LGBTのキャラクターが活躍する映画9選【日本・海外作品】

ライター: JobRainbow編集部
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LGBT 映画」とネットで検索すれば、賞を獲ったものやネットで話題になっているものなどたくさん出てきます。

日本でも、2018年ゲイカップルの弁護士の仕事を追ったドキュメンタリー『愛と法』という映画が東京を中心に公開予定です。

このように、ますます注目を集めるLGBT映画。

でも、このように『LGBTがテーマですよ』と銘打っていなくても、LGBTの人たちが活躍している映画が、実はいっぱいあるのを知っていますか?

もしかしたら見たことがあるものでも、忘れているものがあるかも。

そこで今回は、テーマがLGBTじゃなくても、LGBT当事者たちが大活躍している映画をご紹介します。

LGBTとは?今だからこそ、確認したい基礎知識

1. 親友がゲイ『ウォールフラワー』

ウォールフラワーのポスター

主人公のチャーリーは、中学校の時に親友が自殺してしまったことで、精神を病んでしまい、学校を辞めていました。

高校に進学しても、先輩は怖いし、幼馴染には無視されて、先輩にはいびられる……。

そんな苦しい高校生活を救ってくれたのが、ゲイの先輩・パトリックと、その義理の妹・サムでした。

パトリックは、怖い先生の授業があると、皆が緊張しないようにモノマネをしてみせたり、友達との会話の空気が悪くなるとおちゃらけてみせてくれるような優しい子。

チャーリーが前に精神病院に入院していたと聞くと、とても親身になって彼に寄り添い、ひとりぼっちだったチャーリーのために自分たちの友だちを紹介してくれました。

パトリックのおかげで、チャーリーの世界は格段に広がっていったんです。

自分のことしか考えられなかったチャーリーが、少しずつ人の悩みにも向き合えるようになっていく姿は、きっと見る人に勇気を与えてくれます。

チャーリーの世界を変えたゲイのパトリック。必見です。

2. 家族がゲイ『リトル・ミス・サンシャイン』

リトル・ミス・サンシャインのポスター

インディーズ映画の金字塔として有名なこの映画にも、LGBTの当事者が出てきます。

それが、この家族に居候している「叔父さん」

彼氏に浮気され、しかも乗り替えられてしまった叔父さんは、失恋を苦に自殺未遂をしてしまいます。お母さんはまた叔父さんが自殺をしないように、監視するために居候をさせています。

妹がミスコンの決勝進出したから、遠征しなきゃ!というところが物語の始まり。

単純にお母さんかお父さんが付き添えばいい気がするのですが、お母さんは「家にいない間に、叔父さんが家で自殺してたりしないかな?」と不安になってしまいます。

そこで、お母さんは「もう、家族みんなで会場まで行っちゃおう!」と一家丸ごと遠征旅を企画するのです。

そんな大旅行のきっかけになったおじさんですが、生還して冷静になっているのか、おじさんはむしろ、とても客観的な視点で家族の問題と向き合っていきます。

やんちゃなおじいちゃん、頑固なお父さん、ヒステリックなお母さん、全然喋らないお兄ちゃん、食べるのがやめられない妹、そんなやっかいな家族の悩みを、おじさんの「一般的」な観点で見るロード―ムービー。おすすめです。

3. 仲間がゲイ『ウォーターボーイズ』

ウォーターボーイズのポスター

ドラマシリーズもたくさんリリースされた『ウォーターボーイズ』にも、LGBTが登場したことを覚えていますか?

幼馴染の佐藤のことが大好きな早乙女聖は、人前で立つのがちょっと恥ずかしい内気な子。

でも、「佐藤くんともっともっと仲良くなりたい!」という想いで勇気をふるいたたせ、シンクロという新しい世界に飛び込んでいきます。

男の子が好きな早乙女の「女みたいな競技をしているなんて」と言われて恥ずかしがる姿は、早乙女のアイデンティティが見え隠れしていて、実はとても興味深い作品なんです。

早乙女は、ドラマシリーズでは先生になって母校のシンクロを見ている、というのも注目ポイント!

自分たちの青春時代を重ねて力になってくれる早乙女先生は、とっても素敵です。

4. ヒーローがパンセクシュアル『デッドプール』

デッドプールのポスター

公式でパンセクシュアルと言われている、デッドプール。

デッドプール自身、そのスーツの下は火傷でただれた肌をもっているヒーローのため、この物語では彼がパンセクシュアルであることだけではなく、「見た目が変わってしまっても、それでもその人を愛せるか」という問いを投げかけてきます。

ヒーローものは、やっぱりアクションがカッコいい!スカッとする!という印象が強いですが、その裏に実は、胸に刺さるメッセージが隠れている……。

そう思うと、もっともっといろいろな映画を紐解いてみたくなりますね。

5. 恋のライバルがゲイ『美少女戦士セーラームーンR The Movie』

美少女戦士セーラームーンR The Movieのポスター

主人公月野うさぎの恋人・地場衛がさらわれて、物語は動き出します。
衛をさらったのが、今回の敵キャラクター・フィオレ。

彼は、小さいころ一緒に入院していた衛に恋心を抱いていたゲイでデミロマンティックな宇宙人。
悪い植物にとりつかれ、自分の愛する衛だけを守り、それ以外を支配しようとした彼も、「愛する人が愛するものを守りたい」という強い気持ちから洗脳をのがれ、最後はセーラームーンたちと和解しました。

愛する気持ちは時に葛藤や和解を生み出していく。
そんなことを考えさせられる懐かしい映画です。

6. 学校の仲良しグループがゲイ『彼の見つめる先に』

彼の見つめる先にのポスター

盲目の男の子レオナルドと、レオナルドの親友で帰り道はいつも一緒のジョヴァンナ。

レオナルドはまだ恋愛経験がなく、「好きな人とファースト・キスをしたい」という可愛らしい夢を持っています。

そんなレオナルドたちが通う学校に転校してきた男子、ガブリエル。レオナルドは自身の障がいを特別視せずに接してくれるガブリエルとどんどん仲良くなるも、ジョヴァンナは仲間外れにされたようでやきもちをやいてしまって……というもどかしいストーリー。

親子関係や友達関係、進路など、思春期の悩みや気持ちの変化を丁寧に描いた作品です。

監督は「(レオナルドがゲイであることは)作品のメインテーマではない。この作品で描きたかったのは、“盲目でゲイの少年が恋に落ちた”という事ではなく、“恋に落ちたのが、たまたま盲目でゲイの少年だったということ。」とコメントしています。

ラストシーンでは思わず「いいぞレオナルド、もっとやれ!」とガッツポーズをしたくなるこの映画。あたたかい気持ちになれること間違いなしです!

7. 敵がゲイ『戦場のメリークリスマス』

戦場のメリークリスマスのポスター

かなり古い作品になりますが、坂本龍一作曲の劇中音楽と共に非常に有名なこちらの映画。

太平洋戦争中、ジャワ島の日本軍俘虜収容所にて、イギリス兵と日本兵が、敵という関係にありながら互いに魅せられていく様子を描いたヒューマン映画です。

登場人物の間には同性愛と思われる表現がありますが、それ自体をはっきりと明言したりテーマにしたりせずに、社会の矛盾などを描く切り口として表現している映画です。

戦場での複雑な心情や関係性が非常に丁寧に表現されている、音楽、情景ともに非常に不思議な魅力と耽美さのある映画だと思います!

※戦時中という時代背景があるので、少しですが同性愛に対して差別的と捉えられる発言も出てきます。ショックを受けてしまう可能性のある方は、注意してください。

8. 最強スパイがバイセクシュアル『アトミック・ブロンド』

アトミック・ブロンドのポスター

アトミック・ブロンドは、冷戦末期のドイツ・ベルリンを舞台にしたスパイ映画です。

アクション女優として有名なシャーリーズ・セロンが演じるの主人公は、ロレーン・ブロートンというイギリスの最強スパイ。何者かの手によって奪われた再機密情報を取り返すために、世界各国のスパイと闘いを繰り広げます。

超人的な戦闘能力で次々とピンチを乗り越えるロレーン・ブロートンの姿はかなり見ものです。

イギリスのスパイ映画と言えば、何と言ってもジェームズ・ボンド。ロレーン・ブロートンは「女性版ボンド」とも言われています。ジェームズ・ボンドはよく、ミッション達成のために自らの魅力を利用して女性を恋に落とします。

では、ロレーン・ブロートンは?実は彼女はバイセクシュアルという設定で、映画内では女性を愛する描写も出てきます。しかしそれは、ボンドのドライな愛し方とは異なります。内容は、映画を見てのお楽しみ!

9. 校長がゲイ『ハリー・ポッター』シリーズ

ハリーポッターとファンタスティックビースト

最後に紹介するのは、皆さんもおなじみの「ハリーポッター」シリーズ。

実は、優しくて強いホグワーツの校長・ダンブルドアがゲイであることは知っていましたか?

数年前に原作作者のJ.K.ローリングさんがダンブルドアがゲイであることに言及したことは、ファンの間ではかなり有名な話です。そして近年シリーズが放映されている「ファンタスティック・ビースト」に関しては、ダンブルドアが闇の魔法使い・グリンデルバルドと恋愛関係にあった可能性について触れ、再び一躍話題となりました。

しかし、ハリーポッターシリーズの中では、全作を通してダンブルドアがゲイであることを表現するような描写は一切ありません。それには製作者の、「セクシュアリティは単なるアイデンティティのひとつであり、ダンブルドアという人間をセクシュアリティが形作っているわけではない」という想いがあります。

作者のローリングさんも、2人の関係に関してははっきりと明言するのではなく、「可能性がある」という表現をしています。彼女は、「ゲイであろうとストレートであろうと、ほかのどんなレッテルであろうと、どの関係でもそうであるように、相手が何を感じているかを本当に知ることはありません。知ることなどできないのです。自分は分かっていると信じることしかできません」とコメントしています。

このように、セクシュアリティを決して特別視することなく、あくまで一人の人間を構成する要素のひとつとしてとらえ、キャラクター相手でも本人の意思を尊重することを忘れないハリーポッターシリーズ。世界中でここまで長く愛されている理由は、そんなやさしさが作品の中に溢れているからかもしれません。

映画にLGBTのキャラを出演させる意味

このように、LGBTがテーマでない映画の中でも、LGBTのキャラクターたちが活躍している姿が見られることは非常に嬉しいことです。

しかし、映画に登場するLGBTのキャラクターの割合は、まだまだ非常に少ないことも事実です。

海外の調査によると、映画に登場するキャラクターたちを見たところ、セクシュアリティ、人種、障がいの有無などに非常に不平等な偏りがあることが分かっています。

セクシュアリティに関しては、 2017年に興行収入100位以内に入った1,100の映画を調査すると、その中で登場したLGBTのキャラクターの割合はなんとわずか0.7パーセント。実際のLGBT人口の割合を考慮しても、これはあまりにも少なすぎると言えるでしょう。

また、そのLGBTのキャラクターの内訳を見てみると、半分以上がゲイ、3割がレズビアン、2割がバイセクシュアル、トランスジェンダーに関しては0という結果も出ています。

また、ヒット映画の中に登場するLGBTのキャラクターに関しては、ステレオタイプ化されたイメージがつきまとうのも事実です。例えばゲイのキャラクターに関しては「男性に見境なくアプローチする」ような表現や、「ファッションやメイクなどに特別詳しい」といったようなステレオタイプ的特徴が多く見られ、こうした表現を誇張することもまた当事者への偏見に繋がる危険性があり、非常に注意が必要です。

私たちは普段、メディアや広告、エンターテインメント作品など、あらゆるモノを通して意識的そして無意識的に価値観を築いています。そしてその集団の価値観が、社会の文化となっていきます。映画も、社会に大きな影響を与える要素のひとつです。

そんな中で、LGBTがテーマの映画でなくとも、もっと多くの映画に「当たり前に」LGBTのキャラクターが登場するようになったら…そしてその本当の暮らしや生き方を少しでも多くの人に知ってもらうきっかけとなれば、性の多様性への理解もおのずと広がるかもしれません。

おわりに

今後LGBT当事者であることを隠さなくても過ごしやすい社会がもっともっと広がっていけば、より多くの映画に「当たり前に」当事者の人たちが現れてくることになるでしょう。

こういう素敵なLGBTたちのロールモデルが、物語の中にも増えていったら、未来を生きる当事者の方たちにも、希望を与えてくれるかもしれません。

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