世界中で大人気、ドラァグ・クイーンとは!【ルポールのドラァグ・レースって何?】

ライター: JobRainbow編集部
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はじめに

ドラァグクイーンと聞いてどのような人々を思い浮かべるだろうか。

最近、「ルポールのドラァグ・レース」というドラァグクイーンのリアリティ番組が日本でも人気になってきたことで初めて聞いた人も多いと思う。

近年ではVOGUEなどにも取り上げられている(参考:ビューティーコンシャスなドラァグクイーンが明かす、圧倒的な美の秘訣とは。)が、実はこのドラァグの文化はゲイカルチャーが発祥だ。

今回は世界中ではもちろん、日本でもメジャーになりつつあるドラァグ文化を徹底解説し、ドラァグクイーンにまつわる疑問にも答えていきたい。

  1. ドラァグクイーンとは
  2. ドラァグクイーン Q&A
    1. ドラァグクイーンはみんなゲイなのか?
    2. ドラァグクイーンをしている男性は女性になりたいのか?元から女性でもなれるのか?
    3. トランスヴェスタイトとは違うのか?
  3. ドラァグクイーンの暗い歴史
  4. 世界中で人気爆発中の「ルポールのドラァグ・レース(RuPaul’s Drag Race)」とは?
  5. 有名なドラァグクイーンの例
    1. ヴァレンティナ Valentina
    2. サシャ・ベロア Sasha Velour
    3. キム・チ Kim Chi
    4. アリッサ・エドワーズ Alyssa Edwards
    5. プラスティーク・ティアラ Plastique Tiara
  6. ドラァグクイーンの逆(男装)はいるのか
  7. おわりに

ドラァグクイーンとは

音楽の機材の写真

ドラァグクイーンはクィアカルチャーではとても歴史の長い、パフォーマーの一種だ。

ゲイのクラブなどが発祥とされていて、派手なメイクと「女装」でステージで踊ったり口パクをしたりするパフォーマンスが定番。一説では、長いドレスやガウンを引きずる(ドラァグ/Drag)姿が由来とも言われている。

ゲイの男性が誇張された女性のステレオタイプを演じるので、Female Impersonater(女性のモノマネ芸人)と同意義だという学者も多い。男性が女性をパフォーマンスで演じることは歴史的にも珍しいことではなく、日本の歌舞伎で活躍する女形などもドラァグの一種とされることもある。

口パクが定番とはいえ、ドラァグクイーンの中でも生で歌う人やシンガーソングライターをしている人いるし、トークショーなどのコメディーを主にする方、アート系のモデルを専門にするドラァグクイーンもいることから、多様な形があることがお分り頂けるだろう。

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ドラァグクイーン Q&A

1.ドラァグクイーンはみんなゲイなのか?

ドラァグクイーンはゲイカルチャーと強い関わりを持っている。そのため、ゲイ男性が必然的に多いが、ドラァグクイーンになるためにゲイである必要はない。

また、歴史的にはゲイクラブでのパフォーマンスが多くオーディエンスもゲイ男性が多いが、近年ではゲイではない男性や女性のファンが世界的に増えている。

2.ドラァグクイーンをしている男性は女性になりたいのか?元から女性でもなれるのか?

前述の通り、ゲイのドラァグクイーンが多いことから、多くのドラァグクイーンの性自認は男性だ。性自認が男性のドラァグクイーンの多くはパフォーマンスの際に「女装」をすることが多いが、より日常的にしている人もいる。

しかし、ドラァグクイーンは「誇張した女性のステレオタイプ」を演じるため、性自認が女性であってもドラァグクイーンにはなれる。

また、ゲイ男性であったがドラァグの経験を通し、自分が女性であったと気づいたトランスジェンダー女性のドラァグクイーンでジア・ガン(Gia Gunn)が有名。

トランスジェンダーとは?「広義」「狭義」ってなに?【性同一性障害との違いとは】

3.トランスヴェスタイトとは違うのか?

トランスヴェスタイトは自身が社会から求められる「女らしさ」や「男らしさ」と一致しない表現(髪型、洋服など)をする人々の総称で、俗に「異性装者」とも呼ばれる。

日常の「自分らしい格好」がたまたま、伝統的な「男性らしさ」「女性らしさ」とは違った場合や、多くのドラァグクイーンのようにパフォーマンス性と仕事のために「異性装」をする場合もある。それゆえに、トランスヴェスタイトと一般に言った場合、前者を指すことが多い。

広義ではドラァグクイーンはトランスヴェスタイトに含まれると言えるが、多くの場合はそのような自認はしていないようだ。

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ドラァグクイーンの暗い歴史

今でこそ人気者のドラァグクイーンだが、その歴史はいつも明るかった訳ではない。ドラァグ文化が栄えたアメリカではキリスト教の影響で同性愛が禁止されていたことから、ドラァグクイーン以前にゲイコミュニティ自体が迫害されていた。

特に今日のドラァグ文化の大部分はイベロアメリカ系とアフリカ系アメリカ人のLGBTコミュニティで培われたものだ。彼らはダブルマイノリティであったことから「普通」の生活をすることは容易ではなかった。閉ざされたコミュニティで楽しむことができた数少ないエンターテインメントがドラァグであったと言える。

しかし、迫害されるコミュニティの目立つ存在であることは大きなリスクを伴う。当時のアメリカでは「同性愛間の性交渉」を禁止する法律だけでなく、各州に「異性装」を禁止する法律があり、それを理由にゲイバーやクラブに警察が入ることも多く、ニューヨークのストーンウォール事件などのきっかけになった。

警察は囮捜査をし、キスや手を握るなどの「同性愛の証拠」を探していた。「異性装」はこのような状況でもっとも現行犯拘束しやすいためドラァグクイーンは被害者になりやすかったと言われる。

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世界中で人気爆発中の「ルポールのドラァグ・レース(RuPaul’s Drag Race)」とは?

ドラァグカルチャーがLGBTコミュニティの外にも広がるきっかけになったとも言える、この番組をどこかで目にした方も多いのではないだろうか。

有名ドラァグクイーン、ルポール(RuPaul)がホストを努めるこの番組ではアメリカをはじめとした世界各地で選ばれたドラァグクイーンたちが集まり、チャレンジを通して「ドラァグ・スーパースター」の座を目指す番組だ。

毎エピソード、ファッション、コメディー、ダンスなどのチャレンジを通し、一人が脱落するハラハラ感とその過程で生まれる人間ドラマが人気の理由だと言える。

この番組で活躍した多くのドラァグクイーンは世界ツアーを行ったり、番組を持ったりしてるため、ドラァグ界では登竜門だとされています。まだ、見ていない方は是非チェックしていただきたい。

有名なドラァグクイーンの例

ヴァレンティナ Valentina

「ルポールのドラァグ・レース シーズン4」で一躍人気者になったヴァレンティナ。メキシコ系アメリカ人のアイデンティティを生かし、テレノベラ(ラテンアメリカのドロドロ恋愛テレビドラマ)に出てくる美女を思わせるスタイルで知られている。

サシャ・ベロア Sasha Velour

ブルックリンらしいアーティスティックなスタイルで知られるドラァグクイーン。ドラァグクイーンとして有名になる前はグラフィックデザイナー、イラストレーターとして活動していたそう。

キム・チ Kim Chi

韓国とアメリカで育ったキム・チは韓国の伝統や日本のアニメにインスパイアされたヴィジュアル重視のドラァグスタイルで知られる。ドラァグクイーンには珍しくシャイでダンスが苦手だが、彼女の美的センスは世界中で注目を集め、一躍人気に。

アリッサ・エドワーズ Alyssa Edwards

ダンサーでもあり、コメディにも定評のあるアリッサは「ママ」として他のドラァグクイーンの育成にも力を入れている。アリッサが率いるエドワーズ一家は、「ルポールのドラァグ・レース」にも多く登場していることで有名。

プラスティーク・ティアラ Plastique Tiara

べトナムのホーチミン生まれのプラスティークのその美貌はドラァグ界にも衝撃が走った。ポップスターのようなキラキラしたルックスと「ママ」であるアリッサ・エドワーズに叩き込まれたパフォーマンス力でドラァグの未来を担っている。

ドラァグクイーンの逆(男装)はいるのか

ドラァグクイーンは「女性らしさ」を強調するのに対し、「男性らしさ」を強調するパフォーマーはいるのかと疑問を持つ方も多いのではないだろうか?日本ではあまりメジャーではないが、まさにクイーンの逆、「ドラァグ・キング(Drag King)」というパフォーマーがいる。

ドラァグクイーンと同様にどのようなアイデンティティの方でもなれるが、レズビアン女性向けのクラブなどでパフォーマンスすることが多く、レズビアン女性が多いと言われている。

工事現場の労働者やロック歌手などのキャラクターになりきり、「男らしさ」をコミカルに表現するドラァグキングやそのイケメンさで知られるドラァグキングもいる。ジェンダーを越えるとても深いパフォーマンスだ。

残念ながらドラァグクイーンに比べまだまだ知名度が低いが、これからが期待される存在だと言える。

おわりに

LGBTのカルチャーは長年、閉ざされたコミュニティで培われてきた。これからもっと注目され、よりメジャーになることが予想されるドラァグカルチャーですが、その文化を作り上げてきたLGBTの人たちの努力を忘れないことが需要だ。

もっとドラァグについて知りたいと思った方は、日本にも多くのドラァグクイーンが活躍しているので、是非ドラァグ・ショーに足を運んで欲しい。

参考文献

Monica Baroni, Routledge International Encyclopedia of Queer Culture, 2006.

Bernadette Deron, The Evolution Of The Art Of Drag In 33 Stunning, Historical Images, December 15, 2018.

Jamie Lee Coull, Faux Queens: an exploration of gender, sexuality and queerness in cis-female drag queen performance, 2015.

RYAN ROSCHKE, Sashay Through the History of Drag Queen Culture, August 16, 2018.

Arresting dress: A timeline of anti-cross-dressing laws in the United States, May 31, 2015.

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