LGBTフレンドリーな企業を知ろう【先輩社員のメッセージまとめ】

ライター: Rickey
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LGBTフレンドリーな企業を知りたいと思った時、多くの方は仕事内容や福利厚生といった「形のあるもの」を知ろうとします。

でも、LGBTフレンドリーな企業かどうか考えるにあたって、一番大事なのは「目に見えないもの」。例えば職場の雰囲気であったり、どういう人がいるかであったり。

こういった「目に見えないもの」を知るにあたって一番手軽なのが、企業が発しているメッセージを見ることです。理念・熱い思い・スタンスといったものは、企業の核であり土台です。

だからこそ、それを知り、どんな人が働いているか・自分が社員になったときどんな姿になっているかが見えてきます。

今回は、多様性の実現に向けた熱い思いが伝わってくるメッセージを、各企業の取り組みとともに紹介します。

JobRainbowが直接インタビューして聞いた話のみをまとめているので、もっと詳しくメッセージを見たい方はインタビュー記事もチェックしてみてください!

日本IBM

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日本IBMといえば、コンピューター関連の製品やサービスを提供する大手企業。

こちらでカミングアウトして働いている川田篤さんのインタビューから抜粋。非常に合理的な考えのもと、ダイバーシティの実現に向けて舵を切っていることがわかります。

LGBTにもいろいろな人がいて、一人一人が異なります。自分自身、ステレオタイプな発信をしてはいけないと思っています。自分のメッセージだけでなく、他の人のメッセージも丁寧に伝えていく。LGBTの話をするだけではなく、もっとも根源的なこととして、まず人として寄り添う気持ちが重要であると伝えています。

差別や偏見といったマイナスをゼロにすることが目標です。同じ土俵に立ってもらったら、あとは各々の純粋な実力で勝負できる、競争に参加できる環境にするのが会社の役割ですから。(中略)IBMはチームパフォーマンス、つまりチームでの課題解決力を発揮できる環境を重視します。イノベーションのためには多様な価値観が必要です。

現代は世の中が複雑になっていて、一人ではなく様々な人が未来を予測していく必要性があります。日本でも世界でも多様性によって、この先起こりうるリスクを回避していく。IBMがダイバーシティーに取り組むのはビジネスにおいて必要だと考えるからです。マイノリティーの方たち含め、多様な人材の登用が会社にとってのブレイクスルーになると考えています。

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PwC

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世界四大会計事務所の一つである、PwC。

世界に通用する大企業になるには、ダイバーシティだけでなくインクルージョンが必要だと痛感するようなメッセージを発信してくれています。

社内のLGBT当事者グループや採用担当の方のメッセージから抜粋します。

LGBTに限りませんが人っていろいろな属性がありますよね。それを一部の人が自分のもつアイデンティティを出せずにストレスを感じたり、隠すために労力を使っているのだとしたら、とても勿体ないと思うんですよね。だからこそ職場では「ダイバーシティ&インクルージョン」は当たり前になって欲しくて。今はまだ過渡期だから、「女性比率が~」「外国人比率が~」という話をわざわざするのかもしれませんが、そういうことを語らなくてもいいようになっていきたいです。

「女性だから」「外国人だから」「LGBTだから」というのは何の価値にもならないですよね。やっぱり私たちコンサルタントはクライアントあってのお仕事ですから、クライアントに価値を提供できるかが大事。そうなってくると、女性だろうが外国人だろうがLGBTだろうが、価値を出せる人は良いコンサルタントだと思います。

当社は色々な価値観を受け入れを尊重する会社ですので、そういったところでのびのびと働きたい、クライアントに対して課題を解決し、社会に価値を与えたいという気持ちがあれば、LGBTの方もそうでない方も、どんな属性の方もウェルカムです。

「人種のるつぼ」とか「モザイク」といったように、PwCは「人材のるつぼ」と言えるようなさまざまなプロフェッショナルが集まった会社です。性別もさまざまですが、いろいろなバックグラウンドをもつ方やさまざまなライフイベントを迎えている方など、色々な方たちが会社にいます。

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ソフトバンクモバイルサービス

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LGBTに関する取り組みを評価する、PRIDE指標。この最高評価ゴールドを2年連続で受賞しているソフトバンクグループの子会社、ソフトバンクモバイルサービス。

こちらの会社では自分のセクシュアリティをカミングアウトして働いている方も多く、そうした方や人事にかかわる社員へのインタビューから抜粋します。

LGBT採用について、大々的に社内広報はしていませんが、社内各部の責任者たちには、LGBT当事者の方たちがどのようなことに悩んでお仕事をされているか、どういった対応が望ましいのかということを説明しています。

責任感を持って、困っているお客様に丁寧な対応を心がけること。お客様をお待たせせず、一人でも多くの人の「困った」を解決し、よりよいサービスを提供するため、自分に何ができるのかを常に考えて自発的に行動すること。

そういう想像力を持って、仲間たちと一緒に働く姿勢のある方と一緒に仕事したいと思っています。

これまでの職場にも、 LGBTの人はいたけど、それをカミングアウトされたのは退職した後でした。やっぱりみんな、自分のセクシュアリティをオープンにして偏見の目で見られるのが怖いんだと思います。ここはそんなことがない。当事者の仲間もいて、お互いに「心強い仲間だ」と言いあえる。

自分が当事者でも、他のセクシュアリティの人と接する機会はなかなかないから、自分とは違うセクシュアリティの人はこういう風に悩んでるんだって話を聞けるのも、世界がどんどん広がっていく感じがして、勉強になるんです。

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日本マイクロソフト

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言わずと知れた大企業である日本マイクロソフトには、GLEAM Japanと呼ばれるLGBTサークルがあり、社内で積極的な啓発活動などを行っています。

人事担当の社員やGLEAM Japanのメンバーは、次のように話しています。

多様なお客様に喜んで使っていただける商品やサービスを作り、提供していくためには、自分たちも同じように多様性に富み、寛容でなければならない。だからダイバースでインクルーシブな環境をつくる必要がある、と考えています。またダイバースでインクルーシブな職場はイノベーションを生むことができるとも考えます。

ダイバーシティにはLGBTやジェンダー等さまざま側面がありますが、すべてに共通なのは「相手の違いを認め、受け入れる」というのがベースにあると思います。その共通認識をみんなが持って実行できていれば、その上にどんな違いが来ても対応できると思います。人間はどうしても同質性が高い環境が居心地いいですし、逆に異質な人を排除しようとする働きがあると思います。

なので、自分と違う人がいて当たり前、それをプラスのこととしてみんなが認め合う環境をつくることが大事だと思っていますが、この実現が意外に難しいと感じていますし、残念ながら自分自身もまだ完璧ではありません。

GLEAM Japanのメンバーは「このような事態を招かないようにこれはダメ」など、ネガティブなところから話すことが原則ありません。

「どうやったらもっとLGBTについて知ってもらえるか?」「アライを増やせるか?」「インクルーシブな環境を作るためにどうしたらいいか?」など、常にポジティブな視点で話し合いをしており、その結果活動が前向きになっています。

メンバーのイキイキとしている姿は、ダイバーシティー&インクルージョンを進め、職場環境を整えていく事の重要性を実感させられます。

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ウェブリオ

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誰もが一度は使ったことのある辞書サービスWeblioを運営する株式会社ウェブリオでは、カミングアウトをして就職活動をしていた方が内定者インターンをしています。その方へのインタビューから抜粋します。

私は、ゲイとしてカミングアウトをして就職活動を進めていました。「可能性を広げる」とは、私は挑戦をすることだと考えています。また、何か新しいことに挑戦するとき、何にもリスクが伴うと私は考えています。リスクを負わなければ得られるものは少ないと。

この会社では、選考中に私が挑戦のためにカミングアウトをしているとわかってくれました。
最終面接で『こういった会社を受けたほうがいいんじゃない?』と社長である辻村さんがアドバイスをくださったくらいです。この会社に集まった人たちですから、皆さんあらゆる挑戦を応援してくれます。もちろん私がカミングアウトをして、自分らしくいることも。だから、この会社に決めました。

個人と組織、いずれも今が100%ではないと誰しもが考えているところです。だから、私のようなインターン生であっても改善方法について話を聞いてもらえるところがとても魅力的だと感じます。

それが、本当に良ければ採用されますし、ダメならどこがなぜだめなのかをしっかりと教えていただけます。それだけ成長できる環境があると感じます。

今、お仕事を探している皆さんの中には、「本当に理解のある会社なんてあるのだろうか」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

私も、就職活動中に何度もそう考えくじけそうになりました。いくら理解のある会社だとわかっていても、自分が当事者であると何度も伝えるのはとても辛いことですよね。嘘もごまかしもなく、おびえることもなく私は今ウェブリオで働いています。

私の当事者としての話を普通の世間話と同じ感覚で聞いてくれますし、すごく自然です。くじけそうになっても自分に合う会社に見つけようとしている皆さんを私は応援します!

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freee

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クラウド会計ソフトのシェアは業界トップクラス。「日経ビジネス」で「働きがいのある会社ランキング」BEST10に4年連続入賞するなど、目覚ましい成長を遂げている株式会社freee。

人事部のマネージャーはレズビアンをカミングアウトしており、トランスジェンダーをカミングアウトして勤務している社員もいます。ロールモデルとなる先輩社員がいることは安心につながります。

freeeでは、カミングアウトを強制しているわけではなくて、メンバー全員がとにかく一番自分らしく、力まずに働けるように応援する環境づくりに徹しています。例えばプライベートであったこと、話しても話さなくてもいいんですけれど。自分の大切な人の話を、会社のメンバーという別の大切な人たちにも話したいなというときはあると思うんです。そのときにハードルがないことはとても楽ですよね。

freeeではLGBTを特別扱いはしません。性的指向や性自認などに個人で違いがあるのは当然のこととして認識しています。(中略)自分がLGBT当事者であることを『それが何?』と思えるくらいの人がいいですね。LGBTは自分の個性だと前向きにとらえて、その先を見据えてチャレンジできるような人をお待ちしています。

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H&M

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世界的に展開するアパレルブランドH&Mでは、トランスジェンダーのモデルを積極的に起用するなどのダイバーシティを推進するようなマーケティング戦略をとっています。

一人の同僚の例で言うと、彼は、ここで、ありのままの姿で働くことに喜びを感じているんだって感じています。だから、隠しもしないし、自分はゲイだって口に出して言うんです。そして、周りの社員は皆それをウェルカムしています。彼はとても良い従業員なんです。とても明るいし、元気。だから、他の同僚もみんな彼と働くのが大好きです。

私たちは、「自分らしく」いることを推奨されるんです。だから、慣れているんだと思います。

社内には、あまりおおっぴらにはしていないゲイの人もいると思います。数人の人しかそのことを知らなくて、その人たち以外には秘密にしているっていう人も。どれくらいかは分からないですけど。私たちは、気にしないんです。ありのままの自分であれ、っていう、それだけです。言おうと言わまいと、どっちでもいい。

他の外資系企業でも同じかは分からないけれど、私たちの会社は成果主義なんです。どうやって結果を出したか、とか、どんな服を来て結果を出したか、とか、どんな友達のおかげで結果を出したか、とか、そういうことは全く関係なくて、1日の終わりまでに何をしたかっていう事実だけで評価される。

だから、その視点から言うと、他のあらゆることについてはあまり気にしなくていいんです。

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日本オラクル

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LGBT&アライコミュニティOPENの活動をはじめ、精力的かつ先進的な取り組みをしている企業の代表例ともいえる、日本オラクル。

OPENのメンバーや人事担当の方、カミングアウトして働いている社員は次のように語っていました。

就活では企業に選ばれているという意識ではなく、自分が選んでいるという意識が大事だと思います。仕事ってマッチングなので、私もここで働きたいって思えるかどうかが重要。(中略)最初は処遇などに目が行きがちだと思うのですけど、それだけではなく、カルチャーが合うかどうか、自分の感性を信用して判断することが、ハッピーな就職をするポイントだという気がします。

なんだかんだ、会社って一日の3分の1はいなきゃいけないところ。それが自分の生活を支えるお金をいただく大切な部分になるので、どこでもいいやと選ぶよりは、自分なりにどういう会社に入りたいかというビジョンを考えてみてください。

あなたがもしLGBTの当事者なのであれば、自分がその会社に勤めたときに、どういう風に働けるだろう、どういう風に気持ちよく生活できるだろう、というのを想像しながらフィーリングが合う会社を選んでいくのがいいかなと思います。

就活でカミングアウトはまだできないという人でも、障害者や女性の雇用についてどう思いますかとか、LGBT以外のマイノリティがどんな風に扱われているか、他の質問でもその会社のダイバーシティへの取り組みを聞くことが出来ると思います。カミングアウトする・しないに関わらず、この会社だったら、ハラスメントをあまり受けないで済むだろうなとか、想像しながら選んでいくことはできると思うので、是非そういった心持ちで仕事選びをしていただければなと思います。

日本オラクルのインタビュー記事はこちら

FiNC

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健康管理アプリやスポーツジムの運営など、「一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする」という理念のもと成長し続けるFiNC。レズビアンをカミングアウトして働く社員に話を伺いました。

FiNCでも、自分がレズビアンであることをオープンにしています。

入社日当日に全体会議という全社員が出席する大きなミーティングがあるのですが、その際に新入社員の自己紹介も兼ねてオープンにさせていただきました。

会場の反応はというと…「ざわり」ともしませんでした(笑)。そもそもFiNCのビジョンは、「一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする」というもの。だからこそ、一人ひとりの人間をカテゴライズして見るような人は少ないんですよね。

いい意味で特別扱いされないので、私個人としてはとても仲間としてジョインしやすい環境だなと嬉しかったのを覚えています。

最近特によく聞かれるんです。LGBT当事者として、世の中にどう貢献したいか。企業人事の一人として、LGBTの方々にどう向き合っていきたいか。

それも素敵なことだとは思うんですが、私個人としては、「LGBT当事者」というカテゴリーの縛られて何かを成し遂げたいという気持ちはないんですよね。

一人の人間として世の中へどう貢献していけるのかに視点を置いています。(中略)人にはそれぞれ、他の人にはない特別な部分がひとつはあるんじゃないでしょうか。

多様性は目に見えるものだけに注目されがちではありますが、目に見えない部分にも多くの多様性が存在すると思っています。自分はたまたまレズビアンなだけで、それが私を作るすべてでは無い。容姿、性格、嗜好、経験など、様々な要素が集結してその人の「らしさ」なのではなんだと思います。

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リンクトイン・ジャパン

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LinkedInは、なんと登録者が5億人を超える世界最大規模のビジネス向けソーシャルネットワークサービス。

そのサービスを支えるリンクトイン・ジャパンの代表を務める村上氏から、就職・転職活動中の方へメッセージです。

日本の会社でも、ダイバーシティが大事だと言っている会社は多いじゃないですか。ただ、フタを開けてみると、「企業としての見た目がいいからやってる」みたいなところも、正直ある。なので、「実際どういった活動をしているのか」「シニアレベルのマネージャーに女性が少ないなか、真の意味で理解されているのか」見てみると、レベルはまちまちだな、と。

我々は、「何も隠さずに働ける環境」の実現に注力しています。こうした環境を作ることで、働きやすさや会社への帰属意識が高まって、結果的にパフォーマンスも向上する、っていうのはもう実証されているんですよ。なら、やらない手はない。

これからは、自分のキャリアは自分で作っていく時代。昔は特に意識しなくても研修から何から会社がキャリアを作ってくれたけど、会社はもうそこまで面倒を見てくれません。自分として「何が大事か」を考えていく必要があります。自分のキャリアを振り返ってみても、無駄だったことはありません。

無理に自分を会社側に合わせる必要はありません、病んでしまうだけなので。

勘違いしてはいけないのは、それはあなたが悪いわけでも、会社が悪いわけでもないということです。「合わない」ってだけなんです。そうしたら、いったん離れればいい。後で戻ってくるかもしれないですしね。

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おわりに

パソコンを眺める人たち

一口に「LGBTフレンドリー」といっても、スタンスはさまざま。

社員のメッセージを通じて各企業の姿勢を知ることで、より自分に合った企業を見つけることができるのではないでしょうか。

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