけを特別扱いするのではなく、LGBTを含むすべての人にとって、平等な制度や環境づくりをしていこうという各社の意識があります。
海外ではHuman Rights Campaignが、日本国内ではJobRainbowやwork with Prideという団体が、企業のLGBTに対する取り組みを独自の指標で評価しています。しかし、企業自身が LGBTフレンドリーと表明していなくても、LGBTフレンドリーな取り組みを行っている企業、これから取り組みをはじめようとしている企業は数多くあります。
ここでは、代表的なLGBTフレンドリーな取り組みを紹介します。この他、独自の取り組みを行う企業も多数あります。また、「取り組みをしていない」=「LGBTフレンドリーではない」と決めつけるのではなく、あくまで判断材料のひとつととらえ、自分のやりたいことを軸に仕事を選ぶ姿勢が大切です。
差別禁止規定や福利厚生など、制度面での取り組み
社内規定や福利厚生などの制度面で、異性婚と同等の権利付与やトランスジェンダーをサポートする仕組みがあります。
- 差別禁止規定
国籍・年齢・性別などと同様、性的指向や性自認についても明記したうえで、それらにもとづく差別禁止を規定している。 - 福利厚生
結婚・育児・介護休暇、同性パートナーと子どもに対する家族手当、社会保険の一部負担など、同性同士の婚姻関係を認め、異性婚と同等の権利を与える「パートナーシップ制度」、トランスジェンダーに対しての「性別適合手術休暇」などがある。健康診断にも配慮がなされている。
不自由なく過ごせる、設備面での取り組み
プライベートな空間であるトイレや更衣室といった設備面の取り組みは、トランスジェンダーにとって重要なポイント。会社訪問時に確かめてみましょう。
- トイレ
男女の区別がない「だれでもトイレ」や「オールジェンダートイレ」の設置。性自認に合わせたトイレの利用を認めている企業もある。 - 更衣室
性自認や時間交代制での利用、個室更衣室完備の企業もある。
居心地が悪くならないようにする、環境面での取り組み
誰からもカミングアウトを強制されないことを大前提として、職場の雰囲気や人間関係といった、目に見えない部分の理解を促す取り組みです。
- LGBT研修:さまざまな職務の従業員の理解を促すことが目的。
- LGBT相談窓口:制度ではカバーしきれない個別の要望や悩みに対応。
- 当事者やアライのコミュニティ:従業員同士の親睦や社内勉強会の主催、LGBTイベントへの出展などの活動がある。LGBTを理解し支援するアライのコミュニティもある。
- LGBTイベント出展:東京レインボープライドをはじめ、日本各地のイベントに出展。ブースの設置やオリジナルグッズなど、企業により特色がある。
こうした企業の取り組みをチェックできる、JobRainbow独自の「働きやすさ指標」を紹介します。LGBTの取り組みに加えて、女性や外国人、障がい者、シニアの活躍に力を入れているかなど、ダイバーシティ全体への姿勢もチェックしておきたいところです。キャリアプランとライフプランに合わせて、転勤の有無なども見ておくとよいでしょう。
(引用:『自分らしく働く LGBTの就活・転職の不安が解消する本』星賢人、翔泳社、2020)
Q. LGBTフレンドリーな企業はLGBTを優遇して採用しているのでしょうか?
LGBTフレンドリーだからといって、LGBTを特別採用することはありません。あくまで選考でセクシュアリティがマイナスの要素にならないことが明確なだけです。企業が求めている人材は、「自社で成果を出してくれる人材」であって、セクシュアリティは仕事内容に関係ないからです。
LGBTに配慮した取り組みは、あくまで働く条件のひとつであることを心に留めておきましょう。
Q. LGBTフレンドリーな企業は大手企業だけでしょうか?
そんなことはありません。大企業、中小企業問わず、誰もが働きやすい職場づくりに積極的に取り組む企業は増えています。
むしろ、従業員数の少ない企業ほど、変革のスピードも速く、企業理念や風土が従業員に伝わりやすい傾向もあります。
中小企業でも、経営者に理解があり、職場にダイバーシティを尊重する文化があれば、制度や福利厚生が整っていなくとも、LGBTが働きやすい環境かもしれません。具体的な制度や福利厚生が整っていることだけが、LGBTフレンドリーではありません。
戸籍変更を済ませたトランスジェンダーや同性パートナーをもつ予定がないLGBなどは、制度よりもむしろ人間関係や職場での理解があれば十分だという人も多いでしょう。
キャリアプランとライフプランに合わせて、自分に合ったLGBTフレンドリーの度合いを考えましょう。
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