最も大事な一次情報、社員の人に話を聞いてみよう【LGBT就活・転職ガイド 3-7】

ライター: JobRainbow編集部
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LGBTほど大事な一次情報「社員の声」

実際に企業で働いている人からの「社員の声」は、自分らしく働く企業選択の際の決め手にもなりうる重要な一次情報です。説明会などでも人事や社員の話を聞けますが、多くは企業側の良い面しか知ることができません。

たとえば、ネットの企業情報にはLGBTに対する福利厚生が整っていると書かれていても、実際に社員の声を聞いてみると、まだまだ多様性に対する理解が浸透しておらず、こうした制度も利用しづらい状況かもしれません。また大きな企業では、部署によってLGBTへの理解の差がある場合もあります。どんな企業にも良い面と悪い面の両方があるので、社員の生の声を集めましょう。

逆に、ネットなどにはLGBTについての情報が出ていなくても現場に理解が浸透していれば、良好な人間関係を築ける職場かもしれません。大事な情報源となる「社員の声」の集め方とその際のマナーを紹介します。

さまざまな「社員の声」の集め方

社員の声を集めるためには、主に次のような方法があります。

1. OP訪問

興味のある企業で働いている先輩(OP:Old Person)を訪ね、仕事内容や職場の様子などを聞き、企業の理解を深めることが目的です。

就活生が母校の先輩を訪問するのが一般的ですが、最近では転職時にOP訪問をすることも珍しくありません。面接や合同説明会よりもカジュアルに、より近い距離で話を聞くことができます。

母校の先輩がその企業で働いていなかったり、転職時にOP訪問をしたい場合は、エージェント経由や企業サイトに直接問い合わせると対応してくれる場合があります。

2. SNSやアプリ

FacebookやTwitterなどのSNSで社名を検索して声かけをするのもよいですし、社会人訪問専用のサイトやアプリもあります。

OP訪問と違い、学校や企業、エージェントが間に入らないため、比較的自分が会いたいと思う役職や職種の方にピンポイントで会えることがメリットです。本名と顔を出している人、可能であれば共通の知り合いがいる人を選び、会うときは必ずお昼の時間帯のカフェなど、人の多いところを指定しましょう。

3. カジュアル面談

カジュアル面談は0次面談ともいわれ、近年ベンチャー企業などを中心に増えています。選考前に採用担当者が個別に会う時間を設けてくれ、事業の詳細やエントリーの注意点、福利厚生などについて聞くことができ、オフィスツアーを用意してくれる場合もあります。

志望動機などを用意する必要はありませんが、エントリー後の書類選考などにはこの面談での印象が加味されることに気をつけてのぞみましょう。

4. インターンシップ

社員の声を聞くにあたって、最も質の高い情報を手に入れられるのが、インターンシップです。とくにLGBTにとっては、その企業のリアルな職場環境や人間関係を見極められる機会となります(→【LGBT就活・転職ガイド 第4章】インターンシップ編)。

どんな人に会うべきか

社員に会うなら、志望企業で、かつ自分のやりたい仕事をしている人に会おうと思う人が多いと思います。この際、自分と年齢の近い人だけではなく幅広い年代の人に会っておくとよいです。たとえば、1~2年目の若手社員からは面接や採用選考についてのアドバイスがもらえます。一方、10 年目、20 年目の中 堅・ベテラン社員からは自分の将来像を描くのに重要な視点を学べるでしょう。

ただ、自分が志望する企業の社員だけに会うのがよいとは限りません。たとえ ば、志望するIT 企業の競合の社員に会う中で、IT や業界は比較的年齢層が低く、多様性への理解が進んでいるという傾向が見えてくるかもしれません。

「カミングアウトをして働きたい」「LGBTフレンドリーな会社で働きたい」と思っ ている人は、LGBT の先輩社員に会ってみることをおすすめします。LGBT 向け の合同説明会や LGBT サークルの先輩のつてなどで紹介してもらうとよいでしょう。カミングアウトをしている人としていない人両方のLGBTの先輩社員の声を聞け ると、より一層自分らしく働くイメージを固めていけると思います。

相手の貴重な時間を使っていることを意識して礼儀をもって話を聞こう

先輩社員は、採用担当ではありません。仕事とは関係ないところで、時間を わざわざとってくれています。また、企業によっては担当した社員が後日、人事に レポートを出すこともあります。

訪問前は社会人としてのマナーを意識してください(→ セクシュアリティにとらわれない身だしなみとビジネスマナーとは?【LGBT就活・転職ガイド 1-7】)。面談の前後のみならず、話を聞くときも誠意をもってのぞみましょう。

気をつけておきたいことは、現場社員の LGBTへの理解が乏しい場合です。LGBTやダイバーシティについての話題になると、嫌な顔や不適切な発言をされ る可能性もあります。このとき、こちらが感情的になって相手を説得しようとしてもあまり意味はありません。

「この企業にはこういった考えの人がいるんだ」と、ひとつの情報として受け止め、冷静に対応しましょう。あまりにも失礼な対応をされた場合は、早めに面談を切り上げてしまって問題ありません。

Q. OP訪問の際に必ず聞いておいた方がよい質問はありますか?

「自分がこの企業に入ったらどんな風に働くだろうか?」とイメージしながら、質問を考えてみてください。以下に、質問の例をいくつか紹介します。

相手に質問をする前に、自己紹介や志望動機、目指している職種を伝えておくと、相手もより具体的なアドバイスがしやすいでしょう。なお、給料や休日の過ごし方など、プライベートにふみ込み過ぎた質問は避けてください。

OP訪問の際の質問例

仕事内容について
・担当している仕事、面白み、苦労すること、心掛けていること
・入社してよかったこと、入社前とのギャップの有無
・同業他社と比べて、よい点、足りない点
・これから会社の中でやりたいこと、ビジョン
職場環境について・部署の雰囲気、人間関係、飲み会の頻度
・残業、休日出勤の頻度
就活について・入社時の志望動機
・求めている人物像
・面接のポイント
LGBTについて(聞きたい場合のみ)・ダイバーシティ全体に対する現場の理解度
・LGBTやダイバーシティに関する研修を受けたことがあるか
・多様性への取り組みって知っていますか?などと前置きをして、LGBTへの取り組みについて聞いてみる。もし制度があるのに存在を知らない場合は現場に制度が行き届いていない可能性がある

POINT

  • 社員の声は最も大切なので、時間の許す限り一次情報収集を怠らない
  • OP訪問やSNSなどを活用し、多角的に情報を得よう

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