【用語解説】同性愛とは?案外複雑?「同性愛」のこれまでとこれから

ライター: おばた
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「同性愛」。誰もが一度はこの言葉を聞いたことがあるでしょう。2019年7月に行われたばかりの参議院選挙では「同性婚」が一つの論点になったほど、「同性愛」や「LGBT」、「セクシュアルマイノリティ」などの言葉は身近になってきました。

しかし、そんな中でも、「同性愛という言葉のイメージはわかるけど、きちんとした定義を知らない…」「同性愛、と調べてみても難しそうな本やネット記事ばかりで読む時間も気力もない!」という方も多いはず。

そこで今回は「同性愛」について、その定義と、同性愛が病気だった過去について、できるだけわかりやすくまとめてみました。

「同性愛って病気だったの?」と思った方、「基本事項をおさらいしたい」という方はぜひ最後までご覧ください。

同性愛とは?

虹色の風船

1.「身体の性が同じ人を好きになること」?

一般的に同性愛といえば、「身体の性が自分と同じ人に対して恋愛感情や性的な感情を抱く人」と考える人が多いでしょう。実際に、数多くの論文でも、基本的にそう定義されます。

2. 定義の変化

しかし、最近はその定義も見直され、変化しつつあります。

まず、「性自認」という概念が広まったことによって、「同性愛かどうか」を判断するにつき、「自分・相手の性自認」を考慮する必要が出てきました。

少し複雑なので、具体例で考えてみましょう。

AさんとBさんというカップルがいるとします。

先ほどの一般的定義に当てはめると、AさんとBさんの身体的性がどちらも男性、あるいはどちらも女性なら、彼らは同性愛者だということができそうです。

しかし、このときAさんの性自認が女性で、Bさんの性自認が男性だとしたら、彼らは同性愛者と言えるでしょうか。

また、Aさんの性自認が一つに定まっていない場合は?

さらに、Aさん・Bさん共に性自認が男性だとして、Aさんの身体的性が女性、Bさんの身体的性が男性のときはどうでしょうか。一般的定義に当てはめると彼らは「異性愛者」となりそうですが、本当にそうでしょうか。

……少しどころか、かなり複雑になってしまいました。

以上の例から考えられることは、一口に同性愛といっても、簡単に全てをカバーした定義を定めることは難しいということです。

3. 定義に当てはまる?当てはまらない?

ただ、論文や本などでなされる定義づけは、基本的に「同性愛はこの定義に当てはまるものだけで、それ以外は同性愛ではない」としているわけではありません。あくまで「この本や論文では、同性愛と言ったらこのことを指しますよ」ということです。

そもそも、それぞれの恋愛の形は、自分で自由に決められることです。他人が枠に当てはめて定義すること自体違和感があります。

ですから、「あなたは身体的性が男性で、相手は女性なのだから同性愛者ではないでしょ?」と決めつけるのはあまり良いことではありません。その人が自分のことを同性愛者だと考えているのなら、その人自身の考え方を尊重してあげましょう。

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同性愛は「病気」?

実は、昔(といってもつい最近まで)は、同性愛は主に精神的な「病気」「障害」と考えられており、WHO(世界保健機関)が発行するICD(国際疾病分類)にも記載されていました。

現在でも、年配の方の中には、「同性愛は病気」「異常」という考えを持ち続けている方はいます。

しかし、現在同性愛者を病気と捉える人はあまりいません。

ではなぜ、現在と異なり、昔は同性愛者が病気だと思われていたのでしょうか?

1. なぜ「病気」だったのか?

「病気」というと、「異常」な状態であり、「治せる」ものというイメージがあります。例えば、風邪をひいたときは熱が出たり喉が痛くなったりしますが、それは決して普段の状態というわけではありませんし、薬を飲めば治りますよね。

同性愛も同じように、「異常」だが「治せる」ものだと考えられてきたのです。

その理由の一つとしては、異性愛者がマジョリティであり、同性愛者はマイノリティであることが挙げられます。

人間は、マジョリティ=普通、マイノリティ=異常であると捉えがちです。マイノリティであった同性愛者は普通でない、異常な人だと考えられていました。

それに加えて、アメリカ精神医学会が同性愛を精神障害と認定し、その後旧東ドイツの医師が「出産時の母親の男性ホルモンが少ないせいでゲイが生まれる」という学説を発表しました。

このため、本来人間は異性愛者であるはずが、精神疾患や出生時のイレギュラーによって同性愛者になるという考え方が広まりました。

このような背景により、「同性愛=病気」という認識が浸透していったのです。

2. 同性愛は病気ではない

しかし、1969年にアメリカで勃発したストーンウォール事件をきっかけに、同性愛者の活動家たちは、政界などをはじめ様々な分野に働きかけました。

そんな動きの中、学会も例外ではなく、学者たちは運動を受けて、学会内でも活発に議論がなされ、1973年に、同性愛を精神障害として扱うことをやめ、DSM(精神障害の診断と統計の手引き)の中から削除される声明が発表されました。

ただ、削除された後でも「自我異和的同性愛者」という診断項目が存在していました。つまり「自分の今のセクシュアリティが辛くて変えたい」と思っている人は、「病気」だと判断されていたのです。

しかし、そのような診断名が残っていては、いまだに同性愛を「病気」「障害」とみなすことにつながってしまいます。また、そもそも「自己異和的」=「自分が同性愛者であることが辛くて変えたい」という状態は、本人ではなく、「同性愛を認めない」社会に問題があるのです。

そのような認識が広まり、1987年には自己異和的同性愛者という診断名も削除され、同性愛は完全に病気ではなくなりました。

事件や社会運動について詳しく知りたい方
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「同性婚」

女性カップルの結婚式

社会運動を通して病気と扱われることはなくなった同性愛。

では、現在、同性愛の形の一つである「同性婚」は、どのように扱われているのでしょうか。

1. 日本における同性婚

現在、日本では残念ながら同性婚が認められていません。

それは、民法が、結婚は戸籍法に定める様式の婚姻届を届けることによって成立するとしており、その婚姻届は夫と妻となる者の記載が必要で、通常夫は戸籍上の男性、妻は戸籍上の女性だと解釈されるためです。

また、それだけではなく、憲法の解釈も問題となります。

憲法24条は、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」するとしており、この「両性」という文言が同性婚を否定するかどうかが一つの論点となっています。

この文言が同性婚を否定するものではないとする立場からは、同性婚に憲法改正は必要なく、民法改正のみが必要となります。

一方で、憲法が同性婚を否定していると解釈すると、民法改正に加えて憲法の改正も必要になります。憲法は他のあらゆる法律に優位するため、民法だけを改正しても、それが憲法に反すると判断されると違憲無効になってしまうためです。

日本における同性婚やパートナーシップ制度について詳しく知りたい方
「なぜ必要】日本で同性婚の実現は可能?パートナーシップ制度との違いや社会への影響も解説!」

1.1 各政党のスタンス

それでは、そのような状況下で、各政党は同性婚や、憲法との関係についてどう捉えているのでしょうか。

朝日・東大谷口研究室共同調査において、各政党のそれぞれの論点についてのスタンスをわかりやすく見ることができます。

「同性婚」の論点を選択してみた結果がこちらです。

改めて、主な政党の主張・マニフェストとして、簡単にまとめ直してみると、以下のようになります。(2019年8月時点)

自民党:同性婚・パートナーシップ制度は憲法とは相容れない。

公明党:同性婚について記載なし

立憲民主党:同性婚・パートナーシップ制度が憲法の保障下にあるかどうかは議論の余地あり。しかし、いずれにせよ同性婚が可能となるよう法整備を進める。

国民民主党:憲法に関して明言なし。パートナーシップ制度の拡充・法整備の検討を進める。

共産党:憲法は同性婚を否定しない。同性婚を認める民法改正を進める。

日本維新の会:憲法に関して明言なし。同性婚を認める。

社民党:憲法に関して明言なし。同性婚の実現のため婚姻平等の法制度を進める。

れいわ新撰組:同性婚について記載なし。

参院選は終わってしまいましたが、次の選挙までに、一つの論点として同性婚についての各政党のスタンスを意識しておくといいかもしれません。

1.2 各地方自治体のスタンス

地方自治体の中には、パートナーシップ制度を導入し、同性カップルを公認しているところもあります。

現在、同性パートナーシップ制度を導入している地方自治体は20。

2019年4月には一気に9つの自治体が制度を導入、加えて、2019年7月から、茨城県が同性パートナーシップ制度の導入を始めました。県単位としては初めての試みで、パートナーシップ制度が大きな動きになってきています。

パートナーシップ制度を導入していない自治体も、勉強会やイベントを行うなど、LGBTや同性婚について前向きな姿勢を見せているところもあります。

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2. 世界における同性婚

2019年5月時点で、同性婚、あるいは同性パートナーシップ制度が認められている、認められる予定の国は、27ヶ国あります。

オランダでは世界で初めて同性同士と異性同士の結婚を法律上完全に同等なものとし、ベルギーでも同様の設定がなされました。

また同性婚を「結婚」と定義せずとも、法律上結婚と同等のものとされるパートナーシップ制度を設けている国もあります。(日本のパートナーシップ制度は、法的効力はありません。混同しやすいですが違いに注意してください!)

先進国の多くが、同性婚・パートナーシップ制度を法的に認めることを積極的に進めており、日本がその波に乗れるかどうか、注目です。

おわりに

レインボーに飾られた街並み

ここまで、同性愛についてざっくりと説明してきました。

同性愛・同性婚をめぐる歴史を見てみると、同性愛への理解はゆっくりとではありますが、進んできていると感じられませんか?

この記事では、同性愛にまつわる問題や事件などをすべて網羅しているとは言えません。

ですが、この記事を通して、「同性愛についてなんとなくわかった」「もう少し調べてみたい」と感じていただけたら嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

有馬將太、園田直子(2010)「同性愛者のセクシュアリティ」久留米大学心理学研究、第9号、pp.89-97.

椎野信雄(2017)「Homosexualityをめぐって〜ホモセクシュアルが病気でなくなるまで〜」文教大学国際学部紀要、第27巻2号、pp.39-47.

NPO法人EMA日本「世界の同性婚」

人権情報ネットワークふらっと「7.同性同士では結婚できない?」

安田聡子(2019)「同性パートナーシップ制度誕生から3年半、9つの自治体が新たに一斉導入。急速に増えている理由は?」ハフポスト日本

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