カミングアウトした時の面接官の反応と対応法6つ【体験談つき】
「面接でカミングアウトしたら、なんて反応されるんだろう」
「心の準備をしたいから、面接官の反応を知っておきたい」
このように考えるLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとった、セクシュアルマイノリティの総称)の就活生は多いだろう。
そこで本記事では、実際にカミングアウトした人の体験談をもとに、カミングアウトされた面接官の反応パターンを紹介する。
カミングアウトして就活した先輩の体験を知りたい人は
カミングアウトのリアルを聞く「セクマイキャリア」イベントの振り返り
質問攻めしてくる
面接官の知識不足やLGBTを好奇の目で見ていることが原因で、LGBTについて(もしくはあなたのセクシュアリティについて)質問攻めしてくるパターン。
ただでさえ時間が限られているのに、選考に関係のない質問のせいであなたの自己PRや掘り下げが十分出来ずに終わってしまうこともある。
適切な対応法
面接は、あなたの人間像と仕事の適性を見極めるための場であって、面接官のためにLGBTのレクチャーをする場ではない。「細かい説明をすると時間がかかってしまいますが……」など、面接官にさりげなく確認してみるのも一案だ。
拒否してくる
「うちには君みたいな人はいない。帰ってくれ」
「あーはいはい、いま流行りのやつね」
「ゲイって、本当にこの世に存在するの」
ひどい面接官にあたってしまえば、上のような否定的な反応に遭遇することがある。このような反応はもちろん差別的だ。あなたがショックを受けたとしたら、それは正当な反応と言える。
適切な対応法
こういった面接官へのもっとも完全な対処法は、「カミングアウトしないこと」になってしまう。他方で、好ましくない就職先を見極められたと考えることもできる。差別的な人事担当のいる会社に入ったところで、結局ハラスメントを受けて自分らしく働けない公算が大きい(ただし、会社としてはLGBTフレンドリーを掲げている場合はその社員個人の問題である可能性はある)。
LGBTフレンドリーな企業を知ろう【先輩社員のメッセージまとめ
挙動不審になる
知識を身につけた面接官でも、実際にカミングアウトされるのは初めての人もいる。
たとえば「しみたに」さんは、面接でじぶんのセクシュアリティを伝えたところ面接官が緊張してしまって挙動不審になったのだとか。こちらを傷つけることを言ったり誤解に基づいた発言をしてしまわないよう面接官が注意を払うあまり、すこしぎこちなくなっているのだろう。
適切な対応法
このパターンでは、あなたの魅力が面接官に伝わるのかいささか心もとない。ここであなたが「誠意をもって対応しようとしてくださっているんだな」、と余裕をもって接することができれば、面接官に好印象を抱いてもらえるはず。
スルー・気にしない
カミングアウトしても、「そうなんだ」と特に掘り下げなかったり、スルーして面接をすすめるパターン。
実際に日系の人材会社の面接でカミングアウトした「しみたに」さんは、このパターンでも特に問題なかったとのこと。
適切な対応法
「せっかく話したのに」と思うのではなく、「面接官がセクシュアリティをフラットに見てくれているんだ」とむしろ前向きに捉えよう。ただし、知識不足や偏見からはれもの扱いしているだけの可能性もある。見極めが必要だ。
適度に掘り下げてくれる
あなたのセクシュアリティの話が仕事につながるよう、面接官が掘り下げてくれるパターンもある。
たとえば小さな組織コンサルの会社の面接でカミングアウトした「アンディー」さんは、「後回しにされがちなLGBT研修やコンサルを契約していくためには、どんな解決策があると考える?」と面接官が訊いてくれたという。
このように、(面接官の力量次第で)セクシュアリティの話が仕事の話につながることもある。
適切な対応法
そのまま面接官と自然なコミュニケーションを取れば良いだろう。
励ましてくれる
最後は、面接官があなたを励ましてくれるパターンだ。
ある外資系会社の面接でカミングアウトした「ほしけん」(JobRainbow代表)は、「[あなた]以外にも世界中から、自分らしく生きるためにLGBT当事者が[この]会社に集まってくる」と面接官から嫌味なく伝えられたという。
先述した「しみたに」さんも、民泊をやっているタイの会社では「言ってくれてありがとう。誇りに思うよ」と完全肯定されたのだとか。
このように伝えてくれる人事のいる企業なら、LGBTに限らないあらゆる人が自分らしく働けるはずだ。
適切な対応法
「適度に掘り下げてくれる」と同じように、面接官と自然なコミュニケーションを取れば良いだろう。
おわりに
カミングアウトされた面接官の反応パターン6つを見てきた。
- 質問攻めしてくる
- 拒否してくる
- 挙動不審になる
- スルー・気にしない
- 適度に掘り下げてくれる
- 励ましてくれる
もちろんカミングアウトは必須ではない。伝える必要があると感じたり、伝えたほうが自分のことをわかってもらえると感じたりしたら、ひとつの選択肢として一考の余地がある。
しかし同じ人間である以上、知識不足の面接官から力量のある面接官までいるため、カミングアウトへの反応は多種多様だ。どのような反応が返ってくるか、事前にイメージしておくと良いだろう。本記事がその一助となれば幸いだ。