LGBTは子どもを持てる? 子どもが当事者のときの育て方は?

ライター: おばた
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LGBTレズビアンゲイバイセクシュアルトランスジェンダーの頭文字をとった、セクシュアルマイノリティの総称)と子どもの問題は切っても切り離せません。自民党の杉田議員が「LGBTは子どもを産めない=生産性がない」、と発言して話題となったのも記憶に新しいのではないでしょうか。

現在同性婚の認められていない日本の制度は、LGBTカップルたちに優しいとは言い難いでしょう。徐々に数は増えてきたものの、同性パートナーシップ制度がある団体も限られています。

そんな中、LGBTカップルに子どもを持つことはできるのでしょうか。

今回は、LGBTカップルが子供を持つことができるのかどうか、LGBTカップルが子育てをするときの問題に加え、子供がLGBT当事者だった時はどうしていけばいいのかについても解説していきます。

子供を持ちたいカップルだけでなく、子どもがLGBT当事者かもしれない、どうしよう……と悩んでいる方々にもぜひ読んでいただきたいです。

どうしたらLGBTカップルでも子どもを持てる?

抱っこされる赤ちゃん

日本において、LGBT当事者カップルが実際に子どもを持ったケースはかなり少数です。しかし、実は子供を持つためには複数の方法があります。

1. 人工授精

2018年11月に、トランスジェンダーの杉山さんとそのパートナーとの間に、ゲイの友人から精子提供を受けた人工授精により、赤ちゃんが生まれたニュースはご存知でしょうか。

この他にも、精子提供により子どもを産み育てる同性カップルやトランスジェンダーのカップルは、近年増加傾向にあるようです。

ただし、日本では卵子提供・代理母による出産は認められていません。卵子提供を望むカップルは、アメリカ・ロサンゼルスをはじめとする、代理母出産を認めている国や地域にて出産を行います。(参考:jbabyホームページ

2. 里親制度

里親制度は、養子縁組と混同されがちです。

しかし、子供と養親が新たに親子関係を成立させ、親権が養親にうつる養子縁組と違い、里親制度では、子供と里親の間に親子関係は成立せず、親権も産みの両親から移転しません。(参考:日本財団「養子縁組と里親制度の違い」

法律が定める里親の要件は同性カップルを排除しておらず、あくまで「法律上」は同性カップルも里親になることができます。ただし、事実上、同性カップルは里親になれないケースがほとんどでした。独自の認定基準を設定していた自治体が断ったり、そもそも同性カップル自身が「里親になれない」と思い込んでいたりしたためです。

そんな中、2017年4月に、大阪市から男性カップルの里親が誕生したことはかなり話題になりました。

現在、自治体独自の認定基準によって同性カップルを除外していた東京都 も要件を緩和し、同性カップルであるから里親認定を受けられない、ということもなくなりました。(参考:OUT JAPAN「東京都が里親の認定基準を緩和、同性カップルも養育里親として認められることに」

2.1 里親制度を利用するのは、大人のエゴ?

里親認定については、「里親制度は子どものための制度なのに、大人が子どもを持つために利用するのは、大人のエゴだ」ということがよく批判としてあげられます。

確かに、里親制度は保護者を必要としている子どものための制度であるにもかかわらず、大人の「子どもを持ちたい」という欲求を満たすために利用するのは目的に即していないようにも思えます。

しかし、同性カップルを里親にするために活動してきた藤めぐみさんは、「子供が欲しいという動機について、エゴだと毛嫌いする必要はない」と主張しています。

というのも、里親になるには、数多くの研修を受ける必要があるためです。

たとえ、単に子どもが欲しいという動機で里親制度を知ったとしても、実際に里親になる頃には、「里親制度は子どもたちのための制度」ということを理解した上で、里親認定を受け、慎重にマッチングが行われます。

里親を求める子どもが増えている現状。同性カップルにも里親になることができるようになることで、里親の数が増えます。それにより、子どもの選択肢が増えることになるため、必ずしも「大人のエゴで、子どもたちは迷惑している」という訳ではないのではないでしょうか。

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子どもへのLGBT教育

肩車される子ども

1. 教育とLGBTの現状

保護者、子どもがLGBT当事者であるかどうかに関わらず、子どもにLGBTについての知識を与えることは非常に重要です。

2020年から、小学校の教科書にも性的マイノリティについての記述が盛り込まれることになり、小学校・中学校・高校全ての教科書にLGBTについての記述がなされることとなりました。(参考:OUT JAPAN「来春からの小学校教科書に初めて性の多様性のことが記載されることになりました」

ですが、現在の教育指導要領はLGBTに配慮された記述がなされているとは言い難く、教員の方々からも自身の知識不足ゆえ、LGBTについて教えることに対する不安の声が上がっています。(参考:衆議院第193回国会答弁奥村遼・加瀬進「教員養成系大学生が有する LGBT の知識・理解・学習経験に関する調査研究」

このように、学校での教育制度が十分に整っているとは言えない現在、家庭でLGBTについて教えていくことは不可欠と言えるでしょう。

海外と日本のLGBT教育事情を知りたい方はこちら
「何が違う?LGBTの教育事情~日本と海外の比較~」

2. 子どもに対して、LGBTをどう教える?

家庭でLGBTについて教えたいと思っても、どう教えればいいのでしょうか。

ゲイであることを公表している小学校教員の鈴木さんは、マイノリティについての授業をするため招かれた出張授業で、「LGBTについて」は教えない、といいます。

彼の授業では、「同性愛」「マイノリティ」を全面に教えるのではなく、「自分とは違う人とどうやって仲良くなるか。どう繋がるか」を教える授業をしているそうです。(参考:BuzzFeed News「自分とは違う友達とどうやって仲良くなる? 小学生にLGBTを教えるということ」

LGBTをはじめとする、セクシュアルマイノリティに関する知識を教えることはもちろん大切ですが、私たちが本来目指すべきは「自分と相手は当然に違う」ことを前提に、「自分と違う人とも交流」ができるようになることではないでしょうか。

LGBTに限らず、多様性が加速化する現代。今の子どもたちが自分と違う人ともスムーズに交流ができるようになれば、より多くの人にとって生きやすい社会を作っていけるかもしれません。

3. 子どもがLGBT当事者のときはどうする?

また、自身の子どもがLGBT当事者かもしれず、困惑している方もいらっしゃるでしょう。もし、今まで当事者と関わりのなかった方ならなおさら困惑すると思います。

トランスジェンダーの遠藤まめたさんは、「LGBTかどうかを見分けることはできないし、する必要もない。LGBTに限らず、すべての子が好きなことを伸び伸びできて、気持ちが尊重されることが大切」と語ります。(参考:「LGBTの子どもが悩むこと、周囲の大人ができること 当事者の遠藤まめたさんに聞く」

また、LGBT当事者たちがメディアに盛んに取り上げられるようになった現在、彼ら彼女らに対する大人の反応も重要です。

メディアに登場する当事者たちに対して面白がったり、嫌悪感をあらわにしたりすると、子どもは自身のセクシュアリティについて大人に相談しにくくなってしまいます。大人が多様な生き方について肯定的な姿勢を子どもに示すことが大切です。

おわりに

本を読む子ども

いかがでしたでしょうか。今回の記事では、子どもを持つ方法から育てる方法まで、簡単にご紹介しました。

里親制度には法律上、運用上の弊害はなくなったものの、周りの人が反対したり、世間の目が厳しかったりと、同性カップルがこの制度をスムーズに利用できるようになるまではまだまだ時間がかかるでしょう。

LGBTにまつわる子育てについては、教育機関も未だ手探りの状態です。

教員の理解が乏しかったり、学校施設が構造上LGBTに配慮できていなかったりと、問題が山積みです。

この記事が、LGBTと子どもにまつわる問題を考えるきっかけになれば嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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