自分史で自己分析する方法【LGBT就活・転職ガイド 2-2】
Step1 過去の経験を洗い出す
〈星の自分史シート〉
幼少期〜小学校時代 | ・理科と国語が得意で算数が苦手。将来の夢は科学者だった ・水泳、サッカー、中学受験のための習い事をしていた ・中学受験の勉強を頑張ったが第一志望に落ちて落ち込んだ |
中学校時代 | ・初めて自分がゲイだと気づいたが、認められなかった。 ・同時に周りにいじめられ、最終的に不登校に。人間関係が苦手になった ・剣道部もサボり毎日ゲームをしていた。オンラインで初めてカミングアウトし、ありのままを認めてくれる友人に出会った |
高校時代 | ・自分を認めてくれる人は世界にたくさんいると知り、学校に通えるようになった(ターニングポイント) ・不登校であったことを言い訳にしたくないと勉学に励み、学年トップの成績をとった(逆境を乗り越えた経験) |
大学時代〜 | ・LGBTサークルの代表になった。ゲイであることを隠さず話せる友人にたくさん出会い、明るくなったと言われるように ・LGBT関連のボランティアに参加したり、大学でジェンダーの講義を受けたりしはじめた(自立して行動できる強みの発見) ・カフェのアルバイトをはじめ、丁寧な接客や料理のスキルアップに励んだ。その結果、評判が上がってバイトリーダーになった |
はじめに、過去の経験を洗い出して自分史を作ります。上記は弊社代表・星(以下、星)の自分史シートです。これを参考にエクセルか手書きで自分専用のシートを作成しましょう。経験を書き出すときのポイントは、次の5つです。
- それぞれの時代で、印象に残っている事実やエピソードを書く。
- 成功体験・ポジティブな思い出に関しては、モチベーション向上のきっかけやパフォーマンス発揮の要因、達成感を感じたことを書く。
- 失敗体験・ネガティブな思い出に関しては、どんな気持ちだったか、何が原因で失敗したか、そして何を学んだか書く。
- セクシュアリティについては、気づいたきっかけや変化が起きた時、印象に残っているエピソードなどを書く。
- 中途採用の場合は、これまでの職務経験を書き出してキャリアの棚おろしをする。
Step2 モチベーショングラフをつくる
〈星のモチベーショングラフ〉
経験を書き出したら、モチベーショングラフを作成しましょう。例えば「小学校のときは何をやっても調子がよかったのに中学生になったら急に消極的になってしまった」といったモチベーションの波を視覚化します。
Step3 行動パターンを分析し、特性をつかむ
次に、自分史とモチベーショングラフから行動パターンを分析します。「共通点」と「変化したきっかけ」の2つの観点から、共通して現れる行動・考え方の特徴を拾うというやり方です。これにより自分の強みや弱み、好きなことといった特性も言語化してつかみましょう。一つひとつ詳しく解説していきます。
1. 共通点から特性をつかむ
幼少期から共通してあらわれる行動・考え方の特徴を拾い、共通点を探ります。 たとえば、小中学高校時代の「学校無欠席」というエピソード。これだけではインパクトに欠けます。しかし、「アルバイト欠席なし」「大学欠席なし」というエピソードが重なると、子供時代から現在まで共通する「きちんとした人柄」「誠実さ」「根気のよさ」という強みが浮かび上がってくるのです。
さらにもう一段階掘り下げて考えてみましょう。きっと体調を崩したり、休みたいと思ったりする状況もあったはずです。そんな時にも休まず出席した理由を振り返ることで、どんなモチベーションを軸に困難と向き合ってきたかまでみえてきます。
2. 変化したきっかけから特性をつかむ
LGBTにとって、自身のセクシュアリティへの気付きやカミングアウトが、変化のきっかけになることは多くあります。
星は、自分がゲイであることに中学生時代に気付き、同時に周りからのいじめにあって不登校となりました。この頃が人生のなかでも最もモチベーションの低い時期です。
しかしその後、ありのままを受け入れてくれる友人を見つけ、さらに大学ではLGBTサークルを通じてたくさんの当事者と出会い、だんだんとモチベーションが上がっていきました。こうした経験から、「周りの人」との人間関係はとても重要で、職場での人間関係が自分の人生に大きく影響を与えるんだ、と気付きを得たのです。
星はLGBTサークルにおいて自分を隠さずにいられたことで、心のおもしから解放されました。性格は以前より明るくなり、人付き合いも楽しめるようになります。そして、「職場でもカミングアウトした方が気持ちよく働けるかもしれない。または、カミングアウトをしなくとも気負う必要がない職場であることが重要かもしれない」と発見しました。
もちろん、LGBTであるからといって、必ずしもセクシュアリティに関することが変化のきっかけになるわけではありません。ほかの要素も人生に大きく影響しているはずです。たとえば受験、部やサークルの活動、アルバイトでの経験、人との出会いなどは転機になることが多いでしょう。
(例)
・部活の大会で好成績を残せず、悔しい思いをバネに練習し、次の大会で入賞できた → 逆境をモチベーションに力を発揮できる
・アルバイトをした飲食店で「ありがとう」と言われ、やる気が出た → 人の役に立つ仕事が向いているかもしれない
・大学受験に失敗したが、気持ちを切り替えてサークル活動に打ち込んだ → ネガティブな経験を引きずらず、次のチャレンジができる
一見平凡に見えるかもしれませんが、深掘りすれば唯一無二のエピソードになり、自分という人間を説明する際に説得力が増します。
Q. LGBTについてのネガティブな経験は思い出すのも嫌です。
無理に書く必要はありません。ただ、心の底にしまいこんだネガティブな経験と向き合うことで、逆に一つの区切りをつけられる場合もあります。目をそらそうとする自分を責める必要はありません。誰にも見せる必要もないので、まずは言語化できる部分からはじめることをおすすめします。
POINT
- これまでの経験を振り返って、印象に残っていることやエピソードを一通り書き出す
- 経験から導き出された自分の特徴を言語化する
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