先輩の体験談 つっくんの場合【LGBT就活・転職ガイド 2-8】
就活はしんどくも、自分を成長させてくれる良い機会だった
FtM(トランスジェンダー男性)のつっくんと申します。私は性同一性障害の診断を受けていますが、現在のところホルモン注射等の治療はせずに、戸籍上は女性として暮らしています。
性別の違和感にはっきりと気付いたのは、高校生になってからです。家族や友達には打ち明けてはいますが、家族との関係上、治療をしないという選択をして暮らしています。
今振り返ってみると、就職や転職活動は大変でしんどいことも多くありました。しかし、自分自身と向き合い、自分を成長させてくれるとても良い機会だったと今は思っています。私の話が少しでも皆様のお役に立てば嬉しいです。
声とスーツと、カミングアウト
新卒から現在まで3社を渡り歩いてきました。ネット通販の会社でMD(マーチャンダイザー)を務めたのち、人材会社にて営業を経験しました。現在はアパレル会社にて店長としてやりがいを持って働いています。
就活や転職の時の悩みは、声が高かったことです。私は、見た目では男性として見てもらえるのに、声を発すると女性と認識されてしまいます。また、服装に関しても、スーツを着る機会がかなり多かったです。その際は、どうしても女性物のスーツを着ることが受け入れられず、男性物のスーツを着ていました。この時点で、何も言わないと企業側にいぶかしがられると感じていたため、「どのような会社であろうとエントリーシートの段階でカミングアウトをする」と決めました。
面接者に心ないことを言われ、正直傷付いたこともありました。しかし、「就職活動時にカミングアウトをして良かった」と心から思っています。なぜなら、カミングアウトして入社したことで、よりストレスフリーに働くことを楽しめている自分がいるから。
自分の軸を持ち、自分を受け入れよう
3回の就職活動の経験から、「焦らずに自分の“軸”をしっかり持ち、自分自身を受け入れることが大事だ」と思い至りました。
まだまだLGBTに関する知識の乏しい企業や採用担当者が多く存在しているのは事実です。しかし、セクシュアリティに関係なく、自身と向き合って自分の“軸”を持っていることを伝えれば、理解し、受け入れてくれる企業はたくさんあります。
私には自分の性を受け入れられない時期があり、自分の心に嘘をついて面接に臨んでいた時期がありました。しかし、その時期はいくら活動してもうまくいかず「面接者には簡単に見抜かれてしまうものだな」と痛感しました。
現在の会社を選んだのは、自分のやりたいことの軸と会社の理念が一致し、また私のセクシュアリティを一つの個性だと受け入れてくれたからです。社内の全員がLGBTについて理解が深かった訳ではなかったので、入社後に自らLGBT勉強会の主催もしました。こういう機会を与えてくれる今の会社には感謝しています。
一言メッセージ
私が社会に出てから約6年。LGBTを取り巻く環境はポジティブな方向に向かっています。就職活動を行うなかで、しんどくなってしまうこともあるかもしれません。しかし、自分の心に嘘を付かず、ぜひ正直になってほしいです。そうすれば、分かってくれる人、理解してくれる企業は必ずいると信じています。
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