インターンは参加必須!【LGBT就活・転職ガイド 4-1】
インターンシップは参加必須!
インターンシップ(以下インターン)とは、企業・団体が学生に提供する「就業体験」の機会です。インターンを実施する企業は年々増えており、2019年度卒対象の調査(2019年度マイナビ大学生インターンシップ調査)は、学生の約8割がインターンに参加していると示します。
しかし「わざわざインターンに参加するメリットはあるの?」とためらう就活生もいるかもしれません。インターンに参加する最大のメリットは、ウェブサイトや説明会の情報からは把握しきれない、実際の仕事内容や職場の雰囲気といった「リアル」を体験できることです。就業前に企業とのマッチングを確かめることができるのです。
とりわけLGBT求職者はインターンに参加した方がよいです。例えば、ホームページの企業情報やOP訪問ではLGBTフレンドリーな印象を受けても、インターンに参加してみたら部署によって理解の進度が違う(例:営業部では他部署に比べて理解度が低い)とわかることもあります。逆に多様性のための取り組みはほとんどないように見えても、当たり前にホモネタなどを面白がらない雰囲気があり、カミングアウトの有無に関わらず気持ちの良いコミュニケーションができる職場かもしれません。インターンに参加するほかの学生の様子から、同期の雰囲気を知ることもできます。
自分のセクシュアリティに関して不安が大きく、働くことそのものにネガティブなイメージを持っている方や、LGBTフレンドリーかどうかばかりが気になる方にとっては、“仕事の面白さ”や“働くことの何たるか”などを発見できる機会になるかもしれません。
さらに、さまざまな業界・職種を経験することでスキルアップし、自分の可能性を広げることにもつながるでしょう。なかには、インターン生に給与を支給する企業や、インターンシップで単位を取得できる大学もあります。
一方、企業には、学生に業界・企業・仕事の理解を促す目的のほか、優秀な学生や企業風土に合った学生に自社を知ってもらい、事前に囲い込みたいという思惑もあります。学生・企業双方がエントリー前にマッチングを確かめあえるインターンは、いまや就職活動において欠かせないものです。インターンの期間や実施内容は、企業によりさまざま。説明会方式の1dayインターンから、数カ月にわたって本格的な業務に携わる長期インターンまで、多岐にわたります。
居心地よく働けるかどうかを自分の目で確かめよう
新入社員が早期退職してしまう理由の一つに、入社前の印象と入社後に体験した職場のリアルとのギャップが挙げられます。「思っていた仕事と違う」「職場の人間関係に馴染めない」といったさまざまな理由から、入社後早々に離職してしまうケースは少なくありません。約3割の大卒の新入社員が入社3年以内に離職してしまうという調査結果も出ています(厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」)。
離職理由のすべてがイメージの乖離ではないものの、入社後のギャップをなるべく少なくするためには、実際に自分の目で見て職場を体験してみることが一番です。インターンでは社員と双方向のコミュニケーションがあり、説明会やOP訪問で聞きづらいことを聞いても、率直に答えてもらえる傾向にあります。
特にLGBT求職者にとっては、職場の雰囲気を確かめておくことが非常に重要になります。「働きやすさ」は、仕事内容や企業研究で見てきた設備環境や社内制度だけでなく、職場の雰囲気や人間関係も大きく影響を受けるからです。
虹色ダイバーシティによる「LGBTと職場環境に関するアンケート調査2013」は、LGBTの転職経験率は60%と一般平均よりも高いことを指摘しています。企業のLGBTフレンドリーな取り組みや職場の雰囲気がどれほどこの結果に影響しているか定かではありません。しかし、入社後に「こんなはずじゃなかった」という事態に陥らないよう、カミングアウトする・しないに関わらず、居心地よく働ける職場かどうか確かめておくと良いでしょう。
Q. 職場環境を見るとき、どこに気を付ければよいでしょうか?
具体的にどんなポイントを確かめておくとよいか、次の3つを参考にしてみてください。重視すべき点はあなたのライフプラン・キャリアプランによって左右されます。自分に合っているかどうか、適切な判断軸をもって客観的に企業を分析することが大事です。
- 服装
従業員が着ている服装を無理なく着られそうか - 会話
恋愛や休日の過ごし方などプライベートにふみこんだ会話が多いか - 設備・環境
トイレは配慮されているか、LGBTを含む多様な人材が自然に働いているか
しつこいようですが、結局のところ、どのようなポイントに気をつけるかは貴方のライフプラン・キャリアプラン次第です。そのため、これらの環境が整っていなかったとしても、それだけを理由に本選考を受けないと決めてはいけません。あくまでも判断材料の一つととらえて、自分の希望とのバランスを冷静に考えましょう。
Q. インターンのエントリー方法やタイミングについて教えてください
一年を通してどこかしらの企業がインターンを実施していますが、特に集中するのは夏季(サマーインターン)、冬季(ウィンターインターン)、春季(スプリングインターン)。参加者が最も多い時期は、サマーインターンです。
インターンの種類は、大きく3つに分けられます。
- 1dayインターン
その名の通り、一日就業体験。会社説明会に加え、企業独自のグループワークなどがあります。 - 短期インターン
5日間〜数週間が目安。何かしらの課題が与えられ、個人やグループで取り組み、成果が求められます。部署に配属されるケースもあります。 - 長期インターン
1カ月〜1年以上。本当に現場社員が行っているような実務を任されるケースが多いです。非常にリアルな経験を積め、社会人としてのスキルを身につけられるチャンスがあります。一方、採用に直接つながらなかったり、実態はアルバイトとあまり変わらない単純作業を任されたりするインターンもあるので、目的意識を持って参加して実りある時間を過ごしましょう。
そして、気になる企業の実施時期を事前にチェックし、エントリーを逃さないようにしてください。就活の早期化に伴い、インターン経由で半分以上の内定を出す企業も存在するからです。エントリーは、就活サイトのほかにキャリアセンターや企業の窓口に直接申し込むこともできます。
インターンの参加に選考を設ける企業もあります。エントリシートや面接では熱意や積極性をアピールしましょう。
Q. インターンの経験は自己PRに生かせますか?
企業によっては参加のための選考を設けており、実質、本選考と位置付けている会社も多いです。つまり貴方がインターンに参加したという経験は、他社で一定程度の評価を受けた証でもあります。エントリーシートの段階でどの会社のインターンに参加したかを問う会社もあります。
また、インターンの仕事は実務に近いということもあり、そこで成果を上げたことや、リーダーシップを発揮した経験、社会人から貰ったポジティブな評価などはそのまま自己PRに生かせます。採用担当からの受けが良いことも多いので、インターン中も気を抜かず取り組むと良いでしょう。
参考・引用文献
- 2019年度マイナビ大学生インターンシップ調査
- 厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」
- (c)Nijiiro Diversity, Center for Gender Studies at ICU 2013「LGBTと職場環境に関するアンケート調査2013」
- 「LGBTのための就活・転職ガイド」をイラスト入りでわかりやすくまとめた書籍版『自分らしく働くLGBTの就活・転職の不安が解消する本』も発売中!
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