トランスジェンダーが登場する作品まとめ【映画・ドラマ・本】

ライター: Rickey
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LGBTの中でもレズビアンゲイバイセクシュアルのキャラクターは様々な作品に登場するため、知っている方も多いと思います。しかし、トランスジェンダーがテーマとなっている、またはキャラクターとして登場する作品は意外と思い浮かばないのではないでしょうか。

トランスジェンダーとは大まかにいうと「社会から割り当てられた性」と「自認する性」が異なるセクシュアリティです。今回はトランスジェンダーをテーマにした作品を紹介するだけではなく、実際に当事者として活躍する役者さん・一般の方が登場する作品も紹介していきます。

なお、今回はときにトランスジェンダーとは分けられて説明されるトランスヴェスタイト(クロスドレッサー、異性装者)のキャラクターが登場する作品も広義の意味でのトランスジェンダー作品として扱っていきます。

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トランスジェンダーがテーマとなっている映画 ~邦画編~

1. 彼らが本気で編むときは

■公開日:2017年2月25日
■監督:荻上直子
■出演陣:生田斗真/桐谷健太/柿原りんか/ミムラ/小池栄子 など
■上映時間:127分

マキオ(桐谷健太)が一緒に暮らすことを決めた姪のトモ(柿原りんか)に紹介したのは、トランスジェンダーであり介護士をしているリンコ(生田斗真)でした。

はじめはどう接すればいいか分からず、周りの目を気にしていたトモでしたが、「トランスジェンダーとしてのリンコ」ではなく、一人の人間としてのリンコの優しさに触れ、血の繋がった家族よりも強い結びつきが生まれていきます。

こちらの作品は第67回ベルリン国際映画祭・パノラマ部門正式出品、ジェネレーション部門特別上映作品で、ベルリン国際映画祭で日本映画初のテディ審査員特別賞と観客賞の二冠にかがやきました。

2. ハイヒール革命!

■公開日:2016年9月17日
■監督:古波津陽
■出演陣:真境名薫/濱田龍臣/秋月三佳/小宮有紗 など
■上映時間:73分

こちらは、性転換手術を受けて女性タレントとして活躍していた真境名薫が自身の葛藤も踏まえた上で、主人公であるナツキの思春期と現在を演じきった一作です。

ドラマパートとドキュメンタリーパートが織り交ぜられているこの作品。小学校では黒いランドセルに違和感を覚え、中学時代も抑圧されて暮らしていたナツキが、高校進学を機に自身の気持ちに素直に生きていくことを決意します。

若くして「女性」として生まれ変わる手術を受けるべく、家族に支えられながら困難に立ち向かってゆく姿には勇気をもらえるのではないかと思います。

トランスジェンダーがテーマとなっている映画 ~洋画編~

1. アバウト・レイ 16歳の決断

■公開日:2018年2月3日
■監督:ゲイビー・デラス
■出演陣:エル・ファニング/スーザン・サランドン/ナオミ・ワッツ/リンダ・絵モンド など
■上映時間:92分

この映画は女性として生をうけ、「ラモーナ」と名付けられて育てられたものの、16歳にして性別移行に踏み切り、少年レイとして生きてゆくことを決意する若い青年のお話です。レイは性別移行の過程で母のマギー、祖母のドリー、その同性パートナーであるフランシスや父であるクレイグとの関係を見直してゆくことになります。

この作品は、トランスジェンダーの悩みや葛藤のみならず、「家族の絆」についても考えさせられるものとなっています。

2. リリーのすべて

■公開日:2016年3月16日
■監督:トム・フーバー
■出演陣:エディ・レッドメイン/アリシア・ヴィキャンデル/セバスチャン・コッホ/アンバー・ハード など
■上映時間:119分

こちらの作品は世界初の性別適合手術を受けた女性である「リリー・エルベ」の生涯を描いたデヴィッド・エバーショフによる小説『The Danish Girl』(2000)をモデルとした映画です。しかし、本作は史実に脚色が施されているため、実際の結末や内容とは異なる点が存在します。

デンマークの首都コペンハーゲンに画家のゲルダとその夫アイナー(後のリリー)は暮らしていました。ゲルダは制作中だった絵画の手伝いのためにアイナーに女装をさせますが、それがきっかけでアイナーの中に眠っていた本当の自分(リリー)が呼び起こされることになります。

女性として生きることを選んだリリーを受け入れることのできなかった妻のゲルダでしたが、徐々に突き動かされ、彼女が望む姿になることを応援しはじめます。しかし、当時その道のりは想像を絶するほどに険しいものでした。

3. 私はロランス

■公開日:2013年9月7日
■監督:グザヴィエ・ドラン
■出演陣:メルヴィル・プポー/スザンヌ・クレマン/ナタリー・バイ など
■上映時間:168分

こちらの作品はアデルの楽曲「Hello」のMVを担当し、弱冠19歳にして制作・監督・主演・脚本を務めた『マイ・マザー』で映画デビューを飾るなど、新進気鋭の映画監督として注目を浴びるカナダの奇才グザヴィエ・ドランによって制作されました。

モントリオールに住む国語教師ロランス。30歳の誕生日にロランスは、ガールフレンドのフレッドに自身がトランスジェンダーであり、女性として生きることを願っていると告白します。しかし、その告白がもたらしたのは自由と苦悩の両方でした。

厳格な母との関係や、恋人であり、理解者であったフレッドとの未来を見つめなおすなかで、ロランスは自分の道を見出していきます。様々な人間感情がグザヴィエ監督の独特の色彩センス、そして彼が選び抜いた音楽と融合し、内容的な充実度もさることながら、その映像美も必見です。

トランスジェンダー女優が活躍するドラマ

1. 『SUPERGIRL/スーパーガール』~SEASON4~

■放送日:2018年10月14日より(米国)
■出演陣:メリッサ・ブノワ/メカ―ド・ブルックス/カイラー・リー/ケイティ・マクグラス/ニコール・メインズ など
■構成:全23話構成

こちらは2015年から放送されているテレビシリーズであり、主演を務めているのは『glee』に出演しその名を知らしめている女優のメリッサ・ベノイストです。

こちらはDCコミックによる人気ドラマで、今回この作品の中に登場する「Nia Nal」(別名はドリーマー)を演じるのはトランスジェンダー女優のニコール・メインズです。

彼女は20歳という若さにして女優とアクティビストの二足のわらじで活動を続けており、これまでドラマの固定概念を壊す「トランスジェンダーが演じる正義のヒーロー」という役にやりがいを感じ、意気込みをみせています。

2. 『POSE/ポーズ』

■放送日:2018年5月13日から、海外ドラマ専用チャンネル「FOXチャンネル」にて独占放送
■出演陣:MJ・ロドリゲス/インディア・ムーア/ドミニク・ジャクソン/ヘイリー・サハル/アンジェリカ・ロス など
■構成:エピソード1は全8話

こちらは『Glee/グリー』の監督として数々の賞を総なめにし、話題をよんでいるライアン・マーフィーによる作品です。

舞台は、経済が急成長をとげていた1980年代アメリカのニューヨーク。社会に抑圧されたLGBT(特に黒人のゲイとトランスジェンダー)はダウンタウンに集まって、「マザー」のもとで「ハウス」というコミュニティを形成し、そこで毎晩クラブやショーハウスでファッションとダンスを競い合います。

その文化は「ボール・カルチャー」とよばれ、あのマドンナも自身の作品に世界観をとりいれるなど、アンダーグラウンドで一大ムーブメントを巻き起こします。

この作品にはトランスジェンダーの方が50人以上出演し、監督も「ストレートの男性がトランスジェンダー役を演じる時代は終わった。」とこのドラマのもつメッセージ性を強めています。

トランスジェンダーがテーマとなったドラマ

1. 女子的生活 NHKドラマ10

女子的生活
HPより引用)

■放送日:2018年1月5日より連続4回
■出演陣:志尊淳/町田啓太/玉井詩織/玄理 など
■構成:全4話

こちらは2018年にNHKが連続4回の枠で放送したドラマです。主演はNHK初主演となる志尊淳さんであり、その美しい姿が話題になりました。

主人公みきはアパレル業界で働く、トランスジェンダーかつレズビアンの女性です。神戸に出て「女子的生活」を満喫するみきでしたが、高校の同級生である後藤が家に転がりこんできたことで、共同生活を通してさまざまな困難に出会うことになります。

当事者がうなずけるような内容に加えて、そうでない人もトランスジェンダーにまつわる用語を知ることができるため、コミカルでありながらしっかりとしたメッセージ性があります。

2. ちょい☆ドラ10 第二弾一編「尽くす女」

尽くす女
HPより引用)

■放送日:2019年1月12日 NHK総合
■出演陣:千葉雄大/優香/長野里美/望月綾乃 など
■構成:三編構成の第2話

じっくり見るドラマもいいが、10分でちょいと見終われる、気楽なドラマがあっても良いのではないかという発想から始まった、NHKによる10分ずつのオムニバスドラマです。

妻と子供がいるトランスジェンダーとして悩みをかかえる主人公が、カウンセラーのもとを訪れて、自身の将来、妻との今後の関係について考えます。

人に尽くしすぎてしまうのが悩みだという主人公の話を通じて、視聴者も自身の自己肯定感について考えることができるでしょう。

様々なトランスジェンダーの人生を描いた一冊

1. To Survive On This Shore 

HPより引用)

■発行年:2018年8月
■ページ数:164ページ

こちらの書籍は、写真家のジェス・ダガンとソーシャルワーカーのヴァネッサ・ファブルが協力し立ち上げた同名のプロジェクトが書籍になったものです。

世界的にみてもそうですが、トランスジェンダーというワードがでた際に、若い世代ばかりに注目が集まりがちです。

しかし、厳しい時代を生き抜いてきた上の世代のトランスジェンダーがどうやって悩みを克服し、今どのように生きているのかについてフォーカスしているこの書籍は若い世代にとって大きな道しるべになるでしょう。

取り扱われている当事者はアメリカに在住している方々に限定されていますが、その内容、プロジェクトの骨子自体も興味深いものとなっています。

トランスヴェスタイト(クロスドレッサー)の登場する作品

1. ヒメゴト ~十九歳の制服~

■発行年:2011年4月~2014年12月
■作者:峰浪りょう
■巻数:全8巻

峰浪りょうの2作目の連続コミックであり、かなりセクシュアリティに突っ込んだ内容になっていますが台湾でも翻訳出版されるなど人気を博しています。

男性的な振舞いがキャラクターとして定着してしまい、大学生になっても自身の女性らしい一面が表現できず、こっそりと女子学生の制服を着て快楽を感じている主人公。

主人公と同じ大学で、女装をして女性と関係をもつことを望む容姿端麗な男子学生「相葉佳人」。

佳人の憧れであるが何故か高校の制服を着て繁華街に消える姿を目撃されてしまった美少女「永尾未果子」。

などなど、かなりインパクトがありながらも、どこか共感してしまうキャラクター達がお互いの秘密を共有しあいながら大学生活を過ごしていきます。

この作品にでは服装が自身の性やなりたい自分を表現する手段として大きなテーマになっています。

2. 俺のスカート、どこいった?

HPより引用)

■放送日:2019年4月20日より
■出演陣:古田新太、松下奈緒、永瀬廉(King&Prince)、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)など

主人公は過去にゲイバーを経営していたという経歴をもつゲイで女装家の原田のぶお。彼は私立高校に国語教師として赴任することになり、学校の中でひときわ輝きながらハートフルに生徒たちと向き合ってゆきます。

主人公を演じる古田新太さんの演技監督として女装家のブルボンヌさんが参加するなど、当事者の目線が入ることでクオリティが高いものとなっています。

おわりに

ポップコーンを食べる人

映画、ドラマや書籍などの作品はそれをみる人にいい意味でも悪い意味でも大きな影響をあたえます。

今回で紹介した作品は一部性的な内容を含んでしまうものもありますが、ほとんどがトランスジェンダーのリアルを描ききったものです。専門的な知識を得る前に自分のこれまで知っていた世界から一歩とびだせば、そこには素晴らしいものが待っているかもしれません。

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