レズビアンとは?女性を愛する女性のはなし。【用語解説】

ライター: JobRainbow編集部
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レズビアンとは、自身を女性と認識した上で、女性に恋愛感情や性的欲求を抱くセクシュアリティ(同性愛)のことをさし、「LGBT」(レズビアン・ゲイバイセクシュアルトランスジェンダーの頭文字をとったセクシュアルマイノリティの総称)の「L」に当たります。

また、欧米では同性愛者をまとめて「ゲイ」と表現することがあるため、レズビアンの女性でも自身を「ゲイ」と名乗る方もいます。

日本では「レズ」という呼び方が有名ですが、差別的な意味で使われていた歴史もあり好まない人も多くいるため、「レズビアン」や「ビアン」と呼ぶことが主流です。

今回はそんなレズビアンについて、様々なレズビアンのあり方とその歴史から、レズビアンをカミングアウトする有名人まで詳細にまとめてお届けします。 「自分がレズビアンなのかわからない」
「レズビアンって結局どんな人なの?」

という方には是非読んでいただきたいです。

LGBTとは?今だからこそ、確認したい基礎知識

様々な5人の人が並んでいる

自分はレズビアンか? 診断してみよう。

女性が好きだけど自分の性別がわからない…私はレズビアンと言っていいの?

女性が好きな女性はレズビアン。こう説明してしまうと、単純なようにも思えますが、一重にレズビアンといっても様々な考え方や状況の方がいる上に、考え方によって「私はレズビアンと言えるのか」と悩んでいる人がいることも事実です。

ここでは、レズビアンの定義にそって、自分がレズビアンかどうかをセルフ診断できるように説明します。

ちなみに、同性愛は病気ではありません。そのため、自分がレズビアンかどうかきちんと知りたかったとしても病院や公的機関で「認定」を受けられるようなことはないことを知っておきましょう。裏を返せばセクシュアリティとは本来、それほど自由で、自分のありたいようにできるものなのです。 ではレズビアン診断にあたり、まずはじめに、セクシュアリティを理解・診断するにあたって大事な4つの性の観点である、身体的性性自認性的指向性表現について紹介します。

①身体的性(セックス)

身体的性のイラスト

人間の身体的特徴によって 出生時に割り当てられた性

②性自認

性自認のイラスト

自身をどの性別だと思うか

③性的指向

性的指向のイラスト

恋愛感情や性愛の対象を、どのような人に向けているか

④性表現

性表現のイラスト

自身のありたい性をどのように表現するのか

以上4つの観点からレズビアンをみるとすると、

①身体的性 → 人によって自由

②性自認  → 女性

③性的指向 → 同性の女性

④性表現  → 人によって自由

となります。

そのため、同じ「女性が好き」というものでも、こんなふうに考えることができます。

  • 戸籍上は女性、自分は女性だと自認。         → レズビアン
  • 戸籍上は女性、自分は男性だと自認。         ヘテロセクシュアル(異性愛)トランスジェンダー男性
  • 戸籍上は男性、自分は女性だと自認。         → レズビアントランスジェンダー女性
  • 戸籍上は男性、自分は男性だと自認。         → ヘテロセクシュアル

また、同じ「女性が好き」でも、「男性や他の性別の人も好き」となると、また違ったセクシュアリティである可能性があります。

  • 女性だけを好きになる。   → レズビアン
  • 女性も男性も好きになる。  → バイセクシュアル(両性愛)
  • 相手の性別に関わらず好きになる。 → パンセクシュアル(全性別愛)

つまり、あなた自身が自分を女性だと認識し、愛する人が女性だけなら、あなたはレズビアンとなります。

LGBT診断 ~多様なセクシュアリティの世界まとめ~

レズビアンには女役・男役ってあるの?

太陽に照らされる2人の人

そもそも同性カップルにおいては、「男性役」「女性役」といったものが必ずしも決まっているわけではありません。

レズビアンやゲイカップルなど、同性カップルにおいてよく聞かれる質問として「どちらが女っぽいのか?」「お母さん役はどちらがつとめるのか?」といった質問があります。

これは上述の「④性表現」にも関わってくる話ですが、レズビアンというセクシュアリティにおいて「④性表現→人によって自由」なのからもわかる通り、レズビアンカップルの中で「男性役」「女性役」といったものが必ずしも決まっているわけではありません。おしとやかな女性とボーイッシュな女性のカップルの形もあれば、互いにボーイッシュな女性カップルの形も当然あります。

ですが、そのうえで、レズビアンコミュニティ内のカルチャーとして「フェム」「ボイ」「ネコ」「タチ」「リバ」という言葉は存在します。

「フェム」「ボイ」は見た目について、「ネコ」「タチ」「リバ」は性的役割について説明する際に使われる言葉です。

1. フェム/ボイ

「フェム」は見た目が女性的な、「ボイ」は見た目が男性的な人を指すときに使われる表現です。しかしこれは単純にカップル内での女役・男役を表すわけではなく、あくまでもその人がどのような装い・雰囲気なのかという「④性表現」を指した言葉になります。

性表現とは「社会的に自分がどう見られたいか」に基づく考えのため、自分の身体的性や性自認とは関係なく選ぶことができます。

例えば身体的性も性自認も女性ですが、ファッションや振る舞いは男性的な場合、性表現が男性寄りであると言えます。

異性愛者の男性が「ショートカットのかっこいい女性が好き」というのと同じように、レズビアンも「可愛らしい女性が好き」「かっこいい女性が好き」と、人それぞれに当然好みがあります。

2. ネコ/タチ/リバ

次に「ネコ」は性行為や恋愛関係上で受け身、「タチ」は性行為や恋愛関係上で能動的なことを表す言葉で、どちらも可能な場合「リバ」と表現します。

これは見た目にかかわらず、性行為や恋愛関係上、自分がどの立ち位置が得意か、または好むかを表すのですが、この考え方は世間でいう「女役」「男役」と一致していると言えます。

「ネコ」と「タチ」は必ずしもどちらかに分かれるわけではなく、「タチ寄りのリバ(どっちもできるけど攻める方が多い)」のように中間的な表現をする人も多いです。

また、女性的だから”受け身”、男性的だから”能動的”と言うのも男女の性別に基づいた、カップルのあり方に対する価値観であるため、ここに疑問を感じるレズビアン当事者も少なくはありません。

安易にレズビアンであるからと言って、男役、女役が存在するといった前提を持って接するのは失礼なことというのは覚えておきましょう。また、基本的に「フェム」や「ボイ」といったこれらのワードは本人たちが自称するものであり、他人が決めることはできません。

ヘテロセクシュアルのカップルにも様々な形があるように、人は見た目も性的役割も自身が自由に選べるため、レズビアンカップルの中で女役・男役を一括りに分けることは難しいです。

【「偏見」とは違う?】レズビアンの特徴とは【共通するものなんてある?】

レズビアンの有名人っているの?

1.AyaBambi

顔にアートメイクをしたAyabanbiの二人。KENZOとH&Mのコラボ広告。
http://www.ayabambi.net/

紅白にて椎名林檎のバックダンサーとして、ミステリアスなビジュアルと、シンメトリーのダンスを披露し話題を集めたAyaBambi。

彼女たちは、レズビアンカップルであったことを公表して活動をしています。

海外でもその独創的なパフォーマンスが評価され、様々なアーティストとのコラボして作品を作り続けている二人は、日本のレズビアンたちのロールモデルとして、カップルとしても、アーティストとしても輝いて見えます。

2. 一之瀬文香

グラビアアイドルとして活躍している一之瀬さんですが、2009年に週刊誌『FLASH』のインタビューでレズビアンであることをカミングアウトしました。

ダンサーの杉森茜さんと2015年に同性結婚式を挙げ、その結婚を含めた自身の半生を描いた自叙伝『ビアン婚。』を出版したことでも知られています。杉森さんとは2017年に破局してしまいました。

3. 滝沢ななえ

滝沢ななえオフィシャルブログヘッダー画像
引用:滝沢ななえオフィシャルブログ

元バレーボール選手の滝沢ななえさん。美人すぎるバレー選手とよばれて一躍脚光をあびました。自身がレズビアンだと気づいたのは、20代のころ。バラエティ番組で同性パートナーと交際していることを発表し、レズビアンであると告白されました。現在はバレーボールのコーチとして活躍されています。

4. 牧村朝子

牧村朝子の写真
引用:牧村朝子 HP

タレントや文筆家として活躍し、「まきむぅ」の愛称で知られる牧村朝子さん。レズビアンであることをカミングアウトしています。2013年には、『百合のリアル』という本を発売し、同性婚が合法化されているフランスでパートナーの女性と結婚しました。

まきむぅさんは、性自認は女性ですが、学生時代、女性が女性を愛するには男役をしなければならないと考えていたことから、男装をしていたそうです。今では「女らしさ」「男らしさ」に縛られず、「自分らしく」生きるまきむぅさん。LGBTに関する様々な活動を行っています。

5. 尾辻かな子

尾辻かな子写真
引用:立憲民主党 公式HP

尾辻かな子さんはレズビアンをカミングアウトしている立憲民主党の衆議院議員です。ダイバーシティやLGBTフレンドリーに根ざした政治活動はもちろんのこと、大阪府議員時代には自身のセクシュアリティや当時のLGBTが直面していた社会問題をまとめた『カミングアウト−自分らしさを見つける旅―』を執筆し、現在も様々なセミナーや講演会に登壇するなど、日本初のオープンな同性愛の公職者として活発に活動されています。

海外では記者会見やパパラッチのスクープにてよくレズビアンカップルの著名人たちが取り上げられていますが、日本はまだレズビアンを告白している有名人はそれほど多くありません。

歴史上にも、男色であったとされる人物はよくメディアでも取り上げられているのに、レズビアンであった歴史上の人物はあまり語られてきていません。なぜなのでしょうか?

日本でのレズビアンの歴史が浅いと言われる理由

指切りをする手

日本だけではありませんが、長年「女性は結婚まで貞操を貫くべき」という教育がされていたこと、また歴史的記録を残される立場には男性が女性より圧倒的に多かったことから、当事者がいたとしても記録に残す、という段階にまでいかなかったことが、あまり資料が残っていない理由だと考えられます。

レズビアンに関する歴史的資料や史実があまり知られていないのは何も日本だけではありません。これはそもそも長年にわたり社会の中で「女性は結婚まで貞操を貫くべき」という共通の価値観が蔓延していたこと、また歴史的記録を残される対象として、男性に焦点が当てられることが圧倒的に多く、レズビアンの当事者がいたとしても記録に残すという段階にまでいかなかったことが理由だと考えられています。

そんな中、日本で最も有名な婦人運動団体の「青鞜社」が結成された1911年に起きた新潟県親不知海岸での女学校卒業生同士の心中事件を発端に、女性同士の情死事件が相次いで発生します。日本ではこの事件こそが女性同性愛現象が社会からの関心を集めた契機だとされています。「男色」ではなく「同性愛」という言葉が誕生したのもこの頃だとされており、レズビアンはこうして一挙に注目を浴びると共に、「変態性欲だ」という偏見を持たれるようになっていきました。

戦後になると、様々な性風俗雑誌上で女性同士の性行為が取り上げられるようになり、「キンゼイ報告」(人間のほとんどがある程度の両性愛性を有していることを示した研究)で「レズビアン」という言葉が用いられ始めてからは性風俗雑誌でも積極的に「レズビアン」という表現が使われるようになります。

このように、日本におけるレズビアンは「女性」に対する社会的関心の高まった1910年代より「変態性欲」として認知され、のちにポルノのカテゴリーとして「能動的な性欲を持つ女性=性に奔放な女性」といった偏見と共に社会の中に位置付けられていきました。

(参考:礫川全次『ゲイの民族学』批評社、呉 佩珍『「青鞜」同人をめぐるセクシュアリティー言説─ 一九一〇年代を中心に─』立命館言語文化研究 28-2、三成美保『同性愛をめぐる歴史と法―尊厳としてのセクシュアリティ』明石書店)

「レズビアン」は、「性癖」のカテゴリーではない

肩を組み空をあおぐ二人

現在、Google検索で「レズ」と検索すると、まず出てくるのはアダルトサイトです。

戦後からレズビアンは「メディア上でのみ見ることのできる、性に奔放な女性の姿」として多くの人々の興味の対象となってきたわけですが、ここまで読んでくださった皆様なら、これがいかに悲しい事であるか、理解していただけるはずです。

今でもマンガやライトノベルなどで「レズ」や「百合」という表現がされることで、「まるでレズビアンがアダルトジャンルのカテゴリーのひとつである」ように見られてしまうことが、彼女たちの本当の姿を無視し、傷つけてきました。

レズビアンは決して「女性同士で、ポルノで見られるような性行為をすること」だけを望んでいるわけではないことを、忘れてはいけません。 レズビアンに対するゆがんだイメージを取り払い、ヘテロセクシュアル(異性愛)と変わらない、「相手に惹かれているからこそ人を愛する」彼女たちの心が尊重されるよう、社会が変わっていくことを望みます。

レズビアンについて扱った映画 邦画&洋画

心から相手を愛し、愛し合うレズビアンの感覚に少しでも触れてみたくても、想い人がなかなかできなかったり、周囲に話せる人がいないと、なかなかそれができません。

そういう時は、昔から「物語」に人々は「自分たちと同じ目線で生きている人物」を探し求め、それを大切にしてきました。

映画やドラマにも、レズビアンについて描いている作品はたくさんあります。

中にはレズビアンをコメディの道具のように扱った作品もあるのですが、真摯にセクシュアリティと向き合って描かれている物語も、またたくさんあります。

その中から今回は2つ。「恋人になる前の2人」を描いた作品と、「レズビアンカップルとして家族になった2人」を描いた作品を、レズビアンカップルのロールモデルとしてご紹介します。

▼恋人になる前のレズビアンを描いた映画

『blue(2003)』

blue

マンガが原作のこちらの作品。

少女が初めて誰かを好きになったけれど、相手は自分と同じ女性。それっておかしいのかな……と思いつつも、彼女のことが忘れられない。そんな切ない青春の1ページ。

▼レズビアンカップルとして家族になった二人を描いた映画

キッズ・オールライト(2010)

キッズ・オールライト

レズビアンカップルの二人には、それぞれ精子提供を受けて授かった娘と息子がいる。

でもある日、子どもたちが「精子提供者に会いたい」と言いだして……。

レズビアンの家族の悲壮感はこの映画にはありません。あくまでも「ひとつの家族」として描かれた「ちょっとした」事件を、楽しんで見ていただきたい作品です。

おわりに

今回の記事では、レズビアンについて色々なことを知りたい方にむけて、定義・課題・歴史・有名人などなるべく広い視点からレズビアンについてまとめました。

レズビアンの方も、そうでない方も、また自分が誰なのか悩んでいる方も、今回の記事を通して自分らしくいきる事の素晴らしさと難しさを理解していただければ幸いです。

当事者の仲間たちと、それ以外の人たちと、自分たちの嬉しかったことも悲しかったことも当たり前になんでも打ち明けられる未来を目指して。

参考文献

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