ドラァグ・クイーンとは?【当事者が徹底解説!おすすめの有名人もご紹介】

ライター: JobRainbow編集部
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ドラァグクイーンはクィアカルチャーで歴史の長い、パフォーマーの一種。ゲイのクラブなどが発祥とされていて、多くの場合、ゲイのパフォーマーが派手なメイクと「女装」でステージで踊ったり口パクをしたりするパフォーマンスが定番です。

ドラァグクイーンと聞いてどのような人々を思い浮かべるでしょうか。

最近、「ルポールのドラァグ・レース」というドラァグクイーンのリアリティ番組が日本でも人気になってきたことで初めて聞いた人も多いと思います。

近年ではVOGUEなどにも取り上げられています(参考:ビューティーコンシャスなドラァグクイーンが明かす、圧倒的な美の秘訣とは。)が、実はこのドラァグの文化はゲイカルチャーが発祥です。

今回は世界中ではもちろん、日本でもメジャーになりつつあるドラァグ文化を徹底解説し、ドラァグクイーンにまつわる疑問にも答えていきます。

ドラァグクイーンとは

音楽の機材の写真

ドラァグクイーンはクィアカルチャーではとても歴史の長い、パフォーマーの一種。

ゲイのクラブなどが発祥とされていて、派手なメイクと「女装」でステージで踊ったり口パクをしたりするパフォーマンスが定番で、一説によると長いドレスやガウンを引きずる(ドラァグ/Drag)姿が由来とも言われています。

ゲイの男性が誇張された女性のステレオタイプを演じるので、Female Impersonater(女性のモノマネ芸人)と同意義だという学者も多いですが、男性が女性をパフォーマンスで演じることは歴史的にも珍しいことではありません。日本の歌舞伎で活躍する女形などもドラァグの一種とされることもあります。

口パクが定番とはいえ、ドラァグクイーンの中でも生で歌う人やシンガーソングライターをしている人もいますし、トークショーなどのコメディーを主にする人、アート系のモデルを専門にするドラァグクイーンもいます。多様な形があることがおわかりいただけるのでは無いでしょうか。

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ドラァグクイーン Q&A

1.ドラァグクイーンはみんなゲイ?

ドラァグクイーンはゲイカルチャーと強い関わりを持っています。そのためゲイ男性が必然的に多いですが、ドラァグクイーンになるためにゲイである必要はありません。

また、歴史的にはゲイクラブでのパフォーマンスが多く、オーディエンスもゲイ男性が多いですが、近年ではゲイではない男性や女性のファンが世界的に増えています。

2.ドラァグクイーンをしている男性は「女性になりたい」?身体的性が女性でもなれる?

前述の通り、ゲイのドラァグクイーンが多いことから、多くのドラァグクイーンの性自認は男性です。性自認が男性のドラァグクイーンの多くはパフォーマンスの際に「女装」をすることが多いが、より日常的にしている人もいます。

しかし、ドラァグクイーンは「誇張した女性のステレオタイプ」を演じるため、性自認が女性であってもドラァグクイーンにはなれます。

また、ゲイ男性であったがドラァグの経験を通し、自分が女性であったと気づいたトランスジェンダー女性のドラァグクイーンでジア・ガン(Gia Gunn)が有名です。

3.トランスヴェスタイトとは違う?

トランスヴェスタイトは自身が社会から求められる「女らしさ」や「男らしさ」と一致しない表現(髪型、洋服など)をする人々の総称で、俗に「異性装者」とも呼ばれます。

日常の「自分らしい格好」がたまたま、伝統的な「男性らしさ」「女性らしさ」とは違った場合や、多くのドラァグクイーンのようにパフォーマンス性と仕事のために「異性装」をする場合もあります。それゆえに、トランスヴェスタイトと一般に言った場合、前者を指すことが多いです。

広義ではドラァグクイーンはトランスヴェスタイトに含まれると言えますが、そのような自認はしていない人が多いようです。

ドラァグクイーンの暗い歴史

今でこそ人気者のドラァグクイーンだが、その歴史はいつも明るかった訳ではありません。

ドラァグ文化が栄えたアメリカでは、キリスト教の影響で同性愛が禁止されていたため、ドラァグクイーン以前にゲイコミュニティ自体が迫害されていました。特に今日のドラァグ文化の大部分はイベロアメリカ系とアフリカ系アメリカ人のLGBTコミュニティで培われたものです。彼らはダブルマイノリティであったことから「普通」の生活をすることは容易ではなく、閉ざされたコミュニティで楽しむことができた数少ないエンターテインメントがドラァグでした。

しかし、迫害されるコミュニティの目立つ存在であることは大きなリスクを伴います。当時のアメリカでは「同性愛間の性交渉」を禁止する法律だけでなく、各州に「異性装」を禁止する法律があり、それを理由にゲイバーやクラブに警察が入ることも多く、ニューヨークのストーンウォール事件などのきっかけになりました。

警察は囮捜査をし、キスや手を握るなどの「同性愛の証拠」を探していました。「異性装」はこのような状況でもっとも現行犯拘束しやすいため、ドラァグクイーンは被害者になりやすかったと言われています。

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世界中で人気爆発中の「ルポールのドラァグ・レース(RuPaul’s Drag Race)」とは?

ドラァグカルチャーがLGBTコミュニティの外にも広がるきっかけになったとも言える、この番組をどこかで目にした方も多いのではないでしょうか。

有名ドラァグクイーン、ルポール(RuPaul)がホストを努めるこの番組では、アメリカをはじめとした世界各地で選ばれたドラァグクイーンたちが集まり、チャレンジを通して「ドラァグ・スーパースター」の座を目指します。

毎エピソード、ファッション、コメディー、ダンスなどのチャレンジを通し、一人が脱落するハラハラ感とその過程で生まれる人間ドラマが人気の理由。

この番組で活躍した多くのドラァグクイーンは世界ツアーを行ったり、番組を持ったりしてるため、ドラァグ界では登竜門だとされています。まだ、見ていない方は是非チェックしてください!

有名なドラァグクイーンの例

ヴァレンティナ Valentina

「ルポールのドラァグ・レース シーズン4」で一躍人気者になったヴァレンティナ。メキシコ系アメリカ人のアイデンティティを活かし、テレノベラ(ラテンアメリカのドロドロ恋愛テレビドラマ)に出てくる美女を思わせるスタイルで知られています。

サシャ・ベロア Sasha Velour

ブルックリンらしいアーティスティックなスタイルで知られるドラァグクイーン。ドラァグクイーンとして有名になる前はグラフィックデザイナー、イラストレーターとして活動していたそうです。

キム・チ Kim Chi

韓国とアメリカで育ったキム・チは、韓国の伝統や日本のアニメにインスパイアされたヴィジュアル重視のドラァグスタイルで知られています。ドラァグクイーンには珍しくシャイでダンスが苦手ですが、彼女の美的センスは世界中で注目を集め、一躍人気に。

アリッサ・エドワーズ Alyssa Edwards

ダンサーでもありコメディにも定評のあるアリッサは、「ママ」として他のドラァグクイーンの育成にも力を入れています。アリッサが率いるエドワーズ一家は、「ルポールのドラァグ・レース」にも多く登場していることで有名です。

プラスティーク・ティアラ Plastique Tiara

べトナムのホーチミン生まれ プラスティークの美貌は、ドラァグ界に衝撃を与えました。ポップスターのようなキラキラしたルックスと「ママ」であるアリッサ・エドワーズに叩き込まれたパフォーマンス力で、ドラァグの未来を担っています。

「ドラァグクイーンの逆(男装)」はいるのか

ドラァグクイーンは「女性らしさ」を強調するのに対し、「男性らしさ」を強調するパフォーマーはいるのかと疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?

日本ではあまりメジャーではないが、まさにクイーンの逆、「ドラァグ・キング(Drag King)」というパフォーマーもいます。ドラァグクイーンと同様に、どのようなアイデンティティの方でもなれますが、レズビアン女性向けのクラブなどでパフォーマンスすることが多く、レズビアン女性が多いと言われています。

工事現場の労働者やロック歌手などのキャラクターになりきって「男らしさ」をコミカルに表現するドラァグキングや、イケメンさで知られるドラァグキングもいます。

残念ながらドラァグクイーンに比べまだまだ知名度が低いですが、これからが期待される存在でしょう。

おわりに

LGBTのカルチャーは長年、閉ざされたコミュニティで培われてきました。これからもっと注目され、よりメジャーになることが予想されるドラァグカルチャーですが、その文化を作り上げてきたLGBTコミュニティの努力を忘れてはいけません。

もっとドラァグについて知りたいと思った方は、日本でも多くのドラァグクイーンが活躍していますので、是非ドラァグ・ショーに足を運んでみてください。

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