LGBTの方に保険商品を提供したい。保険代理店R&C 足立社長の想いに迫る

ライター: Rickey
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R&C株式会社は、東京レインボープライドやレインボー・リール東京、九州レインボープライドにも出展するなどLGBTフレンドリーな保険代理店として知られており、2020年4月下旬からLGBTの人がアクセスしやすい生命共済「パートナー共済」の提供を始めました。また、保険代理店でありながら、がんの早期発見をサポートするメディカルクラブ「まも〜る」を取り扱うといった、独自の取り組みを続けています。

では、こうした企業活動の背景にはどのような想いがあるのでしょうか。代表取締役の足立哲真(あだち・てつま)さんに、伺ってきました。

あなたは、「守りたいもの」について考えたことがありますか?

応接室でインタビューに答える足立さん

お客さまの「守りたいもの」を、ずっと守るために

-保険の世界に足を踏み入れたきっかけを教えてください。

足立さん(以下敬称略):本当に、きっかけは偶然なんです。体育大学にいた当時、私にとって「保険」「金融」は完全に未知のものでしたが、偶然ご縁があったインターン先で保険の営業を経験し、「保険の魅力」に気づきました。
当時の私には、「保険=押し売り」のイメージがありました。でも、実情は全然違っていて。「守りたいもの」は当然人によって両親、パートナー、自分自身など様々ですが、多くの人は案外はっきりわかっていなかったりするんです。しかし、対話の中で「守りたいもの」が明らかになって、お客さまの本質的なニーズ・要望が、実は保険で満たせる……とわかったとき、保険に可能性・面白さを見出しました。

-そこからなぜR&Cの代表取締役に?

足立:人には寿命がありますが、組織には寿命がないからです。かつて私は、ロードバイクを使って1人で営業していたのですが、ある時事故に遭ってしまったんです。そこで生命の危機に瀕した時、「営業の現場では『お客さまのことを一生涯守る』と言っておきながら、1人で営業をする自分が死んでしまったら、お客さまが自分だけに話してくださった『この人を守るために保険に入りたい』という想いを引き継げないかもしれない。だから、組織を作ろう」と思い至りました。

足立:保険は契約をする「買う人」と、保険金をもらう「使う人」が違います。だから、使う人は買う人の想いを見ることができないかもしれません。その時、買った人の想いを知っている・伝えられるのは、営業で想いを直接聞いた私たちだけです。だから、私たちが消えてはいけないと思ったのです。自分の手柄は自分だけのもの、といった「一匹狼の業界」と言われがちな保険業界で、こうした想いに共感してくれる人達との縁があり、8年半前にR&C株式会社に入社しました。

足立:入社した2年後に私が代表を引き継ぐことになったのですが、フタを開けてみると火の車でした。社員に頭を下げ「給与の支払いを待って欲しい」とお願いすることも珍しくなく、完全に清算した今だからこそ言えますが、当時は2億円くらいの負債がありました。出鼻をくじかれれば、いくら想いがあろうと悪い噂は広がり、メンバーは次々同業他社に引き抜かれてしまいました。しかし、それでも持ち続けた想いに共感してくれるメンバーを集め続けた結果、今のR&Cがあります。

インタビューに応じる足立さんの横顔

R&Cは、他の保険会社ができないことをやる

-どうしてそこまで保険に想いを注げたのですか?

足立:やはり、保険こそがお客さまの想いに応えられるものだからです。保険は、「何かあったら困る人」と「何かあっても困らない人」で成り立っています。例えば1人に何かあった時、100人が支える……こうした相互扶助の考え方が根底にあります。ですが、これは「この場合、これくらいの負担があって、支えられるのはこれくらいで……」といったデータ・予測があって初めて成立します。民間の保険会社が、データがない・わからないからやらない、少数のところにアプローチしても回収できない、と判断することは決して稀ではありません。

足立:対して保険代理店は、売る現場の最前線で「もっとこんな保険・保障があったらいいのに」「この人たちを守りたいのに」というお客さまの声を汲み取れます。パートナー共済が生まれたのも、こうした背景があったからです。「保険を考えるきっかけがなかった」「保険に入りたいのに相談してみたら入れなかった」というLGBTの方々の声を聞き、母数の統計データはあるのにどうして保険会社はやらないのだろう、それは偏見なのか、未知のものに手を出しづらい保険会社の組織的問題なのか……ならば私たちが先陣を切ろう、と。私たちは1000万円しか保障できませんが、私たちのデータを見て他の会社が「じゃあ私たちもやってみよう」と言い出せば、お客さまの「5000万円、1億円遺したい」といったニーズを満たせるのかな、と。
このように、お客さまのために、他の民間会社ができないようなことにベンチャーとして敢えて挑戦して未来に繋げることが、私たちのミッションだと思っています。

足立さんの手元

サステナブルな未来のために

足立:保険を通じて現状の社会課題を解決するのは、面白いです。多様性を認める社会を保険で実現する。パートナー共済はその一部にすぎません。
私たちが提供しているまも〜る(最先端のリスク検査を受け、リスクが高い場合がんドックを無料で受けられる会員制サービス)も同様です。がんは早期発見すれば治る病気ですが、「がんってわかっていれば治ったのに」「調べていれば重症化しなくて済んだのに……」と悔やむ人は後を絶ちません。また、治ってから元の職場・元のポジションに戻れるのは6割ほどしかいないのが現状です。では、どれほどの人が「自分は絶対に大丈夫」と言えるでしょうか。

まも〜る紹介画像
がん予防メディカルクラブ「まも〜る」HPより

足立:保険は何かが「起こったときに使う」ものですが、そもそも「起こってほしい」人なんていません。だからこそ、予防する。「儲け」の観点で言えば決して大きくはありません。ですが、早期発見によって未来を紡げた方が、いずれ私たちのお客さまになってくださればいいな、との願いを込めてやっています。

足立:しかし、社会課題を解決するためのボランティアではいけないとも思っています。社会性と経済性を統合することは、「継続」の観点では不可欠です。身銭を切って経済的に困窮しながら社会に貢献することが、悪いことだとは言いません。ですが、その状態で永続的に活動を続けられると確約できるでしょうか。活動が途絶えるとき、今まで信じてくれていた人にどう弁明し、責任をとるのでしょうか。「社会課題の解決=会社のメリット」とすることが、支援を継続するための経営者の使命であり、保険はその最たる例です。

オフィス正面に立つ足立代表

あらゆる人々の「未来」を守る

-「守れなかった存在を守れるようにする」という課題解決は、医療にも通ずるように思えます。

足立:医療現場で救えないものを、保険が救えることがあります。
大学時代、私は医学生と同じ釜の飯を食べる体育大学生だったのですが、その時の友人から、「ドクターの現場でぶち当たるどうにもならない壁」の話を聞きました。手術に成功して命を救った患者さんに、元の生活に戻れるよ、と保証できないんです。命を救った瞬間に、医療費・今後の収入・生活保護……様々なものが頭をよぎるそうで、救った患者やその家族に半年後「どうしてあの時殺してくれなかったんだ」と言われたこともあるそうです。そんなドクターに「僕たちは、命を救えるけれど、未来は救えない。でも足立さんたちは未来を救える」と言われ、改めて我々の仕事には意義があると噛みしめました。

-パートナー共済も、希望ある未来を描きづらかったLGBTにとっては、素晴らしいサービスですよね。

足立:ありがとうございます。ですが、LGBTに向けて特別にメッセージを発信したいわけではありません。むしろ、特定の層に特別なメッセージを伝えなくていい社会を築きたいんです。特別扱いの前提にこそ、差別があるので。奇抜な服を着ている人もいれば素朴な格好の人もいるように、あらゆる方の個性がファッションのように認められればいいな、と思っています。
とはいえ、◯◯が悪い、と仮想敵を作りたいわけではありません。敵を作るのではなく、仲間を集める。パートナー共済で言えば、守りたいものを守ることはもちろん、「こんな思いの共済があるのか、いいな」と賛同してくれる仲間を集め、その輪を広げることで、あらゆる人が守りたいものを当然のように守れる社会になると信じています。

R&Cのオフィスで談笑する社員4名

おわりに

身近ではあるものの、難しいイメージゆえに実は深く考えることがない「保険」。ですが、その裏には「お客さまの守りたいものを絶対に守る」という熱い想いがあったんですね。

これを読んで足立さんやR&Cの理念に共感した方は、ぜひこちらの求人ページから応募してみてください。また、「R&Cのことをもっと知りたい!」と思った方は、JobRainbow独自の企業ページもチェックしてください。

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