先輩の体験談 おおちゃんさんの場合 【LGBT就活・転職ガイド 7-6】

ライター: JobRainbow編集部
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「書類と違う人が来ている!」入室3秒でカミングアウト

私は27歳で女子サッカー選手を引退後、ホルモン治療を開始しながらはじめての就活をしました。

ホルモン治療も3カ月を迎えると、戸籍性の「女性」の見た目は完全に消えて、「男性」にしか見えない風貌になっていきます。そんななか、いくつか書類選考を通過し、男性スーツを身にまとっていざ面談へ!

しかし、入室して3秒で、面接官から「書類と違う人が来ていますよ?」と言われました。書類には女性名が記入してあるのに、男性が入ってきたからです。私の最初の関門は「入室と同時にカミングアウトをしなければならない」ことでした。

カミングアウトの後は、セクシュアリティに関する質問ばかりで、仕事に関する話が全然できませんでした。また、内定をもらって喜んだのもつかの間、セクシュアリティを理由に内定取り消されることもありました。そういった面倒を避けるために、面接の前に電話で事情を伝えてみても、「そういった人の前例がないので」と会ってもらうことすらできない––そんな日々が続きました。

戸籍変更後も困ることはある

そんな就活を乗り越え、カミングアウトに対して「ありがとう、何に困るのか教えてほしい」といってくださる会社に出会えました。入社時にはまだ戸籍変更が済んでいなかったので、名前やトイレの問題を伝えましたが、どちらも希望する方向で対応してくれて嬉しかったです。

その後、戸籍変更後に転職をしました。「カミングアウトの必要もなく、性別に関して困ることもないだろう。これまで以上に働きやすくなるのではないか」と思っていました。しかし、数か月も経つと思わぬ問題が生じたのです。

社内行事のフットサルで、元々サッカー選手だったこともあって大活躍をできました。そして「何でそんなにうまいんだ!?」「どこのチームだったの?」「出身校はどこ?」と質問ぜめに。女性としての過去をどう話していこうか、悩みました。

飲み会の後に、銭湯に誘われて断ることもしばしば……。日常生活でも、トイレは個室を利用するので、「立ってしない派?」などと何度も聞かれることがありました。

カミングアウトによって安心して仕事に打ち込めた

そんな2社目では、社員旅行の際など必要に応じてカミングアウトをしていきました。カミングアウトをすると、私自身も周りの人もスムーズに過ごせるようになります。それだけでなく、自分について知ってもらっている安心感から、ありのままで仕事に打ち込むことができました。

もう過去の話にヒヤヒヤすることもありません。退社時にはじめてカミングアウトしたメンバーも最初は驚いていましたが、それぞれでLGBTについて勉強してくれたようで、退社後も交流が続いています。
今は多様な人がいるLGBTフレンドリーな企業で働いています。そこでは、LGBTだけでなくいろいろなマイノリティについて、一人ひとりの違いを個性として生かしあおうと考える習慣が身につきました。

それは、私のすべてをそのまま受け入れてくれている、会社や仲間がいるからこそ。信頼関係を築くことができ、今では家族のような存在です。仕事を頑張る理由がひとつ増えました。

一言メッセージ

私は6歳で性に違和感がありましたが、サッカー選手という夢・仕事のために30歳まで戸籍変更を我慢していました。周りとの関係や人生のフェーズ、気持ちの状態などによって、治療やカミングアウトのタイミングは人それぞれ。正しい答えはないので、とことん悩んで、自分だけの道を切りひらいていってほしいです。

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